高齢者にしのびよるたばこ病
COPD


和歌山県立医科大学医学部
内科学第三講座


一ノ瀬 正和



COPD

1.どんな病気か?  (疾患概念)
2.どうやって見つけるか?  (診断)
3.症状は改善するか?  (治療効果)



COPD

1.どんな病気か?  (疾患概念)
2.どうやって見つけるか?  (診断)
3.症状は改善するか?  (治療効果)



COPD
(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)
慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患の写真
1. 肺気腫 and/or 慢性気管支炎
2. 喫煙との関連性が高い
3. 気管支と肺実質の炎症の遷延化
4. 疾患(閉塞性障害)は進行性
−早期発見と禁煙指導が重要
5. 治療の中心は気管支拡張薬
6. 予防可能で治療可能な疾患



正常の気道と肺胞

正常の気道と肺胞の図



太い気道:正常 vs COPD

太い気道:正常 vs COPDの図



細い気道:正常 vs COPD

細い気道:正常 vs COPDの図



図

Aの写真 Bの写真



写真 写真



COPDの病態

COPDの病態の図



COPDの発症メカニズム

有害物質
(タバコ、大気汚染、職業粉塵)



遺伝素因
呼吸器感染
その他
COPD



COPDの危険因子:環境要因

COPDの危険因子:環境要因の図



COPDの危険因子:宿主要因

COPDの危険因子:宿主要因の図



日本におけるCOPDによる死亡数

日本におけるCOPDによる死亡数のグラフ

(厚生労働省 人口動態統計)



喫煙とCOPD(日本)

喫煙とCOPD(日本)のグラフ

(日本専売公社,日本たばこ産業株式会社,厚生労働省 人口動態統計)



代表的疾患による死亡の推移(米国)

代表的疾患による死亡の推移(米国)のグラフ

(GOLD updated 2003)



世界における肺癌、COPDの現状

死亡原因の表
(Murray CJL, Lancet 349: 1498, 1997)



日本におけるCOPDの有病率

日本におけるCOPDの有病率のグラフ
実に約530万人
以上のCOPD
患者が存在!!!

Fukuchi Y, Nishimura M, Ichinose M et al. 2004 Respirology



日本におけるCOPD患者(>40 yrs)

日本におけるCOPD患者(>40 yrs)のグラフ

Fukuchi Y, Nishimura M, Ichinose M et al. 2004 Respirology



COPDの診断率は低い
実診断患者数=20‐25万人
予測患者数=530‐700万人(NICE研究)

1. 患者側
症状がゆっくり進行するため慣れてしまう

2. 医師側
呼吸機能検査の普及度が低い
不可逆的な部分が多く治療に積極的に取り組まない治療へのニヒリズム



喫煙による肺機能への影響

喫煙による肺機能への影響のグラフ

(25歳時の1秒量を100とした比率)

 (Fletcher C, BMJ. 1: 1645, 1977)



COPD

1.どんな病気か?  (疾患概念)
2.どうやって見つけるか?  (診断)
3.症状は改善するか?  (治療効果)



症例   56才男性

主訴   労作時の息切れ 痰

既往歴   特になし

家族歴   特になし

現病歴   約7年前より労作時の息切れを感じるようになる。症状は徐々に増強。最近、咳、痰がふえ、平地を歩行していても息切れみられようになり、受診。
発作性の呼吸困難、喘鳴、咳の出現なし。
H-J 3度
喫煙歴 30本/日 35年 昨年より禁煙



COPDの診断

症状


労作時息切れ
危険因子への曝露
タバコ
職場環境
室内/室外汚染
└────┬────┘
呼吸機能検査
(スパイロメトリー)



COPDの視診

ビア樽状胸郭
ビア樽状胸郭の写真
悪液質(るいそう)
悪液質(るいそう)の写真



胸鎖乳突筋の写真



呼吸機能検査:スパイロメトリー

呼吸機能検査:スパイロメトリーの写真



COPDの診断=閉塞性障害の検出
一秒率=FEV1 / FVC < 70%

COPDの診断=閉塞性障害の検出 一秒率=FEV1 / FVC < 70%のグラフ



COPDの肺レントゲン写真とCT像

COPD(48歳、男性)
COPDの肺レントゲン写真 COPDのCT像



COPD

1.どんな病気か?  (疾患概念)
2.どうやって見つけるか?  (診断)
3.症状は改善するか?  (治療効果)



COPDガイドライン 日本呼吸器学会2004

COPDガイドライン 日本呼吸器学会2004の図



気管支拡張薬による気道拡張作用

気管支拡張薬による気道拡張作用の図



COPDにおける肺の過膨張
=肺胞破壊による気腔拡大+空気の捕らえこみ

健常人
健常人の写真
COPD
COPDの写真



図



長時間作用型気管支拡張薬の登場
→COPD患者に対する治療効果の改善

長時間作用型気管支拡張薬の登場→COPD患者に対する治療効果の改善のグラフ



喫煙とCOPDの進行

喫煙とCOPDの進行のグラフ

(25歳時の1秒量を100とした比率)

(Fletcher C, BMJ. 1: 1645, 1977)



COPDを考慮すべき主要徴候

慢性の咳:   間欠的または毎日
しばしば一日中;稀に夜間を通じ


慢性の痰:   いかなるパターンでも慢性の痰はCOPDを示す

呼吸困難:   進行性(年々重くなる)
持続性(毎日出現)
運動時や呼吸器感染で悪化
「呼吸に努力がいる」「重苦しい」「空気が足りない」


リスク:   タバコ、職業上の塵埃、調理・暖房燃料
呼吸機能検査でCOPD診断を



加齢現象と勘違いしてはいませんか?

図



COPD

1.どんな病気か?  (疾患概念)
2.どうやって見つけるか?  (診断)
3.症状は改善するか?  (治療効果)

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