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第4章 国内事情や利用可能な資源に合わせた禁煙戦略の選択

第4章
  国内事情や利用可能な資源に合わせた禁煙戦略の選択

 たばこ依存症治療に関するメイヨ・クリニックの推奨(付録I)は広く知られているものの、実際に実行に移している国は少ない。そこで、2002年6月のモスクワ会議ではいくつかのワークショップを開催し、それらのワークショップにおいて、メイヨ・クリニックの8項目からなる推奨の実行に向けて最低限とるべき行動について、提言をまとめることとなった。8項目の推奨のそれぞれについて取るべき行動を提言するには、各国が政策上、たばこ規制にどれだけ前向きか、また、たばこ規制にどれだけの資源(人材および資金)を利用できるかを考慮する必要があった。しかし、ワークショップがこのような提言をまとめた真のねらいは、「政策上の優先度や資金調達の仕組みとは関係なく、国や州、地方自治体が、自ら何らかの行動を起こせば、それによって効果的な禁煙やたばこ依存症治療への道が開かれていく」というメッセージを伝えることであった。ここでいう「何らかの行動」には、喫煙が容認されている現在の環境を変えるというような公衆衛生上の幅広いアプローチから、短時間のアドバイスで喫煙者に禁煙を勧めるといった医療施設レベルでの小さな努力まで、様々な範囲の行動が含まれる。いずれにせよ、まずは第一歩を踏み出すことが、禁煙に対する効果的な対処方法についての経験と理解を深めていくとともに、住民の意識を高め、禁煙政策を優先事項とするよう政治家や指導的な立場にある人たちを動かしていくことにつながるのである。


国内医療制度における禁煙政策
カタールの禁煙クリニック

カタールの禁煙クリニックは、同国の医療制度の重要な一部として1999年に設立された。ここではカウンセリングサービスのほか、ニコチン置換薬(ニコチンパッチなど)と非ニコチン置換薬(ブプロピオン/Zybanなど)の両方を提供している。ニコチン置換療法の費用は、主に民間からの寄付でまかなわれている。NRTのガムとパッチは国内のどの薬局でも市販されているが、ブプロピオンは病院と薬局でしか入手できず、医師の処方箋が必要である。

2001年に行われた禁煙クリニックの評価では、1年後の追跡調査の結果、クリニックへの参加者の38%が禁煙に成功し、19%が減煙していた。

出典:アル=ムラー・AAK。カタールにおける禁煙の取り組み。2002年6月14〜15日に開催された、禁煙のための世界政策に関するWHOモスクワ会議での発表。


 各ワークショップには、議論の枠組みとしてメイヨ・クリニックによる8項目の推奨の概要の1つが割り当てられるとともに、利用可能な資源の多寡と、たばこ規制の政策上の優先度の高低とを組み合わせた4つのシナリオが示された。

 ・ シナリオA:たばこ規制に投入できる資源は乏しく、たばこ規制の優先度も低い。
 ・ シナリオB:たばこ規制に投入できる資源は乏しいが、たばこ規制の優先度は高い。
 ・ シナリオC:たばこ規制に投入できる資源は多いが、たばこ規制の優先度は低い。
 ・ シナリオD:たばこ規制に投入できる資源は多く、たばこ規制の優先度も高い。

 以下の表は、上記の4つのシナリオ下で、各国が禁煙やたばこ依存症のための包括的な戦略を実行するにあたり、国内事情や利用可能な資源に応じて選択可能なさまざまな行動について示したものである。これらの行動は、2つ以上を同時に実行してもよいし、別々に行ってもよい。またこの表は、とるべき行動をここに示したものに限定するものではなく、たばこ規制のために必ずとらねばならない政策というよりも、様々な不確定要因を考慮しながら禁煙やたばこ依存症治療の可能性を探るための暫定的な演習課題といえるものである。


禁煙支援プログラムの利用度を高めるには
カナダの画期的なアプローチ数例

カナダ連邦政府の新しい包括的たばこ規制戦略(これに対してカナダ連邦政府は2001年4月に、むこう5年間で4億8,000万ドルを出すことを約束)は、政府省庁間、および政府とボランティア医療機関や非政府組織との連携を重視するものである。

連邦政府、州政府、およびNGOの協力による無料の禁煙電話相談を全国規模で実施

インターネットによる双方向の自助禁煙プログラム(www.gosmokefree.caで閲覧可能)

