ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 労働政策全般 > 月例労働経済報告 > 平成25年7月 月例労働経済報告 > 平成25年7月 月例労働経済報告
平成25年7月 月例労働経済報告
1 概況
-
(1)
一般経済の概況
景気は、着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。- 輸出は、持ち直しの動きがみられる。生産は、緩やかに増加している。
- 企業収益は、製造業を中心に改善している。設備投資は、おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる。
- 企業の業況判断は、改善している。
- 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
- 個人消費は、持ち直している。
- 物価の動向を総合してみると、デフレ状況は緩和しつつある。
先行きについては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。
-
(2)
労働経済の概況
労働経済面をみると、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している[第1図]。
完全失業率は、５月は前月と同水準の4.1％となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月差1.0％ポイント低下し、7.1％となった。労働力人口及び就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。雇用者数はこのところ持ち直しの動きがみられる。
新規求人数が増加していることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は増加傾向となっている。
賃金をみると、定期給与はこのところ持ち直しの動きがみられる。現金給与総額はこのところ底堅く推移している。
「日銀短観」（６月調査）によると、企業の雇用人員判断は、全産業で横ばいとなったものの、製造業で過剰感が弱まった。
先行きについては、厳しさが残るものの、改善していくことが期待される。
2 一般経済
-
(1)
鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに増加している。
2013年５月の鉱工業生産（季節調整済前月比、以下同じ）は、1.9％上昇した[第2図]。
業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械工業、電気機械工業、電子部品・デバイス工業等が上昇し、輸送機械工業、その他工業、鉄鋼業が低下した。
出荷は前月比1.0％の上昇、在庫は同0.4％の低下であった。
生産の先行きについては、輸出環境の改善や好調な内需を背景に、緩やかに増加していくことが期待される。
なお、製造工業生産予測調査においては、６月は前月比2.4％の低下、７月は同3.3％の上昇が見込まれている。 -
(2)
最終需要の動向をみると、
- [1]
個人消費は、持ち直している。
二人以上の世帯の実質消費支出（季節調整済前月比、以下同じ）は、４月4.6％減の後、５月0.1％増となった。うち勤労者世帯では、４月5.9％減の後、５月は1.3％増となった。勤労者世帯の平均消費性向（季節調整値）は４月73.2％の後、５月74.0％となった[第3図]。消費者態度指数（季節調整値）の推移をみると、６月は前月から1.4ポイント減少し、44.3となった。
５月の小売業販売額（季節調整済前月比）は、1.5％増、大型小売店販売額（季節調整済前月比）は1.7％増となった。また、国内新車（乗用車のみ）登録・届出台数（前年同月比）は、５月8.7％減の後、６月12.5％減となった。
先行きについては、雇用・所得環境が改善するなかで、持ち直し傾向が続くと見込まれる。 - [2]
設備投資は、おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる。
財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2012年10〜12月期に季節調整済前期比0.8％増加したが、2013年１〜３月期は同0.9％減少(うち製造業同1.1％減少、非製造業同0.9％減少）した。また、資本財出荷指数（除．輸送機械）をみると、2013年５月は季節調整済前月比1.7％の増加となった。
今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（日銀短観、６月調査）では、2013年度の設備投資計画（前年度比）は、全規模では2.0％の増加、製造業では6.4％の増加、非製造業は0.2％の減少となっている[第4表]。また、機械受注（船舶・電力を除く民需）は、2013年４月は季節調整済前月比8.8％減少したが、５月は同10.5％増加した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物（民間）の工事予定額をみると、2013年４月は季節調整済前月比18.1％増加したが、５月は同13.6％減少した。
