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原爆放射線について

原爆放射線について

第2次世界大戦で使用された他の兵器にはない、原子爆弾特有の特徴として放射線があります。原子爆弾の放出したエネルギーの50%は爆風に、 35%は熱線に、15%は放射線となりました。また、放射線は爆風で飛ばされるものではないため、爆風や熱線が届いたからといって、 放射線が届いたわけではありません。

第2次世界大戦は全国民が被害を被った戦争であり、米軍の空襲による被害は全国に及びましたが、広島、長崎の原爆被災者だけに「被爆者援護法」による、 特別に手厚い援護施策が実施されているのは、原爆特有の「放射線」があったからです。援護施策のうち、健康手帳の交付や健康管理手当の支給等は、 原爆の被害を受けた人をもれなく幅広く救済するため、放射線被曝の要件が相当程度緩和されていますが(被爆者の約9割が健康管理手当(年間約40万円)を受給)、 原爆症認定については、被爆者援護法上で放射線起因性を厳密に要求されているため、認定の要件として、その病気が放射線に起因することが必要となります。 つまり、いわゆる原爆症と言われているものは「原爆放射線症」のことになります。この放射線起因性という要件を外しまうと、 原爆被爆者が一般戦災者より特別に援護されている理由がなくなってしまうのです。

原爆の威力

人は日常生活でも放射線を受けています。自然放射線は宇宙や大地から出ており、世界平均で年間2.4ミリシーベルトを被曝しています。 また、健康診断や医療行為で人工放射線を利用することもあり、レントゲン写真を撮ると0.6ミリシーベルト、CTスキャンで6.9ミリシーベルトを被曝することになります。 一般公衆の線量限度は1ミリシーベルトとされています。がんの治療では数十グレイ(1ミリシーベルトの数万倍)という放射線を浴びることになります。 自然放射線も原爆放射線も同じ放射線であり、違いはありません。原爆の放射線起因を考える場合、これらとの整合性を考える必要があります。

日常生活で受ける放射線 自然に浴びる放射線

原爆の初期放射線(爆弾が爆発した時に出た放射線)は、爆心地から遠くなるほど減少し、長崎では爆心地から3.5km付近で1.0ミリシーベルトにまで減少しました。 これより遠距離においては、人が日常生活で受ける放射線よりも少なかったことになります。 胸のレントゲン写真を撮ったときに受ける被曝線量は、爆心地から4.0km付近の被曝線量と同じくらいということになります。

放射線の線量と影響について(長崎の場合) 放射線の線量と影響について(広島の場合)

また、初期放射線の他に、「残留放射線」もありましたが、原爆投下時から放物線状に急速に減少し、短期間でほとんどなくなりました。 長崎では爆心地から100m地点での初期放射線量は約300グレイでしたが、原爆投下24時間後には0.01グレイ(3万分の1)まで減少したとされています。 この残留放射線があったことを考慮して、原爆投下時には市内にいなかった入市者にも、幅広く被爆者健康手帳が交付されています。

残留放射線とは

これらの放射線量は、戦後60年間にわたる専門家達の研究によって得られた唯一の成果である「DS86」及び「DS02」に基づいています。 残留放射線についても科学者が被爆地の土や建築資材などを採取して調査してきたデータに基づいているのです。 科学的検証に基づいた最も信頼できるデータによっているのであり、原爆の威力を過小評価しているということではありません。 原爆による死者は広島では約14万人、長崎では約7万人とも言われており、原爆の殺傷力、破壊力が甚大であることは間違いない事実です。 また、最新の核兵器の威力は、64年前に世界初で開発された広島・長崎型の何万倍にもなり、広島・長崎に投下された原爆の何百万倍もの放射線を放出する恐るべき兵器であり、 このような核兵器を世界中から廃絶すべきであることには変わりがないのです。

放射線量の評価 核兵器のない世界を

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