厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大

ご覧の施策内容について多くの皆さまのご意見をお待ちしております。意見を送信する


5月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。

・輸出は、緩やかに増加している。生産は、持ち直している。

・企業収益は、改善している。設備投資は、下げ止まりつつある。

・企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。

・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

・個人消費は、持ち直している。

・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、企業収益の改善が続くなかで、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる(第1図)。

・完全失業率は、平成22年3月は前月比0.1%ポイント上昇し、5.0%となり、高水準で推移している。

・15〜24歳層の完全失業率は、前月比1.4%ポイント上昇し、10.1%となった。

・新規求人数、有効求人倍率は持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数は持ち直しの動きがみられる。

・製造業の残業時間は生産が持ち直していることを反映し、増加している。

・定期給与は持ち直しの動きがみられる。現金給与総額は下げ止まりつつある。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直している。

2010年3月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.2%増と2か月ぶりに上昇した(第2図)。

業種別にみると、2010年3月は化学工業、電気機械工業、輸送機械工業等が上昇し、一般機械工業、金属製品工業、情報通信機械工業等が低下した。

出荷は前月比2.0%増と上昇した。在庫は前月比1.6%減と減少した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成22年4月3.7%増の後、5月は0.3%減となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、持ち直している。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、 2月1.6%減の後、3月5. 9% 増となった。うち勤労者世帯では、2月1.9%減から、3月7.0%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は2月72.2 %の後、3月78.1%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2010年1〜3月期(季節調整済前期差)は0.8ポイント上昇し、40.7となった。なお、4月(原数値前年同月差)は9.6ポイント上昇し、42.0となった。

3月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.8%増、大型小売店販売額は1.1%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、3月25.2%増の後、4月26.4 %増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[2]設備投資は、下げ止まりつつある。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年7〜9月期季節調整済前期比8.2%減の後、2009年10〜12月期同0.9%減(うち製造業同3.2%減、非製造業同0.3%増)となっており、全産業及び製造業で減少、非製造業で増加している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、全規模の2009年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で17.8%減、製造業は30.9%減、非製造業は11.1%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2010年2月は3.8%減の後、3月は5.4%増となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2010年2月は季節調整済前月比19.1%増の後、3月は同0.5%減となっている。

先行きについては、設備過剰感が依然高いなかで、当面、低水準で推移する可能性が高い。

[3]住宅建設は、持ち直している。

新設住宅着工戸数をみると、2010年2月は季節調整済前月比7.9%減、3月は同7.5%増の7.1万戸(年率85.4万戸)と2か月ぶりに上昇した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2010年2月は季節調整済前月比8.7%減の後、3月は同6.1%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4]公共投資は、このところ弱含んでいる。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2010年2月は23.7%減の後、3月は10.9%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、3月は16.0%減となった後、4月は0.1%減となっている。

先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

[5]輸出は、緩やかに増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年2月は0.2%増となった後、3月は3.0%増となっており、四半期別では、2009年10〜12月期7.5%増の後、2010年1〜3月期5.9%増となった(第6図)。

地域別には、アジア向けの輸出は、緩やかに増加している。アメリカ向けの輸出は、横ばいとなっている。EU向けの輸出は、持ち直している。

先行きについては、世界の景気が緩やかに回復していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、緩やかに持ち直している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年2月は0.3%増の後、3月は5.4%減となっており、四半期別では、2009年10〜12月期3.0%増の後、2010年1〜3月期4.0%増となった(第6図)。

地域別には、アジア、アメリカからの輸入は、ともに緩やかに増加している。EUからの輸入は、持ち直している。

(3)国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。

4月の国内企業物価(速報)は、前月比0.4%上昇(前年同月比0.2%下落)となり、輸出物価は同3.0%上昇(同0.7%下落)、輸入物価は同5.2%上昇(同10.1%上昇)となった。

3月の消費者物価は、総合が前年同月比1.1%下落(前月比0.3%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同1.2%下落(同0.3%下落)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4)企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年7〜9月期32.4%減の後、2009年10〜12月期102.2%増(製造業864.7%増、非製造業38.1%増)、季節調整値で2009年7〜9月期35.8%増の後、2009年10〜12月期35.2%増(製造業130.4%増、非製造業13.7%増)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2010年度の経常利益計画(前年度比)は、2010年度通期では全産業21.5%の増益、製造業50.8%の増益、非製造業9.0%の増益となっている。なお、2010年度上期(計画)では、全産業33.1%の増益、製造業2.6倍の増益、非製造業7.1%の増益の後、下期(計画)では全産業13.0%の増益、製造業16.1%の増益、非製造業11.0%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業▲24ポイント(7ポイント改善)、製造業▲23ポイント(10ポイント改善)、非製造業▲25ポイント(5ポイント改善)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2010年4月1,154件で、前年同月比13.1%減となった。

(5)2010年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%増(年率4.9%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.6%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.7%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.2%増となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]3月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

就業者数(季節調整値)は、2月に前月差25万人減となった後、3月は同5万人減と減少し、6,273万人(原数値は6,210万人、前年同月差35万人減)となった。男女別には、男性が3,624万人(前月差4万人増)、女性が2,651万人(同9万人減)となった(第11表)。

