平成18年結核発生動向調査年報集計結果(概況)
○ 本年報は、全国の都道府県・政令市・特別区から保健所を通じて報告される結核患者等の状況(平成18年1月1日〜12月31日)を取りまとめたものである。
■平成18年 年報のポイント
- ○新登録結核患者数・罹患率は過去7年連続で減少している。
新登録結核患者数 26,384人
罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 20.6 (対前年比1.6減)
- ○20歳代の結核罹患率は前後の年齢層より罹患率が高く、減少も遅い。
参考資料6-1参照
20-29歳罹患率 13.5(15-19歳 3.3、30-39歳 12.8)
- ○外国籍結核患者の割合は増加している。特に20歳代で著しい。
参考資料5-3参照
全年齢外国籍患者の割合 3.5% (H17 3.3%、H16 3.1%、H15 2.9%)
20-29歳外国籍患者の割合 19.8% (H17 16.4%、H16 15.9%、H15 14.3%)
- ○働き盛りの感染性の強い結核患者では、発見の遅れが依然大きい。
参考資料10参照
発病〜登録までの期間が3か月以上の割合
全年齢有症状肺結核 20.7% (前年 19.7%)
30-59歳有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核 29.5% (前年 28.7%)
- ○新登録結核患者における高齢者の割合は、増加傾向にある。
参考資料5-1参照
70歳以上の新登録患者の占める割合47.0% (対前年比2.1増)
- ○大都市部の結核罹患率の格差はやや縮小したものの、国内の地域間格差は依然大きい。
大阪市の罹患率(57.0)、神戸市の罹患率(32.3)、東京都特別区の罹患率(29.8)は、それぞれ長野県(11.8)の 4.8倍(対前年比0.7減)、2.7倍(対前年比0.5減)、2.5倍(対前年比0.7減)
- ○世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
参考資料1参照
日本の罹患率(20.6)は、カナダ(4.6)の4.5倍、米国(4.7)の4.4倍、オーストラリア(5.1)の4.0倍。
1 新登録結核患者数、罹患率
- 平成18年中に新たに結核患者として登録された者の数は26,384人で、前年より1,935人減少している。
- 罹患率は20.6であり、前年の22.2より1.6減少しており、減少傾向が続いている。
- 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数は10,492人で、前年より826人の減少である。菌喀痰塗抹陽性肺結核患者が新登録結核患者数に占める割合は39.8%で前年より0.2ポイント小さくなっている。
区分 平成14 年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 新登録結核患者数 32,828人 31,638人 29,736人 28,319人 26,384人 罹患率(人口10万対) 25.8 24.8 23.3 22.2 20.6 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数 11,933人 11,857人 11,445人 11,318人 10,492人 新登録結核患者数に占める割合 36.4% 37.5% 38.0% 40.0% 39.8% - 都道府県別に罹患率をみると、大阪府、東京都、長崎県の順に高く、長野県、宮城県、福島県の順に低い。罹患率の一番高い大阪府は、罹患率の一番低い長野県の3.1倍、大阪府の中でも大阪市は長野県の4.8倍であり、地域格差は依然大きい。
2 結核登録患者数、有病率
- 平成18年末現在の結核登録患者数は65,695人であり、前年より2,813人減少している。うち、活動性全結核患者数は21,976人であり、前年より1,993人減少している。
有病率は17.2であり、前年の18.8より1.6減少している。区分 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 結核登録患者数 82,974人 77,211人 72,079人 68,508人 65,695人 活動性全結核患者数 32,396人 29,717人 26,945人 23,969人 21,976人 有病率(人口10万対) 25.4 23.3 21.1 18.8 17.2
3 死亡者数、死亡率、死亡順位
- 平成18年中の結核による死亡者数は2,267人で、前年に比べ29人減少、死亡率は前年同様1.8となっている。死因順位は、26位である。