10代の青少年が禁煙できるようサポートする特別プログラムの開発(「Quit4Life」、「Fly Higher」など)。

現在、新しいプログラムが試行され、その評価が行われている。そのひとつが「Asking to Listen」で、これは妊婦や産後の女性喫煙者にカウンセリングを行っている医療従事者に、情報やトレーニング・アドバイスを提供するものである。このほか「女性禁煙プログラム」もある(どちらもカナダ公衆衛生協会が提供)。

出典:ウィルソン・E。カナダにおける禁煙への取り組み。2002年6月14〜15日に開催された、ロシア連邦保健省主催の禁煙のための世界政策に関するWHOモスクワ会議で発表。




表II
  禁煙及びたばこ依存症治療の包括的な戦略−実現への行動計画
WHO−メイヨ・クリニックによる推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「禁煙治療を政府の公衆衛生上の優先課題にしよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
政府や保健問題をあつかう省庁は包括的なたばこ規制戦略を実行する。
ここでの「包括的なたばこ規制戦略」には下記を含む。
たばこ税の引き上げ
室内空気清浄化と禁煙化の推進
たばこのマーケティング、後援活動、販売促進活動の禁止
学校や青少年センター周辺や未成年者に対するたばこ製品の販売禁止
世論教育のための消費者や市民への情報提供の推進
国内外や地域社会において、喫煙が直接的・間接的に引き起こす疾病の罹患率と死亡率など、具体的な数値を示す。
職場の禁煙化が禁煙治療への動機を高める重要な第一歩であることを示す。
禁煙とそのメリットについて、認識を高め必要な資源を調達するために、主要関係者のネットワークを作る。
たばこ問題を、公衆衛生上の優先事項として推進するため、マスコミの認識を高め、政府、NGO、専門家団体を動かして禁煙運動を盛り上げる。
禁煙介入を、他の疾病治療や健康促進のプログラムに組み込む。
禁煙を促進するための社会基盤づくりのために、試験的な禁煙プログラムの開発を支援する。
禁煙治療製剤の価格引き下げを目指して、政府と医薬品メーカーとの連携を強化する。
既存の政策が、たばこ産業に対して貢献はしても、いかに公衆衛生上目指すゴールと矛盾するものかを示すために、たばこ産業について調査を実施する。
集団および個人向けの禁煙プログラムを実施するよう政府に促す。
地域の研究機関や、中核を担う機関・組織同士の国際協力を促す。
喫煙率や、喫煙に関連した疾病を減らす方法を探るために、研究を実施する。
新しい治療法や方策、治療へのアドヒアランス(服薬尊守度)に関して地方や異文化間の研究を進める。
治療をより利用しやすくするために、方法に関する調査を行う。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「禁煙治療の利用しやすさの向上に努めよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
禁煙治療が受けられる国ではNRTへの規制を緩和する。
NRTなどの禁煙補助製剤をWHOの必要医薬品リストに入れる。
集団を対象とした禁煙をサポートするために、大々的なマスコミ運動や地域プログラムへの投資を行う。
禁煙のメリットや、利用可能な禁煙方法に関する認識を高めるために、マスコミ運動を実施する。
「世界禁煙デー」や「懸賞つき禁煙キャンペーン」などのような国際的なキャンペーンを利用して、一般の人々に対して禁煙を推進する。
他の疾病や薬物乱用、妊娠・児童健康支援プログラムに、たばこ依存症治療を組み込む。
国が行う試験的な禁煙治療プログラムを、モデルプログラムとして医療施設に設置する
国が医療従事者に対し、禁煙介入法のトレーニングを提供できるように、国際協力を進め資金援助のためのプログラムを充実させる。
NRTの規制緩和など医薬品に対する政策を進める。
禁煙治療を提供する医療従事者、医療施設、病院などをサポートするために、政府の協力を仰ぐ。
一般の人々、特に児童や青少年の禁煙に対する認識を高めるために、行政側から協力を得る。
禁煙のための短時間のアドバイスができるように、プライマリーケアの医療従事者、薬剤師、歯科医、医療スタッフに対し、各々の状況に合わせたトレーニングを行う。
様々な場(例えば医療提供制度や地域社会など)で、たばこ依存症に対して効果的な治療を行う。
禁煙の電話相談を設け、一般の人々が利用できるようにする。
禁煙治療の利用度を高めるために、医療施設を選んで、国および地域レベルで実施している禁煙プログラムを試す。
医療保険加入者(企業等)に、禁煙治療やプログラムの設置に対し、資金協力するよう勧める。