3月の雇用者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、2月に前月差15万人減となった後、3月は同11万人増と増加し、5,485万人(原数値は5,443万人、前年同月差18万人増)となった(第13図)。男女別には、男性が3,144万人(前月差9万人増)、女性が2,343万人(同4万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,687万人(前年同月差26万人減)、臨時雇・日雇が756万人(同42万人増)となった。

3月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月と同水準となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.1%減、パートタイム労働者は同0.1%減となった。

[2]3月の完全失業率(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で上昇した。

完全失業率(季節調整値)は、2月に前月と同水準の4.9%となった後、3月は前月差0.1ポイント上昇の5.0%(原数値は5.3%、前年同月差0.2ポイント上昇)となった。男女別には、男性が5.6%(前月差0.4ポイント上昇)、女性が4.3%(同0.1ポイント低下)となった。

3月の完全失業者数(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で増加した。

完全失業者数(季節調整値)は、2月に前月差7万人減となった後、3月は同10万人増の331万人(原数値は350万人、前年同月差15万人増)となった。男女別には、男性が213万人(前月差14万人増)、女性が119万人(同2万人減)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、3月は非自発的理由による離職失業者は148万人(前年同月差14万人増)、自発的理由による離職失業者は101万人(同2万人減)、学卒未就職者は21万人(同5万人増)、その他の理由による失業者は77万人(前年と同水準)となった(第11表)。

[3]3月の労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、2月に前月差29万人減となった後、3月は同7万人増の6,608万人(原数値は6,560万人、前年同月差20万人減)となった。

3月の非労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、2月に前月差26万人増となった後、3月は同8万人減の4,429万人(原数値は4,478万人、前年同月差15万人増)となった。男女別には、男性が1,493万人(前月差18万人減)、女性が2,938万人(同12万人増)となった。

労働力人口比率(原数値)は、 3月は59.4%(前年同月差0.2ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.6%(前年同月差0.4ポイント低下)、女性が48.0%(同0.1ポイント上昇)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、3月は56.2%(前年同月差0.3ポイント低下)となった。

(2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.7%増と3ヶ月連続で増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.4%増と4ヶ月ぶりに増加した。

3月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.49倍と前月より0.02ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比5.6%増と3ヶ月ぶりに増加した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比5.4%増と2ヶ月連続で増加した。

3月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.84倍と前月と同水準であった(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.28倍(前年同月差0.04ポイント低下)となった。

新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、3月は一般は前月比0.2%増と3ヶ月ぶりに増加し、パートについては同10.1%増と3ヶ月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比5.6%増と2ヶ月連続で増加し、パートについては同5.6%増と2ヶ月連続で増加した。

(3)産業別にみると、3月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差51万人増、宿泊業,飲食サービス業は同15万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同11万人増、卸売業,小売業は同7万人増、学術研究,専門・技術サービス業は同7万人増、その他サービス業は同1万人増と増加したのに対し、建設業は同33万人減、製造業は同31万人減、運輸業,郵便業は同18万人減、教育,学習支援業は同4万人減、情報通信業は同2万人減と減少した。

なお、3月の就業者数(季節調整値)は、宿泊業,飲食サービス業(前月差18万人増)、製造業(同14万人増)、教育,学習支援業(同13万人増)等で増加し、建設業(同26万人減)、医療,福祉(同14万人減)、その他サービス業(同14万人減)等で減少した。

また、3月の新規求人(原数値)は、製造業は前年同月比37.4%増、教育,学習支援業は同14.7%増、その他サービス業は同13.0%増、医療,福祉は同7.2%増、生活関連サービス業,娯楽業は同5.6%増、情報通信業は同4.1%増、運輸業,郵便業は同2.8%増、卸売業,小売業は同2.2%増、学術研究,専門・技術サービス業は同0.5%増と増加したのに対し、宿泊業,飲食サービス業は同9.0%減、建設業は同7.5%減と減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では2月に前月比0.7%増となった後、3月は同1.6%増、調査産業計では2月に前月比0.3%増となった後、3月は同0.9%増となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では13%ポイント(12月調査より3%ポイント低下)となり、6四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2009年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は43%となり2009年7〜9月期から2%ポイント低下した(第15図)。また、2010年1〜3月期に実施予定の事業所割合は43%、2010年4〜6月期に実施予定の事業所割合は38%となっている。

賃金・労働時間

(1)3月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は275,961円で、前年同月比1.0%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.2%増、パートタイム労働者は同1.1%増となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.2%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同0.9%増)となったほか、所定外給与は同12.8%増、特別給与は同11.6%増となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.6%増(一般労働者同0.8%増、パートタイム労働者同0.9%増)となった。

(2)3月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は147.8時間で、前年同月比3.3%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比3.8%増、パートタイム労働者は同1.2%増となった。

内訳をみると、所定内労働時間は137.5時間で前年同月比2.5%増(一般労働者同3.0%増、パートタイム労働者同1.3%増)、所定外労働時間は10.3時間で同14.5%増(一般労働者同15.7%増、パートタイム労働者同横ばい)となった。なお、月間出勤日数は19.1日で前年同月差0.4日増となった。

3月の製造業の所定外労働時間は14.0時間で、前年同月比57.3%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比85.8%増、100〜499人規模で同51.9%増、30〜99人規模で同52.1%増、5〜29人規模で同41.6%増となった(第17図)。

5月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:39KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:364KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:177KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,188KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されています。(次のアイコンをクリックしてください。) Get Adobe Reader


トップへ