厚生労働省

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4月月例労働経済報告

1 概況

(1) 一般経済の概況

景気は、持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

先行きについては、当面は東日本大震災の影響から弱い動きが続くと見込まれる。その後、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されるが、電力供給の制約やサプライチェーン立て直しの遅れ、原油価格上昇の影響等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

(2) 労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。ただし、東日本大震災の影響が懸念される(第1図)。

2 一般経済

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直していたものの、東日本大震災の影響により、このところ生産活動が低下している。

2011年2月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、0.4%増と4ヶ月連続で上昇した(第2図)。

業種別にみると、2011年2月は輸送機械工業、一般機械工業、化学工業(除.医薬品)等が上昇し、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等が低下した。

出荷は前月比1.7%増と上昇した。在庫は前月比1.5%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成23年3月に1.4%上昇の後、4月は1.3%低下となっている。

先行きについては、生産活動が再開する中で持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約等に留意する必要がある。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1] 個人消費は、持ち直しの動きが見られたものの、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きもみられる。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1月1.0%増の後、2月0.2%減となった。うち勤労者世帯では、1月0.4%増から、2月0.9%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は1月74.1%の後、2月71.5%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2010年10〜12月期(季節調整済前期差)は3.4ポイント上昇し、42.7となった。なお、2月(原数値前年同月差)は0.8ポイント上昇し、40.6となった。

2月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.8%増、大型小売店販売額は3.1%増となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、2月13.8%減の後、3月37.4%減となった。

先行きについては、東日本大震災の影響に留意する必要がある。

[2] 設備投資は、持ち直している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2010年7〜9月期季節調整済前期比1.3%増の後、2010年10〜12月期同0.7%増(うち製造業同4.1%増、非製造業同1.1%減)となっており、全産業、製造業で増加している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、全規模の2011年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で3.7%減、製造業は4.9%増、非製造業は8.2%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2011年1月は4.2%増の後、2月は2.3%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2011年1月は季節調整済前月比42.5%増の後、2月は同21.1%減となっている。

先行きについては、持ち直し傾向が続くことが期待されるものの、東日本大震災の影響に留意する必要がある。

[3] 住宅建設は、持ち直している。

新設住宅着工戸数をみると、2011年1月は季節調整済前月比1.6%減、2月は同3.0%増の7.3万戸(年率87.2万戸)と2ヶ月ぶりに増加した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2011年1月は季節調整済前月比2.1%減の後、2月は同0.3%減となった。

先行きについては、東日本大震災の影響に留意する必要がある。

[4] 公共投資は、総じて低調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2011年1月は15.8%減の後、2月は9.5%増となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、1月は9.9%減となった後、2月は4.2%増となっている。

先行きについては、関連予算の執行状況を注視する必要がある。

[5] 輸出は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響による減少が懸念される。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2011年1月は0.3%減となった後 、 2011年2月は2.7%増となっており、四半期別では、2010年7〜9月期0.6%減の後、2010年10〜12月期1.1%減となった(第6図)。

地域別にみると、アジア向けの輸出は、持ち直している。アメリカ向けの輸出は、このところ増勢が鈍化している。EU向けの輸出は、持ち直している。

先行きについては、世界景気の回復を背景に、持ち直していくことが期待されるが、当面、東日本大震災による生産活動等の低下を通じた影響が懸念される。

輸入は、持ち直しの動きがみられる。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2011年1月は3.2%増の後、2011年2月は2.3%減となっており、四半期別では、2010年7〜9月期2.9%増の後、2010年10〜12月期0.2%増となった(第6図)。

地域別にみると、アジアからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

(3) 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、下落テンポが緩やかになっている。

3月の国内企業物価(速報)は、前月比0.6%上昇(前年同月比2.0%上昇)となり、輸出物価は同0.1%下落(同2.2%下落)、輸入物価は同1.5%上昇(同9.4%上昇)となった。

2月の消費者物価は、総合が前年同月比横ばい(前月比0.1% 下落)となり、生鮮食品を除く総合は同 0.3%下落(同0.1%下落)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4) 企業収益は、改善しているが、東日本大震災の影響が懸念される。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2010年7〜9月期54.1%増の後、2010年10〜12月期27.3%増(製造業20.0%増、非製造業31.6%増)、季節調整値で2010年7〜9月期1.6%増の後、2010年10〜12月期は10.7%増(製造業3.9%増、非製造業14.3%増)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2011年度の経常利益計画(前年度比)は、2011年度(計画)通期では全産業1.8%の増益、製造業1.6%の増益、非製造業1.9%の増益となっている。なお、2011年度上期(計画)では、全産業3.9%の減益、製造業6.8%の減益、非製造業1.9%の減益の後、下期(計画)では全産業8.0%の増益、製造業11.5%の増益、非製造業5.8%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業▲9ポイント(2ポイント上昇)、製造業▲4ポイント(横ばい)、非製造業▲11ポイント(4ポイント上昇)となっており、全産業、非製造業で改善している(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2011年3月1183件で、前年同月比9.9%減となった。

(5) 2010年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.3%減(年率1.3%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.7%減となった(第10図)。

3 雇用・失業

(1)[1] 2月の就業者数(季節調整値)は、3か月連続で前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、1月に前月差17万人増となった後、2月は同25万人増と増加し、6,294万人(原数値は6,211万人、前年同月差26万人増)となった。男女別には、男性が3,629万人(前月差16万人増)、女性が2,664万人(同8万人増)となった(第11表)。

