平成20年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)
○ 本年報は、全国の保健所を通じて報告される結核登録者の状況(平成20年1月1日〜12月31日)を取りまとめたものである。
■平成20年 年報のポイント
- ○結核罹患率は前年20を下まわり、引き続き低下傾向にあるが、未だ2万4千人以上の患者の発生がある。
新登録結核患者数 24,760人
罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 19.4 (対前年比0.4減)
- ○70歳以上の高齢結核患者は新登録結核患者の半数に近づきつつあり、その割合は増加傾向にある。
参考資料5-1参照
70歳以上の新登録結核患者の占める割合 48.9% (H19 47.9%、H18 47.0%、H17 44.9%)
- ○働き盛りの感染性のある結核患者では、受診の遅れ(2か月以上の割合)は依然大きい。
参考資料11-1参照
全年齢有症状肺結核 18.2% 30-59歳有症状喀痰塗抹陽性肺結核 32.3%
- ○20歳代の新登録結核患者の約4人に1人は外国籍結核患者であり、その割合は増加傾向にある。
20-29歳新登録結核患者数 1,823人
外国籍結核患者数 468人(25.7%)(H19 20.3%、H18 19.8%、H17 16.4%、H16 15.9%)
- ○結核罹患率の地域格差は依然大きく、大都市で高い。
大阪市(50.6)、名古屋市(31.5)、堺市(28.9)、東京都特別区(28.6)の罹患率は、それぞれ長野県(10.2)の5.0倍、3.1倍、2.8倍、2.8倍である。
- ○世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
参考資料 1 参照
日本の罹患率(19.4)は、米国(4.3)の4.5倍、カナダ(4.7)の4.1倍、
スウェーデン(5.4)の3.6倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍。
1 新登録結核患者数、罹患率
- 平成20年中に新たに結核患者として登録された者の数は24,760人で、前年より551人減少している。
- 罹患率は19.4であり、前年の19.8より0.4減少し減少傾向は続いているが、平成20年はさらに減速(H17からH18は1.6減少 H18からH19は0.8減少)が顕著となっている。
- 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数は9,809人で、前年より395人の減少である。菌喀痰塗抹陽性肺結核患者が新登録結核患者数に占める割合は39.6%で前年より0.7ポイント小さくなっている。
- 都道府県別に罹患率をみると、大阪府、東京都、長崎県の順に高く、長野県、山梨県、秋田県の順に低い。罹患率の一番高い大阪府は、罹患率の一番低い長野県の3.2倍、大阪府の中でも大阪市は長野県の5.0倍であり、地域差は依然大きい。
*人口はH20年10月1日現在推計人口(千人単位)、総務省統計局(H21.4.16公表)を使用。
区分 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
新登録結核患者数 | 29,736人 | 28,319人 | 26,384人 | 25,311人 | 24,760人 | ||
罹患率(人口10万対) | 23.3 | 22.2 | 20.6 | 19.8 | 19.4 | ||
菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数 | 11,445人 | 11,318人 | 10,492人 | 10,204人 | 9,809人 | ||
新登録結核患者数に占める割合 | 38.5% | 40.0% | 39.8% | 40.3% | 39.6% |
2 結核登録者数、有病者数、有病率
- 平成20年末現在の結核登録者数は62,244人であり、前年より1,312人減少している。うち、活動性全結核患者数は20,021人であり、前年より616人減少している。
有病率は15.7であり、前年の16.2より0.5減少している。区分 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 結核登録患者数 72,079人 68,508人 65,695人 63,556人 62,244人 活動性全結核患者数 26,945人 23,969人 21,976人 20,637人 20,021人 有病率(人口10万対) 21.1 18.8 17.2 16.2 15.7
3 死亡者数、死亡率、死亡順位
- 平成20年中の結核による死亡者数は2,216人(概数)で、前年の2,194人に比べ22人増加、死亡率は0.1上昇し1.8となっている。死因順位は、25位である。
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