厚生労働省

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結 果 の 概 要

1 入職と離職の推移

(1)平成20年の常用労働者の推移

平成20年1年間の入職者数は、641万人(年初の常用労働者数に対する割合14.2%)で、離職者数は、659万人(同14.6%)であった。この結果、常用労働者数は、事業所の新設や閉鎖等の影響を除き、18万人(同0.4%)の減少となった。

これを一般労働者とパートタイム労働者に分けると、一般労働者では、入職者383万人(同11.0%)、離職者406万人(同11.7%)で差引23万人(同0.7%)の減少であった。パートタイム労働者では、入職者257万人(同25.2%)、離職者253万人(同24.8%)で差引4万人(同0.4%)の増加であった。(図1、表1−1、表1−2)

図1 平成20年の常用労働者の動き

図1 平成20年の常用労働者の動き


1)  入職には、事業所の新設等に伴う労働者増加を含まない。
2)  離職には、事業所の閉鎖等に伴う労働者減少を含まない。
3) 平成21年1月1日の常用労働者数は、事業所の新設や閉鎖等がなかったと仮定したときの推計労働者数。
4)  四捨五入による計数の不一致がある。

(2)入職率と離職率の推移
(入職率、離職率ともに低下)

入職率(年初の常用労働者数に対する入職者数の割合)と離職率(年初の常用労働者数に対する離職者数の割合)をみると、入職率が前年に比べ1.7ポイント低下、離職率が同じく0.8ポイント低下し、いずれも3年連続の低下となった(図2、付属統計表1−2)。

図2 入職率・離職率の推移

図2 入職率・離職率の推移

(3)職歴別入職率の推移
(転職入職率、未就業入職率ともに低下)

入職者を職歴別にみると、転職入職者は413万人(前年454万人)、未就業入職者は228万人(同245万人)で、転職入職率が9.2%(同10.3%)、未就業入職率が5.1%(同5.6%)となった。前年と比べると、転職入職率は1.1ポイント低下、未就業入職率は0.5ポイント低下した。

男女別にみると、男は転職入職者が209万人、未就業入職者が98万人、女は転職入職者が204万人、未就業入職者が129万人で、男の転職入職率は7.9%(同9.3%)、未就業入職率は3.7%(同4.3%)、女の転職入職率は10.9%(同11.7%)、未就業入職率は6.9%(同7.3%)となった。

一般・パート別にみると、一般労働者の転職入職者は262万人、未就業入職者は121万人で、転職入職率は7.5%(同8.7%)、未就業入職率は3.5%(同3.7%)、パートタイム労働者の転職入職者は151万人、未就業入職者は107万人で、転職入職率は14.8%(同15.3%)、未就業入職率は10.4%(同11.4%)となった。(図3、付属統計表1−1、付属統計表1−2)

図3 職歴別入職率の推移

図3 職歴別入職率の推移

(4)離職理由別離職率の推移
(「経営上の都合」が上昇)

離職者の離職理由別離職率をみると、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」が10.1%、   「契約期間の満了」が1.6%、「経営上の都合」が1.2%、「定年」が0.7%、「本人の責」が0.2%と なった。

前年と比べると、「経営上の都合」が0.1ポイント上昇し、「契約期間の満了」と「定年」は前年と変わらず、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」は0.6ポイント、「本人の責」は0.1ポイント低下した。(図4)

図4 離職理由別離職率の推移

図4 離職理由別離職率の推移

2 産業、職業別の状況

(1)産業別入職率・離職率
(入職率、離職率は飲食店,宿泊業が最も高い)

産業別に労働移動者をみると、入職者は卸売・小売業が121万人、サービス業(他に分類されないもの)が110万人、飲食店,宿泊業が95万人と多くなっている。離職者は卸売・小売業が121万人、サービス業(他に分類されないもの)が119万人、製造業が101万人と多くなっている。

率でみると、入職率は飲食店,宿泊業が28.8%で最も高く、次いで医療,福祉が18.3%、離職率は飲食店,宿泊業が27.6%で最も高く、次いでサービス業(他に分類されないもの)が19.5%となった。