地域や国レベルで行われている禁煙プログラムを、様々な地域社会で実施する。
合併症(うつ病、薬物乱用、アルコール依存症など)を伴う重篤な中毒症状を示す喫煙患者に対して、短時間の禁煙介入を行う。
重篤な中毒症状を示し、特別な注意を必要とする喫煙患者を対象としたプログラムを開発する。
NRT製剤の価格を交渉する。
NRTの利用度を高めるために診療報酬制度を定める。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「喫煙状況を把握し治療を提供しよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
効果的で費用対効果の高い既存の治療を、保険制度に組み込み、全ての喫煙者が利用できるようにする。
これらは以下の政策を含む。
喫煙者を把握するためのシステムの構築
医療従事者による禁煙アドバイスの日常化
個人あるいはグループを対象とした集中的なサポート
行動療法・薬物療法の利用
患者の年齢、性別、その他の必要事項と共に、カルテに喫煙状況を記録する。
医学部のカリキュラム、卒後医学教育、生涯医学教育、およびその他の医療専門トレーニングプログラムに、喫煙とその治療に関する教育を組み込む。
喫煙に関連した安全や健康に関して雇用者に対する規定を定めるよう政府に促す。
禁煙を促したり、禁煙者に報酬制度を設けるような従業員対象のプログラムを開発する。
全ての病院や職場において、禁煙プログラムの実施の義務化を促す。(診療報酬の制度化を含む)
患者の喫煙歴の入力をスムーズに行うために、コンピュータシステムを構築する。
様々な科学研究の組織や大学、共同研究施設と、禁煙の専門家とが提携し、5Aを実施する医療従事者を支援しレーニングを行う。
禁煙治療をより利用しやすく、また提供しやすくなるように、政府との連携を強化する。
医療従事者は、患者の血圧、体重、BMI(肥満度指数)などのバイタルサインと合わせて、喫煙状況を定期的に記録する。
禁煙介入をモニタリングするために、包括的なシステムを構築する。
先進的な治療方法や、研究方法を身に付けた専門家を養成する。
禁煙のための短時間の介入「5A」を以下に示す。(1)喫煙しているかどうかを尋ねる(Ask)、(2)禁煙をアドバイスする(Advice)、(3)禁煙する意志がどれほどあるか見極める(Assess)、(4)禁煙するのを助ける(Assist)、(5)追跡するための診療予約をとる(Arrange)。
米国保健福祉省。臨床ガイドライン〜喫煙と依存症の治療〜。メリーランド州ロックビル、医療研究品質局、2000年。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「医療従事者は自ら禁煙し同僚や患者の手本となろう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
保健省庁は、全ての医療施設や学校・大学、保健関連の科学的な団体において、禁煙化を進める制度を設ける。
医師会や他の医療従事者の関連団体は、禁煙治療を保証するために、禁煙治療を保健医療制度に組み込む。
禁煙を推進するために、医療従事者同士の同盟を結ぶ。
医療従事者の関連団体は・・
卒業生や会員に喫煙しないよう促す。
会員が禁煙できるように必要な資源を提供する。
会員の禁煙成功体験を皆に知らせ手本とし、禁煙こそが医療従事者のとるべき態度であることを示す。
保健省庁は、医療施設や医療関係の学校・大学での禁煙化を進める制度を設ける。
医師会は、医療保険制度の枠組み内で、たばこ依存症治療を支援し資金援助を行う。
医療従事者が禁煙できるように必要な資源を提供する。
医療従事者が地域住民に教育セミナーを行い、禁煙を促すよう促す。
医療従事者(医師、看護師、歯科医師、薬剤師など)を対象とした、たばこ依存症治療の知識や技術を身につけるためのトレーニングプログラムを開発する。
医学部内やインターン施設も含めた全ての医療環境を、禁煙とする規定を定めるよう政府を促す。
医療従事者(医師、看護師、歯科医師、薬剤師など)に対して、全国規模でトレーニングプログラムを実施し、たばこ依存症の効果的な治療が提供できるようにする。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「効果の高い治療に資金を供給しよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
様々な効果的な治療(行動療法や薬物療法のいずれか1つ、または組み合わせ)を提供し、全ての喫煙者が利用できるようにする。
利用の障害となっている規制を改める。
禁煙を希望するたばこ中毒者が、たばこ依存症治療用の医薬品を、たばこ製品と同じくらい簡単に入手できるようにする。
