厚生労働省

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12月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、悪化している。

・輸出は、減少している。生産は、大幅に減少している。

・企業収益は、大幅に減少している。設備投資は、減少している。

・雇用情勢は、急速に悪化しつつある。

・個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きもみられる。

先行きについては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動の影響など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、急速に悪化しつつある(第1図)。

・完全失業率は、平成20年10月は前月差0.3ポイント低下し、3.7%となった。

・15〜24歳層の完全失業率は、高水準ながら低下傾向で推移している。

・有効求人倍率は、大幅に低下している。

・新規求人数は、減少している。

・就業者数は季節調整値で2か月ぶりに増加した。雇用者数は季節調整値で2か月ぶりに増加した。

・製造業の残業時間は、減少している。

・定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額は弱い動きとなっている。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、大幅に減少している。

10月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、3.1%減と2か月ぶりに低下した(第2図)。

業種別にみると、10月は輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業等が低下し、情報通信機械工業、石油・石炭製品工業、窯業・土石製品工業が上昇した。

出荷は前月比3.0%減と低下した。在庫は前月比1.8%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は11月6.4%減の後、12月は2.9%減となっている。

先行きについては、需要が減少し、在庫率も高まっていることから、当面、大幅な減少が続くとものと見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、11月、12月ともに減少が見込まれている。

(2)最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きもみられる。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、9月1.7%増の後、10月1.4%減となった。うち勤労者世帯では、9月0.4%減の後、10月2.8%減となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は9月74.3%の後、10月69.6%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2008年7〜9月期(季節調整済前期差)は1.1ポイント低下し、31.2となった。なお、11月(原数値前年同月差)は11.4ポイント低下し、28.4となった。

10月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.6%減、大型小売店販売額は1.7%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、10月6.3%減の後、11月18.9%減となった。

[2]設備投資は、減少している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2008年4〜6月期季節調整済前期比7.0%減の後、2008年7〜9月期同3.5%減(うち製造業同2.0%減、非製造業同4.6%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、全規模の2008年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で2.8%減、製造業は0.0%の横ばい、非製造業は4.3%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で9月は5.5%増の後、10月は4.4%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、9月は季節調整済前月比15.3%減の後、10月は同8.8%増となっている。

先行きについては、企業収益が大幅に減少し、世界の景気の一層の下振れ懸念など先行き不透明感が高まるなかで、当面、減少傾向が続くと見込まれる。

[3]住宅建設は、弱含んでいる。

新設住宅着工総戸数をみると、9月季節調整済前月比0.4%減、10月は同8.9%減の8.6万戸(年率102.7万戸)と3か月連続で減少した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、9月季節調整済前月比1.1%増の後、10月は同10.8%減となった。

先行きについては、雇用情勢が急速に悪化しつつあり、所得が弱い動きとなっていること、マンション販売在庫数が高い水準にあること等に留意する必要がある。

[4]公共投資は、総じて低調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、9月は6.4%減の後、10月は29.2%増となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、10月前年同月比0.4%減の後、11月は同2.8%減となっている。先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

[5]輸出は、減少している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で9月は4.7%減の後、10月は5.6%減となっており、四半期別では、平成20年4〜6月期1.6%減の後、平成20年7〜9月期0.3%減となった(第6図)。

地域別には、アジア向け輸出は、減少している。アメリカ向け輸出は、全体として減少している。EU向け輸出は、横ばいとなっている。先行きについては、世界経済が一段と減速するなかで、当面、減少傾向が続くと見込まれる。

輸入は、弱含んでいる。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で9月は0.4%減の後、10月は1.3%増となっており、四半期別では、平成20年4〜6月期0.2%減の後、平成20年7〜9月期1.9%減となった(第6図)。

地域別には、アジアからの輸入は、緩やかに減少している。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、横ばいとなっている。

(3)国内企業物価は、下落している。消費者物価は、石油製品価格が下落しているが、それを除いた基調としては横ばいとなっている。

11月の国内企業物価(速報)は、前月比1.9%下落(前年同月比2.8%上昇)となり、輸出物価は同4.4%下落(同10.4%下落)、輸入物価は同12.2%下落(同8.6%下落)となった。

10月の消費者物価は、総合が前年同月比1.7%上昇(前月比0.1%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同1.9%上昇(同0.2%下落)となった(第7図)。

(4)企業収益は、大幅に減少している。また、企業の業況判断は、大幅に悪化している。倒産件数は、増加している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2008年4〜6月期5.2%減の後、2008年7〜9月期22.4%減(製造業27.6%減、非製造業18.5%減)、季節調整値で2008年4〜6月期11.3%増の後、2008年7〜9月期18.9%減(製造業20.3%減、非製造業17.9%減)となった。

また、日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2008年度の経常利益計画(前年度比)は、2008年度通期では全産業19.1%の減益、製造業22.4%の減益、非製造業16.2%の減益となっている。なお、2008年度上期では、全産業16.2%の減益、製造業16.7%の減益、非製造業15.8%の減益の後、下期では全産業22.1%の減益、製造業28.8%の減益、非製造業16.7%の減益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業−24ポイント(10ポイント悪化)、製造業−25ポイント(14ポイント悪化)、非製造業−23ポイント(7ポイント悪化)となっており、全産業、製造業、非製造業のいずれもで悪化となっている(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、11月1,277件で、前年同月比5.2%増となった。

