1 概況
(1) | 一般経済の概況 景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、海外経済の先行きを巡る不透明感や、今後の株価・長期金利の動向に留意する必要がある。 |
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(2) | 労働経済の概況 労働経済面をみると、完全失業率が高水準で推移するなど(第1図)、依然として厳しい。
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2 一般経済
(1) | 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、弱含んでいる。 5月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、2.5%増と2か月ぶりに増加となった(第2図)。国内最終需要に力強さがみられず、輸出が横ばいとなっていることを背景に、弱含んでいる。業種別にみると、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、一般機械工業等が増加した。出荷は1.6%増と2か月連続で増加し、在庫は0.3%増と4か月ぶりに増加した。 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は6月 1.2%増の後、7月は0.7%減となっている。 |
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(2) | 最終需要の動向をみると、
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(3) | 国内企業物価は、弱含んでいる。消費者物価は、横ばいとなっている。 5月の国内企業物価は、前月比0.3%下落(前年同月比1.0%下落)となり、輸出物価は同0.8%下落(同3.1%下落)、輸入物価は同3.0%下落(同2.5%下落)となった。 5月の消費者物価は、総合が前年同月比0.2%下落(前月比0.2%上昇)、生鮮食品を除く総合が同0.4%下落(同0.1%上昇)となった(第7図)。 |
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(4) | 企業収益は、緩やかな改善が続いている。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、緩やかに減少している。 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、季節調整値で10〜12月4.2%増と5期連続で増加の後、1〜3月3.1%減(製造業9.6%減、非製造業1.7%増)となった。 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」によれば、企業の15年度の経常利益計画(前年同期比)は、上期製造業16.7%の増益、非製造業2.0%の減益の後、下期製造業13.5%の増益、非製造業13.0%の増益が見込まれている(第8表)。 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」をみると、非製造業では改善に足踏みがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら引き続き改善がみられる(第9表)。 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、5月1,452件(前年同月比16.0%減)となっている。セーフティネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、緩やかに減少している。 |
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(5) | 平成15年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.1%(年率0.6%)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は-0.1%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.4%減となった(第10図)。 |
3 雇用・失業
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(2) | 有効求人(季節調整値)は、5月は前月比0.8%増と2か月連続で増加し、有効求職者数(季節調整値)は同0.2%減と2か月連続で減少した。有効求人倍率(季節調整値)は、おおむね横ばいとなっており、5月は0.61倍と前月より0.01ポイント上昇した。 新規求人(季節調整値)は、昨年前半から増加傾向にあったが、このところ、横ばいとなっている。新規求人(季節調整値)は4月前月比0.8%増の後、5月は同0.6%増と2か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は4月前月比3.9%増の後、5月は4.2%増と2か月連続で増加した。新規求人倍率(季節調整値)は、5月は0.99倍と前月より0.04ポイント低下した(第12表)。 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)、パートの別でみると、5月は、一般は前月比0.9%増と2か月連続で増加し、パートは同0.6%減と2か月連続で減少した。新規求職(季節調整値)は、一般は前月比4.2%増と2か月連続で増加し、パートは同4.2%増と3か月ぶりに増加した 常用新規求職者数(除パート、原数値)のうち事業主都合離職者は、5月は前年同月比10.5%減と8か月連続で減少した。 |
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(3) | 産業別にみると、5月の就業者数(原数値)は、建設業は前年同月差4万人減、製造業は同23万人減、運輸業は同10万人減、卸売・小売業は同22万人減、飲食店,宿泊業は13万人減、サービス業は同11万人減と減少したのに対し、医療,福祉は同45万人増と増加している。 5月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比2.2%増、製造業は同8.5%増、運輸・通信業は同6.9%増、卸売・小売業,飲食店は同4.2%増、サービス業は同13.1%増と増加している。 |
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(4) | 雇用の先行指標と考えられる製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいとなっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では、4月(確報値)前月同水準の後、5月(速報値)前月比2.5%増となり、調査産業計では、4月前月比1.3%減の後、5月同2.0%増となった。 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、企業の雇用過剰感は、やや高まった(第13図)。 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は22%、4〜6月期に実施予定の事業所割合は23%、2003年7〜9月期に実施予定の事業所割合は19%と引き続き低下が見込まれている。 内閣府「景気ウォッチャー調査」による6月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は50.5で前月を4.5ポイント上回り、3か月連続で上昇した。 |
4 賃金・労働時間
(1) | 5月の現金給与総額(産業計、速報、以下同じ)は281,862円で、前年同月比
0.5%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は2.0%増となった。 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.3%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同2.3%増)となったほか、所定外給与は同4.5%増、特別給与は同7.3%減となり、実質賃金は同0.7%増となった(第15図)。 |
(2) | 5月の総実労働時間(産業計、速報、以下同じ)は151.6時間で、前年同月比
2.0%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.9%増、パートタイム労働者は2.6%増となった。 内訳をみると、所定内労働時間は142.0時間で前年同月比1.7%増(一般労働者同1.6%増、パートタイム労働者は2.4%増)、所定外労働時間は9.6時間で同5.5%増となった。なお、月間出勤日数は19.7日で前年同月差は0.3日増となった。 5月の製造業の所定外労働時間(速報)は13.9時間で、前年同月比10.3%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比5.9%増、100〜499人規模で12.7%増、30〜99人規模で同11.1%増、5〜29人規模で同16.0%増となった(第16図)。 |
(注) | 日本標準産業分類の改訂に伴い、総務省統計局「労働力調査」に係る表記は、平成15年1月結果の公表以降、新産業分類で表記し、平成14年以前の対前年同月増減については、改訂による影響のない又は小さい産業について表章している。 なお、7月月例労働経済報告に掲載されている資料出所において「労働力調査」以外の資料出所においては、旧産業分類に基づいて表記されている。 |
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