厚生労働省

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1月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

・輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。

・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。

・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。

・雇用情勢は、依然として厳しい。

・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。

・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい(第1図)。

・完全失業率は、平成21年11月は前月差0.1ポイント上昇し5.2%となり、高水準で推移している。

・15〜24歳層の完全失業率は、上昇している。

・新規求人数は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・有効求人倍率は、横ばい圏内となった。

・雇用者数はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・製造業の残業時間は、生産が持ち直していることを反映し、増加している。

・定期給与は横ばい圏内で推移しているものの、現金給与総額は減少傾向にある。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直している。

2009年11月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、2.2%増と9か月連続で上昇した(第2図)。

業種別にみると、2009年11月は輸送機械工業、一般機械工業、その他工業等が上昇し、金属製品工業、食料品・たばこ工業、電子部品・デバイス工業等が低下した。

出荷は前月比0.9%増と上昇した。在庫は前月比0.4%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は12月3.4%増の後、平成22年1月は1.3%増となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、持ち直しの動きが続いている。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、10月0.7%増の後、11月0.1%増となった。うち勤労者世帯では、10月1.9%減から、11月0.9%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は10月72.4%の後、11月73.2%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2009年10〜12月期(季節調整済前期差)は1.6ポイント低下し、38.6となった。
なお、12月(原数値前年同月差)は11.4ポイント上昇し、37.6となった。

11月の小売業販売額(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、0.2%増、大型小売店販売額は0.9%減となった。
また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、11月24.7%増の後、12月27.3%増となった。

先行きについては、経済対策の効果が引き続き見込まれるものの、雇用・所得環境が厳しいなどの影響を注視する必要がある。

[2]設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年4〜6月期季節調整済前期比4.7%減の後、2009年7〜9月期同8.8%減(うち製造業同15.9%減、非製造業同4.8%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、全規模の2009年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で18.8%減、製造業は30.6%減、非製造業は12.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2009年10月は4.5%減の後、11月は11.3%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2009年10月は季節調整済前月比11.2%増の後、11月は同34.7%増となっている。

先行きについては、厳しい企業収益の状況、世界景気の先行き不透明感などを背景に、当面、低調に推移する可能性が高い。

[3]住宅建設は、このところ持ち直しの動きがみられる。

新設住宅着工戸数をみると、2009年10月は季節調整済前月比9.0%増、11月は同4.7%増の6.6万戸(年率79.8万戸)と3か月連続で増加した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2009年10月は季節調整済前月比5.1%増の後、11月は同4.7%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が厳しいものの、経済対策の効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4]公共投資は、堅調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2009年10月は17.3%減の後、11月は9.3%増となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、2009年11月は横ばいとなった後、12月は10.3%増となっている。

先行きについては、予算や事業の見直しに伴う影響等を見極める必要がある。

[5]輸出は、アジア向けを中心に、増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年10月は9.2%増の後11月は横ばいとなっており、四半期別では、2009年4〜6月期10.8%増の後、2009年7〜9月期10.5%増となった(第6図)。

地域別には、アジア向けの輸出は、大幅に増加している。アメリカ向けの輸出は、持ち直している。EU向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。

先行きについては、世界の景気が緩やかに持ち直していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、持ち直している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年10月は5.7%減の後、11月は8.6%増となっており、四半期別では、2009年4〜6月期1.5%減の後、2009年7〜9月期9.8%増となった(第6図)。

地域別には、アジアからの輸入は、増加している。アメリカからの輸入は、持ち直している。 EUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

(3)国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。

12月の国内企業物価(速報)は、前月比0.1%上昇(前年同月比3.9%下落)となり、輸出物価は同0. 1%下落(同0.1%上昇)、輸入物価は同3.0%上昇(同3.6%上昇)となった。

11月の消費者物価は、総合が前年同月比1.9%下落(前月比0.2%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同1.7%下落(同0.2%下落)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4)企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。また、企業の業況判断は、依然として厳しい状態にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年4〜6月期53.0%減の後、2009年7〜9月期32.4%減(製造業69.3%、非製造業7.8%減)、季節調整値で2009年4〜6月期18.4%増の後、2009年7〜9月期26.8%増(製造業については、前期の季節調整値が負数のため算出できない。非製造業2.2%増)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2009年度の経常利益計画(前年度比)は、2009年度通期では全産業16.1%の減益、 製造業33.7%の減益、非製造業7.7%の減益となっている。なお、2009年度上期では、全産業52.8%の減益、製造業85.1%の減益、非製造業24.3%の減益の後、下期では全産業91.3%の増益、製造業は利益、非製造業15.7%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業▲32ポイント(6ポイント改善)、製造業▲32ポイント(11ポイント改善)、非製造業▲30ポイント(3ポイント改善)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2009年12月1,136件で、前年同月比16.5%減となった。

(5)2009年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.3%増(年率1.3%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.1%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.4%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.9%減となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]11月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、10月に前月差20万人減となった後、11月は同3万人増と増加し、6,247万人(原数値は6,260万人、前年同月差131万人減 )となった。男女別には、男性が3,623万人(前月差1万人増)、女性が2,624万人(同2万人増)となった(第11表)。