(5)2008年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.5%減(年率1.8%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.3%減、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.2%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.7%減となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]10月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、9月に前月差11万人減となった後、10月は同7万人増と増加し、6,355万人(原数値は6,388万人、前年同月差36万人減)となった。男女別には、男性が3,722万人(前月差11万人増)、女性が2,633万人(同4万人減)となった(第11表)。

10月の雇用者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、9月に前月差14万人減となった後、10月は同9万人増と増加し、5,526万人(原数値は5,542万人、前年同月差19万人増)となった(第13図)。男女別には、男性が3,224万人(前月14万人増)、女性が2,302万人(同5万人減)となった(第11表)。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,770万人(前年同月差29万人増)、臨時雇が664万人(同3万人減)、日雇が108万人(同6万人減)となった。

10月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済値、確報)は、前月比0.1%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.1%増、パートタイム労働者は前月比0.2%減となった。

[2]10月の完全失業率(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で低下した。

完全失業率(季節調整値)は、9月に前月差0.2ポイント低下の4.0%となった後、10月は前月差0.3ポイント低下の3.7%(原数値は3.8%、前年同月差0.2ポイント低下)となった。男女別には、男性が3.9%(前月差0.2ポイント低下)、女性が3.5%(同0.4ポイント低下)となった。

10月の完全失業者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

完全失業者数(季節調整値)は、9月に前月差9万人減となった後、10月は前月差22万人減の244万人(原数値は255万人、前年同月差16万人減)となった。男女別には、男性が151万人(前月差8万人減)、女性が95万人(同12万人減)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、10月は非自発的理由による離職失業者は86万人(前年差4万人減)、自発的理由による離職失業者は97万人(同6万人減)、学卒未就職者は10万人(同1万人減)、その他の理由による失業者は58万人(同4万人減)となった(第11表)。

[3]10月の労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

労働力人口(季節調整値)は、9月に前月差20万人減となった後、10月は同15万人減と減少し、6,599万人(原数値は6,643万人、前年同月差52万人減)となった。

10月の非労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。

非労働力人口(季節調整値)は、9月に前月差20万人増となった後、10月は同15万人増と増加し、4,447万人(原数値は4,406万人、前年同月差56万人増)となった。男女別には、男性が1,471万人(前月と同水準)、女性が2,976万人(同15万人増)となった。

労働力人口比率(原数値)は、10月は60.1%(前年同月差0.5ポイント低下)となった。男女別には、男性が72.8%(同0.5ポイント低下)、女性が48.2%(同0.4ポイント低下)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、10月は57.8%(前年同月差0.3ポイント低下)となった。

(2)有効求人数(季節調整値)は、前月比2.1%減と5ヶ月連続で減少した。

有効求職者数(季節調整値)は、前月比2.0%増と6ヶ月連続で増加した。

10月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.80倍と前月より0.04ポイント低下した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比2.3%減と3ヶ月連続で減少した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比3.1%増と2ヶ月ぶりに増加した。

10月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.14倍と前月より0.07ポイント低下した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.52倍(前年同月差0.10ポイント低下)となった。

新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、10月は一般は前月比3.5%減と5ヶ月連続で減少し、パートについては同1.1%増と3ヶ月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比3.3%増と2ヶ月ぶりに増加し、パートについては同3.3%増と2ヶ月ぶりに増加した。

(3)産業別にみると、10月の就業者数(原数値)は、サービス業は前年同月差28万人増、情報通信業は同15万人増、医療,福祉は同13万人増、卸売・小売業は同9万人増、教育,学習支援業は同1万人増と増加したのに対し、製造業は同44万人減、運輸業は同15万人減、飲食店,宿泊業は同14万人減、建設業は同11万人減、と減少した。

また、10月の新規求人(原数値)は、医療,福祉は前年同月比2.1%増と増加したのに対し、サービス業は同31.4%減、製造業は同30.7%減、運輸業及び情報通信業は同19.3%減、卸売・小売業は同18.9%減、建設業は同13.4%減、教育,学習支援業は同10.9%減、飲食店,宿泊業は同6.7%減と減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では9月に前月比0.2%増となった後、10月は同2.8%減、調査産業計では9月に前月比0.9%増となった後、10月は同1.8%減となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では4%ポイント(9月調査より6%ポイント上昇)となり、17四半期ぶりに過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2008年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は16%となり2008年4〜6月期から2%ポイント上昇した(第15図)。また、2008年10〜12月期に実施予定の事業所割合は18%、2009年1〜3月期に実施予定の事業所割合は15%となっている。

賃金・労働時間

(1)10月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は275,454円で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.1%減、パートタイム労働者は同1.4%増となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同1.5%増)となったほか、所定外給与は同3.1%減、特別給与は同5.6%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.1%増(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同1.5%増)となった。

(2)10月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は152.5時間で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.3%増、パートタイム労働者は同0.7%減となった。

内訳をみると、所定内労働時間は141.9時間で前年同月比0.5%増(一般労働者同0.7%増、パートタイム労働者同0.6%減)、所定外労働時間は10.6時間で同4.5%減(一般労働者同4.2%減、パートタイム労働者同3.6%減)となった。なお、月間出勤日数は19.7日で前年同月差横ばいとなった。

10月の製造業の所定外労働時間(確報)は15.1時間で、前年同月比11.1%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比13.3%減、100〜499人規模で同10.4%減、30〜99人規模で同4.2%減、5〜29人規模で同19.1%減となった(第17図)。

12月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:89KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:408KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:168KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:8,125KB))

問合わせ先

政策統括官付労働政策担当参事官室分析第二係

電話03(5253)1111内線7732

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