入職超過率でみると、金融・保険業が2.3ポイント、医療,福祉が2.0ポイントで相対的に大きな入職超過、建設業が-3.6ポイント、サービス業(他に分類されないもの)が-1.5ポイントで相対的に大きな離職超過となった。(図5、付属統計表3)

図5 産業別入職率・離職率

図5 産業別入職率・離職率

(2)職業別入職率・離職率の状況
(入職率、離職率はサービス職業従事者で最も高い)

職業別に労働移動者をみると、入職者はサービス職業従事者が148万人、専門・技術的職業従事者が142万人、生産工程・労務作業者が106万人と多くなっている。離職者はサービス職業従事者が145万人、専門・技術的職業従事者が134万人、生産工程・労務作業者が126万人と多くなっている。(表1)

率でみると、入職率はサービス職業従事者が26.0%と最も高く、次いで保安職業従事者が15.4%となっている。離職率は、サービス職業従事者が25.3%と最も高く、次いで販売従事者が15.3%となっている。

入職超過率でみると、保安職業従事者が3.0ポイント、事務従事者が1.2ポイントと相対的に大きな入職超過となり、管理的職業従事者が-2.8ポイント、生産工程・労務作業者が-2.2ポイントと相対的に大きな離職超過となった。(図6)

表1 職業別入職者数・離職者数

表1 職業別入職者数・離職者数

図6 職業別入職率・離職率

図6 職業別入職率・離職率

3 年齢階級別の入職と離職

(1)年齢階級別入職率・離職率
 (若年者と高年齢者で高い)

年齢階級別に入職率と離職率をみると、おおむね40歳台までは、男女ともに入職率も離職率も 年齢とともに低下傾向にある。その後、60〜64歳を中心に入職率と離職率の高まりがみられる。

入職率と離職率を比較すると、50歳台以降で男女ともに離職超過となるほか、女については、 25〜29歳でも離職超過となった。(図7)

図7 年齢階級別入職率・離職率

図7 年齢階級別入職率・離職率

(2)入職者に占めるパートタイム労働者の割合
(女の30〜34歳以降で50%超)

入職者に占めるパートタイム労働者の割合をみると、女では、30〜34歳から割合が大きく高まり、それ以降の年齢でいずれも50%を超えている。男では、60歳以降で割合が高まる。 (図8)

図8 入職者に占めるパートタイム労働者の割合

図8 入職者に占めるパートタイム労働者の割合

(3)離職理由別離職者
(40〜59歳で「経営上の都合」が高い)

離職者の離職理由別割合をみると、「個人的理由」が73.4%と最も多く、次いで「契約期間の満了」が10.7%、「経営上の都合」が8.2%、「定年」が4.8%と多くなっている。性別にみると、男は「個人的理由」が67.8%、「経営上の都合」が11.1%、「契約期間の満了」が10.6%、「定年」が7.3%で、女は「個人的理由」が78.8%、「契約期間の満了」が10.8%、「経営上の都合」が5.5%で、「個人的理由」のうち「出産・育児」が4.0%、「結婚」が3.8%と多くなっている。

年齢階級別にみると、40歳未満の年齢層では「個人的理由」が8割を超え、40〜59歳では「個人的理由」以外に「経営上の都合」が高くなっている。

前年と比べると、「出向、復帰」は0.7ポイント上昇、一方、「個人的理由」は0.9ポイント低下した。(図9、付属統計表3、付属統計表4)

注:「離職理由」は、離職者がいた事業所が回答した離職理由である。以下、(4)から(6)まで同じ。

図9 離職理由別離職者の割合

図9 離職理由別離職者の割合

(4)結婚、出産・育児の理由による離職率(女性)
(結婚は25〜29歳、出産・育児は30〜34歳が高い)

女について結婚の理由による離職率をみると、25〜29歳で最も高かった。これを一般労働者とパートタイム労働者に分けてみると、離職率は一般労働者の方が高かった。(図10−1)

女について出産・育児の理由による離職率をみると、30〜34歳で最も高かった。ただし、パートタイム労働者については、25〜29歳が最も高かった。(図10−2)

図10−1 結婚の理由による離職率(女)

図10−1 結婚の理由による離職率(女)

図10−2 出産・育児の理由による離職率(女)

図10−2 出産・育児の理由による離職率(女)

