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第1 次世代育成支援対策の推進

 急速な少子化の進行等を踏まえ、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図る「次世代育成支援」に重点的に取り組む。
 このため、子育て家庭支援対策の充実を図るとともに、多様な保育サービスの推進、子育て生活に配慮した働き方の改革、児童虐待防止対策、母子保健対策、母子家庭等の自立への支援、不妊治療の経済的支援及び新たな小児慢性特定疾患対策の確立など各種施策を総合的に推進する。
 また、平成15年度税制改正に関連した「少子化対策の施策」については、本年11月19日の与党における合意を踏まえ、児童手当の支給対象年齢の見直し、地域における子育て支援体制の強化、児童虐待防止対策の充実、不妊治療の経済的支援、新たな小児慢性特定疾患対策の確立などの施策の推進を図る。

1 子育て家庭支援対策の充実
3,275億円(2,141億円)
注:括弧内は15年度予算額

(1)地域における子育て支援体制の強化111億円
  次世代育成支援対策推進法の制定及び改正児童福祉法における子育て支援事業の法定化等を踏まえ、地域における子育て支援事業の推進を図るための基盤整備を行う。

 ○ つどいの広場事業の充実16億円
   子育て中の親子が気軽に集い相談・交流できる「つどいの広場」について身近な場での設置を推進する。
85か所 → 500か所

 ○ 育児支援家庭訪問事業の創設(新規)20億円
   出産後間もない時期や、様々な原因で養育が困難になっている家庭に対して、育児・家事の援助や、具体的な育児に関する技術指導を行うことにより、個々の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図る。(957市町村で実施)

 ○ 乳幼児健康支援一時預かり事業の充実18億円
   保育所に通所中の児童等が、病気回復期のため集団保育が困難となる間の、当該児童の保育所・病院等における一時預かり等の事業を行う。
425市町村 → 500市町村

 ○ 子育て支援基盤整備事業の推進19億円
   地域における各種の子育て支援サービスの一元的な情報収集・提供、利用者への助言等を行う「子育て支援総合コーディネーター」の配置を進めるなど、子育て支援事業の基盤整備を推進する。
250市町村 → 500市町村

 ○ 子育て支援総合推進モデル事業の創設(新規)4億円
   市町村行動計画において子育て支援を先駆的・総合的に推進しようとする市町村をモデル自治体として指定し、全国的な子育て支援施策の取組の強化に資する。
 また、地域の医療、法律等の専門機関からの協力を得て、児童相談所が相談機能の強化を図る等、地域の養育力を高める先駆的取組を推進する。
  都道府県  10か所 ・ 市町村  50か所

(2)地域子育て支援センターの整備51億円
  子育てサークルの支援や育児相談を行う地域子育て支援センターの整備を推進する。
2,700か所 → 3,000か所

(3)放課後児童クラブの拡充87億円
  放課後児童の受入れ体制の整備を推進する。
11,600か所 → 12,400か所

(4)ファミリー・サポート・センターの設置促進20億円
  地域の子育て支援機能を強化するため、子育て中の労働者や主婦等を会員として、地域における育児の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置を促進する。
355か所 → 385か所(本部)

(5)シルバー人材センターによる子育て支援事業の拡充6.7億円
  高齢者の就労機会・社会参加の場を提供するシルバー人材センターにおいて、乳幼児の世話や保育施設との送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導等の支援を行う実施活動拠点を拡充する。
141拠点 → 235拠点

(6)児童手当国庫負担金2,932億円
  平成16年4月1日より、児童手当の支給対象年齢を就学前から小学校第3学年修了までに引き上げる。

2 多様な保育サービスの推進
3,456億円(4,855億円)

(1)保育所の待機児童ゼロ作戦の推進437億円
 ○ 保育所の受入れ児童数の増大393億円
   待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所受入れ児童数を約5万人増やすとともに、施設整備を推進する。
 ○ 特定保育事業の拡充26億円
   週2、3日程度又は午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる特定保育事業の対象年齢を、3歳未満から就学前までに拡大する。
11,100人 → 28,800人

(2)多様な保育サービスの提供3,019億円
 ○ 延長保育の推進
  11,500か所 → 13,100か所
 ○ 休日保育の推進
  500か所 → 750か所
 ○ 一時保育の推進
  4,500か所 → 5,000か所

318億円

3.8億円

26億円

 公立保育所の運営費(1,661億円)については、三位一体の改革(国庫補助負担金見直し)の平成16年度における対応として一般財源化を図ることとされたが、その際に、官房長官、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、自民党政調会長及び公明党政調会長の6者の間で「公立保育所については、地方自治体が自らその責任に基づいて設置していることにかんがみ一般財源化を図るものであり、民間保育所に関する国の負担については、今後とも引き続き国が責任を持って行うものとする」と合意された(平成15年12月10日)。

3 子育て生活に配慮した働き方の改革15億円(15億円)

 ○ 育児休業制度等の見直し22百万円
   「次世代育成支援対策に関する当面の取組方針」を踏まえ、より利用しやすい仕組みとするという観点から、育児休業制度等について、関係審議会における検討の結果を受けた見直しを行う。