先行きについては、企業収益の改善等を背景に、持ち直していくことが期待される。 - [3]
住宅建設は、増加している。
新設住宅着工戸数をみると、2013年４月は季節調整済前月比3.9％増加、５月は同9.4％増加し、年率102.7万戸となった[第5図]。
着工床面積は、2013年４月は季節調整済前月比4.4％増加、５月は同8.8％増加した。
先行きについては、復興需要が引き続き発現するとともに、雇用・所得環境が改善するなかで、当面、増加傾向が続くと見込まれる。ただし、建設労働者の需給状況に注視が必要である。 - [4]
公共投資は、堅調に推移している。
公共機関からの建設工事受注額は、2013年４月は前年同月比27.9％、５月は同50.8％増加した。また、公共工事請負金額（「公共工事前払金保証統計」）をみると、2013年５月は前年同月比24.8％、６月は同21.7％増加した。
先行きについては、関連予算の執行により、強めの動きとなることが見込まれる。 - [5]
輸出は、持ち直しの動きがみられる。
通関輸出（数量ベース、季節調整済前期比）は、2013年４月は2.5％増加、５月は0.6％減少した。四半期別では、2012年10〜12月期に前期比4.2％減少したが、2013年１〜３月期は1.1％増加した[第6図]。
地域別にみると、アメリカ向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。アジア及びＥＵ向けの輸出は、横ばいとなっている。
先行きについては、海外景気の底堅さやこれまでの円安方向への動きを背景に、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。
通関輸入（数量ベース、季節調整済前期比）は、2013年４月は0.3％増加、５月（速報）も0.1％増加した。四半期別では、2012年10〜12月期に前期比4.0％減少したが、2013年１〜３月期は1.4％増加した[第6図]。
地域別にみると、アジア、アメリカ及びＥＵからの輸入は、横ばいとなっている。
先行きについては、次第に持ち直しに向かうことが期待される。
- [1]
個人消費は、持ち直している。
-
(3)
国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
６月の国内企業物価（速報）は、前月比0.1%上昇（前年同月比 1.2％上昇）となり、輸出物価（同円ベース）は同2.7%下落（同11.7％上昇）、輸入物価（同）は同3.2％下落（同13.8％上昇）となった。
５月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合（コアコア）では前年同月比（固定基準）0.4％下落（季節調整済前月比（同）0.1％上昇）となった。総合が同0.3％下落（同0.1％上昇）となり、生鮮食品を除く総合は同0.0%（同0.1％上昇）となった[第7図]。
先行きについては、消費者物価（コアコア）は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
こうした動向を総合してみると、デフレ状況は緩和しつつある。 -
(4)
企業収益は、製造業を中心に改善している。企業の業況判断は、改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比では2012年10〜12月期7.9％の増益、2013年１〜３月期6.0％の増益（製造業28.3％増益、非製造業3.2％減益）、季節調整済前期比では2012年10〜12月期3.8％の増益、2013年１〜３月期4.9％の増益（製造業13.6％増益、非製造業0.4％増益）となった。
また、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査）によれば、企業の全規模の2013年度の経常利益計画（前年度比）は、通期では全規模5.2％の増益、製造業11.9％の増益、非製造業1.2％の増益となっている[第8表]。
企業の業況判断D.I.（「良い」−「悪い」）について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査）をみると、規模計で、全産業▲２ポイント（３月調査より６ポイント改善）、製造業▲６ポイント（同９ポイント改善）、非製造業１ポイント（同３ポイント改善）となっている（負の数には▲を付した。）[第9表]。景気ウオッチャー調査（６月調査）の企業動向関連DIによると、現状判断は８か月ぶりの低下、先行き判断は２か月連続の低下となった。
倒産件数（東京商工リサーチ調べ）は、2013年５月は897件で、前年同月比8.0％の減少となった。 - (5) 2013年１〜３月期の実質国内総生産（ＧＤＰ）成長率は、季節調整済前期比1.0％増（年率4.1％増）となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.6％増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.4％増となった[第10図]。また、名目ＧＤＰの成長率は季節調整済前期比0.6％増（年率2.2％増）となった。
