厚生労働省

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2月月例労働経済報告

1 概況

(1) 一般経済の概況

景気は、持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

先行きについては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気や為替レート、原油価格の動向等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

(2) 労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる(第1図)。

2 一般経済

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直しの動きがみられる。

2010年12月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、3.3%増と2ヶ月連続で上昇した(第2図)。

業種別にみると、2010年12月は輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、鉄鋼業等が上昇し、金属製品工業、石油・石炭製品工業が低下した。

出荷は前月比1.2%増と上昇した。在庫は前月比1.6%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成23年1月に5.7%増の後、2月は1.2%減となっている。

先行きについては、輸出が持ち直し傾向で推移する中で、持ち直していくことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1] 個人消費は、このところおおむね横ばいとなっている。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、11月1.0%増の後、12月3.3%減となった。うち勤労者世帯では、11月0.2%減から、12月5.6%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は11月75.7%の後、12月74.3%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2010年10〜12月期(季節調整済前期差)は3.4ポイント上昇し、42.7となった。なお、1月(原数値前年同月差)は2.1ポイント上昇し、41.1となった。

12月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、4.2%減、大型小売店販売額は1.0%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、12月25.5%減の後、1月19.0%減となった。

先行きについては、当面は家電エコポイント制度変更等の影響が懸念されるものの、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、底堅く推移することが期待される。

[2] 設備投資は、持ち直している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2010年4〜6月期季節調整済前期比5.3%増の後、2010年7〜9月期同1.9%増(うち製造業同7.3%増、非製造業同0.8%減)となっており、全産業、製造業で増加している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、全規模の2010年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で0.4%増、製造業は3.9%増、非製造業は1.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2010年10月は1.4%減の後、11月は3.0%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2010年11月は季節調整済前月比16.0%減の後、12月は同6.5%減となっている。

先行きについては、設備過剰感が依然残るものの、企業収益が改善するなかで、持ち直し傾向が続くことが期待される。

[3] 住宅建設は、持ち直している。

新設住宅着工戸数をみると、2010年11月は季節調整済前月比3.1%増、12月は同1.7%増の7.2万戸(年率86.1万戸)と2ヶ月連続で増加した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2010年11月は季節調整済前月比3.7%増の後、12月は同2.6%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4] 公共投資は、総じて低調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2010年11月は3.7%増の後、12月は15.4%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、12月は18.1%減となった後、1月は9.9%減となっている。

先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

[5] 輸出は、持ち直しの動きがみられる。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年11月は1.5%増となった後、12月は3.3%増となっており、四半期別では、2010年7〜9月期2.6%減の後、2010年10〜12月期1.7%減となった(第6図)。

地域別にみると、アジア向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。アメリカ、EU向けの輸出は、ともに持ち直している。

先行きについては、世界景気の回復を背景に、持ち直していくことが期待される。

輸入は、横ばいとなっている。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年11月は4.9%増の後、12月は3.0%減となっており、四半期別では、2010年7〜9月期2.6%増の後、2010年10〜12月期0.9%減となった(第6図)。

地域別にみると、アジアからの輸入は、横ばいとなっている。アメリカ、EUからの輸入は、ともに緩やかに減少している。

(3) 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ下落テンポが緩やかになっている。

1月の国内企業物価(速報)は、前月比0.5%上昇(前年同月比1.6%上昇)となり、輸出物価は同0.1%上昇(同3.4%下落)、輸入物価は同2.1%上昇(同4.7%上昇)となった。

12月の消費者物価は、総合が前年同月比横ばい(前月比0.3%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同0.4%下落(同横ばい)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4) 企業収益は、改善している。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2010年4〜6月期83.4%増の後、2010年7〜9月期54.1%増(製造業209.0%増、非製造業19.9%増)、季節調整値で2010年4〜6月期3.0%増の後、2010年7〜9月期は横ばい(製造業3.3%増、非製造業1.6%減)となった。(第8表

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2010年度の経常利益計画(前年度比)は、2010年度通期では全産業28.2%の増益、製造業59.1%の増益、非製造業13.3%の増益となっている。なお、2010年度上期では、全産業75.2%の増益、製造業4.0倍の増益、非製造業25.0%の増益の後、下期(計画)では全産業1.3%の減益、製造業7.5%の減益、非製造業3.0%の増益が見込まれている。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業▲11ポイント(1ポイント低下)、製造業▲4ポイント(横ばい)、非製造業▲15ポイント(2ポイント低下)となっており、全産業、非製造業で悪化となっている(負の数には▲を付した。)(第9表))。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2011年1月1,041件で、前年同月比2.0%減となった。

(5) 2010年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.3%減(年率1.1%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.6%減となった(第10図)。

3 雇用・失業

(1)[1] 12月の就業者数(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、11月に前月差35万人減となった後、12月は同19万人増と増加し、6,252万人(原数値は6,228万人、前年同月差5万人増)となった。男女別には、男性が3,615万人(前月差15万人増)、女性が2,638万人(同5万人増)となった(第11表)。

12月の雇用者数(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、11月に前月差37万人減となった後、12月は同8万人増と増加し、5,464万人(原数値は5,468万人、前年同月差13万人増)となった,(第13図)。男女別には、男性が3,130万人(前月差4万人増)、女性が2,334万人(同5万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,694万人(前年同月差1万人増)、臨時雇・日雇が773万人(同11万人増)となった。

