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平成24年2月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況
     景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、このところ弱含んでいる。
    • 企業収益は、減少している。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で低下しており、全体としても小幅改善となっている。先行きについても、全体として慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、 持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、このところ底堅い動きとなっている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、欧州の政府債務危機が、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
  2. (2)労働経済の概況
     労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい(第1図)。

     完全失業率は、12月は前月比0.1%ポイント上昇し、4.6%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.6%ポイント上昇し、9.3%となった。労働力人口は概ね横ばいの中、完全失業者数は増加し、就業者数は減少した。雇用者数はこのところ横ばいで推移している。
     新規求人数が増加傾向にあることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間はこのところ持ち直しの動きがみられる。
     賃金をみると、定期給与は横ばい圏内で推移しているものの、特別給与の減少などから、現金給与総額は弱い動きとなっている。
     先行きについては、東日本大震災の影響や生産の動向に留意する必要がある。

2 一般経済

  1. (1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
     2011年12月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、3.8%上昇した(第2図)。
     業種別にみると、輸送機械工業、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等が上昇し、化学工業、食料品・たばこ工業、電気機械工業等が低下した。
     出荷は前月比4.6%の上昇。在庫は前月比2.9%の低下であった。
     生産の先行きについては、緩やかな持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや円高の影響、電力供給制約等に留意する必要がある。
     なお、製造工業生産予測調査においては、1月は前月比2.5%の上昇、2月は同1.2%の上昇が見込まれている。
  2. (2)最終需要の動向をみると、
    1. (1)個人消費は、このところ底堅い動きとなっている。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、11月1.3%減の後、12月1.0%減となった。うち勤労者世帯では、11月1.7%減から、12月2.4%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は11月73.7%の後、12月74.0%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、12月は0.8ポイント上昇し、38.9となった。
       12月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.3%増、大型小売店販売額は1.0%増となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録・届出台数(原数値前年同月比)は、12月20.9%増の後、1月38.4%増となった。
       先行きについては、当面、底堅く推移すると見込まれる。ただし、雇用・所得環境や電力供給の制約には留意が必要である。
    2. (2)設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年4〜6月期季節調整済前期比6.3%低下の後、7〜9月期同2.7%低下(うち製造業同3.0%上昇、非製造業同5.8%低下)となっており、製造業で上昇したものの、全産業、非製造業では低下している。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2011年12月は季節調整済前月比1.7%上昇となった。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)では、全規模の2011年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業では0.0%の横ばい、製造業では8.6%上昇、非製造業は4.5%低下となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、2011年11月に季節調整済前月比14.8%上昇した後、12月は同7.1%低下した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2011年11月は季節調整済前月比6.0%低下の後、12月は同0.2%上昇した。
       先行きについては、東日本大震災からの復旧・復興需要が見込まれることから、持ち直しに復することが期待される。
    3. (3)住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
       新設住宅着工戸数をみると、2011年11月は季節調整済前月比5.5%上昇したが、12月は同5.0%低下し、年率78.3万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、2011年11月は季節調整済前月比5.8%の上昇、12月は同4.5%の低下となった。
       先行きについては、底堅い動きとなることが期待される。ただし、雇用・所得環境に加え、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. (4)公共投資は、平成23年度補正予算の効果もあり、底堅い動きとなっている。
       公共機関からの建設工事受注額は、2011年11月は前年同月比10.1%低下、12月は同21.8%の上昇となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、12月は0.6%の上昇、1月は8.5%の上昇となった。
       先行きについては、補正予算による押し上げ効果が見込まれる。
    5. (5)輸出は、このところ弱含んでいる。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、2011年11月に2.5%低下、12月に1.6%上昇し、四半期別では、2011年7〜9月期に7.2%上昇の後、10〜12月期は4.5%低下した(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ弱含んでいる。なお、タイ向けの輸出は持ち直しの動きがみられる。アメリカ向けの輸出は、このところ横ばいとなっている。EU向けの輸出は、減少している。先行きについては、海外景気の下振れリスクや円高の影響等に留意する必要がある。
      輸入は、このところ増勢が鈍化している。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、2011年11月に2.1%の低下、12月も0.3%の低下となったが、四半期別では、2011年7〜9月期は0.7%上昇、10〜12月期も2.0%の上昇となった(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、洪水被害によるタイからの輸入の減少を除いても、基調としてこのところ横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、緩やかに増加している。先行きについては、緩やかに増加することが見込まれる。
  3. (3)国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、緩やかに下落している。
     12月の国内企業物価(確報)は、前月比横ばい(前年同月比1.2%上昇)となり、輸出物価は同0.2%下落(同4.5%下落)、輸入物価は同1.0%上昇(同6.7%上昇)となった。
     12月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.8%下落(季節調整済前月比横ばい)となった。総合が同0.2%下落(同0.1%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同0.1%下落(同横ばい)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価は下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4)企業収益は、減少している。企業の業況判断は、大企業製造業で低下しており、全体としても小幅改善となっている。先行きについても、全体として慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年4〜6月期14.6%の低下、7〜9月期8.5%の低下(製造業18.7%低下、非製造業2.7%低下)、季節調整済前期比で2011年4〜6月期11.3%の低下、7〜9月期は3.6%の上昇(製造業0.8%低下、非製造業5.8%上昇)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2011年度の経常利益計画(前年度比)は、2011年度(計画)通期では全産業4.8%の減益、製造業5.2%の減益、非製造業4.6%の減益となっている。なお、2011年度上期では、全産業5.8%の減益、製造業8.7%の減益、非製造業3.8%の減益の後、下期(計画)でも全産業3.8%の減益、製造業1.3%の減益、非製造業5.3%の減益が見込まれている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業▲7ポイント(2ポイント上昇)、製造業▲5ポイント(横ばい)、非製造業▲7ポイント(5ポイント上昇)となっており、製造業で横ばい、全産業、非製造業で改善している(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年1月は985件で、前年同月比5.3%の低下となった。
  5. (5)2011年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.6%減(年率2.3%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.1%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.6%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比▲0.8%(年率▲3.1%)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 12月の就業者数(季節調整値)は、6,246万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、12月は前月差3万人減の6,246万人(原数値は6,222万人、前年同月差10万人減)となった。男女別には、男性が3,601万人(前月差3万人減)、女性が2,644万人(同1万人減)となった(第11表)。
     12月の雇用者数(季節調整値)は、5,482万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は12月は前月差2万人減の5,482万人(原数値は5,488万人、前年同月差13万人増)となった(第12図)。男女別には、男性が3,136万人(前月差1万人減)、女性が2,346万人(前月と同水準)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,690万人(前年同月差11万人減)、臨時雇・日雇が798万人(同25万人増)となった。
     12月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、前月比0.1%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.3%増、パートタイム労働者は同1.3%減となった。

