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8月 月例労働経済報告

1 概況

(1)  一般経済の概況
 景気は、おおむね横ばいとなっている。株価やアメリカ経済の動向など、我が国の景気をめぐる環境に変化の兆しがみられる。
  ・ 輸出はこのところ弱含みとなっている一方、生産は横ばいとなっている。
  ・ 企業収益は緩やかな改善が続いており、設備投資は緩やかな持ち直しが続いている。
  ・ 企業収益は緩やかな改善が続いており、設備投資は緩やかな持ち直しが続いている。
  ・ 雇用情勢は、依然として厳しいものの、一部に持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、今後の株価・長期金利や海外経済の動向には留意する必要がある。

(2)  労働経済の概況
 労働経済面をみると、完全失業率が高水準で推移するなど(第1図)、依然として厳しいものの、一部に持ち直しの動きがみられる。
  ・ 就業者数及び雇用者数は、持ち直している。
  ・ 完全失業率は5.3%と高水準で推移している。
  ・ 有効求人倍率は、おおむね横ばいとなっている。
  ・ 新規求人数は、横ばいとなっていたが、再び増加傾向となっている。
  ・ 所定外労働時間は、横ばいとなっている。

2 一般経済

(1)  鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、横ばいとなっている。
 6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1.2%減と2か月ぶりに減少となった(第2図)。年初より弱含んでいたが、情報化関連生産財が堅調に推移していること等により、横ばいとなっている。業種別にみると、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、金属製品工業等が減少した。出荷は0.6%減と3か月ぶりに減少し、在庫は1.1%減と2か月ぶりに減少した。
 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は7月 0.7%増の後、8月は2.7%増となっている。

(2)  最終需要の動向をみると、
(1)  個人消費は、おおむね横ばいで推移している。
 全世帯の実質消費支出(速報)は4月季節調整済前月比1.9%増の後、5月は同1.6%減となり、勤労者世帯では5月同2.2%減の後、6月は同4.8%増となった(前年同月比0.4%増)。勤労者世帯の消費支出を財(商品)・サービス別にみると、6月の財(商品)は実質で前年同月比0.9%増、サービスは同1.3%増となった。勤労者世帯の平均消費性向は5月季節調整値69.2%の後、6月同77.4%となった(第3図)。
 6月の小売業販売額(速報)は季節調整済前月比0.5%減、大型小売店販売額(速報)は同1.9%増となった。
 乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、6月前年同月比3.4%減の後、7月同0.7%減となった。
 内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整値)は6月37.3と前期に比べ1.2ポイント上昇した。
(2)  設備投資は、緩やかな持ち直しが続いている。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、季節調整値で平成14年10〜12月期前期比3.4%増と持ち直しに転じ、平成15年1〜3月期同 2.0%減(うち製造業同1.2%減、非製造業同2.4%減)とやや減少となったものの、緩やかな持ち直し基調にある。
 今後の動向については、日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模の15年度の設備投資計画(前年度比)は全産業で0.1%減と減少が見込まれているものの製造業は5.2%増と3年ぶりに前年度比増加に転じる計画となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で5月は6.5%増と2か月ぶりに増加した。建築着工床面積をみると、おおむね横ばい(5月季節調整済前月比0.8%増、6月同4.7%増)となっている。
 先行きについては当面緩慢なものにとどまると見込まれるが、外需をはじめとする最終需要の先行き不透明感が払拭されれば、再び持ち直しの動きを強めるものと見込まれる。
(3)  住宅建設は、このところ増加している。
 新設住宅着工戸数をみると、4月季節調整済前月比5.6%増、5月同0.6%増の後、6月は同8.7%増の10.6万戸(年率128万戸)と3か月連続で増加となった(第5図)。新設住宅着工床面積も、おおむね総戸数と同様の動き(6月同12.6%増)をしている。
 先行きについては、消費者の住宅取得マインドが依然弱いことが住宅着工の下押し要因になるものと見込まれる。
(4)  公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で4月6.1%減、5月30.4%減と5か月連続で減少が続いている。また、公共工事請負金額(保証事業会社協会「公共工事前払金保証統計」)をみると、5月前年同月比16.4%減、6月同10.2%減と前年を下回っている。
 先行きについては、国・地方の予算状況を踏まえると、今後も低調に推移するものと見込まれる。
(5)  輸出は、このところ弱含んでいる。
 通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で5月0.2%減の後、6月は1.7%減となっており、四半期別では、1−3月期1.1%増の後、4−6月期1.2%減となった(第6図)。
 地域別には、アジア向け輸出はこのところ減少し、アメリカ向け輸出は傾向としては横ばいとなっており、EU向け輸出はこのところ減少している。
 輸入は、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で5月2.9%増の後、6月は1.3%増となっており、四半期別では、1−3月期0.7%増の後、4−6月期2.1%増となった(第6図)。
 地域別には、アジアからの輸入は緩やかに増加しており、アメリカからの輸入は基調としては減少しており、EUからの輸入はおおむね横ばいとなっている。

