一般経済の概況 |
景気の改善は、そのテンポがより緩やかになっている。
- アメリカ経済の減速から輸出が弱含み、それに伴い生産の増加テンポも緩やかになっている。
- 個人消費はおおむね横ばいであり、失業率は高水準で推移するなど、景気は厳しい状況をなお脱していない。
- 企業収益や設備投資は増加しており、自律的回復に向けた動きは続いている。
先行きについては、アメリカ経済の減速など、懸念すべき点がみられる。 |
労働経済の概況 |
労働経済面をみると、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
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(1) | 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、増加のテンポが緩やかになっている。生産は、季調済前月比で11月0.8%減の後、12月(速報)は同1.5%増(前年同月比3.5%増)となった。業種別にみると、その他、化学が低下したが、輸送機械、一般機械、金属製品等が上昇した。出荷は、季調済前月比1.7%増(前年同月比3.7%増)となった。在庫は、季調済前月比0.1%減(前年同月比2.2%増)となった。在庫率は、季調済前月比1.1%増(前年同月比1.9%増)となった。製造工業の生産予測指数は、1月季調済前月比0.7%増の後、2月は同1.9%増を予測している。
生産・出荷・在庫の推移のグラフ
企業収益は、大幅な改善が続いているが、そのペースにはやや減速がみられる。また、企業の業況判断は、改善に足踏みがみられる。内閣府「法人企業動向調査」(資本金1億円以上、12月調査、季調値)によると、売上高の判断(「増加」―「減少」)は、12年10〜12月期は前期に比べ「増加」超幅は縮小し、経常利益の判断(「増加」―「減少」)は、12年10〜12月期は「減少」超に転じた。また、企業経営者の景気判断(業界景気の判断「上昇」―「下降」)は12年10〜12月期は「下降」超に転じた。中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(12月調査、季調値)によると、業況判断D.I.(「好転」―「悪化」)は、12年10〜12月期は前期に比べ「悪化」超幅がほぼ横ばいとなっているものの、13年1〜3月期(予測)は前期に比べ「悪化」超幅が縮小している。
業況判断の推移のグラフ
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(2) | 設備投資は、製造業を中心に増加している。前出「法人企業動向調査」によると、全産業の設備投資額は、前年同期比で12年7〜9月期(実績)3.4%増(うち製造業9.1%増、非製造業0.6%増)の後、12年10〜12月期(実績見込み)は8.9%増(同14.8%増、同6.0%増)となっている。また12年度10〜3月期(計画)は、前年同期比で5.3%増(うち製造業12.4%増、非製造業2.1%増)と見込まれている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季調済前月比で11月2.9%減の後、12月は同3.8%増(前年同月比13.5%増)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、12月は前年同月比で18.5%減となった。
住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、11月5.5%増(前年同月比2.2%増)の後、12月は同1.0%増(同10.6%増)の10万5千戸(年率126万戸)となった。
新設住宅着工戸数の推移のグラフ
公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で11月は18.1%増の後、12月は同2.2%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で11月1.0%増の後、12月は同19.5%増となった。 |
(3) | 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いている。定期収入は回復しているものの、年末にはボーナスが伸び悩んだ。12月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で1.8%増、実質で2.1%増となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、75.8%となった。12月の小売業販売額(速報)は前年同月比0.9%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同5.4%減となった。1月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比2.3%減となった。なお、内閣府「消費動向調査」によると、12月の消費者態度指数(季調値)は、43.4と前期差0.1ポイントの上昇となった。
個人消費の推移のグラフ
消費者態度指数の推移のグラフ
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(4) | 輸出は、弱含みとなっている。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で11月4.0%増の後、12月は同2.9%減(速報)となった。
輸入は、増加している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で11月1.4%増の後、12月は同2.7%増(速報)となった。 |
(5) | 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。12月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比1.8%増(前月同0.8%増)と19か月連続して増加し、有効求職者が同0.2%増(前月同1.0%減)となり、0.66倍と前月より0.01ポイント上昇した。12月の雇用者数は前年同月比1.3%増(前年同月差72万人増)となった。12月の完全失業率(季調値)は、4.8%と前月と同水準となった。完全失業者数(原数値)は298万人で前年同月差10万人増となった。
完全失業率等の推移のグラフ
男女別完全失業率(季節調整値)の推移
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(6) | 賃金、労働時間の動向をみると、12月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比0.5%減となり、実質賃金は同0.2%減となった。また、定期給与は前年同月比0.8%増となった。特別給与は前年同月比1.5%減となった。
12月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.9%増となり、そのうち所定内労働時間は同0.8%増となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比6.6%増となった。 |
(7) | 国内卸売物価は、やや弱含んでいる。1月の総合卸売物価は前月比0.2%上昇(前年同月比1.2%上昇)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.2%下落、輸出物価は同3.0%上昇、輸入物価は同0.1%上昇となった。
消費者物価は、やや弱含んでいる。12月の消費者物価は、前年同月比0.2%下落(生鮮食品を除く総合同0.6%下落)、1月について東京都区部速報値でみると、前年同月比0.4%下落(生鮮食品を除く総合同0.8%下落)となった。 |