 ○ 育児休業取得等の目標達成に向けた集中的な取組9.9億円
   男女別育児休業取得率、勤務時間の短縮等の措置の普及率及び子どもの看護休暇制度普及率について設定した目標値の達成に向けた各種助成措置や普及啓発等により、平成16年度末までの集中的な取組を実施する。

 ○ 育児等離職者の再就職支援の充実4億円
   育児等の理由で離職した再就職希望者のニーズに対応した支援を行うため、キャリアコンサルタントの活用や職場体験講習の実施により、きめ細かな計画的支援を行う「チャレンジサポートプログラム(仮称)」を実施する。

 ○ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定に対する支援(新規)23百万円
   一般事業主行動計画の策定を支援するため、具体的な取組の実施に当たって参考となる好事例集及びモデル行動計画の作成、講習会の実施、事業主に対する相談等を行う。

4 児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実
181億円(62億円)

(1)児童虐待防止対策など児童の保護・支援の充実166億円
 ○ 施設の小規模化の推進23億円
   被虐待児等を家庭的な環境の中で養育するため、地域小規模児童養護施設を拡充する。
 また、児童養護施設において、小規模なグループによるケアを行う体制を整備し、これに対応した職員を配置することにより、全児童養護施設において少なくとも1単位の小規模ケアを実施する。

 ○ ケア担当職員の質的・量的充実50億円
   児童養護施設等の入所児童の早期家庭復帰等を図るため、施設入所前から退所、更には退所後アフターケアに至る総合的な家族調整を担う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)を配置するとともに、被虐待児個別対応職員の配置の拡充等を図る。

 ○ 里親支援の拡充4.5億円
   里親からの援助の求めに応じて派遣する「里親養育援助事業」を創設するとともに、里親自身の養育技術の向上等を図る「里親養育相互援助事業」を実施する。

 ○ 総合的な自立支援の拡充2.3億円
   自立援助ホームのか所数の拡充を図るとともに、生活福祉資金制度を活用して、就職・就学を促進する。

(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策の推進15億円

 ○ 婦人相談所(一時保護所)への主に同伴乳幼児の対応を行う指導員の配置(新規)29百万円
   乳幼児を伴って婦人相談所に一時保護された被害者が心理療法等を受けられるようにするとともに、被保護者が同伴した乳幼児の対応を行うための指導員を配置する。

5 子どもの健康の確保と母子医療体制等の充実
281億円(229億円)

(1)子どもの健康・医療の確保54億円
 ○ 小児救急医療体制の整備17億円
   小児救急医療拠点病院等の整備を引き続き推進するとともに、新たに地域の小児科医による夜間の保護者等向けの全国どこでも同一の短縮番号でかけられる電話相談体制を整備する。また、地域の内科医等を対象とした小児救急に関する医師研修の実施などにより、小児救急医療体制の充実を図る。

 ○ 小児科・産婦人科若手医師の育成1億円
   小児科・産婦人科医の意識や勤務の現状を踏まえ、若手医師の確保や資質の向上のための研究を行う。

(2)周産期医療体制の充実73億円
  周産期医療体制(母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供する医療体制)の整備を推進するとともに、不妊専門相談センターの充実を図るなど、出産を望む女性に対する医療面の支援を拡充する。
  周産期医療ネットワーク 37都道府県 →47都道府県
不妊専門相談センター42か所 →47か所

(3)不妊治療の経済的支援(新規)25億円
  不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、医療保険が適用されず、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成する。

(4)新たな小児慢性特定疾患対策の確立128億円
  小児慢性特定疾患治療研究事業を見直し、小児慢性特定疾患を持つ患者に対する安定的な制度として、法整備を含めた制度の改善・重点化を行うとともに、小児慢性特定症患児に対する日常生活用具の給付を行うなどの福祉サービスを実施する。

6 母子家庭等自立支援対策の推進
3,118億円(2,694億円)

 ○ 母子家庭等の子育てと生活の支援の推進26億円
   子育てや生活支援策として、日常生活支援事業等の着実な推進を図る。

 ○ 母子家庭等の自立のための就業支援23億円
   母子家庭等就業・自立支援センター事業の定着・推進を図るとともに、新たにブロック別にセミナーを実施する。
 「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法」の施行を踏まえ、就業支援について一層の推進を図る。

 ○ 母子寡婦福祉貸付金の充実50億円
   就学支度資金の貸付限度額の引上げにより、母子寡婦福祉貸付金を充実する。

 ○ 児童扶養手当3,019億円
   平成15年の消費者物価の下落分(マイナス0.2%〜0.4%の見込み)の児童扶養手当額の改定を行う。
(平成16年4月実施)
児童扶養手当額への影響(△0.2%の場合)
児童1人 全部支給(月額) 42,000円 → 41,920円
 一部支給(月額) 41,990円 〜 9,910円
 → 41,910円 〜 9,890円
平成16年1月下旬に平成15年の年平均の消費者物価指数が確定するのを待って、次期通常国会に年金額等の物価スライドの特例措置を講ずるための法案を提出することとする。

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