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平成15年屋外労働者職種別賃金調査(建設業技能職種)の概況


目次

調査の概要
主な用語の定義

結果の概要
    技能職種別賃金の状況
 年齢階級別賃金の状況
 地域別賃金
 実労働日数及び実労働時間数
 平均年齢及び年齢階級別労働者構成

統計表
    第1表  年齢階級別賃金及び年齢間格差の推移(技能職種計)
第2表  職種、年齢階級別賃金及び年齢間格差
第3表  職種、地域別賃金及び地域間格差


厚生労働省大臣官房統計情報部
担当係 賃金福祉統計課賃金第一係
電話 03-5253-1111(内線:7656・7654)
03-3595-3147(ダイヤルイン)



 調査の概要

 1  調査の目的
 屋外労働者職種別賃金調査は、建設業及び港湾運送関係事業に雇用される労働者の賃金を職種別に調査し、その実態を明らかにするため、指定統計第53号として実施したものである。
 このうち、建設業における調査対象職種のうち技能職種についての調査結果をとりまとめた。

 2  調査の範囲(港湾運送関係事業を除く)

(1)地域
 日本全国(ただし、一部島嶼を除く)。
(2)産業
 日本標準産業分類(平成14年3月改訂)による建設業。
(3)事業所・労働者
 5人以上の常用労働者を雇用する民営の事業所から都道府県、産業及び事業所規模別に一定の方法により抽出された約1万6千事業所並びに調査対象事業所に雇用される労働者のうち、以下の職種に該当する労働者を調査対象とした。

調査対象職種
 土工、重作業員、軽作業員、大工、とび工、石工、左官、電気工、配管工、塗装工、貨物自動車運転者、板金工、溶接工、機械運転工、鉄筋工、鉄骨工、掘削・発破工、タイル張工・れんが積工、 はつり工、型枠工、建具工、屋根ふき工、潜函土工、ボーリング工、職長、各種見習

 3  調査事項

事業所の属性、職種別労働者数、年齢、実労働日数、実労働時間数及びきまって支給する現金給与額等

 4  調査の時期

平成15年8月分の賃金について9月に調査を行った。

 5  調査の方法

 都道府県労働局及び労働基準監督署の職員並びに統計調査員による実地自計の方法で調査を実施した。

 6  調査機関

 厚生労働省大臣官房統計情報部−都道府県労働局−労働基準監督署−統計調査員−報告者

 7  結果の集計

 結果の集計は、厚生労働省大臣官房統計情報部において行った。
 なお、本概況は調査対象職種のうち建設業技能職種21職種についての集計結果であり、集計事業所数は7,547事業所、集計労働者数は63,831人であった。
 建設業技能職種21職種とその労働者構成は下表のとおりであるが、このうち職種別には、比較的労働者の多い主要11職種(〇印を付したもの)について分析を行った。

技能職種 労働者構成(%) 技能職種 労働者構成(%)
〇 電気工 23.9 板金工













8.9
〇 配管工 16.3 屋根ふき工
〇 機械運転工 10.8 建具工
〇 大工 9.9 鉄骨工
〇 とび工 6.3 タイル張工・れんが積工
〇 型枠工 5.0 はつり工
〇 塗装工 4.6 掘削・発破工
〇 左官 4.1 ボーリング工
〇 貨物自動車運転者 4.1 石工
〇 鉄筋工 3.2 潜函土工
〇 溶接工 2.8 技能職種計 100.0

 8 統計表に用いている記号等
「*」は、調査労働者数が少ないため、利用に際しては特に注意を要する。
「…」は、統計数がない場合又は表章することが不適当な場合である。
主な用語の定義

  「きまって支給する現金給与額」
 手取りの賃金ではなく、調査期間に支払われた現金の額から所得税、社会保険料などを控除する前のものであり、賞与その他の臨時の給与及び現物給与は含めていない。
 1人1日平均きまって支給する現金給与額は、10円未満を四捨五入して表示している。

「実労働日数」
 実労働日数は次によっている。
 1 有給であっても、実際に労働しなかった日は労働日数に含めていない。
 2 1日のうち1時間以上就業した日は労働日数に入れ、1日のうち何回出勤してもその日の労働日数は1日としている。
 3 交替制勤務の労働者が交替せずに引き続いて勤務した場合の日数は、そのまま歴日数を労働日数としている。

「実労働時間数」
 調査期間中の残業時間を含めた実際の労働時間数を調査したもので、休憩時間を除く。
 なお、1時間未満の端数については30分以上は切り上げ、30分未満は切り捨てている。