11月の雇用者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

雇用者数(季節調整値)は、10月に前月差12万人減となった後、11月は同1万人減と減少し、5,453万人(原数値は5,466万人、前年同月差85万人減)となった(第13図)。男女別には、男性が3,145万人(前月差6万人増)、女性が2,308万人(同7万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,696万人(前年同月差76万人減)、臨時雇・日雇が770万人(同9万人減)となった。

11月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済値、確報)は、前月と同水準であった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.2%減、パートタイム労働者は同0.5%増となった。

[2]11月の完全失業率(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で上昇した。

完全失業率(季節調整値)は、10月に前月差0.2ポイント低下の 5.1%となった後、11月は同0.1ポイント上昇の5.2%(原数値は5.0%、前年同月差1.1ポイント上昇)となった。男女別には、男性が5.4%(前月差0.1ポイント上昇)、女性が4.9%(同0.1ポイント上昇)となった。

11月の完全失業者数(季節調整値)は、4ヶ月ぶりに前月差で増加した。

完全失業者数(季節調整値)は、10月に前月差16万人 減となった後、11月は同6万人増の342万人(原数値は331万人、前年同月差75万人増)となった。男女別には、男性が208万人(前月差5万人増)、女性が136万人(同3万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、 11月は非自発的理由による離職失業者は148万人(前年同月差57万人増)、自発的理由による離職失業者は101万人(同7万人増)、学卒未就職者は13万人(同4万人増)、その他の理由による失業者は65万人(同7万人増)となった(第11表)。

[3]11月の労働力人口(季節調整値)は、3ヶ月ぶりに前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、10月に前月差37万人減となった後、11月は同5万人増の6,587万人(原数値は6,591万人、前年同月差55万人減)となった。

11月の非労働力人口(季節調整値)は、3ヶ月ぶりに前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、10月に前月差40万人増となった後、11月は前月差6万人減の4,463万人(原数値は4,462万人、前年同月差59万人増)となった。男女別には、男性が1,511万人(前月差5万人減)、女性が2,952万人(同1万人減)となった。

労働力人口比率(原数値)は、11月は59.6%(前年同月差0.5ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.6%(同0.9ポイント低下)、女性が48.5%(前年と同水準)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、11月は56.6%(前年同月差1.2ポイント低下)となった。

(2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比0.3%増と4ヶ月連続で増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.9%減と3ヶ月連続で減少した。

11月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.45倍と前月より0.01ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比0.3%増であった。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比2.2%減と2ヶ月ぶりに減少した。

11月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.80倍と前月より0.02ポイント上昇した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.27倍(前年同月差0.23ポイント低下)となった。

新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、11月は一般は前月比1.6%減と2ヶ月連続で減少し、パートについては同3.7%減と3ヶ月ぶりに減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比3.6%減と3ヶ月ぶりに減少し、パートについては同1.5%増と3ヶ月ぶりに増加した。

(3)産業別にみると、11月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差16万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同14万人増、運輸業,郵便業は同11万人増、情報通信業は同10万人増、宿泊業,飲食サービス業は同10万人増、教育,学習支援業は同8万人増と増加したのに対し、製造業は同74万人減、卸売業,小売業は同45万人減、その他サービス業は同24万人減、建設業は同19万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同19万人減であった。

また、11月の新規求人(原数値)は、情報通信業は前年同月比36.1%減、宿泊業,飲食サービス業は同25.0%減、卸売業,小売業は同16.6%減、製造業は同16.2%減、建設業は同15.6%減、学術研究,専門・技術サービス業は同14.9%減、その他サービス業は同14.1%減、生活関連サービス業,娯楽業は同12.3%減、医療,福祉は同8.6%減、運輸業,郵便業は同6.0%減、教育,学習支援業は同1.1%減とすべての主要産業で減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では10月に前月比3.5%増となった後、11月は同2.6%増、調査産業計では10月に前月比1.4%増となった後、11月は同0.1%増となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では16%ポイント(9月調査より4%ポイント低下)となり、5四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2009年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は45%となり2009年4〜6月期から4%ポイント低下した(第15図)。また、2009年10〜12月期に実施予定の事業所割合は41%、2010年1〜3月期に実施予定の事業所割合は37%となっている。

賃金・労働時間

(1)11月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は278,328円で、前年同月比2.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.9%減、パートタイム労働者は同1.3%減となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比1.2%減(一般労働者同0.7%減、パートタイム労働者同0.9%減)となったほか、所定外給与は同6.2%減、特別給与は同14.4%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比1.5%減(一般労働者同1.0%減、パートタイム労働者同1.0%減)となった。

(2)11月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は146.5時間で、前年同月比1.3%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.7%減、パートタイム労働者は同1.2%減となった。

内訳をみると、所定内労働時間は136.7時間で前年同月比0.7%減(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同1.0%減)、所定外労働時間は9.8時間で同8.5%減(一般労働者同7.6%減、パートタイム労働者同6.8%減)となった。なお、月間出勤日数は19.1日で前年同月差0.2日減となった。

11月の製造業の所定外労働時間は13.0時間で、前年同月比8.3%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比3.6%減、100〜499人規模で同8.4%減、30〜99人規模で同11.6%減、5〜29人規模で同16.2%減となった(第17図)。

1月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:99KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:499KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:176KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,073KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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