12月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月比0.1%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.2%増、パートタイム労働者は同0.3%減となった。

[2] 12月の完全失業率(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で低下した。

完全失業率(季節調整値)は、10月に前月と同水準の 5.1%となった後、12月は前月差0.2%ポイント低下の4.9%(原数値は4.6%、前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が5.3%(前月差0.1%ポイント低下)、女性が4.4%(同0.3%ポイント低下)となった。

12月の完全失業者数(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で減少した。

完全失業者数(季節調整値)は、11月に前月差2万人増となった後、12月は同13万人減の323万人(原数値は298万人、前年同月差19万人減)となった。男女別には、男性が201万人(前月差5万人減)、女性が121万人(同9万人減)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、 12月は非自発的理由による離職失業者は113万人(前年同月差23万人減)、自発的理由による離職失業者は100万人(同3万人増)、学卒未就職者は14万人(同4万人増)、その他の理由による失業者は65万人(同3万人減)となった(第11表)。

[3] 12月の労働力人口(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、11月に前月差37万人減となった後、12月は同6万人増の6,572万人(原数値は6,526万人、前年同月差13万人減)となった。

12月の非労働力人口(季節調整値)は、3か月ぶりに前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、11月に前月差34万人増となった後、12月は同2万人減の4,473万人(原数値は4,519万人、前年同月差13万人増)となった。男女別には、男性が1,520万人(前月差7万人減)、女性が2,953万人(同5万人増)となった。

労働力人口比率(原数値)は、12月は59.1%(前年同月差0.1%ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.0%(前年同月差0.2%ポイント低下)、女性が47.9%(前年同月と同水準)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、12月は56.4%(前年同月差0.1%ポイント上昇)となった。

(2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比0.4%増と8か月連続で増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.6%減と5か月ぶりに減少した。

12月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.57倍と前月と同水準となった。

新規求人数(季節調整値)は、前月比0.5%減と5か月ぶりに減少した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比6.0%減と2か月連続で減少した。

12月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.01倍と前月より0.06ポイント上昇した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.38倍(前年同月差0.10ポイント上昇)となった。

新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、12月は一般は前月比0.7%増と5か月連続で増加し、パートについては同2.6%減と2か月ぶりに減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比6.0%減と4か月連続で減少し、パートについては同1.8%減と3か月ぶりに減少した。

(3) 産業別にみると、12月の就業者数(原数値)は、卸売業,小売業は前年同月差30万人増、運輸業,郵便業は同23万人増、教育,学習支援業は同15万人増、宿泊業,飲食サービス業は同14万人増、医療,福祉は同14万人増、学術研究,専門・技術サービス業は同8万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同7万人増と増加したのに対し、製造業は同32万人減、建設業は同19万人減、その他サービス業は同16万人減、情報通信業は同10万人減と減少した。

なお、12月の就業者数(季節調整値)は、生活関連サービス業,娯楽業(前月差15万人増)、学術研究,専門・技術サービス業(同12万人増)、運輸業,郵便業(前月差16万人増)、卸売業,小売業(同8万人増)等で増加し、製造業(同21万人減)、医療,福祉(同18万人減)、情報通信業(同8万人減)等で減少した。

また、12月の新規求人(原数値)は、製造業は前年同月比30.0%増、情報通信業は同27.3%増、運輸業,郵便業は同21.8%増、卸売業,小売業は同21.1%増、医療,福祉は同16.3%増、教育,学習支援業は同15.4%増、建設業は同13.8%増、その他サービス業は同11.8%増、学術研究,専門・技術サービス業は同11.1%増、生活関連サービス業,娯楽業は同10.7%増、宿泊業,飲食サービス業は同6.5%増と全ての主要産業で増加した。

(4) 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では11月に前月比1.8%増となった後、12月は同2.8%増、調査産業計では11月に前月比0.5%増となった後、12月は前月比0.6%増となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では6%ポイント(9月調査より1%ポイント低下)となり、9四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2010年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は36%となり4〜6月期から4%ポイント減少した(第15図)。また、10〜12月期に実施予定の事業所割合は34%、2011年1〜3月期に実施予定の事業所割合は31%となっている。

4 賃金・労働時間

(1) 12月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は550,923円で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同1.2%増となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.1%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同1.9%増)となったほか、所定外給与は同6.3%増、特別給与は同0.4%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.5%増(一般労働者同0.8%増、パートタイム労働者同1.7%増)となった。

(2) 12月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は146.7時間で、前年同月比1.2%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.4%増、パートタイム労働者は同1.4%増となった。

内訳をみると、所定内労働時間は136.2時間で前年同月比0.9%増(一般労働者同1.1%増、パートタイム労働者同1.3%増)、所定外労働時間は10.5時間で同5.1%増(一般労働者同6.2%増、パートタイム労働者同横ばい)となった。なお、月間出勤日数は19.1日で前年同月差0.2日増となった。

12月の製造業の所定外労働時間は14.8時間で、前年同月比11.4%増となった。

規模別にみると、500人以上規模で前年同月比6.2%増、100〜499人規模で同6.6%増、30〜99人規模で同11.6%増、5〜29人規模で同35.6%増となった(第17図)。

2月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:118KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:553KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:182KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,365KB))

<問合わせ先>

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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