注: 図10−1は50歳以上を、図10−2は45歳以上を省略した(ほとんど0.0であるため)

(5)介護の理由による離職率
(女では、50〜54歳が高い)

介護の理由による離職率は、女では、50〜54歳で最も高かった。女について一般労働者とパートタイム労働者に分けてみると、パートタイム労働者の方が高かった。

男では、50歳台後半からやや高まりがみられ、65歳以上で相対的に大きな離職率となった。(図11)

図11 介護の理由による離職率

図11 介護の理由による離職率

(6)高年齢者の離職率
(60〜64歳、65歳以上で低下傾向)

定年による離職率は、60〜64歳で最も高く、10.0%となった。男女別にみると、男の方が高かった

定年以外の理由も含めた離職率は、55〜59歳で9.0%、60〜64歳で24.2%、65歳以上で18.6%となった。(図12−1)

この4年間の変化をみると、60〜64歳で6.8ポイント、65歳以上で6.7ポイント低下した。(図12−2)

図12−1 定年による離職率

図12−1 定年による離職率

図12−2 高年齢者の離職率の推移

図12−2 高年齢者の離職率の推移

4 転職入職者の状況

(1)年齢階級別転職入職率
 (若年者と60〜64歳で高い)

年齢階級別に転職入職率をみると、男は20歳台から50歳台にかけて年齢とともに低下するが、60〜64歳でも高い水準であった。女もほぼ同様な傾向であったが、50歳台後半以降を除き、男より高い水準となった。

女を一般・パート別にみると、転職入職率はパートの方が高かった。(図13)

図13 年齢階級別転職入職率

図13 年齢階級別転職入職率

(2)転職入職者の一般・パート間の移動
(パートから一般が9.0%、一般からパートが9.9%)

転職入職者の一般・パート間移動状況をみると、「一般労働者から一般労働者へ移動」した割合は55.0%、「パートタイム労働者から一般労働者へ移動」した割合は9.0%、「一般労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は9.9%、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は21.9%となった(表2)。

表2 転職入職者の就業形態間移動状況

表2 転職入職者の就業形態間移動状況

(3)転職入職者が前職を辞めた理由
(男は「定年、契約期間の満了」、「会社の将来が不安」が多く、女は「労働条件が悪い」、「定年、契約期間の満了」が多い)

転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男では、「その他の理由」以外で「定年、契約期間の満了(14.8%)が最も多く、次いで「会社の将来が不安」(10.6%)が多い。年齢階級別にみると、「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で多く、「会社の将来が不安」は、20歳台後半から40歳台前半にかけて多い。

女では、「その他の理由」以外で「労働条件が悪い」(13.2%)が最も多く、次いで「定年、契約期間の満了」(11.7%)が多い。年齢階級別にみると、「労働条件が悪い」は、20歳台から50歳台前半にかけて多い。「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で多いが、20歳台から50歳台にかけても10%前後を占める。(表3)

表3 転職入職者が前職を辞めた理由

表3 転職入職者が前職を辞めた理由

(4)転職入職者の賃金変動状況
(「減少」した割合が3.2ポイント上昇)

転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は33.2%、「減少」した割合は33.5%、「変わらない」の割合は32.2%となった。「増加」のうち、「1割以上の増加」の割合は20.3%、「減少」のうち「1割以上の減少」の割合は24.3%となった。年齢階級別にみると、 50歳未満では、賃金が「増加」した割合は「減少」した割合を上回った。

前年と比べると、「増加」した割合は0.6ポイント低下し、「減少」した割合は3.2ポイント上昇し た。(表4)

表4 転職入職者の賃金変動状況

表4 転職入職者の賃金変動状況

付属統計表

表1−1 常用労働者の移動状況

表1−1 常用労働者の移動状況

表1−2 常用労働者の移動状況(率)

表1−2 常用労働者の移動状況(率)

表2 産業別入職・離職状況

表2 産業別入職・離職状況

表3 離職理由別離職者の状況

表3 離職理由別離職者の状況

表4 男女別離職理由別離職者の状況

表4 男女別離職理由別離職者の状況

表5 転職入職者の賃金変動状況(就業形態別)

表5 転職入職者の賃金変動状況(就業形態別)

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