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加工食品中アクリルアミドに関するQ&A

加工食品中アクリルアミドに関するQ&A

Q1:アクリルアミドとはどのような物質ですか。

 

  1. A1: アクリルアミドは主に紙力増強剤、合成樹脂、合成繊維、排水中等の沈殿物凝集剤、土壌改良剤、接着剤、塗料、土壌安定剤らの原料として用いられている化合物ですが、2002年4月にスウェーデン政府より、炭水化物を多く含むイモ等を焼く、又は揚げることにより、 食品中にもアクリルアミドが生成されるという発表がありました。
  2.         その後、世界各国で研究が進み、炭水化物を多く含む食品を高温( 120 ℃以上)で加熱調理することにより、食品中のアミノ酸の一種であるアスパラギンがブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してアクリルアミドに変化することが分かりました。

 

Q2:2016年4月に公表された食品安全委員会の評価書において、アクリルアミドによる健康への影響はどのように評価されていますか。

 

  1. A2: 食品安全委員会では、食品の安全性を確保するため、科学的見地から、食品に含まれる可能性のある様々な物質や微生物などの危害要因を摂取することが人の健康に与える影響についてのリスク評価(食品健康影響評価)を行っており、アクリルアミドについても評価が行われました。
  2.          食品健康影響評価においては、食品由来のアクリルアミドの摂取について、発がん以外の影響については極めてリスクは低いとする一方、発がんのリスクについては、ヒトにおける健康影響は明確ではないものの、動物実験の結果、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないため、引き続き合理的に達成可能な範囲でできる限りアクリルアミドの低減に努める必要があると結論付けています。
  3.          食品安全委員会による評価の詳細は、食品安全委員会のウェブサイトで閲覧可能です。

 

Q3:アクリルアミドの発がん性はどの程度ですか。

 

  1. A3: 国際がん研究機関( IARC International Agency for Research on Cancer )による発がん性分類において、人に対する発がん性の証拠は不十分だが、動物実験における発がん性の証拠は十分にあることから、アクリルアミドは2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類されています。
  2.  
  3. (参考)国際がん研究機関 (IARC )による発がん性分類(平成 28 8月 時点)
分類 評価内容
1 人に対して発がん性がある コールタール、アスベスト、喫煙、カドミウム、ディーゼルエンジンの排気ガス等
2A 人に対しておそらく発がん性がある アクリルアミド 、クレオソト(木材の防腐剤)等
2B 人に対して発がん性を示す可能性がある クロロホルム、わらび等
3 人に対する発がん性については分類できない カフェイン、コーヒー、お茶、コレステロール等
4 人に対しておそらく発がん性がない カプロラクタム(ナイロンの原料)

 

Q4:私たちは、どのような食品からアクリルアミドを摂取していますか。アクリルアミド濃度が高い食品は食べない方がよいですか。

 

  1. A4: 食品安全委員会の評価によれば、日本人のアクリルアミド平均摂取量における食品グループ別の摂取割合については、高温調理した野菜(炒めたもやし、フライドポテト、炒めたたまねぎ、炒めたれんこん、炒めたキャベツ等。56%)、飲料(コーヒー、緑茶・ウーロン茶、麦茶等。17%)、菓子類・糖類(ポテトスナック、小麦系菓子類、米菓類等。16%)、穀類(パン類等。5.3%)及びその他の食品(ルウ等。6.2%)と推定されています。
  2.         アクリルアミドの摂取量を控えるために、特定の食品の摂取を控えるなどの偏った食生活を送った場合や食品の加熱を控えた場合は、人体に必要な栄養成分を十分に摂取できなくなるおそれや、食中毒のリスクが高まる可能性があります。大切なのは、十分な果実、野菜を含む様々な食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪分が多い食品の過度な摂取を控えることです。バランスの良い食生活を送ることで、アクリルアミドを多く含む食品の摂取量も大きくならないので、食品全体から摂取されるアクリルアミドの量も抑えることになります。

 

Q5:どうすればアクリルアミドの摂取量を減らすことができますか。

 

  1. A5: バランスの良い食生活を送るとともに、調理加工条件を工夫することで食品中のアクリルアミドをできにくくすることは可能です。農林水産省等のウェブページも参考にしてください。

 

Q6:厚生労働省はどのように対応しているのですか。

 

  1. A6: 2002年4月のスウェーデン政府による発表後、直ちにわが国に流通する加工食品にアクリルアミドが含まれるかどうかを確認するため、国立医薬品食品衛生研究所に対して加工食品中のアクリルアミドの調査を依頼し、その後未だ詳細が解明されていないアクリルアミドの毒性評価等や生成機序の検討等に必要なデータ収集も行うため、緊急の研究班(厚生労働科学特別研究)を組織しました。また、6月25日から27日までジュネーブで開催された WHO/FAO 専門家会合(「食品中アクリルアミドについて」)に派遣し、国際的な評価にも参画することとしました。10月31日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会において、本件に関連して、 WHO 及び各国政府の状況や国立医薬品食品衛生研究所での調査結果等について報告し、部会での意見を踏まえ、以下のとおり対応しました。
  2.          なお、 当該研究班の研究成果については、厚生労働科学研究成果データベースにて閲覧可能です。
  3.  

