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8月 月例労働経済報告


1 概況

(1)  一般経済の概況
 景気は、企業部門の改善が家計部門に広がり、堅調に回復している。

  ・ 輸出は増加し、生産も増加している。
  ・ 企業収益は大幅に改善し、設備投資は増加している。
  ・ 個人消費は、緩やかに増加している。
  ・ 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでいる。

 先行きについては、世界経済が回復し、国内民間需要が着実に増加していることから、景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格や世界的な金利の動向等が経済に与える影響には留意する必要がある。

(2)  労働経済の概況
 労働経済面をみると、完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移するなど(第1図)、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでいる。

  ・ 就業者数は2か月連続で減少した。雇用者数は増加傾向で推移していたが6月は減少した。
  ・ 完全失業率は4.6%と高水準ながらも低下傾向で推移している。
  ・ 有効求人倍率は、緩やかに上昇している。
  ・ 新規求人数は、基調としては横ばいとなっているものの、6月は増加した。
  ・ 所定外労働時間は、横ばいとなっている。

2 一般経済

(1)  鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、増加している。
 6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1.3%減と4か月ぶりに減少したものの、基調としては増加している(第2図)。情報化関連生産財や資本財を中心として増加の動きに広がりがみられる。業種別にみると、6月は、輸送機械工業、電気機械工業等で減少し、一般機械工業等で増加した。出荷は1.4%減と4か月ぶりに減少し、在庫は0.2%減と2か月連続で減少した。
 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は7月 1.6%増の後、8月は1.0%増となっている。

(2)  最終需要の動向をみると、

(1)  個人消費は、緩やかに増加している。
 全世帯の実質消費支出(速報)は4月季節調整済前月比5.7%増の後、5月は同0.6%減となった。勤労者世帯では5月季節調整済前月比2.7%減の後、6月は同3.5%減となった(前年同月比1.3%減)。勤労者世帯の消費支出を財(商品)・サービス別にみると、6月の財(商品)は実質で前年同月比5.4%減、サービスは同1.9%増となった。勤労者世帯の平均消費性向は5月季節調整値72.8%の後、6月同76.6%となった(第3図)。
 消費者態度指数の推移をみると、平成16年4〜6月期は季節調整済前期比0.7ポイント上昇し、43.5となった。なお、6月は前月比(原数値)3.4ポイント下降し、44.9となった。
 6月の小売業販売額(速報)は季節調整済前月比0.6%減、大型小売店販売額(速報)は同2.1%増となった。
 乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、6月前年同月比2.8%減の後、7月同1.2%増となった。

(2)  設備投資は、増加している。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、10〜12月期季節調整済前期比5.1%増の後、1〜3月期同2.9%増(うち製造業同4.6%増、非製造業同2.1%増)となっており、増加基調にある。
 今後の動向については、日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模の16年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で2.0%増、製造業は15.3%増、非製造業は3.3%減と全産業、製造業で2年連続の増加となっている。(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で5月は2.1%減と2か月ぶりに減少した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、5月季節調整済前月比9.2%減の後、6月は同26.5%増となっている。
 先行きについては、企業収益の改善が続くものと見込まれること等から、増加傾向で推移するものと見込まれる。
(3)  住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 新設住宅着工総戸数をみると、5月季節調整済前月比4.7%増の後、6月は同0.8%増の9.8万戸(年率118万戸)と2か月連続で増加した(第5図)。
新設住宅着工床面積は、6月季節調整済前月比2.7%増となった。
 先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などが回復していけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。
(4)  公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で4月19.1%減、5月15.8%減と17か月連続で減少が続いている。また、公共工事請負金額(保証事業会社協会「公共工事前払金保証統計」)をみると、5月前年同月比23.2%減のあと、6月同2.2%減と前年を下回っている。
(5)  輸出は、増加している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で5月2.7%増の後、6月は1.9%減となっており、四半期別では、1〜3月期2.2%増の後、4〜6月期4.9%増となった(第6図)。
 地域別には、アジア向け輸出は基調として増加しており、アメリカ向け輸出は横ばいとなっており、EU向け輸出は基調として増加している。
 輸入は、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で5月6.2%減の後、 6月は9.8%増となっており、四半期別では、1〜3月期0.4%増の後、4〜6月期3.8%増となった(第6図)。
 地域別には、アジアからの輸入は緩やかに増加しており、アメリカからの輸入は基調として減少しており、EUからの輸入は増加している。

