(整理番号9)
事業評価書( |
| ・事後) |
平成17年8月
評価対象(事業名) | 歯科医師臨床研修費補助事業 | ||
担当部局・課 |
主管部局・課 | 医政局 歯科保健課 | |
関係部局・課 |
1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
番号 | ||
基本目標 | 1 | 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること |
施策目標 | 2 | 必要な医療従事者を確保するとともに、資質の向上を図ること |
II | 医療従事者の資質の向上を図ること |
(2) 事業の概要
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改正歯科医師法の施行(「歯科医師臨床研修の必修化」及び「臨床研修の専念義務」)に伴い平成18年4月より新歯科医師臨床研修制度がスタートする。 新歯科医師臨床研修制度は国民医療の基礎を担う重要な事項であることから、その施行に当たり指導体制等の充実を図ることが重要であり、現に研修歯科医を受け入れている臨床研修施設に対し、(1)指導歯科医等の確保経費、(2)研修プログラムの企画立案・管理経費、(3)研修歯科医受け入れのための環境整備等について必要な経費を補助する。 |
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H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | ||||
1,066 | 1,077 | 1,065 | 1,065 | 3,455 |
(3) 問題分析
(1)現状分析 歯科医師臨床研修については、平成8年6月に歯科医師法の一部を改正する法律が公布され、歯科医師法の中に歯科医師免許取得後に1年以上の臨床研修を行うことが努力義務として設けられ現在に至っており、現在歯科医師免許を新たに取得した者の約半数程度の歯科医師が臨床研修を受けている。 また、歯科医療を取り巻く環境については、歯科医学の進歩や医薬品・歯科材料等の革新に伴って、歯科医療技術はますます高度化・専門化が進んでいる上に、高齢化に伴う疾病構造の変化や国民のニーズの多様化、患者の権利意識の向上に伴う患者と歯科医師とのコミュニケーションの在り方の変化などが進み、大きな変貌を遂げている。 (2)問題点 そのような現状において、歯科医学・歯科医療技術の進歩により、より専門的な知識及び技能が必要とされ、臨床歯科医師の専門分化が進んできたことの弊害や、歯科医師としての基盤形成の時期に、患者を全人的に診ることができる基本的な臨床能力を身につけることの重要性が多くの関係者から指摘されている。 更に、これからの歯科医療は、患者に必要な情報を十分提供し、患者が納得して医療を受けられるよう十分なコミュニケーションを図り、予後を踏まえた診療計画を立てることが望まれ、口腔の疾患治癒・機能回復のみを目指すのではなく、口腔に関係した全身管理を含めた健康回復・増進を図るという総合性が要求されている。 (3)問題分析 これらの問題に対応するため、歯科医師としての基盤形成の時期に、研修歯科医が臨床研修に専念できる環境を整備すること、研修歯科医が臨床歯科医として患者中心の全人的医療を理解した上で、歯科医師としての人格をかん養し、総合的な歯科診療能力を身に付け、臨床研修を生涯研修の第一歩とすることを目的とした、新歯科医師臨床研修制度を実施し、歯科医師の資質の向上を図ることが必要である。 (4)事業の必要性 これらのことから、歯科医師の資質の向上を図るために、指導体制等を充実した新歯科医師臨床研修制度を実施することが重要であるため、現に研修歯科医を受け入れている臨床研修施設に対し、(1)指導歯科医等の確保経費、(2)研修プログラムの企画立案・管理経費、(3)研修歯科医受入れのための環境整備等について必要な経費を補助することが必要である。 |
(4) 事業の目標
目標達成年度 | ||||||
政策効果が発現する時期 | 平成19年度 | |||||
アウトプット指標 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | 目標値/基準値 |
臨床研修修了者数 | ||||||
(説明)当該指標を確認することにより、事業成果の確認が可能 | (モニタリングの方法) 年次報告書 |
2.評価
(1) 必要性