3 雇用・失業
- （1）
- [1]
５月の就業者数（季節調整値）は、6,303万人となった。
就業者数（季節調整値）は、5月は前月差2万人増の6,303万人（原数値は6,340万人、前年同月差43万人増）となった。男女別には、男性が3,619万人（前月差11万人増）、女性が2,685万人（同8万人減）となった[第11表]。
５月の雇用者数（季節調整値）は、5,548万人となった。
雇用者数（季節調整値）は、５月は前月差３万人増の5,548万人（原数値は5,554万人、前年同月差60万人増）となった[第12図]。男女別には、男性が3,157万人（前月差10万人増）、女性が2,390万人（同９万人減）となった。
従業上の地位別（非農林業、原数値）にみると、常雇が5,047万人（うち有期の契約は965万人）、臨時雇・日雇が455万人となった。また、正規の職員・従業員は3,323万人、非正規の職員・従業員は1,891万人（役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.3％）となった。
５月の常用雇用指数（事業所規模５人以上、季節調整済指数）は、前月比0.2％増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.1％増、パートタイム労働者は前月比1.1％増となった。 - [2]
５月の完全失業率（季節調整値）は、4.1％となった。
完全失業率（季節調整値）は、５月は前月と同水準の4.1％（原数値は4.2％、前年同月差0.3％ポイント低下）となった。男女別には、男性が4.2％（前月差0.1％ポイント低下）、女性が3.9％（同0.1％ポイント上昇）となった。
５月の完全失業者数（季節調整値）は、270万人となった。
完全失業者数（季節調整値）は、５月は前月差１万人減の270万人（原数値は279万人、前年同月差18万人減）となった。男女別には、男性が160万人（前月差３万人減）、女性が110万人（同２万人増）となった。
なお、求職理由別（季節調整値）にみると、５月は非自発的理由による離職失業者は94万人（前月差５万人増）、自発的理由による離職失業者101万人（同２万人減）、新たに求職した者は73万人（同２万人減）となった[第11表]。 - [3]
５月の労働力人口（季節調整値）は、6,571万人となった。
労働力人口（季節調整値）は、５月は前月差３万人増の6,571万人（原数値は6,619万人、前年同月差24万人増）となった。
５月の非労働力人口（季節調整値）は、4,510万人となった。
非労働力人口（季節調整値）は、５月は前月差３万人減の4,510万人（原数値は4,461万人、前年同月差33万人減）となった。男女別には、男性が1,571万人（前月差7万人減）、女性が2,939万人（同４万人増）となった。
労働力人口比率（原数値）は、５月は59.7％（前年同月差0.2％ポイント上昇）となった。男女別には、男性が70.9％（前年同月差0.1％ポイント低下）、女性が49.2％（前年同月差0.5％ポイント上昇）となった[第11表]。
就業率（15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値）は、５月は57.2％（前年同月差0.4％ポイント上昇）となった。
- [1]
５月の就業者数（季節調整値）は、6,303万人となった。
- (2)
５月の月間有効求人数（季節調整値）は、前月比2.2％増と８か月連続で増加した。
月間有効求職者数（季節調整値）は、前月比0.0％増と３か月ぶりに増加した。
５月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.90倍と前月より0.01ポイント上昇した[第13表]。
新規求人数（季節調整値）は、前月比2.1％増と３か月ぶりに増加した。
新規求職者数（季節調整値）は、前月比0.6％増と４か月ぶりに増加した。
５月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.42倍と前月より0.02ポイント上昇した[第13表]。
正社員の有効求人倍率は、0.49倍（前年同月差0.06ポイント上昇）となった。
新規求人数（季節調整値）を一般（除パート）とパートの別でみると、５月は一般は前月比2.8％増と３か月ぶりに増加し、パートについては同0.9％増と２か月ぶりに増加した。新規求職者数（季節調整値）は、一般は前月比0.4％減と３か月ぶりに増加し、パートについては同0.9％増と４か月ぶりに増加した。 - (3)
産業別にみると、５月の就業者数（原数値）は、医療,福祉は前年同月差16万人増、情報通信業は同13万人増、学術研究,専門・技術サービス業は同10万人増、その他サービス業で同７万人増、卸売業,小売業は同4万人増、宿泊業,飲食サービス業は同４万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同４万人増と増加したのに対し、製造業は同36万人減、建設業は同11万人減、教育,学習支援業は同10万人減、運輸業,郵便業は同６万人減と減少した[第11表]。