(3)  国内企業物価は、弱含んでいる。消費者物価は、横ばいとなっている。
 6月の国内企業物価は、前月比0.1%下落(前年同月比1.0%下落)となり、輸出物価は同0.7%上昇(同0.9%下落)、輸入物価は同0.9%上昇(同横ばい)となった。
 6月の消費者物価は、総合が前年同月比0.4%下落(前月比0.3%下落)、生鮮食品を除く総合が同0.4%下落(同0.1%下落)となった(第7図)。

(4)  企業収益は、緩やかな改善が続いている。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、緩やかに減少している。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、季節調整値で10〜12月4.2%増と5期連続で増加の後、1〜3月3.1%減(製造業9.6%減、非製造業1.7%増)となった。
 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」によれば、企業の15年度の経常利益計画(前年同期比)は、上期製造業16.7%の増益、非製造業2.0%の減益の後、下期製造業13.5%の増益、非製造業13.0%の増益が見込まれている(第8表)。
 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」をみると、非製造業では改善に足踏みがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら引き続き改善がみられる(第9表)。
 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、6月1,381件(前年同月比4.0%減)となっている。セーフティネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、緩やかに減少している。

(5)  平成15年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.1%(年率0.6%)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は-0.1%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.4%減となった(第10図)。

3 雇用・失業

(1)
(1)  就業者数は、6月は2か月連続で前月比で増加した。就業者数(季節調整値)は、5月前月差5万人増の後、6月は同47万人増と増加し、6361万人(原数値は6411万人、前年同月差38万人増)となった。男女別には、6月は、男性が3738万人(前月差6万人増)、女性が2622万人(同38万人増)となった。
 雇用者数は、6月は3か月ぶりに前月比で増加した。雇用者(季節調整値)は、5月前月差4万減の後、6月は同17万人増と増加し、5355万人(原数値は5373万人、前年同月差25万人増)となった。男女別には、6月は、男性が3160万人(前月差18万人減)、女性が2194万人(同34万人増)となった。雇用形態別(原数値)には、6月は、常雇が4639万人(前年同月差31万人増)、臨時雇が616万人(同6万人増)、日雇が118万人(同12万人減)となっている(第11表)。
 「毎月勤労統計調査」(速報)により、6月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数)をみると、前月比0.1%減となった。また、一般、パート別にみると、一般労働者は前月比0.3%増、パートタイム労働者は同 1.5%減となった。
(2)  6月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.1%ポイント低下し5.3%となった。男女別には、男性が5.7%(前月より0.1%ポイントの上昇)、女性が4.8%(前月より0.3%ポイントの低下)となった。
 6月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差5万人減の356万人(原数値は361万人、前年同月差7万人減)となり、引き続き高水準で推移している。男女別には、男性が225万人(前月差4万人増)、女性が131万人(同8万人減)となった。
 求職理由別(原数値)にみると、6月は、非自発的理由による離職者は159万人(前年同月差6万人増)、自発的理由による離職者は114万人(同3万人減)、その他の理由による失業者は62万人(同8万人減)となった(第11表)。
(3)  6月の労働力人口(季節調整値)は、前月差41万人増の6717万人(原数値は6771万人、前年同月差30万人増)となった。非労働力人口(季節調整値)は、前月差30万人減の4249万人(原数値は4190万人、前年同月差10万人増)となった。男女別には、男性が1347万人(前月差4万人減)、女性が2901万人(同27万人減)となった。
 労働力率(原数値)は、6月は、61.7%(前年同月同水準)となった。男女別には、男性が74.8%(同0.2%ポイント低下)、女性が49.5%(同0.3%ポイント上昇)となった(第11表)。