  4. ○平成14年度厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業

    「加工食品中のアクリルアミドの測定・分析及びリスク評価等に関する研究」

    https://mhlw-grants.niph.go.jp/

    ※上記サイトの「閲覧システム」から研究名で検索してください。

     

    1. 消費者に対して、

     (1)   アクリルアミドについての情報を提供するとともに、十分な果実、野菜を含む様々な食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪分が多い食品の過度な摂取を控え、

     (2)   炭水化物の多い食品を焼いたり、揚げたりする場合にはあまり長時間、高温で調理しないよう、厚生労働省ホームページ等を用いて、Q&Aなどわかりやすい内容で情報提供する。

     

    2. 厚生労働科学研究班にて、

     (1)   加工食品中のアクリルアミドに関する健康影響等の検討に必要なデータを引き続き収集し、そのデータを基に毒性部会にて検討する。

     (2)   また、アクリルアミド生成抑制及び毒性抑制についての研究を早急に実施する。

  5.  

  6. 3. 産業界に対して、 アクリルアミド生成を抑制する製造条件等の研究を早急に実施するよう要請する。

     なお、これらの研究結果等については、本件について取り上げられる次回のコーデックス委員会食品添加物・汚染物質部会(CCFAC )や FAO/WHO 合同添加物専門家会議( JECFA )に提出し、国際的な検討に協力する

 

Q7:わが国でのアクリルアミド濃度測定結果は諸外国と比較してどうですか。

A7: 食品安全委員会の評価によれば、日本におけるアクリルアミド推定平均摂取量は、海外と比較して同程度又は低い値とされています。

(参考)アクリルアミド推定平均摂取量(単位はμ g/kg 体重 / 日)

 

日本( 2015 年)

0.240

香港( 2013 年)

0.21

EU 2015 年)

0.4 1.9

カナダ( 2012 年)

0.157 0.609

オーストラリア・ニュージーランド( 2014 年)

1 4

国際機関( JECFA )( 2011 年)

1

 

Q8:国際的には、アクリルアミドについてどのような議論がなされていますか。

 

A8: FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議( JECFA )において、2005年及び2010年にアクリルアミドの評価が行われており、次の報告がなされています。

 

○ヒトのアクリルアミドの摂取量

  ・平均的な摂取量は、体重1 kg あたり一日1μ g であり、高摂取群では、体重1 kg あたり一日4μ g と推定される。(2005年、2010年)

○アクリルアミドのヒトへの影響

  ・推定摂取量と動物における毒性用量から算出した暴露マージンをリスク評価に用いることとした。(2005年)

  ・平均的な摂取量では生殖毒性、発生毒性及び他の毒性影響(発がん性は除く)は想定されない。(2005年)

  ・平均的な摂取量では神経学的な影響はないと考えられるが、高摂取群では、動物を用いた毒性試験でみられた神経の形態学的変化がヒトでも生じる可能性を排除できない。(2005年、2010年)

  ・遺伝毒性及び発がん性を有する化合物の暴露マージンとしては低く、健康への懸念を示唆するものである。(2005年、2010年)

○その他の指摘

  ・食品中アクリルアミド濃度を減らす努力を続けるべきである。(2005年)

  ・多くの疫学調査の指標とされている食品からのアクリルアミドの推定摂取量については、生体内暴露指標(ヘモグロビン付加体濃度)との相関性が乏しい。また、明らかな暴露を受けた労働者における発がん率の増加の関連を示す疫学的証拠が得られていない。従って、食品に含まれるアクリルアミドのリスクをより正確に評価するため、ヘモグロビン付加体と食品からのアクリルアミド摂取量の関連性について長期間にわたる個体別調査を行うことを推奨する。これらのデータにより、疫学調査のための暴露量の推定精度の向上が期待される。(2010年)

 

欧州食品安全機関( EFSA )においては、2015年にアクリルアミドの評価が行われており、次の報告がなされています。

○ヒトのアクリルアミドの摂取量

  ・平均的な摂取量は、体重1 kg あたり一日 0.4 1.9 μ g と推定される。

○アクリルアミドのヒトへの影響

  ・ 現行レベルにおける食事由来のアクリルアミド暴露量は、非発がん影響に関する懸念はない。

  発がん影響については、ヒトにおける健康影響は明確ではないものの、動物実験から算出した暴露マージンが低いことから、発がん影響には懸念がある。 

 

参考

WHO/FAOのアクリルアミド情報

 

アクリルアミドインフォネット 

 

WHO、各国政府等へのホームページリンク先

 

世界保健機関(WHO) http://www.who.int/foodsafety/en/
米国食品医薬品庁( FDA ) http://www.fda.gov/Food/default.htm
欧州連合(EU) http://ec.europa.eu/food/index_en.htm
英国食品基準庁( FSA ) http://www.food.gov.uk/
ドイツ連邦リスク評価研究所( BfR ) http://www.bfr.bund.de/de/start.html
スウェーデン食品庁( NFA ) http://www.slv.se/
豪州・ニュージーランド食品基準庁( FSANZ ) http://www.foodstandards.gov.au/

農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/
食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html

 

国立医薬品食品衛生研究所における測定方法(GC/MS法LC/MS法

備考

更新履歴

 

平成14年11月1日

(平成17年3月10日一部追加)

(平成22年4月30日一部追加)

(平成28年9月6日一部改正及び一部追加)

 

照会先

厚生労働省 生活衛生・食品安全部
監視安全課

 

道野 監視安全課長
担当 藤井、岡本(内線4241、4242)

 

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