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第2章 情報通信技術(IT)の革新と雇用

第1節 情報通信技術革新の特徴

 情報通信技術革新は、我が国経済を新たな発展段階へと推し進める起爆剤として期待されており、政府としても、IT戦略本部を内閣に設置し積極的に推進を図っている。情報通信技術革新は、技術の進歩及び価格の低下により、家計、企業の両部門に急速に浸透している。しばしば産業革命等、過去の技術革新と比較される情報通信技術革新だが、雇用面への影響でみると、過去の技術革新が主に生産分野への影響であったのに対し、主に事務部門への影響が大きいところに特徴がある。

 (情報通信技術革新の定義)

○ 我が国経済の起爆剤として期待されている情報通信技術革新は、蒸気機関や電力の発明に匹敵する大きな技術革新であるとも言われ、IT戦略本部を内閣に設置し、e‐Japan戦略、e‐Japan重点計画を策定するなど、政府も積極的な取組を行っている。

 本章では、情報通信技術革新を、情報通信技術の急速な進歩及びそれによってもたらされる価格低下による情報機器の活用分野の広がり、企業内LANやインターネットによる情報機器同士のネットワーク化、これらによる経済社会面での様々な変革と定義し、論を進める。
 情報通信技術革新は、技術の進歩と価格の低下により、急速に進展している。家計の消費支出や生産においても情報通信技術関連財の増加が大きい。このように、情報通信技術革新は、家計、企業の両部門ともに進展している。

 (情報通信技術革新の特徴)

○ 産業革命は、主に社会の生産分野に影響を与え、生産部門の労働や雇用に大きな変化を及ぼした。また、ME化も、労働や雇用への影響は生産部門が中心であった。しかし、今回の情報通信技術革新は、ネットワーク化や業務支援アプリケーションなどのめざましい発展により、労働面では、事務部門の生産性を向上するとともに、新たな経営手法を生み出すなど、特に事務部門への影響が大きいのが特徴である。


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