戻る

第8 医薬品・食品の安全性等の確保

 平成14年の薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の改正や16年4月の独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設置等を踏まえ、市販後安全対策の充実強化、審査体制等の整備、血液の安定供給の確保など、医薬品・医療機器の安全対策等の充実を図る。
 また、国民の健康保護の観点から、新食品衛生法等に基づき、残留農薬基準の策定や食品添加物の安全性確認、消費者等とのリスクコミュニケーションの充実、輸入食品等の安全対策の強化など食品安全対策を引き続き推進する。

1 医薬品・医療機器の安全対策等の充実
127億円(137億円)

(1)医薬品・医療機器の市販後安全対策等の充実強化6.7億円
 ○ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設置による安全対策業務の充実強化2.9億円
  独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「新機構」という。)において、従来国が実施していた副作用等報告の受理・収集業務を行うとともに、集積した副作用等情報に基づく解析等の調査を実施するなど、安全対策業務の充実を図る。
  医薬品と同様、医療機器に関する安全性情報等の提供業務を行うとともに、消費者に対する相談窓口を設置する。

 ○ 市販後安全対策等の充実強化1.3億円
   薬事法改正により医療機関及び薬局からの副作用等報告が法定化されたことを受けて、副作用等報告の質的・量的拡大を図るための普及啓発や電子報告システムの開発、報告内容・範囲の標準化等を推進する。

 ○ 生物由来製品感染等被害救済制度の創設(新規)20百万円
   医薬品副作用被害救済業務に加えて、新たに、生物由来製品を介した感染等による疾病、障害又は死亡に対し、医療費等の救済給付等を行う生物由来製品感染等被害救済業務を実施する。

(2)医薬品・医療機器の審査体制等の整備16億円
 ○ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設置による審査業務の充実5.6億円
   これまで国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び財団法人医療機器センターで行ってきた医薬品・医療機器の審査関連業務を新機構において一元的に行うとともに、バイオ・ゲノムの時代に対応できる質の高い審査を行い、より有効でより安全性の高い医薬品・医療機器等をより早く提供するための体制整備を行う。

 ○ 第三者認証制度の導入に向けた体制整備(新規)4百万円
   人体へのリスクが比較的低いと考えられる医療機器・体外診断薬について、厚生労働大臣が基準を定めて、登録認証機関が当該基準への適合性を認証する第三者認証制度の導入に向けた体制整備を行う。

(3)血液の安定供給の確保等17億円
 ○ 血液製剤の国内自給に向けた献血の推進1.8億円
   安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の施行に伴い、血液製剤の安定供給と国内自給に向けた献血の推進を計画的に実施するため、都道府県、政令指定都市等における血液確保目標量の達成に向けた効果的な取組を一層推進する。

(4)化学物質の安全性対策の強化28億円
 ○ 化学物質情報基盤システムの構築(新規)50百万円
   化学物質について、効率的な安全性評価の推進を図るため、審査情報、安全性点検情報及び事業者から報告された有害性情報等を一元的に管理する情報基盤システムを、関係省庁と連携し、整備する。

 ○ 難分解・高蓄積性化学物質の毒性調査の実施79百万円
   平成15年5月に改正された「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づき、第一種監視化学物質として指定される難分解性・高蓄積性の既存化学物質(平成16年度 4物質)について、簡易な毒性試験法による毒性調査を実施する。

2 国民の健康保護のための食品安全対策の推進
160億円(163億円)

(1)新食品衛生法に基づく基準の策定等の推進18億円
 ○ 残留基準が設定されていない農薬等の基準策定の計画的な推進(ポジティブリスト制の導入)6億円
   残留基準が設定されていない農薬、動物用医薬品等の食品中への残留を禁止する措置の導入(新食品衛生法公布後3年以内)に向けて、基準等の設定を計画的に推進する。
  残留基準の設定に必要な分析法の開発
 農薬 平成16年度 70品目
 動物用医薬品等 平成16年度 59品目

 ○ 食品添加物の安全性確認の計画的な推進12億円
   長い食経験等を考慮して使用が認められている既存添加物について、安全性に問題がある場合は使用を禁止できる制度が導入されたことから、既存添加物の毒性試験等の安全性確認を計画的に推進する。
 さらに、国際的に安全性が確認され、かつ、広く用いられている食品添加物について、必要な場合には国が指定のための安全性確認を行う。
  既存添加物の安全性確認
 90日間反復投与毒性試験 平成16年度 24品目
 慢性毒性・発がん性併合試験 平成16年度 18品目

 ○ 食品汚染物質の安全性検証の実施(新規)42百万円
   長期にわたる摂取による健康への影響が懸念される食品中の汚染物質のうち、重金属について各食品別の濃度や摂取量を調査し、安全性の精密な検証を行う。

(2)消費者等への情報提供の充実29百万円
 ○ 食品安全に関する情報提供や意見交換等(リスクコミュニケーション)の充実21百万円
   食品安全に関する施策についての国民の理解や信頼を構築するため、的確な情報提供や消費者等との意見交換を行う懇談会、シンポジウムの開催などリスクコミュニケーションの取組を一層充実する。
  消費者等との懇談会、シンポジウムの開催 年14回

 ○ 消費者の視点に立った食品表示制度の推進8百万円
   食品表示について、関係府省との連携・協力のもとに、引き続き消費者の視点に立った一元的な見直しを行うとともに、相談及び普及啓発等を推進する。

(3)輸入食品等の安全対策の強化126億円
 ○ 輸入食品の監視体制等の強化化19億円
   輸入食品の過去の違反状況、危険情報等を踏まえた輸入食品監視指導計画に基づき検疫所が行うモニタリング検査の充実を図るとともに、港湾の24時間フルオープン化に対応するため、輸入食品監視支援システムの機能改善を行うなど輸入食品監視体制等の強化を図る。
  モニタリング検査計画件数 平成16年度 73,981件

 ○ 健康食品等に対する監視体制等の充実強化化74百万円
   いわゆる健康食品等について、健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等禁止制度や不適正表示の改善指導のための啓発指導、インターネットによる監視を行うとともに、自治体の食品衛生監視員及び薬事監視員に対する研修を実施するなど、監視体制の充実強化を図る。

 ○ 食肉の安全確保対策の推進化33億円
   と畜検査におけるBSE全頭検査の実施について、引き続き特別措置として、検査キットの整備に対する補助を行うとともに、検査技術の研修等を実施する。
 また、食肉・食鳥肉の安全性を確保するため、新たに獣畜及び家きんの疾病に関する診断法を最新の科学的知見に基づいて再評価し、標準化を図る。

(4)食品の安全に関する研究の推進化15億円
  食品の安全管理体制の高度化に関する研究のほか、先端科学を応用した遺伝子組換え食品の検知法及び安全性評価手法の開発、重金属等汚染物質の健康影響評価のための安全性調査研究など、食品の安全性確保に係る研究を推進する。

3 安全で良質な水の安定供給
965億円(1,064億円)

 ○ 水道施設の整備964億円
   すべての国民に安全で良質な水道水の供給を行うとともに、地震・渇水に強い水道づくりを着実に推進する。

4 麻薬・覚せい剤等対策の推進14億円(14億円)

 ○ 青少年に対する薬物乱用防止の普及啓発(新規)12百万円
   児童生徒以外の青少年に対する薬物乱用防止の啓発活動の強化を図るため、未成年労働者等を対象とした予防啓発活動を展開する。

 ○ 取締体制の強化5.7億円
   潜在化・巧妙化する外国人薬物密売組織や暴力団等による組織的な薬物密輸を摘発するため、取締体制を強化する。


トップへ
戻る