厚生労働省

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7月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

・輸出は、緩やかに増加している。生産は、持ち直している。

・企業収益は、改善している。設備投資は、下げ止まっている。

・企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。

・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

・個人消費は、持ち直している。

・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、企業収益の改善が続くなかで、景気が自律的な回復へ向かうことが期待される。一方、アメリカ・欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる(第1図)。

・完全失業率は、平成22年5月は前月比0.1%ポイント上昇し、5.2%となり、高水準で推移している。

・15〜24歳層の完全失業率は、前月比1.2%ポイント上昇し、10.5%となった。

・新規求人数、有効求人倍率は持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数はこのところ横ばいで推移している。

・製造業の残業時間は生産が持ち直していることを反映し、増加している。

・定期給与は持ち直しの動きがみられる。現金給与総額は下げ止まりつつある。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直している。

2010年5月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.1%増と3か月連続で上昇した(第2図)。

業種別にみると、2010年5月は化学工業、情報通信機械工業、電気機械工業等が上昇し、輸送機械工業、パルプ・紙・紙加工品工業等が低下した。

出荷は前月比1.7%減と低下した。在庫は前月比2.0%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成22年6月0.4%増の後、7月は1.0%増となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、持ち直している。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、4月6.3%減の後、5月0. 7% 増となった。うち勤労者世帯では、4月6.7%減から、5月1.0%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は4月72. 7%の後、5月72.8%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2010年4〜6月期(季節調整済前期差)は2.5ポイント上昇し、43.2となった。なお、6月(原数値前年同月差)は5.9ポイント上昇し、43.5となった。

5月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、2.0%減、大型小売店販売額は0.8%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、5月23.0%増の後、6月18. 1%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[2]設備投資は、下げ止まっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年10〜12月期季節調整済前期比0.3%増の後、2010年1〜3月期同2.6%減(うち製造業同6.1%減、非製造業同0.9%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模の2010年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で0.5%増、製造業は2.8%増、非製造業は0.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2010年4月は4.0%増の後、5月は9.1%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2010年4月は季節調整済前月比26.6%減の後、5月は同17.4%減となっている。

先行きについては、設備過剰感が依然残るものの、企業収益が改善するなかで、持ち直しに向かうことが期待される。

[3]住宅建設は、持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。

新設住宅着工戸数をみると、2010年4月は季節調整済前月比7.2%減、5月は同7.0%減の6.1万戸(年率73.7万戸)と2か月連続で低下した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2010年4月は季節調整済前月比4.9%減の後、5月は同5.2%減となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4]公共投資は、総じて低調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2010年4月は15.3%減の後、5月は18.5%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、5月は5.9%減となった後、6月は5.8%減となっている。

先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

[5]輸出は、緩やかに増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年4月は5.2%増となった後 、 5月は0.2%減となっており、四半期別では、2009年10〜12月期7.5%増の後、2010年1〜3月期5.9%増となった(第6図)。

地域別には、アジア向けの輸出は、緩やかに増加している。アメリカ向けの輸出は、横ばいとなっている。EU向けの輸出は、持ち直している。

先行きについては、世界の景気が緩やかに回復していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、緩やかに持ち直している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年 4月は5.3% 増の後、 5月は2.3%増となっており、四半期別では、2009年10〜12月期3.0%増の後、2010年1〜3月期4.0%増となった(第6図)。

地域別には、アジア、アメリカからの輸入は、ともに緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。

(3)国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。

6月の国内企業物価(速報)は、前月比0.4%下落(前年同月比0.5% 上昇)となり、輸出物価は同1. 2%下落(同3.6%下落)、輸入物価は同2.7%下落(同8. 0%上昇)となった。

5月の消費者物価は、総合が前年同月比0.9%下落(前月比0.1%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同 1.2%下落(同0.1%上昇)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4)企業収益は、改善している。企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年10〜12月期102.2%増の後、2010年1〜3月期163.8%増(製造業については、前期の季節調整値が負数のため算出できない。、非製造業5.2%増)、季節調整値で2009年10〜12月期35.8%増の後、2010年1〜3月期10.9%増(製造業56.3%増、非製造業11.8%減)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の2010年度の経常利益計画(前年度比)は、2010年度通期では全産業19.7%の増益、 製造業45.0%の増益、非製造業7.5%の増益となっている。なお、2010年度上期(計画)では、全産業38.0%の増益、製造業2.9倍の増益、非製造業3.7%の増益の後、下期(計画)では全産業8.2%の増益、製造業4.6%の増益、非製造業10.7%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、規模計で、全産業 ▲15ポイント(9ポイント改善)、製造業 ▲10ポイント( 13ポイント改善)、非製造業▲19ポイント(6ポイント改善)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2010年6月1,148件で、前年同月比19.2%減となった。

(5)2010年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%増(年率5.0%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.6%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.7%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.3%増となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]5月の就業者数(季節調整値)は、4ヶ月連続で前月差で減少した。

就業者数(季節調整値)は、4月に前月差28万人減となった後、5月は同24万人減と減少し、6,221万人(原数値は6,295万人、前年同月差47万人減 )となった。男女別には、男性が3,595万人(前月差20万人減)、女性が2,626万人(同4万人減)となった(第11表)。

5月の雇用者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

雇用者数(季節調整値)は、4月に前月差43万人減となった後、5月は同25万人減と減少し、5,417万人(原数値は5,458万人、前年同月差20万人減)となった(第13図)。男女別には、男性が3,115万人(前月差17万人減)、女性が2,301万人(同9万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,703万人(前年同月差19万人減)、臨時雇・日雇が756万人(前年と同水準)となった。