  2. [2]12月の完全失業率(季節調整値)は、4.6%となった。
     完全失業率(季節調整値)は12月は前月差0.1%ポイント上昇の4.6%(原数値は4.2%、前年同月差0.4%ポイント低下)となった。男女別には、男性が5.0%(前月差0.2%ポイント上昇)、女性が4.0%(同0.1%ポイント低下)となった。
     12月の完全失業者数(季節調整値)は、299万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、12月は前月差3万人増の299万人(原数値は275万人、前年同月差24万人減)となった。男女別には、男性が188万人(前月差6万人増)、女性が111万人(同2万人減)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、12月は非自発的理由による離職失業者は98万人(前年同月差15万人減)、自発的理由による離職失業者は97万人(同3万人減)、学卒未就職者は11万人(同3万人減)、その他の理由による失業者は64万人(同2万人減)となった(第11表)。
  3. [3]12月の労働力人口(季節調整値)は、6,546万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、12月は前月差1万人増の6,546万人(原数値は6,497万人、前年同月差34万人減)となった。
     12月の非労働力人口(季節調整値)は、4,488万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、12月は前月と同水準の4,488万人(原数値は4,539万人、前年同月差24万人増)となった。男女別には、男性が1,537万人(前月差3万人減)、女性が2,951万人(同3万人増)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、12月は58.9%(前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が70.7%(前年同月比0.3%ポイント低下)、女性が47.8%(同0.2%ポイント低下)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、12月は56.4%(前年同月と同水準)となった。
  4. (2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.0%増と8か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.8%減と2か月連続で減少した。
     12月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.71倍と前月より0.02ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比0.7%減と3か月ぶりに減少した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比3.5%減と2か月連続で減少した。
     12月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.22倍と前月より0.04ポイント上昇した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.47倍(前年同月差0.09ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、12月は一般は前月比2.4%減と3か月ぶりに減少し、パートについては同1.5%増と8か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比2.6%減と4か月連続で減少し、パートについては同2.8%減と2か月連続で減少した。
  5. (3)産業別にみると、12月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差38万人増、情報通信業は同2万人増、運輸業,郵便業は同2万人増と増加したのに対し、卸売業,小売業は同15万人減、製造業は同9万人減、建設業は同8万人減、宿泊業,飲食サービス業は同5万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同3万人減、教育,学習支援業は同2万人減、その他サービス業は同2万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同1万人減であった。
     また、12月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比31.5%増、その他サービス業は同21.1%増、生活関連サービス業,娯楽業は同15.4%増、運輸業,郵便業は同15.3%増、医療,福祉は同14.8%増、宿泊業,飲食サービス業は同14.4%増、情報通信業は同13.2%増、卸売業,小売業は同10.9%増、学術研究、専門・サービス業は同10.1%増、製造業は同9.7%増と増加したのに対し、教育,学習支援業は同0.5%減と減少した。
  6. (4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では11月に前月比1.3%減となった後、12月は同4.3%増、調査産業計では11月に前月と同水準となった後、12月は同0.5%増となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では2%ポイント(9月調査より1%ポイント低下)となり、13四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2011年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり4〜6月期から6%ポイント減少した(第15図)。また、10〜12月期に実施予定の事業所割合は30%、1〜3月期に実施予定の事業所割合は26%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1)12月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は549,969円で、前年同月比0.2%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.3%減、パートタイム労働者は同0.3%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同0.2%減)となったほか、所定外給与は同0.3%増、特別給与は同0.3%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比横ばい(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同0.2%減)となった。
  2. (2)12月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は147.1時間で、前年同月比0.2%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.3%増、パートタイム労働者は同0.1%増となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は136.6時間で前年同月比0.3%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同0.1%増)、所定外労働時間は10.5時間で同横ばい(一般労働者同0.7%減、パートタイム労働者同横ばい)となった。なお、月間出勤日数は19.1日で前年同月差横ばいとなった。  12月の製造業の所定外労働時間は15.1時間で、前年同月比2.0%増となった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比1.2%増、100〜499人規模で同2.5%増、30〜99人規模で同1.3%増、5〜29人規模で同4.8%増となった(第17図)。

2月の主要変更点

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