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平成15年結核発生動向調査年報集計結果(概況)

結核

平成15年結核発生動向調査年報集計結果(概況)

平成16年9月15日記者発表後解禁

○ 本年報は、全国の都道府県・政令指定都市より保健所を通じて報告される結核患者等の状況(平成15年1月1日〜12月31日)を取りまとめたものである。

○ 平成15年においては、前年(平成14年)と比較して、
・新規の結核登録患者数(32,828人→31,638人 △1,190人)
・結核による死亡数(2,317人→2,336人 19人)
 と結核患者のうち高齢者の占める割合の上昇を反映して死亡数は横ばいであるものの、4年連続で結核の罹患状況の改善がみられた。このような傾向を定着させ、更に改善を促進する努力が求められている。

○ このため、厚生労働省においては、結核対策の包括的見直しに着手するとともに、今年の結核予防週間(平成16年9月24日〜30日)の標語を「結核の制圧、みんなの力で!」とし、引き続き関係者に結核対策の充実・強化を呼びかけていくこととしている。

■平成15年年報のポイント

  • ○新登録患者数、罹患率は4年続けて減少しているが、鈍化している。

新登録患者数31,638人
罹患率(人口10万人対の新登録患者数) 24.8(対前年比1.0減)



  • ○20歳代の罹患率は全然減っていない。

20歳代の罹患率 16.5(対前年比増減なし)



  • ○患者が発病してから初診までの期間と、初診から登録までの期間は短縮する傾向にあるが、なお改善の余地があり、早期受診・早期診断に向けた取り組みが必要である。

発病〜初診までの期間が2か月以上の割合 18.8%(対前年比0.5減)
初診〜登録までの期間が1か月以上の割合 26.0%(対前年比1.2減)



  • ○新登録患者における高齢者の割合は約4割を占め、増加傾向にある。

70歳以上の患者の占める割合は42.9%(対前年比1.4増)



  • ○国内の地域間格差はやや縮小したものの、依然大きい。

大阪市の罹患率(68.1)は、長野県(11.9)の5.7倍
(対前年比0.3減)

→前年より罹患率が下がった県は、宮崎県(△9.7)、大分県(△5.0)、富山県(△4.6)の順で、逆に罹患率が上がった県は、青森県(2.7)、沖縄県(2.4)、長崎県(1.3)の順



  • ○世界的に見て、日本は依然として結核中進国である。

日本の罹患率(24.8)は、
スウェーデン(4.2)の5.9倍。
オーストラリア、米国(5.2)の4.8倍。



  • 注1)詳細については「結核の統計2004」として公表するので参照されたい。
  • 注2)(財)結核予防会結核研究所のホームページにも関連情報を掲載している。
    アドレス: http://www.jata.or.jp

 新登録患者数、罹患率

  • 平成15年中に新たに結核患者として登録された者の数は31,638人で、前年より1,190人減少している。
  • 罹患率は24.8であり、前年の25.8より1.0ポイント減少しており、減少傾向が続いている。
  • 菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数は11,857人で、前年より76人の減少である。菌喀痰塗抹陽性肺結核患者が新登録結核患者数に占める割合は37.5%で前年より1.1ポイント高くなっており、増加傾向が続いている。
区分 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
新登録結核患者数 39,384人 35,489人 32,828人 31,638人
   罹患率(人口10万対) 31.0 27.9 25.8 24.8
菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数 13,220人 12,656人 11,933人 11,857人
新登録結核患者数に占める割合 33.6% 35.7% 36.4% 37.5%
  • 都道府県別に罹患率をみると、大阪府、東京都、兵庫県の順に高く、長野県、山梨県、山形県の順に低い。罹患率の一番高い大阪府は、罹患率の一番低い長野県の3.7倍、大阪府の中でも大阪市は長野県の5.7倍であり、地域格差は依然大きい。

 結核登録者数、有病率

 平成15年末現在の結核登録者数は77,211人であり、前年より5,763人減少している。うち、活動性全結核患者数は29,717人であり、前年より2,679人減少している。
 有病率は23.3であり、前年の25.4より2.1ポイント減少しており、減少傾向が続いている。

区分 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
結核登録患者数 99,481人 91,395人 82,974人 77,211人
   活動性全結核患者数 41,971人 36,288人 32,396人 29,717人
有病率(人口10万対) 33.1 28.5 25.4 23.3

 死亡者数、死亡率、死亡順位

 平成15年中の結核による死亡者数は2,336人で、前年に比べ19人増加、死亡率は前年より0.1増加し1.9となっている。死因順位は、前年と同様25位である。

■結核対策に対する厚生労働省の対応について

平成11年7月
結核緊急事態宣言
ポスター、リーフレット等の作成・配布
10月
積極的疫学調査チームを編成
「結核院内(施設内)感染予防の手引き」の策定・周知
11月
結核対策特別促進事業に
「大都市における結核の治療率向上事業」
「高齢者に対するINHの投与事業」を追加
結核患者収容モデル事業の対象に精神病床を追加
結核医療の基準を一部改正
平成12年3月
「保健所における結核対策強化の手引き」を取りまとめ
4月
結核緊急対策検討班の設置
7月
検討班報告書「重点的に実施すべき結核対策について」
9月
結核予防マニュアルの作成・配布(結核研究所)
CD-ROM「結核の診断と治療」作成・配布(結核研究所)
第1回全国DOTS推進連絡会議
10月
結核対策特別促進事業の
「高齢者に対するINHの投与事業」を
「高齢者等に対する結核予防総合事業」に改正
平成13年3月
「結核緊急実態調査報告書」公表(調査:平成12年9〜12月)
7月
厚生科学審議会感染症分科会結核部会において結核対策見直しの検討を開始
平成14年3月
厚生科学審議会感染症分科会結核部会「結核対策の包括的見直しに関する提言」を取りまとめ
6月
結核部会・感染症部会の共同調査審議に係る合同委員会が報告書を取りまとめ
7月
厚生科学審議会感染症分科会「結核対策の包括的見直しについて(意見)」を取りまとめ
平成15年2月
「日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図」に基づくDOTSの推進及び接触者検診の強化を周知
平成15年4月
小学校1年及び中学校1年時のツベルクリン反応検査及びBCG再接種を中止
平成16年6月
結核予防法の一部を改正する法律案が第159回国会にて可決・成立

(参考1)「日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図」のポイント

  • ○DOTS戦略を大都市に限らず全国的に地域の実情に応じて弾力的に運用を図る。
  • ○入院中は院内DOTSを実施する。
  • ○外来治療中は地域DOTSを実施する。地域や患者の背景・条件に応じて「外来DOTS」「訪問DOTS」「連絡確認DOTS」のいずれかを選択する。
  • ○「DOTSカンファレンス」において個別患者支援計画作成及び適宜見直し、「コホート検討会」において治療成績評価と地域DOTS実施方法の評価・見直しを行う。

(参考2)小学校及び中学校におけるBCG「再接種」の中止に替わる小児結核対策のポイント

  • ○乳幼児(4歳未満)に対するBCG「初回接種」は、特に乳幼児期の重症結核症の予防に効果的であるので、早期に確実に実施する。
  • ○小学校1年及び」中学校1年時のツベルクリン反応検査及びBCG再接種を中止し(結核予防法)、定期健康診断の中で問診票を利用した結核に関する健診を行い、患者・感染者の早期発見につとめる(学校保健法)。
照会先:
健康局結核感染症課
電話:03(5253)1111
担当:前田(内線2373)
佐藤(内線2933)

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