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まえがき


 「厚生労働省 海外情勢報告(海外情勢白書)」は、諸外国の労働情勢及び社会保障情勢全般に関する情報を整理・分析し、広く提供することを目的として、毎年厚生労働省においてとりまとめ、公表しているものです。
 「2002〜2003年 海外情勢報告(海外情勢白書)」では、主要諸国の2002年から2003年初頭にかけての労働及び社会保障情勢全般の情報を第1部においてとりまとめました。また第2部では、欧米主要国の失業保険、公的扶助制度等の概要と受給者の就労促進施策についてとりまとめました。

 欧米主要諸国における2002年の雇用情勢は、2001年後半以降の世界経済の減速等により、各国とも失業率が悪化しました。特にアメリカでは、イラク情勢の緊迫等により景気の回復力が弱まっており、雇用情勢は厳しさを増しました。
 アジア諸国においては、世界経済の減速にもかかわらず全体的に景気は改善しました。しかし、中国、シンガポールでは、雇用情勢は悪化し、韓国、タイについては、政府の景気対策の効果もあって失業率は改善しました。

 近年の不透明な世界経済の動きや様々な要因で影響を受ける各国の雇用情勢下にあっては、各国の国民にとって、失業保険及び公的扶助制度といった給付制度がますますその存在意義を増しています。同時に、労働市場の変化などに伴う受給者の増加や受給期間の長期化等に対応して、これらの給付制度を利用している人々の就労促進を積極的に図っていくことが、各国において実際に重要な政策課題となり、様々な取り組みが行われています。このような諸外国における失業保険、公的扶助制度等の概要や受給者の就労促進に向けた取組みについて知ることは、我が国においても、大いに参考となると考えられることから、今年は、第2部において、欧米主要6ヵ国の失業保険、公的扶助制度等の概要と受給者の就労促進施策について取り上げ、各国別に制度、実態についてできる限り共通のフレームワークを用いて、把握、整理するとともに、近年の制度の見直しや今後の課題についても可能な限り取り上げました。
 本報告が、海外の労働・社会保障情勢についての理解を深める上で有益な情報を提供するものとなれば幸いです。

  2003年8月

厚生労働省大臣官房総括審議官
       長谷川 真一


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