トピックス  厚生労働省ホームページ

2月月例労働経済報告

〈概観〉
 
一般経済の概況
 景気の改善は、そのテンポがより緩やかになっている。
  • アメリカ経済の減速から輸出が弱含み、それに伴い生産の増加テンポも緩やかになっている。
  • 個人消費はおおむね横ばいであり、失業率は高水準で推移するなど、景気は厳しい状況をなお脱していない。
  • 企業収益や設備投資は増加しており、自律的回復に向けた動きは続いている。
 先行きについては、アメリカ経済の減速など、懸念すべき点がみられる。
労働経済の概況
 労働経済面をみると、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、増加のテンポが緩やかになっている。生産は、季調済前月比で11月0.8%減の後、12月(速報)は同1.5%増(前年同月比3.5%増)となった。業種別にみると、その他、化学が低下したが、輸送機械、一般機械、金属製品等が上昇した。出荷は、季調済前月比1.7%増(前年同月比3.7%増)となった。在庫は、季調済前月比0.1%減(前年同月比2.2%増)となった。在庫率は、季調済前月比1.1%増(前年同月比1.9%増)となった。製造工業の生産予測指数は、1月季調済前月比0.7%増の後、2月は同1.9%増を予測している。

生産・出荷・在庫の推移のグラフ

 企業収益は、大幅な改善が続いているが、そのペースにはやや減速がみられる。また、企業の業況判断は、改善に足踏みがみられる。内閣府「法人企業動向調査」(資本金1億円以上、12月調査、季調値)によると、売上高の判断(「増加」―「減少」)は、12年10〜12月期は前期に比べ「増加」超幅は縮小し、経常利益の判断(「増加」―「減少」)は、12年10〜12月期は「減少」超に転じた。また、企業経営者の景気判断(業界景気の判断「上昇」―「下降」)は12年10〜12月期は「下降」超に転じた。中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(12月調査、季調値)によると、業況判断D.I.(「好転」―「悪化」)は、12年10〜12月期は前期に比べ「悪化」超幅がほぼ横ばいとなっているものの、13年1〜3月期(予測)は前期に比べ「悪化」超幅が縮小している。

業況判断の推移のグラフ

(2) 設備投資は、製造業を中心に増加している。前出「法人企業動向調査」によると、全産業の設備投資額は、前年同期比で12年7〜9月期(実績)3.4%増(うち製造業9.1%増、非製造業0.6%増)の後、12年10〜12月期(実績見込み)は8.9%増(同14.8%増、同6.0%増)となっている。また12年度10〜3月期(計画)は、前年同期比で5.3%増(うち製造業12.4%増、非製造業2.1%増)と見込まれている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季調済前月比で11月2.9%減の後、12月は同3.8%増(前年同月比13.5%増)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、12月は前年同月比で18.5%減となった。
 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、11月5.5%増(前年同月比2.2%増)の後、12月は同1.0%増(同10.6%増)の10万5千戸(年率126万戸)となった。

新設住宅着工戸数の推移のグラフ

 公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で11月は18.1%増の後、12月は同2.2%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で11月1.0%増の後、12月は同19.5%増となった。
(3) 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いている。定期収入は回復しているものの、年末にはボーナスが伸び悩んだ。12月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で1.8%増、実質で2.1%増となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、75.8%となった。12月の小売業販売額(速報)は前年同月比0.9%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同5.4%減となった。1月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比2.3%減となった。なお、内閣府「消費動向調査」によると、12月の消費者態度指数(季調値)は、43.4と前期差0.1ポイントの上昇となった。

個人消費の推移のグラフ
消費者態度指数の推移のグラフ


(4) 輸出は、弱含みとなっている。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で11月4.0%増の後、12月は同2.9%減(速報)となった。
輸入は、増加している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で11月1.4%増の後、12月は同2.7%増(速報)となった。
(5) 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。12月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比1.8%増(前月同0.8%増)と19か月連続して増加し、有効求職者が同0.2%増(前月同1.0%減)となり、0.66倍と前月より0.01ポイント上昇した。12月の雇用者数は前年同月比1.3%増(前年同月差72万人増)となった。12月の完全失業率(季調値)は、4.8%と前月と同水準となった。完全失業者数(原数値)は298万人で前年同月差10万人増となった。