(3)  国内企業物価は、原油など素材価格の上昇により、上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。
 6月(速報)の国内企業物価は、前月比0.3%上昇(前年同月比1.4%上昇)となり、輸出物価は同1.5%下落(同3.4%下落)、輸入物価は0.4%下落(同5.3%上昇)となった。
 6月の消費者物価は、総合が前年同月比横ばい(前月比0.2%上昇)、生鮮食品を除く総合が同0.1%下落(同0.1%上昇)となった(第7図)。

(4)  企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、一段と改善している。倒産件数は、減少している。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、季節調整値で10〜12月8.8%増の後、1〜3月4.0%増(製造業8.2%増、非製造業1.5%増)となった。なお、前年同期比は、1〜3月全産業24.6%増(製造業25.1%増、非製造業24.3%増となった。)。
 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の16年度の経常利益計画(前年同期比)は、16年度通期では全産業10.1%の増益、製造業12.0%の増益、非製造業8.6%の増益と、製造業、非製造業とも3年連続の増益を見込んでいる。なお、16年度上期では、全産業11.6%の増益、製造業9.8%の増益、非製造業13.1%の増益の後、下期では全産業8.9%の増益、製造業13.7%の増益、非製造業5.5%の増益が見込まれている(第8表)。
 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模で全産業0ポイント(5ポイント改善)、製造業10ポイント(6ポイント改善)、非製造業-8ポイント(3ポイント改善)となっており、製造業・非製造業ともに改善がみられる(第9表)なお、全規模・全産業でマイナスを脱したのは1992年以来である。
 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、6月1,078件(前年同月比21.9%減)となっている。1,100件を下回り、平成11年2月以来の低い水準となっている。

(5)  平成16年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.5%増(年率6.1%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.3%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.2%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.0%増となった(第10図)。なお、平成15年度実質GDPの成長率は、前年度比3.2%増となった。

3 雇用・失業

(1)
(1)  就業者数(季節調整値)は、6月は2か月連続で前月比で減少した。
就業者数(季節調整値)は、5月は前月差11万人減の後、6月は同38万人減となり、6315万人(原数値は6374万人、前年同月差37万人減)となった。男女別には、6月は男性が3712万人(前月差24万人減)、女性が2603万人(同12万人減)となった。
 雇用者数(季節調整値)は、6月は2か月連続で前月比で減少した。
 雇用者数(季節調整値)は、5月は前月差2万人減の後、6月は同53万人減となり、5342万人(原数値は5371万人、前年同月差2万人減)となった。男女別には、6月は男性が3144万人(前月差44万人減)、女性が2197万人(前月差10万人減)となった(第11表)。雇用形態別(原数値)には、6月は常雇が4649万人(前年同月差10万人増)、臨時雇が609万人(同7万人減)、日雇が114万人(同4万人減)となっている。
 常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、6月は前月比で増加した。
 常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、6月は前月比で0.1%増となった。また、一般、パート別にみると、一般労働者は前月比0.1%増、パートタイム労働者は同0.3%減となった。

(2)  6月の完全失業率(季節調整値)は前月同水準の4.6%となった。
 男女別には、男性が4.9%(前月差0.2%ポイント上昇)、女性が4.2%(前月0.2%ポイント低下)となった。
 6月の完全失業者数(季節調整値)は、前月同水準の305万人(原数値は309万人、前年同月差52万人減)となり、引き続き高水準で推移している。
 男女別には、男性が190万人(前月差5万人増)、女性が114万人(同7万人減)となった。
 なお、求職理由別(原数値)にみると、6月は、非自発的理由による離職者は119万人(前年同月差40万人減)、自発的理由による離職者は101万人(同13万人減)、その他の理由による失業者は67万人(同5万人増)となった(第11表)。