5月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月と同水準となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.1%減、パートタイム労働者は同0.1%増となった。

[2]5月の完全失業率(季節調整値)は、3ヶ月連続で前月差で上昇した。

完全失業率(季節調整値)は、4月に前月差0.1ポイント上昇の5.1%となった後、5月は前月差0.1ポイント上昇の 5.2%(原数値は5.2%、前年と同水準)となった。男女別には、男性が5.5%(前月と同水準)、女性が4.7%(前月と同水準)となった。

5月の完全失業者数(季節調整値)は、3ヶ月連続で前月差で増加した。

完全失業者数(季節調整値)は、4月に前月差8万人 増となった後、5月は同1万人増の340万人(原数値は347万人、前年と同水準)となった。男女別には、男性が210万人(前月と同水準)、女性が131万人(同2万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、 5月は非自発的理由による離職失業者は140万人(前年同月差11万人減)、自発的理由による離職失業者は102万人(同1万人増)、学卒未就職者は17万人(同1万人減)、その他の理由による失業者は81万人(同11万人増)となった(第11表)。

[3]5月の労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

労働力人口(季節調整値)は、 4月に前月差22万人減となった後、5月は25万人 減の6,561万人(原数値は6,642万人、前年同月差47万人減)となった。

5月の非労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。

非労働力人口(季節調整値)は、4月に前月差25万人増となった後、5月は同30万人増の4,484万人(原数値は4,400万人、前年同月差42万人増)となった。男女別には、男性が1,532万人(前月差25万人増)、女性が2,952万人(同5万人増)となった。

労働力人口比率(原数値)は、 5月は60.1%(前年同月差0.4ポイント低下)となった。男女別には、男性が72.0%(前年同月差0.8ポイント低下)、女性が49.1%(前年と同水準)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、5月は57.0%(前年同月差0.4ポイント 低下)となった。

(2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比3.5%増と2ヶ月ぶりに増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.2%減と2ヶ月連続で減少した。

5月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.50倍と前月より0.02ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比1.3%減と3ヶ月ぶりに減少した。
 新規求職者数(季節調整値)は、前月比4.3%増と2ヶ月ぶりに増加した。

5月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.83倍と前月より0.05ポイント低下した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.26倍(前年同月差0.02ポイント上昇)となった。

新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、5月は一般は前月比 0.4%減と3ヶ月ぶりに減少し、パートについては同2.9%減と2ヶ月連続で減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比4.0%増と2ヶ月ぶりに増加し、パートについては同4.4%増と2ヶ月ぶりに増加した。

(3)産業別にみると、5月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差39万人増、情報通信業は同15万人増、運輸業,郵便業は同9万人増、宿泊業,飲食サービス業は同5万人増と増加したのに対し、製造業は同22万人減、建設業は同16万人減、教育,学習支援業は同14万人減、その他サービス業は同13万人減、卸売業,小売業は同7万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同4万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同2万人減と減少した。

なお、5月の就業者数(季節調整値)は、医療,福祉(前月差16万人増)、金融,保険業(同15万人増)、情報通信業(同8万人増)等で増加し、卸売業,小売業(同15万人減)製造業(同14万人減)、学術研究,専門・技術サービス業(同9万人減)等で減少した。

また、 5月の新規求人(原数値)は、製造業は前年同月比43.5%増、教育,学習支援業は同21.2%増、その他サービス業は同15.9%増、運輸業,郵便業は同15.6%増、医療,福祉は同11.9%増、学術研究,専門・技術サービス業は同10.2%増、生活関連サービス業,娯楽業は同9.9%増、卸売業,小売業は同7.6%増、情報通信業は同4.7%増、建設業は同2.3%増と増加したのに対し、宿泊業,飲食サービス業は同4.1%減と減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では 4月に前月比 0.6%減となった後、5月は同0.6%増、調査産業計では 4月に前月比1.1%増となった後、5月は同1.2%減となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では11%ポイント(3月調査より2%ポイント低下)となり、7四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2010年1〜 3月期に雇用調整を実施した事業所割合は44%となり2009年10〜12月期から1%ポイント上昇した(第15図)。また、2010年4〜6月期に実施予定の事業所割合は41%、2010年7〜9月期に実施予定の事業所割合は36%となっている。

賃金・労働時間

(1)5月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は268,592円で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同0.9%増となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.2%増、パー トタイム労働者同0.7%増)となったほか、所定外給与は同11.3%増、特別給与は同13.6%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.5%増(一般労働者同0.9%増、パートタイム労働者同0.8%増)となった。

(2)5月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は139.6時間で、前年同月比1.3%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.6%増、パートタイム労働者は同1.1%増となった。

内訳をみると、所定内労働時間は130.0時間で前年同月比0.7%増(一般労働者同0.8%増、パートタイム労働者同1.0%増)、所定外労働時間は9.6時間で同10.4%増(一般労働者同12.8%増、パートタイム労働者同4.0%増)となった。なお、月間出勤日数は18.2日で前年同月差0.1日増となった。

5月の製造業の所定外労働時間は12.9時間で、前年同月比46.7%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比58.4%増、100〜499人規模で同40.9%増、30〜99人規模で同36.9%増、5〜29人規模で同55.9%増となった(第17図)。

7月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:101KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:482KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:177KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,210KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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