景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している。

• 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
• 雇用情勢は、厳しさが残るものの、着実に改善している。
• 個人消費は、持ち直している。
• 輸出は、緩やかに増加している。生産は、横ばいとなっている。

先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

労働経済面をみると、完全失業率は低下傾向で推移し、３％台後半となるなど（第１図）、雇用情勢は、厳しさが残るものの、着実に改善している。

• 完全失業率は、６月は前月比0.1％ポイント低下し、3.7％となった。
• 有効求人倍率は、このところ上昇している。
• 新規求人数は、やや減少している。
• 就業者数は季節調整値で２ヶ月連続で減少した。雇用者数は季節調整値で２ヶ月ぶりに増加した。
• 製造業の残業時間は、減少している。
• 定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額はやや弱含みで推移している。

６月の鉱工業生産（季節調整済前月比、速報、以下同じ）は、1.2％増と４ヶ月ぶりに上昇した（第２図）。

業種別にみると、６月は電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、情報通信機械工業等が上昇し、一般機械工業、電気機械工業、プラスチック製品工業等が低下した。

出荷は0.7％増と上昇した。在庫は0.3％減と低下した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は７月1.8％増の後、引き続き８月4.9％増となっている。

二人以上の世帯の実質消費支出（季節調整済前月比、速報、以下同じ）は、５月0.2％減の後、６月0.2％減となった。うち勤労者世帯では５月1.8％増の後、６月1.6％減となった。勤労者世帯の平均消費性向は５月（季節調整値）74.6％の後、６月70.4％となった（第３図）。

消費者態度指数の推移をみると、2007年４〜６月期（季節調整済前期差）は2.4ポイント低下し、44.3となった。なお、６月（原数値前年同月差）は2.2ポイント低下し、45.0となった。

６月の小売業販売額（季節調整済前月比、速報、以下同じ）は、0.8％減、大型小売店販売額は0.6％増となった。また、乗用車（軽を含む）の新車登録台数（原数値前年同月比）は、６月8.0％減の後、７月9.7％減となった。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2006年10〜12月期季節調整済前期比5.1％増の後、2007年１〜３月期同2.8％増(うち製造業同3.9％増、非製造業同2.1％増）となっており、全産業、製造業及び非製造業ともに５四半期連続で増加している（第４表）。

今後の動向については、日本銀行「企業短期経済観測調査」（６月調査）をみると、全規模の2007年度の設備投資計画（前年度比）は、全産業で3.1％増、製造業は5.5％増、非製造業1.8％増となっている。また、機械受注（船舶・電力を除く民需）は、季節調整済前月比で４月は2.2％増の後、５月は5.9％増となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物（民間）の工事予定額をみると、５月は季節調整済前月比5.4％増の後、６月は同28.6％増となっている。

先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

新設住宅着工総戸数をみると、５月季節調整済前月比10.6％減、６月は同17.3％増の11.3万戸（年率135.4万戸）と３ヶ月ぶりに増加した（第５図）。

新設住宅着工床面積は、５月季節調整済前月比12.4％減の後、６月は同16.0％増となった。

先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、４月6.3％減の後、５月は2.8％増となった。また、公共工事請負金額（保証事業会社協会「公共工事前払金保証統計」）をみると、５月前年同月比0.4％減の後、６月は同2.9％増となっている。

通関輸出（数量ベース、季節調整済前期比）は、月別で５月2.2％増の後、 ６月は2.0％増となっており、四半期別では、平成19年１〜 ３月期2.1％増の後、平成19年４〜６月期2.0％増となった（第６図）。

地域別には、アジア向け輸出は全体として増加、アメリカ向け輸出は減少、ＥＵ向け輸出は全体として緩やかに増加となっている。

輸入は、緩やかに減少している。

通関輸入（数量ベース、季節調整済前期比）は、月別で５月4.3％増の後、６月は2.4％減となっており、四半期別では、平成19年１〜３月期3.4％減の後、平成19年４〜６月期0.4％減となった（第６図）。

地域別には、アジアからの輸入は全体として緩やかに減少、アメリカからの輸入は横ばい、ＥＵからの輸入は、横ばいとなっている。

６月の国内企業物価（速報）は、前月比0.1％上昇（前年同月比2.3％上昇）となり、輸出物価は同1.2％上昇（同7.4％上昇）、輸入物価は同1.6％上昇（同11.5％上昇）となった。

６月の消費者物価は、総合が前年同月比0.2％下落（前月比0.2％下落）、生鮮食品を除く総合は同0.1％下落（同横ばい）となった（第７図）。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2006年10〜12月期8.3％増の後、2007年１〜３月期7.4％増（製造業7.2％増、非製造業7.6％増）、季節調整値で2006年10〜12月期前期比1.8％減の後、2007年１〜３月期同0.5％減（製造業5.5％減、非製造業3.6％増）となった。

また、日本銀行「企業短期経済観測調査」（６月調査）によれば、企業の全規模の2007年度の経常利益計画（前年度比）は、2007年度通期では全産業0.3％の減益、製造業0.1％の減益、非製造業0.4％の減益となっており、ほぼ前年並みを見込んでいる。なお、2007年度上期では、全産業4.8％の減益、製造業4.6％の減益、非製造業4.9％の減益の後、下期では全産業3.9％の増益、製造業4.1％の増益、非製造業3.8％の増益が見込まれている（第８表）。

企業の業況判断D.I.（「良い」−「悪い」）について日本銀行「企業短期経済観測調査」（６月調査）をみると、全規模で、全産業７ポイント（１ポイント悪化）、製造業１３ポイント（２ポイント悪化）、非製造業３ポイント（横ばい）となっており、全産業、製造業で悪化となっている（第９表）。

倒産件数（東京商工リサーチ調べ）は、６月1,185件で、前年同月比6.6％増となった。

有効求職者数（季節調整値）は、前月比0.2％増と２ヶ月連続で増加した。

６月の有効求人倍率（季節調整値）は、1.07倍と前月より0.01ポイント上昇した。

新規求人数（季節調整値）は、前月比0.9％減と２ヶ月ぶりに減少した。

新規求職者数（季節調整値）は、前月比0.4％減と２ヶ月ぶりに減少した。

６月の新規求人倍率（季節調整値）は、1.54倍と前月と同水準となった（第12表）。

正社員の有効求人倍率は、0.57倍（前年同月差0.01ポイント減）となった。

新規求人（季節調整値）を一般（除パート）とパートの別でみると、６月は一般は前月比1.8％減と３ヶ月ぶりに減少し、パートについては同2.2％増と２ヶ月連続で増加した。新規求職者数（季節調整値）は、一般は前月比0.3％減と２ヶ月ぶりに減少し、パートについては同1.2％減と３ヶ月ぶりに減少した。