(2)  有効求人(季節調整値)は、6月は前月比2.2%増と3か月連続で増加し、有効求職者数(季節調整値)は同2.5%増と3か月ぶりに増加した。有効求人倍率(季節調整値)は、おおむね横ばいとなっており、6月は0.61倍と前月と同水準になった。
 新規求人(季節調整値)は、横ばいとなっていたが、再び増加傾向となっている。新規求人(季節調整値)は5月前月比0.6%増の後、6月は同4.1%増と3か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は5月前月比4.2%増の後、6月は7.8%増と3か月連続で増加した。新規求人倍率(季節調整値)は、6月は0.96倍と前月より0.03ポイント低下した第12表)。
 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)、パートの別でみると6月は、一般は前月比4.3%増と3か月連続で増加し、パートは同3.8%増と3か月ぶりに増加した。新規求職(季節調整値)は、一般は前月比8.1%増と3か月連続で増加し、パートは同6.2%増と2か月連続で増加した
 常用新規求職者数(除パート、原数値)のうち事業主都合離職者は、6月は前年同月比2.9%減と9か月連続で減少した。

(3)  産業別にみると、6月の就業者数(原数値)は、建設業は前年同月差3万人減、製造業は同41万人減、飲食店,宿泊業は13万人減と減少したのに対し、運輸業は同3万人増、卸売・小売業は同3万人増、医療,福祉は同40万人増、サービス業は同16万人増と増加している。
 6月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比0.8%増、製造業は同11.0%増、運輸・通信業は同10.0%増、卸売・小売業,飲食店は同6.9%増、サービス業は同20.2%増と増加している。

(4)  雇用の先行指標と考えられる製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいとなっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では、5月(確報値)前月比2.5%増の後、6月(速報値)前月比1.1%減となり、調査産業計では、5月前月比2.0%増の後、6月は同0.5%減となった。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断DI (「過剰」-「不足」)は、やや高まった第13図)。
 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は22%、4〜6月期に実施予定の事業所割合は23%、2003年7〜9月期に実施予定の事業所割合は19%と引き続き低下が見込まれている。
 内閣府「景気ウォッチャー調査」による6月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は50.5で前月を4.5ポイント上回り、3か月連続で上昇した。

4 賃金・労働時間

(1)  6月の現金給与総額(産業計、速報、以下同じ)は478,445円で、前年同月比 1.7%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.8%増、パートタイム労働者は1.4%増となった。
 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同1.1%増)となったほか、所定外給与は同3.0%増、特別給与は同4.1%増となり、実質賃金は同2.2%増となった(第15図)。

(2)  6月の総実労働時間(産業計、速報、以下同じ)は158.3時間で、前年同月比 1.4%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.6%増、パートタイム労働者は1.2%増となった。
 内訳をみると、所定内労働時間は148.7時間で前年同月比1.3%増(一般労働者同1.4%増、パートタイム労働者は1.1%増)、所定外労働時間は9.6時間で同4.4%増となった。なお、月間出勤日数は20.6日で前年同月差は0.2日増となった。
 6月の製造業の所定外労働時間(速報)は14.3時間で、前年同月比8.3%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比8.7%増、100〜499人規模で7.4%増、30〜99人規模で同11.0%増、5〜29人規模で同11.1%増となった(第16図)。

(注)  日本標準産業分類の改訂に伴い、総務省統計局「労働力調査」に係る表記は、平成15年1月結果の公表以降、新産業分類で表記し、平成14年以前の対前年同月増減については、改訂による影響のない又は小さい産業について表章している。
 なお、8月月例労働経済報告に掲載されている資料出所において「労働力調査」以外の資料出所においては、旧産業分類に基づいて表記されている。


8月の主要変更点

月例労働経済報告参考表
データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表)

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表)


問合わせ先
政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係
電話 03(5253)1111  内線7732

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