1 概況
(1) | 一般経済の概況 景気は、おおむね横ばいとなっている。株価やアメリカ経済の動向など、我が国の景気をめぐる環境に変化の兆しがみられる。
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、今後の株価・長期金利や海外経済の動向には留意する必要がある。 |
||||||||||
(2) | 労働経済の概況 労働経済面をみると、完全失業率が高水準で推移するなど(第1図)、依然として厳しいものの、一部に持ち直しの動きがみられる。
|
2 一般経済
(1) | 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、横ばいとなっている。 6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1.2%減と2か月ぶりに減少となった(第2図)。年初より弱含んでいたが、情報化関連生産財が堅調に推移していること等により、横ばいとなっている。業種別にみると、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、金属製品工業等が減少した。出荷は0.6%減と3か月ぶりに減少し、在庫は1.1%減と2か月ぶりに減少した。 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は7月 0.7%増の後、8月は2.7%増となっている。 |
||||||||||
(2) | 最終需要の動向をみると、
|
||||||||||
(3) | 国内企業物価は、弱含んでいる。消費者物価は、横ばいとなっている。 6月の国内企業物価は、前月比0.1%下落(前年同月比1.0%下落)となり、輸出物価は同0.7%上昇(同0.9%下落)、輸入物価は同0.9%上昇(同横ばい)となった。 6月の消費者物価は、総合が前年同月比0.4%下落(前月比0.3%下落)、生鮮食品を除く総合が同0.4%下落(同0.1%下落)となった(第7図)。 |
||||||||||
(4) | 企業収益は、緩やかな改善が続いている。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、緩やかに減少している。 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、季節調整値で10~12月4.2%増と5期連続で増加の後、1~3月3.1%減(製造業9.6%減、非製造業1.7%増)となった。 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」によれば、企業の15年度の経常利益計画(前年同期比)は、上期製造業16.7%の増益、非製造業2.0%の減益の後、下期製造業13.5%の増益、非製造業13.0%の増益が見込まれている(第8表)。 企業の業況判断D.I.(「良い」-「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」をみると、非製造業では改善に足踏みがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら引き続き改善がみられる(第9表)。 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、6月1,381件(前年同月比4.0%減)となっている。セーフティネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、緩やかに減少している。 |
||||||||||
(5) | 平成15年1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.1%(年率0.6%)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は-0.1%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.4%減となった(第10図)。 |
3 雇用・失業
(1) |
|
||||||
(2) | 有効求人(季節調整値)は、6月は前月比2.2%増と3か月連続で増加し、有効求職者数(季節調整値)は同2.5%増と3か月ぶりに増加した。有効求人倍率(季節調整値)は、おおむね横ばいとなっており、6月は0.61倍と前月と同水準になった。 新規求人(季節調整値)は、横ばいとなっていたが、再び増加傾向となっている。新規求人(季節調整値)は5月前月比0.6%増の後、6月は同4.1%増と3か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は5月前月比4.2%増の後、6月は7.8%増と3か月連続で増加した。新規求人倍率(季節調整値)は、6月は0.96倍と前月より0.03ポイント低下した(第12表)。 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)、パートの別でみると6月は、一般は前月比4.3%増と3か月連続で増加し、パートは同3.8%増と3か月ぶりに増加した。新規求職(季節調整値)は、一般は前月比8.1%増と3か月連続で増加し、パートは同6.2%増と2か月連続で増加した 常用新規求職者数(除パート、原数値)のうち事業主都合離職者は、6月は前年同月比2.9%減と9か月連続で減少した。 |
||||||
(3) | 産業別にみると、6月の就業者数(原数値)は、建設業は前年同月差3万人減、製造業は同41万人減、飲食店,宿泊業は13万人減と減少したのに対し、運輸業は同3万人増、卸売・小売業は同3万人増、医療,福祉は同40万人増、サービス業は同16万人増と増加している。 6月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比0.8%増、製造業は同11.0%増、運輸・通信業は同10.0%増、卸売・小売業,飲食店は同6.9%増、サービス業は同20.2%増と増加している。 |
||||||
(4) | 雇用の先行指標と考えられる製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいとなっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では、5月(確報値)前月比2.5%増の後、6月(速報値)前月比1.1%減となり、調査産業計では、5月前月比2.0%増の後、6月は同0.5%減となった。 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断DI (「過剰」-「不足」)は、やや高まった(第13図)。 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、1~3月期に雇用調整を実施した事業所割合は22%、4~6月期に実施予定の事業所割合は23%、2003年7~9月期に実施予定の事業所割合は19%と引き続き低下が見込まれている。 内閣府「景気ウォッチャー調査」による6月の2~3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は50.5で前月を4.5ポイント上回り、3か月連続で上昇した。 |
4 賃金・労働時間
(1) | 6月の現金給与総額(産業計、速報、以下同じ)は478,445円で、前年同月比
1.7%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.8%増、パートタイム労働者は1.4%増となった。 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同1.1%増)となったほか、所定外給与は同3.0%増、特別給与は同4.1%増となり、実質賃金は同2.2%増となった(第15図)。 |
(2) | 6月の総実労働時間(産業計、速報、以下同じ)は158.3時間で、前年同月比
1.4%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.6%増、パートタイム労働者は1.2%増となった。 内訳をみると、所定内労働時間は148.7時間で前年同月比1.3%増(一般労働者同1.4%増、パートタイム労働者は1.1%増)、所定外労働時間は9.6時間で同4.4%増となった。なお、月間出勤日数は20.6日で前年同月差は0.2日増となった。 6月の製造業の所定外労働時間(速報)は14.3時間で、前年同月比8.3%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比8.7%増、100~499人規模で7.4%増、30~99人規模で同11.0%増、5~29人規模で同11.1%増となった(第16図)。 |
(注) | 日本標準産業分類の改訂に伴い、総務省統計局「労働力調査」に係る表記は、平成15年1月結果の公表以降、新産業分類で表記し、平成14年以前の対前年同月増減については、改訂による影響のない又は小さい産業について表章している。 なお、8月月例労働経済報告に掲載されている資料出所において「労働力調査」以外の資料出所においては、旧産業分類に基づいて表記されている。 |
問合わせ先 政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係 電話 03(5253)1111 内線7732