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毎月勤労統計調査全国調査で作成している指数等の解説(平成30年1月分部分入替え)
- 1 指数の作成
- 2 指数の算式
- 3 指数の年平均等
- 4 指数の基準時
- 5 指数の改訂
- 6 平成30年1月分調査における指数の改訂の考え方
- 7 指数以外の指標の作成
- 8 指数等の季節調整
1 指数の作成
毎月勤労統計調査では、雇用、賃金及び労働時間の各調査結果の時系列比較を目的として、基準年の平均(以下「基準数値」という。)を100とする指数を作成している。
2 指数の算式
各月の指数は、実質賃金指数を除き次の算式によって作成している。
指数と各月の調査結果の実数との対応は次のとおりである。
指数の種類 |
各月の調査結果の実数 |
---|---|
常用雇用指数 現金給与総額指数 きまって支給する給与指数 所定内給与指数 総実労働時間指数 所定内労働時間指数 所定外労働時間指数 |
各月の本月末常用労働者数 各月の1人平均現金給与総額 〃 きまって支給する給与額 〃 所定内給与額 〃 総実労働時間数 〃 所定内労働時間数 〃 所定外労働時間数 |
実質賃金指数の算式
賃金の購買力を示す指標として、実質賃金指数を次の算式によって作成している。
上記の算式により作成された指数に基づいて、前年同月比等の増減率を計算している。
3 指数の年平均等
指数の年平均、年度平均、半期平均及び四半期平均(以下「年平均等」という。)は、全て、各月の指数の単純平均により算出している。
なお、実質賃金指数の年平均等は、名目賃金指数及び消費者物価指数のそれぞれについて、年平均等をとったものの比率で算出する。
4 指数の基準時
現在の指数の基準時は、平成27年(2015年)である。
5 指数の改訂
これらの指数は、(1)基準年の変更に伴う改訂(以下「基準時更新」という。)、(2)常用労働者数のベンチマーク更新という2つの事由で過去に遡って改訂する。
- (1)基準時更新
基準時更新とは、指数の基準年を西暦年の末尾が0又は5の付く年に変更する改訂のことをいい、5年ごとに行うものである(指数の基準時に関する統計基準(平成22年3月31日総務省告示第112号)に基づく)。
この基準時更新では、各指数を全期間にわたって改訂するが、増減率は改訂しない。 - (2)常用労働者数のベンチマークの更新(常用雇用指数のギャップ修正)
単位集計区分毎に前月の補正後(注1)の母集団労働者数に対して、標本事業所における前月から当月への変動を反映し、当月の値を算出するリンク・リラティブ方式で常用労働者数を推計している。
また、この常用労働者数は、単位集計区分の集計値を積み上げる際のウエイトとしても利用されている。
常用労働者数のベンチマークの数値については、民営・公営事業所を対象とする経済センサス‐基礎調査(注2)の結果が利用できるタイミングで更新している。この時、常用雇用指数(就業形態計)については、前回のベンチマーク設定時点以降の期間の指数についてギャップ修正を行っている。
なお、一般労働者・パートタイム労働者別の常用雇用指数について、基本的には、常用雇用指数(就業形態計)の補正の考え方と同様に行っているが、新母集団労働者数を用いて新・旧の両サンプルそれぞれの集計を行った場合、旧調査結果と新調査結果とでは、前月末の一般労 働者・パートタイム労働者の推計値にギャップが生じるため、常用雇用指数(就業形態計)の補正に加えて、このギャップについての補正を行っている。
- (注1)前月の母集団労働者数に雇用保険事業所データによる補正を施したもの。
- (注2)経済センサスには、公営事業所を含めた全事業所を対象とする「基礎調査」と民営事業所のみを対象とする「活動調査」がある。
- (注3)平成30年1月分調査の部分入替え方式導入以降は、「平成27年度統計法施行状況に関する審議結果報告書(平成28年度上半期審議分)」(平成28年10月7日総務省統計委員会)において示された新旧データ接続における「望ましい方法」に従い、賃金及び労働時間指数については、従来行ってきたギャップ修正を行わない。
6 平成30年1月分調査における常用雇用指数の改訂の考え方
平成30年1月分調査のギャップ修正は、これまで集計に用いている母集団労働者数を、「平成26年経済センサス‐基礎調査」に基づく労働者数に変更したことから、常用雇用指数について補正を行った。
- (1)常用雇用指数(就業形態計)
平成30年1月分調査の補正においては、ベンチマークを「平成21年経済センサス‐基礎調査」(平成21年7月1日現在)から「平成26年経済センサス‐基礎調査」(平成26年7月1日現在)に変更したことから、平成21年7月分以降についてギャップ修正を行った。
以下に、具体的な指数の補正方法を示す。
ア 平成26年センサスの常用雇用者数と毎月勤労統計調査の推計常用労働者数とのギャップ率を
