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第2 活力ある高齢社会の実現と安定した年金制度の構築

 少子化等社会経済情勢の変化に柔軟に対応できる、長期的に安定した年金制度の構築を図る。
 また、雇用と年金との接続を強化し、少なくとも年金支給開始年齢までは働き続けることができるよう、65歳までの雇用の確保や中高年齢者の再就職支援を強化するとともに、高年齢者の多様な就労を促進する。
 さらに、介護保険制度の安定的な運営を確保するとともに、介護サービスの質の向上や提供体制の整備、痴呆性高齢者対策の推進、介護サービスの適正化の推進等を図る。

1 長期的に安定した信頼される年金制度の構築
5兆8,246億円(5兆6,284億円)

(1)年金給付費国庫負担金5兆8,246億円
 ○ 基礎年金の国庫負担割合の引上げ
 基礎年金の国庫負担割合については、平成16年度は、現行の3分の1の国庫負担に年金課税の見直しにより生ずる初年度の増収分(厚生年金・国民年金で264億円)を加えた額を負担することとする。
















 平成15年12月17日年金改革に関する政府・与党協議会においては、基礎年金の国庫負担に関し
平成19年度を目途に、政府の経済財政運営の方針との整合性を確保しつつ、社会保障全般の改革の動向等を勘案し、所要の安定財源を確保する税制の抜本改革を行った上で、平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる。
引き上げは、当面、平成16年度税制改正における年金課税の見直しによる増収分(交付税控除後の国分)を財源とし、平成16年度から着手する。
平成17年度及び18年度において、国庫負担の割合を適切な水準にまで引き上げるものとする。(いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国、地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行い、安定した財源を確保)
ことが了承されている。
















 ○ 平成16年度の年金額
 平成15年の消費者物価指数は対前年比マイナス0.2%〜0.4%程度となる見込みである。(法律どおりの取扱いならば、平成16年度の年金額等については、12年度から14年度に据え置いた1.7%と合わせて、マイナス1.9%〜2.1%の改定となる。)
 しかしながら、平成15年度の物価スライドと同様、現役世代の賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者等の生活に配慮しつつ、特例として、平成15年の消費者物価の下落分(マイナス0.2%〜0.4%の見込み)のみの年金額の改定を行うこととする。

 ・ 年金額への影響(△0.2%の場合)
  (平成15年度) (平成16年度)
厚生年金(月額)
〔サラリーマン世帯の標準的な年金額〕
235,992円 →235,517円

国民年金(月額)
〔老齢基礎年金〕
66,417円 →66,283円
 ・ 平成16年1月下旬に平成15年の年平均の消費者物価指数が確定するのを待って、次期通常国会に年金額等の物価スライドの特例措置を講ずるための法案を提出することとする。

(2)厚生年金保険料率の引上げ
  平成16年年金改革の一環として、厚生年金保険料率を平成16年10月から引き上げる。
  現行 13.58%  平成16年10月から13.934%(0.354%の引上げ) 
〔本人分 6.79% 〔本人分 6.967%(0.177%の引上げ)

(3)年金通算協定の推進39百万円
  国際的な人的交流が活発化し、また、企業間の国際競争が激しさを増す中で、年金制度への二重加入の防止及び年金受給権の確保を図る年金通算協定について、締結に向けた取組を着実に推進する。

2 高年齢者等の雇用・就業対策の強化
876億円(931億円)

(1)65歳までの雇用機会の確保 〜雇用と年金との接続〜510億円
  少なくとも65歳までは意欲と能力のある限り働き続けることができる環境を整備するため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、短時間正社員制度の整備等を行う事業主に対し、相談・援助等の支援を行う。

(2)中高年齢者の再就職支援の強化112億円
 ○ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた基盤づくり事業の創設(新規)3億円
   年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、高年齢者等の募集・採用から職場定着するための体制づくりに係る好事例の収集・分析等を活用した個別企業に対する相談・援助等の支援や幅広い普及啓発を行う。

(3)高年齢者の多様な就労の促進254億円
 ○ シルバー人材センター事業の拡充141億円
   高齢者が生きがいを持って地域社会で生活するため、定年退職後等において、軽易な就労を希望する高齢者に対し、高齢者の意欲や能力に応じた就労機会、社会参加の場を総合的に提供するシルバー人材センター事業を拡充する。

3 介護保険制度の着実な実施と関連施策の推進
2兆535億円(1兆8,929億円)

(1)介護保険制度の安定的運営の確保1兆8,714億円
 ○ 介護給付に対する国の負担等1兆7,921億円

(2)介護サービスの質の向上17億円
 ○ 介護サービスの第三者評価モデル事業の実施(新規)
   利用者による良質なサービスの選択を支援するとともに、介護サービスの質の向上を促すため、第三者による介護サービスの質の評価等をモデル的に実施する。(「介護予防・地域支え合い事業」に計上)

 ○ ケアマネジメントの質の向上12億円
   介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する現任研修等を着実に実施するとともに、ケアマネジャーに対する指導・助言等の援助を行うケアマネジメントリーダーの養成や、ケアマネジャーに対する個別相談やケアプランの作成支援等を行う「ケアマネジメントリーダー活動等支援事業」を推進する。

(3)介護サービスの提供体制の整備1,739億円
 ○ 特別養護老人ホーム等の整備939億円
   特別養護老人ホーム等の整備を計画的に行うとともに、サテライト方式によるデイサービスの推進を図るため、民家改修経費について支援を行う。

 ○ ユニットケアの研修の実施1億円
   ユニットケアの特徴を活かしたサービス提供を確保するため、ユニットケアを導入する特別養護老人ホームの管理者等に対して研修を実施する。
  ユニットリーダー実地研修施設 10か所 → 15か所

(4)痴呆性高齢者対策の推進6.4億円
  痴呆性高齢者が住み慣れた地域で安心して生活することができるよう、地域の見守り・支援体制の構築を進めるとともに、グループホームの開設予定者に対する研修の実施、外部評価機関の立上げ支援等を実施する。

(5)適正化の推進等60億円
  介護保険の円滑かつ安定的な運営を確保するため、介護サービスの適正化を推進するとともに、事業の広域化を図る市町村等に対し、システムの構築経費等への支援を行う。


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