 結果の概要

 技能職種別賃金の状況

 建設業における技能職種(本調査対象職種のうち技能職種21職種をいう。以下同様。)の1人1日平均きまって支給する現金給与額(以下「賃金」という。)は、技能職種計で14,060円(前年14,250円)となり、対前年増減率は1.3%減(前年は2.5%減)と前年を下回った。
 技能職種のうち、主要11職種の賃金についてみると、電気工(15,580円)が15,000円台で最も高く、機械運転工(14,140円)、溶接工(14,040円)が14,000円台、大工(13,980円)、配管工(13,720円)、左官(13,680円)、塗装工(13,260円)、とび工(13,230円)が13,000円台、貨物自動車運転者(12,730円)、型枠工(12,250円)が12,000円台、鉄筋工(11,690円)が11,000円台となっている。前年と比べると、電気工と溶接工では上回っているが、他の9職種では下回った。
 賃金の最も高い電気工を100とした職種別の賃金格差をみると、鉄筋工が75で他の職種と比べて格差が大きくなっている。(第1図第1表


第1図 賃金及び対前年増減率の推移(技能職種計)

第1図 賃金及び対前年増減率の推移(技能職種計)

第1表 職種別賃金、対前年増減率及び職種間格差

職種 賃金(円) 対前年増減率(%) 職種間格差(電気工=100)
平成15年 平成14年 平成15年 平成14年 平成15年 平成14年
技能職種計 14,060 14,250 -1.3 -2.5
 電気工 15,580 15,400 1.2 -4.2 100 100
 配管工 13,720 13,740 -0.1 -1.6 88 89
 機械運転工 14,140 14,560 -2.9 -1.8 91 95
 大工 13,980 14,250 -1.9 -1.5 90 93
 とび工 13,230 14,200 -6.8 0.4 85 92
 型枠工 12,250 12,830 -4.5 -3.0 79 83
 塗装工 13,260 13,340 -0.6 -1.4 85 87
 左官 13,680 13,750 -0.5 -1.0 88 89
 貨物自動車運転者 12,730 12,930 -1.5 -2.3 82 84
 鉄筋工 11,690 12,250 -4.6 0.7 75 80
 溶接工 14,040 13,840 1.4 -2.9 90 90

(注)  技能職種計は、主要11職種及び板金工、屋根ふき工、鉄骨工、はつり工、タイル張工・れんが積工、建具工、ボーリング工、掘削・発破工、石工、潜函土工を含む21職種の計。


 年齢階級別賃金の状況
 年齢階級別に賃金(技能職種計)をみると、最も賃金の高い年齢層は45〜49歳層で15,380円となっている。20〜24歳層の賃金(10,440円)を100とした年齢間格差でみると、賃金の最も高い年齢層(45〜49歳層)との格差は約1.5倍となっているが、40〜50歳代にかけての格差はほとんど同じである。これを前年と比較すると、ほぼ前年並の格差となっている(第2図統計表第1表統計表第2表)。
 なお、平成14年賃金構造基本統計調査(調査産業計(民営、企業規模10人以上))における労働者のきまって支給する現金給与額に基づく年齢間格差は約1.8倍であり、これに比べると技能職種計の賃金の年齢間格差は小さい(第2図統計表第1表)。
 主要11職種について、20〜24歳層の賃金を100として賃金の最も高い年齢層との年齢間格差をみると、とび工、機械運転工及び貨物自動車運転者は約1.3倍となり格差は小さいが、電気工は約1.7倍と他の職種に比べ格差は大きい(第3図統計表第2表)。

第2図 年齢間格差の推移(技能職種計、20〜24歳=100)

第2図 年齢間格差の推移(技能職種計、20〜24歳=100)

(注)  「平成14年賃構労働者」は、平成14年賃金構造基本統計調査における調査産業計(民営、企業規模10人以上)労働者のきまって支給する現金給与額についての格差である。

第3図 職種別年齢間格差(20〜24歳=100)

第3図 職種別年齢間格差(20〜24歳=100)

(注)  職種は、21の技能職種のうち労働者の多い5職種である。


 地域別賃金

 全国を13ブロックに分けて地域別に賃金をみると、技能職種計では南関東が16,160円と最も高く、次いで東海15,330円、京阪神15,000円、近畿14,920円の順となっており、南九州11,450円、東北12,190円、北海道12,950円、四国13,110円などで低くなっている(第2表統計表第3表)。
 南関東の賃金を100とした地域間格差をみると、前年に比べ、東北を除く地域で縮小もしくは前年並みとなっている(第2表第4図)。

第2表 地域別賃金及び地域間格差(技能職種計)