として、平成21年7月分から平成26年6月分までの指数を次式により補正した。
ここで、nは、平成21年7月から当該月までの月数とする(平成21年7月:n=1、平成26年6月:n=60)。
イ また、このギャップ率G1を用いて、平成26年7月分から平成29年12月分までの指数を次式により補正した。
ウ さらに、この補正した指数の平成27年平均が100となるように、指数作成開始時点から平成29年12月分までの指数を次式により補正するとともに、基準数値を変更した。
ここで、新基準数値は、平成27年における12か月分の実数(本月末推計労働者数)を指数と同様の方法で補正し、単純平均して算出する。過去の指数の改訂と併せて計算する。
エ 上記アの補正を行った指数により、増減率を平成21年7月分から平成27年6月分について 再計算した。(平成21年6月分以前及び平成27年7月分以降については、再計算しない。) - (2)一般・パートタイム労働者別常用雇用指数
一般・パートタイム労働者別常用雇用指数は、基本的には、(1)の常用雇用指数(就業形態計)のギャップ修正の考え方と同様であるが、平成30年1月分調査について、新母集団労働者数を用いて新・旧の両サンプルそれぞれの集計を行った場合、旧調査結果と新調査結果とでは前月末の一般・パートタイム労働者数の推計値にギャップが生じるため、上記(1)の補正に加えて、このギャップについての補正を平成24年1月分以降の指数について行った。
ア 平成21年7月分から平成26年6月分までの指数を次式により補正した。
ここで、nは、平成21年7月から当該月までの月数とする(平成21年7月:n=1、平成26年6月:n=60)。G1は、上記(1)アにより算出したギャップ率。
また、このギャップ率G1を用いて、平成26年7月分から平成29年12月分までの指数を次式により補正した。
イ 上記アにより補正された指数から逆算された平成29年12月末の推計一般(パートタイム)労働者数と、平成30年1月分の新調査結果による前月末の推計一般(パートタイム)労働者数との間にギャップがあるため、
をギャップ率として、平成24年1月分から平成29年12月分までの指数を次式により再度補正した。
ここで、nは、平成24年1月から当該月までの月数とする(平成24年1月:n=1、平成29年12月:n=72)。
ウ さらに、この補正した指数の平成27年平均が100となるように、指数作成開始時点から平成29年12月分までの指数を次式により補正するとともに、基準数値を変更した。
エ 平成21年7月分から平成23年12月分については、上記アの補正を行った指数により、平成24年1月分から平成29年12月分については、上記ア、イの補正を行った指数により、それぞれ増減率を再計算した。(平成21年6月分以前については、再計算しない。) - (3)ギャップ率(5人以上、調査産業計)
指数 ギャップ率
常用雇用指数 G1
0.9851850
常用雇用指数(一般) G2
1.0044270
常用雇用指数(パート) G2
0.9902369
7 指数以外の指標の作成
- (1)労働異動率
以上の指数のほかに、雇用の流動状況を示す指標として労働異動率を作成している。その算式は次に示すとおり、月間の増加労働者数又は減少労働者数を月初の労働者数(前月末労働者数)で除した百分比をそれぞれ、入職率、離職率としている。
- (2)パートタイム労働者比率
パートタイム労働者比率とは、調査期間末のパートタイム労働者数を全労働者数(本月末労働者数)で除した百分比をいい、次の算式によって作成している。
8 指数等の季節調整
- (1)季節調整の方法
作成している指数等のいくつかの系列については、季節調整値(以下「季調値」という。)を作成している。季節調整には、センサス局法(X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルト)を用いている。なお、実質賃金指数及び入・離職率の季調値は、次の算式により算出したものをそれぞれの季調値としている。
- (2)季調値の再計算の頻度及び対象期間
季調値は、年1回、毎年12月分までのデータが揃った時点で再計算し、原則として、1月分結果速報公表時に再計算の対象とした全期間の季調値を改訂している(季調替え)。ただし、平成30年の季調替えについては、指数の改訂に併せ1月分結果確報公表時に実施した。
季調値の計算の対象とする期間は、原則として、指数作成開始時点から前年の12月分までであるが、指数作成開始時点が昭和29年以前である系列については、昭和30年1月分を始期としている。なお、事業所規模30人以上の実質賃金指数については、全て、昭和45年1月分を始期としている。
また、再計算の対象となった期間以降の季調値の作成には、季調値の再計算の際に計算される予測季節要素を用いている。
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