平成22年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)
○ 本年報は、全国の保健所を通じて報告される結核登録者の状況(平成22年1月1日〜12月31日)を取りまとめたものである。
■平成22年 年報のポイント
- ○結核罹患率の減少傾向は続いているが、国内では未だ2万3千人以上の結核患者が発生している。
新登録結核患者数 23,261人
罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 18.2 (対前年比0.8減)
- ○70歳以上の高齢結核患者は新登録結核患者の半数以上を占め、さらに増加傾向にある。高齢者の結核罹患率は減少しているが、80歳以上では減少は遅い。
70歳以上の新登録患者の占める割合 47.0(H18) から 51.2(H22)へ増加
過去5年の罹患率における減少:70歳代は50.0(H18)から38.8(H22)、80歳代は92.0(H18)から82.6(H22)、90歳以上は97.9(H18)から91.8(H22)へ減少。
- ○働き盛りの感染性のある結核患者では、受診の遅れ(2か月以上の割合)は依然大きい。
参考資料11-1参照
全年齢有症状肺結核 18.3% 30-59歳有症状喀痰塗抹陽性肺結核 32.6%
- ○外国籍結核患者割合の増加傾向は続いており、特に20歳代の新登録結核患者の外国籍結核患者割合は29%に達している。
20-29歳新登録全結核患者数 1,536人
20-29歳新登録外国籍結核患者数 438人(28.5%) (H21 25.1%、H20 25.7%、H19 20.3%)
- ○結核罹患率の地域差は依然大きく、大都市で高い。
大阪市(47.4)、名古屋市(31.5)、堺市(28.5)、東京都特別区(26.0)の罹患率は、それぞれ長野県(9.1)の5.2倍、3.5倍、3.1倍、2.9倍である。
- ○世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
参考資料 1 参照
日本の罹患率(18.2)は、米国(4.1)の4.4倍、カナダ(4.9)の3.7倍、スウェーデン(5.6)の3.3倍、オーストラリア(6.4)の2.8倍。
1 新登録結核患者数、罹患率
- 平成22年中に新たに結核患者として登録された者の数は23,261人で、前年より909人(3.8%)減少した。
- 罹患率は18.2であり、前年の19.0より0.8減少して平成20年と21年の減少率(H20、H21は0.4減少)より改善した。
- 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数は9,019人で、前年より656人の減少である。菌喀痰塗抹陽性肺結核患者が新登録結核患者数に占める割合は38.8%で前年より1.2ポイント小さくなった。
区分 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 新登録結核患者数 26,384人 25,311人 24,760人 24,170人 23,261人 罹患率(人口10万対) 20.6 19.8 19.4 19.0 18.2 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数 10,492人 10,204人 9,809人 9,675人 9,019人 新登録結核患者数に占める割合 39.8% 40.3% 39.6% 40.0% 38.8% - 都道府県別に罹患率をみると、大阪府、長崎県、東京都の順に高く、長野県、群馬県、山形県の順に低い。長野県は都道府県罹患率で初めて10を下回った。その一方、罹患率の一番高い大阪府は、罹患率の一番低い長野県の3.3倍、大阪府の中でも大阪市は長野県の5.2倍であり、地域差は依然大きい。
2 結核登録者数、有病者数、有病率
- 平成22年末現在の結核登録者数は55,573人であり、前年より4,000人減少している。うち、活動性全結核患者数は17,927人であり、前年より988人減少している。
有病率は14.0であり、前年の14.8より0.8減少している。区分 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 結核登録患者数 65,695人 63,556人 62,244人 59,573人 55,573人 活動性全結核患者数 21,976人 20,637人 20,021人 18,915人 17,927人 有病率(人口10万対) 17.2 16.2 15.7 14.8 14.0
3 死亡者数、死亡率、死亡順位
- 平成22年中の結核による死亡者数は2,126人(概数)で、前年の2,159人に比べ33人減少、死亡率は1.7である。死因順位は、26位である。
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