行政関与の必要性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 歯科医師臨床研修は歯科医師としての基盤形成の時期に、研修歯科医が臨床研修に専念できる環境を整備すること、研修歯科医が臨床歯科医として患者中心の全人的医療を理解した上で、歯科医師としての人格をかん養し、総合的な歯科診療能力を身に付け、臨床研修を生涯研修の第一歩とすることにより、歯科医師の資質の向上を図ることを目的としている。歯科医師臨床研修は良質かつ適切な歯科医療の提供を推進することから、国民医療の基礎を担う重要な事業であるので、社会的に支援していくことが必要である。そのためには、採算を求める民間に事業を委ねるのではなく、行政として関与してゆくことが必要である。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 歯科医師臨床研修の具体的な内容は各地域に所在する臨床研修施設において実施されるが、国家資格たる歯科医師の資質の向上を図ることは、安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりの全国的な推進に直結するものであることから、本事業は国で行うことが必要である。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 本事業は、医療機関の本来業務ではない臨床研修に係る教育指導及び体制整備に対する補助事業であるため、民営化や外部委託は不可能である。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 改正歯科医師法の施行が平成18年4月1日であるため。 |
(2) 有効性
政策効果が発現する経路 |
臨床研修施設に対し、(1)指導歯科医等の確保経費、(2)研修プログラムの企画立案・管理経費、(3)研修歯科医受け入れのための環境整備等について必要な経費を補助することにより、充実した歯科医師臨床研修が実施され、歯科医師の資質の向上が図られる。また、臨床研修施設には医療安全のための体制整備が義務付けられるため、国民に対しより安全な医療の提供を図ることができる。 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
本事業の実施により、充実した歯科医師臨床研修が実施され、歯科医師の資質の向上が促進され、より安全・安心な歯科医療の提供がなされる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
臨床研修施設の指定を受けた医療機関に対しては、医療法に規定されている一般病院に対するもの以上の安全管理体制が義務付けられるため、臨床研修の実施により、安全、安心な医療の提供に資するものである。 |
(3) 効率性
手段の適正性 | |||||
現に研修歯科医を受け入れている臨床研修施設に対し、(1)指導歯科医等の確保経費、(2)研修プログラムの企画立案・管理経費、(3)研修歯科医受け入れのための環境整備等について必要な経費を補助するため、研修歯科医が臨床歯科医として患者中心の全人的医療を理解した上で、歯科医師としての人格をかん養し、総合的な歯科診療能力を身に付け、臨床研修を生涯研修の第一歩とすることを目的とした、新歯科医師臨床研修制度を実施し、歯科医師の資質の向上を図ることが可能となることから、手段として適正である。 | |||||
費用と効果の関係に関する評価 | |||||
現に研修歯科医を受け入れている臨床研修施設に対し、(1)指導歯科医等の確保経費、(2)研修プログラムの企画立案・管理経費、(3)研修歯科医受け入れのための環境整備等について必要な経費を補助するものであり、これによって歯科医師としての基盤形成の時期に、研修歯科医が臨床研修に専念できる環境を整備することが可能となることから、歯科医師臨床研修を効率的かつ効果的に実施することができる。 | |||||
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
(4) その他
(5) 反映の方向性
評価結果を踏まえ、平成18年度予算概算要求において所要の予算を要求する。 |
3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 平成16年9月、医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修検討部会において、新歯科医師臨床研修制度の運用に関し意見書が取りまとめられた。 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 平成15年8月、「医療提供体制の改革のビジョン」が公表され、「歯科医師についても、臨床研修必修化によって、すべての歯科医師が、歯科医師としての人格をかん養し、総合的な歯科診療能力を身に付けるとともに、臨床研修に専念できる環境を整備する。」とされた。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 特になし。 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) 平成12年1月、参議院国民福祉委員会における附帯決議において、臨床研修を効果的に進めるために指導体制の充実、研修医の身分の安定及び労働条件の向上に努めることとされた。 (5)会計検査院による指摘 特になし。 |