ブロック 賃金(円) 格差(南関東=100)
平成15年 平成14年 平成15年 平成14年
北海道 12,950 12,980 80 78
東北 12,190 12,750 75 77
北関東 14,670 14,580 91 88
南関東 16,160 16,560 100 100
北陸 13,550 13,990 84 84
東海 15,330 15,670 95 95
近畿 14,920 15,310 92 92
京阪神 15,000 15,430 93 93
山陰 13,360 12,880 83 78
山陽 13,840 14,060 86 85
四国 13,110 13,260 81 80
北九州 13,500 12,980 84 78
南九州 11,450 11,540 71 70

(注)  技能職種計は、主要11職種以外の、板金工、屋根ふき工、鉄骨工、はつり工、タイル張工・れんが積工、建具工、ボーリング工、掘削・発破工、石工、潜函土工を含む21職種の計。

地域別内訳(13ブロック)
北海道・・・北海道
東北・・・青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
北関東・・・茨城、栃木、群馬、山梨、長野
南関東・・・埼玉、千葉、東京、神奈川
北陸・・・新潟、富山、石川、福井
東海・・・岐阜、静岡、愛知、三重
近畿・・・滋賀、奈良、和歌山
  京阪神・・・京都、大阪、兵庫
山陰・・・鳥取、島根
山陽・・・岡山、広島、山口
四国・・・徳島、香川、愛媛、高知
北九州・・・福岡、佐賀、長崎、大分
南九州・・・熊本、宮崎、鹿児島、沖縄

第4図 地域間賃金格差(技能職種計、南関東=100)

第4図 地域間賃金格差(技能職種計、南関東=100)

(注)  地域別内訳は、第2表に同じ。


 実労働日数及び実労働時間数

 1か月の実労働日数及び1日あたりの実労働時間数は、技能職種計でそれぞれ21.3日、8.1時間となっており、前年と変化はなかった。
 主要11職種についてみると、前年同様、実労働日数では貨物自動車運転者が20.6日と最も少なく、配管工が21.9日と最も多くなっている。
 また、実労働時間数では、電気工が8.5時間と、前年同様他の職種に比べ長くなっている。(第3表

第3表 職種別実労働日数、実労働時間数及び前年差

職種 実労働日数(日) 実労働時間数(時間)
平成15年 平成14年 平成15年 平成14年
技能職種計 21.3 21.3 8.1 8.1
 電気工 21.4 21.5 8.5 8.5
 配管工 21.9 21.6 8.2 8.2
 機械運転工 20.7 20.8 8.1 8.1
 大工 21.2 21.3 7.9 7.9
 とび工 21.2 20.9 8.0 7.9
 型枠工 20.8 20.7 7.7 7.7
 塗装工 21.5 21.6 7.9 8.0
 左官 20.9 21.4 7.8 7.8
 貨物自動車運転者 20.6 20.6 8.0 8.0
 鉄筋工 21.0 20.9 7.7 7.8
 溶接工 21.4 21.2 8.2 8.2

(注)  技能職種計は、主要11職種以外の、板金工、屋根ふき工、鉄骨工、はつり工、タイル張工・れんが積工、建具工、ボーリング工、掘削・発破工、石工、潜函土工を含む21職種の計。

 平均年齢及び年齢階級別労働者構成

 技能職種計の平均年齢は42.5歳(前年42.4歳)となっている。
 技能職種計の年齢階級別労働者構成をみると、50〜59歳が26.0%、29歳以下が22.9%、30〜39歳が22.1%、40〜49歳が19.9%、60歳以上が9.0%となっており、この5年間の推移をみると、29歳以下と40歳代の割合が低下し、30歳代と50歳代の割合が高まってきている(第5図)。
 主要11職種の平均年齢は、電気工、とび工及び塗装工が30歳代となっている他は全て40歳代となっており、最も高い左官(49.0歳)と最も低い電気工(39.1歳)の差は約10歳となっている。
 主要11職種の年齢階級別労働者構成をみると、左官では50歳以上の占める割合が57.9%と5割を超え、大工、型枠工、機械運転工、貨物自動車運転者、溶接工でも4割を超えている。一方、とび工、塗装工では29歳以下の若年層の占める割合が3割を超えている(第6図)。

第5図 年齢階級別労働者構成比の推移(技能職種計)

第5図 年齢階級別労働者構成比の推移(技能職種計)

(注)  技能職種計は、主要11職種以外の、板金工、屋根ふき工、鉄骨工、はつり工、タイル張工・れんが積工、建具工、ボーリング工、掘削・発破工、石工、潜函土工を含む21職種の計。

第6図 職種、年齢階級別労働者構成比及び平均年齢

第6図 職種、年齢階級別労働者構成比及び平均年齢


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