(整理番号14)
事業評価書(
事前
・事後)
平成17年8月

評価対象(事業名) 労働時間等の設定改善に向けた取組みの推進
担当部局・課 主管部局・課 労働基準局勤労者生活部企画課
関係部局・課  


1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働条件の確保・改善を図ること
II 年間総実労働時間1,800時間の達成・定着

(2) 事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 労働時間等の設定改善に向けた労使の自主的な取組を促進するために以下の事業を行う。
(1)労働時間等設定改善援助事業(仮称)
 労働時間等の設定改善の具体的な進め方について、仕事の内容や進め方にまで踏み込んだ助言・指導を行う「労働時間等設定改善アドバイザー」を地域の主要な事業主団体に配置し、個別具体的な指導援助を希望する中小企業事業主を計画的に訪問させ、継続的な指導・援助を行わせることにより、事業場の実情に即した設定改善をノウハウ面から後押しする。
(2)労働時間等設定改善推進助成金(仮称)の支給
 労働時間等の設定改善(計画年休制度の導入又は連続休暇の取得等)を団体的取組として行う中小企業団体に対し助成を行う。
(3)特に時間外労働が長い事業場の事業主に対する自主的取組の勧奨
 都道府県労働局において、管下の労働基準監督署からの情報等に基づく管内情勢の分析を踏まえつつ、時間外労働限度基準の適用除外業務など特に長い時間外労働時間が長い事業場の事業主に対して、時間外労働をもたらす要因や改善策の自主的検討、実施を勧奨する。その際、弾力的労働時間制度の活用方法、事業場内における体制整備方法等について個別の相談を求める事業主に対しては、そうした相談への対応のノウハウを持つ「労働時間等設定改善コンサルタント」が出向いて助言・指導を行う。
予算概算要求額 (単位:百万円)
H14 H15 H16 H17 H18
        1,659

(3) 問題分析
(1)現状分析
 平成15年における年次有給休暇の取得率は47.4%となっている。また、週労働時間別の雇用者の分布をみると、60時間以上の雇用者が12.2%となっている。
(2)問題点
 年次有給休暇の取得率については減少してきている。また、週労働時間が60時間以上の雇用者は増加している。
(3)問題分析
 事業場において多様な労働者の状況を踏まえつつ、労働者の健康や生活に配慮した労働時間や休暇・休日の設定に、労使が自主的に取組むことを促進するための施策を行うことが必要である。
(4)事業の必要性
 労働時間等の設定改善等を図るためには、事業場における業務や労働時間管理の具体的手法等について専門的知識を有する者による助言等の援助を行うことが必要不可欠である。

(4) 事業の目標
目標達成年度  
政策効果が発現する時期 実施以降、随時効果の発現が見込まれる。
アウトカム指標 H18 H19 H20 H21 H22 目標値/基準値
            80%
(説明)
 労働時間等の設定改善について一定の改善がみられた企業の割合
(モニタリングの方法)
アンケート調査
アウトプット指標 H18 H19 H20 H21 H22 目標値/基準値
             
(説明)
 労働時間等設定改善アドバイザー、労働時間等設定改善コンサルタントの稼働日数
(モニタリングの方法)
本省で把握
アウトプット指標 H18 H19 H20 H21 H22 目標値/基準値
             
(説明)
 助成金支給決定件数
(モニタリングの方法)
本省で把握


2.評価

(1) 必要性
行政関与の必要性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 長時間にわたる時間外労働の是正及び年次有給休暇の取得促進については、事業場の自発的な取組のみでは進捗が期待しにくく、労働者の健康や生活に配慮した労働時間等の設定を行うことが国の施策として必要であることから、本事業は民間のみでなく、行政の関与が必要である。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 長時間にわたる時間外労働の是正及び年次有給休暇の取得促進については、労働者の健康や生活に配慮した労働時間等の設定の取組を全国斉一的に行うことが必要であり、本事業の実施は労働政策の一環として国が行うべきものである。
民営化や外部委託の可否
   否
(理由)
 本事業の一部は、民間団体にその実施を委託することとしている。
緊要性の有無
   無
(理由)
 時短促進法の一部改正法案は平成18年4月から施行することを予定しているところであるが、改正法の所期の目的を効果的に達成するためには、改正法が施行される18年度から実施することが重要である。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
(1) 各事業の実施
(2) 事業主団体による労働時間等設定改善アドバイザーの派遣もしくは労働時間等設定改善助成金(仮称)の支給の申請、又は個別の事業主が労働時間等設定改善コンサルタントによる助言、指導を希望
(3) 仕事の内容や進め方にまで踏み込んだ助言及び指導
(4) 労働時間等の設定改善の実現
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 労働者の健康や生活に配慮した労働時間や休暇・休日の設定に労使が自主的に取組むことが促進すされることが見込まれる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項


(3) 効率性
手段の適正性
 労働時間等の設定改善は労使の自主的な取組みにより実現するものであるが、本事業は、その促進のために、これらに自主的に取組む団体及び事業主を援助するものであることから、手段として適正である。
費用と効果の関係に関する評価
 本事業は、地域の実情や業種の特性を勘案し、その事業の一部を事業主団体に委託して実施するなど、効率的な事業の実施が可能である。また、本事業に係る事務は本省において一括して行うこととしており、事務の集中化による効率化を図っているところである。
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
(有の場合の整理の考え方)


(4) その他
なし

(5) 反映の方向性
 評価結果を踏まえ、平成18年度予算概算要求において所要の予算を要求する。


3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 労働政策審議会建議(公労使一致)において「中小企業事業場や労働組合の無い事業場においては、労働時間等設定改善委員会の設置や指針に基づく措置の実施を円滑に行う上で支援が欠かせない場合も考えられる」とされているところである。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 「子ども・子育て応援プラン」に「長時間にわたる時間外労働の是正」(長時間労働者一割減)、「年次有給休暇の取得率」(現状47.4%→少なくとも55%以上)等を目標として明示しているところである。また、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太の方針2005)においても「仕事と家庭・子育ての両立など仕事と生活のバランスを取りつつ、意欲と能力に応じた多様な働き方ができるよう。中小企業に配慮しつつ、環境整備の推進など官民挙げての国民的な運動として取り組む」と明記されているところである。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし

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