完全失業率等の推移のグラフ
男女別完全失業率(季節調整値)の推移

(6) 賃金、労働時間の動向をみると、12月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比0.5%減となり、実質賃金は同0.2%減となった。また、定期給与は前年同月比0.8%増となった。特別給与は前年同月比1.5%減となった。
12月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.9%増となり、そのうち所定内労働時間は同0.8%増となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比6.6%増となった。
(7) 国内卸売物価は、やや弱含んでいる。1月の総合卸売物価は前月比0.2%上昇(前年同月比1.2%上昇)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.2%下落、輸出物価は同3.0%上昇、輸入物価は同0.1%上昇となった。
 消費者物価は、やや弱含んでいる。12月の消費者物価は、前年同月比0.2%下落(生鮮食品を除く総合同0.6%下落)、1月について東京都区部速報値でみると、前年同月比0.4%下落(生鮮食品を除く総合同0.8%下落)となった。

1 雇用、労働市場の動向
《1》 12月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で1.8%増、有効求職者が同0.2%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.66倍と前月より0.01ポイント上昇した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.59倍、パートを除く有効求人倍率は0.52倍(うち常用0.50倍)となった。
 12月の新規求人は季調済前月比で1.5%増、前年同月比で27.1%増となり、うち、パートの新規求人は前年同月比32.2%増、パートを除く新規求人は同24.8%増となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比36.2%増)、製造業(同31.5%増)、卸売・小売業,飲食店(同28.1%増)、運輸・通信業(同16.1%増)、建設業(同10.8%増)となっている。一方、12月の新規求職者は季調済前月比で3.0%増、前年同月比1.4%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比0.9%増、パートを除く新規求職者は同1.5%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比1.6%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同2.4%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同1.0%増となった。以上の結果、12月の新規求人倍率(季調値)は1.14倍(前月1.15倍)となった。

有効求人倍率等の表

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、12月は前年同月比1.3%増(前年同月差72万人増、うち常雇16万人増)と8か月連続で増加した。男女別には、男性は前年同月差15万人増、女性は58万人増となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差92万人増、卸売・小売業,飲食店で同10万人増、建設業で同8万人減、運輸・通信業で同12万人減、製造業で同18万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、12月は産業計で前年同月0.1%減、製造業で同1.0%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.7%減、パートタイム労働者は同2.4%増となった。
 12月の完全失業率(季調値)は4.8%となり、前月と同水準となった。男女別にみると、男性は5.0%(前月と同水準)、女性は4.6%(前月差0.1%ポイント上昇)となった。
 完全失業者数(原数値)は298万人で、前年同月差10万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は94万人(前年同月差2万人増)、自発的理由による離職者は97万人(同5万人減)となった。また、世帯主の失業者は86万人(同1万人増)となった。
12月の男性の労働力率は76.2%(前年同月差0.4%ポイント低下)、女性の労働力率は48.7%(同0.1%ポイント上昇)となった。

雇用者数の表


2 賃金・労働時間・労働災害の動向
《1》 12月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は674,000円で、前年同月比0.5%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.6%増となったほか、所定外給与は同3.7%増、特別給与は同1.5%減となり、実質賃金は同0.2%減となった。

賃金の推移のグラフ

《2》 12月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は156.6時間で、前年同月比0.9%増となった。内訳をみると、所定内労働時間は146.3時間で前年同月比0.8%増、所定外労働時間は10.3時間で同2.0%増となった。なお、月間出勤日数は20.2日と前年同月差0.1日増となった。
 12月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は14.6時間で、前年同月比6.6%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比8.8%増、100〜499人規模で同8.7%増、30〜99人規模で同5.8%増、5〜29人規模で同1.9%増となった。

労働時間の推移のグラフ

《3》 平成12年12月の労働災害による全産業の死亡者数は115人(速報)で、前年同月比16.1%減となっている。

3 勤労者家計・物価の動向
《1》 12月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比4.3%減、実質で同4.0%減となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比0.1%減、臨時収入・賞与が同5.1%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同15.5%減となった。可処分所得は名目で前年同月比4.9%減、実質で同4.6%減となった。
 12月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比0.5%増、実質で同0.8%増となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比1.0%増、サ−ビスは同4.2%増となった。  12月の平均消費性向は45.5%と、前年同月差2.5%ポイントの上昇となった。

消費支出等の推移のグラフ

《2》 1月の総合卸売物価は、前月比0.2%上昇(前年同月比1.2%上昇)となった。うち国内卸売物価は、その他工業製品等が上昇したが、石油・石炭製品、電気機器、食料用農畜水産物等が下落したことから、前月比0.2%下落(前年同月比0.3%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比3.0%上昇(前年同月比4.2%上昇)、同0.1%上昇(同10.9%上昇)となった。
 12月の全国消費者物価は、前年同月比0.2%下落(前月比保合い)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.6%下落(前月比0.1%下落)となった。1月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比0.4%下落 (前月比保合い) となった。

物価の推移のグラフ

2月の主要変更点(概観部分)

 トップへ
 トピックス  厚生労働省ホームページ