また、５月の新規求人（新規学卒者を除く、原数値）は、宿泊業,飲食サービス業は前年同期比23.2％増、その他サービス業は同12.1％増、建設業は同10.1％増、情報通信業は同8.3％増、卸売業,小売業は同7.2％増、学術研究,専門・技術サービス業は同6.5％増、医療,福祉は同3.1％増、運輸業,郵便業は同2.6％増と増加したのに対し、製造業は同2.8％減、教育,学習支援業は同2.4％減、生活関連サービス業,娯楽業は同0.6％減と減少した[第13表]。 - (4)
雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間（事業所規模５人以上、季節調整済指数）は、製造業では４月に前月比2.7％増となった後、５月は同1.2％減、調査産業計では４月に前月比1.9％増となった後、５月は同0.5％増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査）によると、雇用人員判断D.I.（「過剰」-「不足」）は、全産業では-１％ポイント（３月調査から横ばい）となった。製造業では２四半期連続で過剰感が低下し９％ポイント(同１ポイント低下)となった [第14図]。
厚生労働省「労働経済動向調査」（５月調査）によると、2013年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は31％となり2012年10〜12月期から３％ポイント低下した[第15図]。また、2013年４〜６月期に実施予定の事業所割合は31％、７〜９月期に実施予定の事業所割合は25％となっている。
4 賃金・労働時間
- (1)
５月の現金給与総額（事業所規模５人以上、産業計、以下同じ）は267,408円で、前年同月比0.1％減となった。就業形態別にみると、一般労働者は同0.5％増、パートタイム労働者は同0.6％増となった。
内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.4％減（一般労働者は0.2％増、パートタイム労働者同0.2％増）となったほか、所定外給与は同0.4％増、特別給与は6.8％増となった [第16図]。
また、きまって支給する給与は前年同月比0.4％減（一般労働者 0.2％増、パートタイム労働者同0.5％増）となった。 - (2)
５月の総実労働時間（事業所規模５人以上、産業計、以下同じ）は144.4時間で、前年同月比0.3％増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.8％増、パートタイム労働者は同0.2％減となった。
内訳をみると、所定内労働時間は134.2時間で前年同月比0.3％増（一般労働者は同0.9％増、パートタイム労働者同0.4％減）、所定外労働時間は10.2時間で同横ばい（一般労働者同0.7％増、パートタイム労働者同7.4％増）となった。なお、月間出勤日数は18.8日で前年同月差は0.1日増となった。
５月の製造業の所定外労働時間は、13.8時間で、前年同月比0.7％減となった。
規模別にみると、500人以上規模で前年同月比0.6％増、100〜499人規模で同2.6％減、30〜99人規模で同横ばい、５〜29人規模で同1.0％減となった[第17図]。
7月の主要変更点（概観部分）
一般経済の動向
| 6月月例 | 7月月例 |
|---|---|
|
景気は、着実に持ち直している。
先行きについては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 |
景気は、着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。
先行きについては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 |
個別項目の判断
| 6月月例 | 7月月例 | |
|---|---|---|
| 設備投資 | 下げ止まりつつある。 | おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる。 |
| 住宅建設 | 持ち直している。 | 増加している。 |
| 貿易・サービス収支 | 赤字は、増加傾向となっている。 | 赤字は、減少している。 |
| 生産 | 持ち直している。 | 緩やかに増加している。 |
| 業況判断 | 改善の動きがみられる。 | 改善している。 |
| 消費者物価 | このところ下落テンポが緩やかになっている。 | このところ横ばいとなっている。 |
（注）下線部は、先月から変更した部分。
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 労働政策全般 > 月例労働経済報告 > 平成25年7月 月例労働経済報告 > 平成25年7月 月例労働経済報告