2月の雇用者数(季節調整値)は、3か月連続で前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、1月に前月差28万人増となった後、2月は同26万人増と増加し、5,517万人(原数値は5,475万人、前年同月差47万人増)となった(第13図)。男女別には、男性が3,157万人(前月差23万人増)、女性が2,360万人(同2万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,672万人(前年同月差12万人増)、臨時雇・日雇が750万人(同30万人増)となった。

2月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、前月比0.1%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.3%増、パートタイム労働者は同0.6%減となった。

[2] 2月の完全失業率(季節調整値)は、2か月ぶりに前月差で低下した。

完全失業率(季節調整値)は、1月に前月と同水準の4.9%となった後、2月は前月差0.3%ポイント減の4.6%(原数値は4.6%、前年同月差0.4%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.8%(前月差0.5%ポイント低下)、女性が4.3%(同0.1%ポイント上昇)となった。

2月の完全失業者数(季節調整値)は、4か月連続で前月差で減少した。

完全失業者数(季節調整値)は、1月に前月差2万人減となった後、2月は同17万人減の305万人(原数値は302万人、前年同月差22万人減)となった。男女別には、男性が185万人(前月差19万人減)、女性が120万人(同2万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、2月は非自発的理由による離職失業者は115万人(前年同月差30万人減)、自発的理由による離職失業者は101万人(前年と同水準)、学卒未就職者は14万人(同3万人増)、その他の理由による失業者は68万人(同4万人増)となった(第11表)。

[3] 2月の労働力人口(季節調整値)は、3か月連続で前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、1月に前月差15万人増となった後、2月は同9万人増の6,600万人(原数値は6,513万人、前年同月差4万人増)となった。

2月の非労働力人口(季節調整値)は、2か月連続で前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、1月に前月差17万人減となった後、2月は同4万人減の4,447万人(原数値は4,530万人、前年同月差3万人増)となった。男女別には、男性が1,517万人(前月差3万人増)、女性が2,929万人(同8万人減)となった。

労働力人口比率(原数値)は、2月は59.0%(前年同月差0.1%ポイント上昇)となった。男女別には、男性が70.9%(前年同月差0.1%ポイント低下)、女性が47.8%(同0.1%ポイント上昇)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、2月は56.2%(前年同月差0.2%ポイント上昇)となった。

(2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.6%増と10か月連続で増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.0%減と15か月連続で減少した。

2月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.62倍と前月 より0.01ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比4.0%増と2か月連続で増加した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比7.9%増と6か月ぶりに増加した。

2月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.99倍と前月より0.03ポイント低下した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.40倍(前年同月差0.11ポイント上昇)となった。

新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、2月は一般は前月比5.3%増と16か月連続で増加し、パートについては同1.6%増と2か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比9.0%増と6か月ぶりに増加し、パートについては同4.8%増と4か月ぶりに増加した。

(3) 産業別にみると、2月の就業者数(原数値)は、卸売業,小売業は前年同月差23万人増、宿泊業,飲食サービス業は同14万人増、運輸業,郵便業は同9万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同9万人増、医療,福祉は同7万人増、教育,学習支援業は同5万人増、学術研究,専門・技術サービス業は同2万人増と増加したのに対し、製造業は同22万人減、建設業は同7万人減、その他サービス業は同6万人減、情報通信業は同2万人減と減少した。

なお、2月の就業者数(季節調整値)は、製造業(前月差15万人増)、医療,福祉(同4万人増)、卸売業,小売業(同3万人増)等で増加し、生活関連サービス業,娯楽業(同8万人減)、宿泊業,飲食サービス業(同5万人減)運輸業,郵便業(前月差4万人減)、等で減少した。

また、2月の新規求人(原数値)は、情報通信業は前年同月比41.0%増、製造業は同30.1%増、運輸業,郵便業は同28.6%増、学術研究,専門・技術サービス業は同28.3%増、その他サービス業は同26.5%増、建設業は同25.0%増、教育,学習支援業は同23.7%増、卸売業,小売業は同21.8%増、医療,福祉は同20.1%増、宿泊業,飲食サービス業は同12.5%増、生活関連サービス業,娯楽業は同9.9%増と全ての主要産業で増加した。

(4) 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では1月に前月比4.2%増となった後、2月は同2.5%増、調査産業計では1月に前月比1.3%増となった後、2月は同1.4%減となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では4%ポイント(12月調査より2%ポイント低下)となり、10四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2010年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は34%となり7〜9月期から2%ポイント減少した(第15図)。また、2011年1〜3月期に実施予定の事業所割合は34%、4〜6月期に実施予定の事業所割合は30%となっている。

4 賃金・労働時間

(1)2月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は264,773円で、前年同月比0.3%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同0.2%減となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.3%減(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同0.3%減)となったほか、所定外給与は同3.5%増、特別給与は同31.1%増となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.2%増、パートタイム労働者同0.3%減)となった。

(2)2月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は143.2時間で、前年同月比横ばいとなった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.1%増、パートタイム労働者は同0.1%減となった。

内訳をみると、所定内労働時間は133.3時間で前年同月比0.2%減(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同横ばい)、所定外労働時間は9.9時間で同1.0%増(一般労働者同2.3%増、パートタイム労働者同4.3%減)となった。なお、月間出勤日数は18.6日で前年同月差0.1日減となった。

2月の製造業の所定外労働時間は14.7時間で、前年同月比8.2%増となった。

規模別にみると、500人以上規模で前年同月比4.8%増、100〜499人規模で同7.4%増、30〜99人規模で同9.0%増、5〜29人規模で同13.0%増となった(第17図)。

4月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:120KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:750KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:181KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,535KB))

<問合わせ先>

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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