(3)  6月の労働力人口(季節調整値)は、前月差36万人減の6620万人(原数値は6683万人、前年同月差88万人減)となった。
 非労働力人口(季節調整値)は、前月差17万人増の4350万人(原数値は4285万人、前年同月差95万人増)となった。男女別には、男性が1404万人(前月差8万人増)、女性が2946万人(同8万人増)となった。
 労働力率(原数値)は、6月は、60.9%(前年同月差0.8%ポイント低下)となった。男女別には、男性が73.8%(同1.0%ポイント低下)、女性が48.7%(同0.8%ポイント低下)となった(第11表)。

(2)  有効求人(季節調整値)は、前月比5.2%増と3か月ぶりに増加し、有効求職者数(季節調整値)は同2.6%増と3か月ぶりに増加となった。
 有効求人倍率(季節調整値)は、上昇傾向になっており、6月は0.82倍(前月差0.02ポイント上昇)となった。
 新規求人(季節調整値)は、基調としては横ばいとなっているものの、6月は増加した。
 新規求人(季節調整値)は6月は前月比17.7%増と3か月ぶりに増加した。
 新規求職者数(季節調整値)は前月比14.9%増と3か月ぶりに増加した。
 新規求人倍率(季節調整値)は、6月は1.29倍と前月より0.03ポイント上昇した第12表)。
 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)、パートの別でみると6月は、一般は前月比19.2%増と3か月ぶりに増加し、パートについても前月比15.2%増と3か月ぶりに増加した。新規求職(季節調整値)は、一般は前月比11.7%増と3か月ぶりに増加し、パートについても同28.0%増と3か月ぶりに増加した。
 常用新規求職者数(除パート、原数値)のうち事業主都合離職者は、6月は前年同月比21.2%減と20か月連続で減少した。
(3)  産業別にみると、6月の就業者数(原数値)は、製造業は前年同月差26万人減、建設業は同8万人減、運輸業は同22万人減、卸売・小売業は同34万人減、飲食店,宿泊業は同6万人減と減少したのに対し、情報通信業は前年同月差3万人増、医療,福祉は同31万人増、教育,学習支援業は同8万人増、サービス業は同25万人増と増加した。
 6月の新規求人(原数値)は建設業は前年同月比9.7%増、製造業は同23.8%増、情報通信業は同比28.5%増、運輸業は同17.8%増、卸売・小売業は同9.9%増、飲食店,宿泊業は同9.0%増、医療,福祉は同18.3%増、教育,学習支援事業は同11.1%増、サービス業は同38.1%増と全産業で増加している。

(4)  雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいとなっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では5月(確報値)は前月比1.9%増の後、6月(速報値)は同0.1%増となり、調査産業計では5月は前月比1.1%増の後、6月は同0.6%増となった。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では4%ポイント(3月調査と同水準)となり低下傾向にある(第13図)。
 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2004年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は17%となり2003年10〜12月期と同水準となった(第14図)。また、2004年4〜6月期に実施予定の事業所割合は15%、7〜9月期に実施予定の事業所割合は13%と低下が見込まれている。
 内閣府「景気ウォッチャー調査」による6月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は62.4で前月を0.8ポイント下回った。


4 賃金・労働時間

(1)  6月の現金給与総額(産業計、速報、以下同じ)は460,922円で、前年同月比 2.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.2%減、パートタイム労働者は0.8%増となった。
 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.5%減(一般労働者同0.2%増、パートタイム労働者同1.5%増)となったほか、所定外給与は同4.8%増、特別給与は同5.6%減となり、実質賃金は同2.4%減となった(第15図)。

(2)  6月の総実労働時間(産業計、速報、以下同じ)は156.8時間で、前年同月比 0.2%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.4%増、パートタイム労働者は同1.6%増となった。
 内訳をみると、所定内労働時間は146.8時間で前年同月比0.3%減(一般労働者同0.2%増、パートタイム労働者同1.4%増)、所定外労働時間は10.0時間で同 4.1%増となった。なお、月間出勤日数は20.4日で前年同月差は0.1日減となった。
 6月の製造業の所定外労働時間(速報)は15.7時間で、前年同月比10.2%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比10.4%増、100〜499人規模で13.9%増、30〜99人規模で同13.9%増、5〜29人規模で同5.6%増となった(第16図)。


8月の主要変更点

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表)

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表)


問合わせ先
政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係
電話 03(5253)1111 内線7732


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