国内外の資金援助機関から、禁煙プログラム実施のための支援を得る。
十分な資金援助が行われている医療プログラムに、効果的な禁煙介入を取り入れる。
禁煙支援プログラムの情報を広め、治療が受けられるようにするために、官・民の連携を強化する。(例えばティーバッグや携帯電話に禁煙電話相談の電話番号を記載するなど)
禁煙トレーニングプログラムに、科学的な団体を参加させる。(例えば禁煙研究や効果的な介入のトレーニングセミナーやシンポジウムを開催するために、国内外の会合を利用するなど)
医療従事者の関連団体は、禁煙のための国際臨床ガイドラインを、母国語に翻訳し国内の文化に合ったものに修正する。
たばこ依存症の治療に対し、心臓病など他の疾病と同様に、重要な治療として資金援助をするよう、医療従事者や政府に各団体から働きかける。
税金や訴訟で得た資金を、禁煙治療関連活動のサポートに当てるように、政府に働きかける。
たばこ依存症の治療などを含むたばこ規制の活動を、サポートするために、たばこ企業に対して、訴訟を通じ政府機関を資金援助するよう義務付ける。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「喫煙者に禁煙を促そう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
政府、医療従事者や地域社会は、喫煙者に禁煙させ、また持続させる責任がある。一般の人々に対して、喫煙が及ぼす健康への影響について教育し、喫煙者に治療を受けるよう促し、手ごろな価格で治療を受けられるようにする。
禁煙と喫煙防止のため保健教育を行い、情報を提供する。
禁煙のために、各々の国の文化に合った動機付け(家族関係、宗教など)を行う。
公共の禁煙広告や低料金の禁煙電話相談を用いる。
紙巻きたばこのパッケージを利用して、禁煙の意識を高める。
たばこに対する認識や、禁煙の動機を高めるために、公的なマスコミによるキャンペーン活動を支援し、資金援助をするために増税を行う。
禁煙電話相談や、インターネットなどの通信メディアを設け、その利用を促すようNGO団体に働きかける。
「懸賞つき禁煙キャンペーン」のような介入プログラムの開発を進める。
公的なイベントやテレビ、メディアの広告キャンペーンで、重要な社会的指導者(政治家や芸術家、科学者など)を禁煙の手本として、活用する。
学校のカリキュラムに、禁煙のもたらす健康へのメリットについて、重要なメッセージを盛り込む。
地域の指導者に対し、地域主体の禁煙戦略に参加し、また実施するように促す。(例えば公共の場での禁煙化や「懸賞付き禁煙キャンペーン」など)
必要な人全員に、集中的なグループあるいは個人カウンセリングを提供する。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「たばこ消費を監視し規制しよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
政府は、喫煙行動とその禁煙率に与える影響をモニタリングし報告する。
規制当局は、喫煙のリスクを少なく見せ、虚偽の印象を与えるようなマーケティング戦略を禁止する。
政府は、たばこ製品中に含まれる二コチンやその他の毒性物質の正確な含有量を示し、またこれらの製品の毒性と依存性を軽減するために協力する。
治療薬は、少なくともたばこ製品と同様に簡単に入手できるようにする。
NGO、学術機関、医療従事者などに対し、喫煙状況をモニタリングするように促す。
違法なたばこ取引市場を監視するように政府に働きかける。
たばこ製品をモニタリングしたり、その調査を実施している施設をサポートする。
たばこ産業やそのマーケティング方法に対するモニタリング、また情報公開をサポートする。
禁煙から注目をそらし健康に与えるリスクを少なく見せたり、虚偽の情報を与えるようなマーケティング方法を禁じるように、規制当局に働きかける。
研究を行い、たばこ製品を評価し、その結果をマスコミを通じて公表するように、研究者や医療従事者に促す。
たばこ製品について、探求的な調査を実施するよう研究所や研究者に促す。
現在推奨されている事項を実施し、治療をより受けやすくする。
たばこ製品の有害性を減らすような新しい方法を開発する。
たばこ製品の規制のための枠組みを構築する。


WHO−メイヨ・クリニックの推奨 利用可能な資源が乏しいケース 利用可能な資源が豊富にあるケース
「新しい治療法を開発しよう」
シナリオA: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオB: たばこ規制の優先度が高い場合
シナリオC: たばこ規制の優先度が低い場合
シナリオD: たばこ規制の優先度が高い場合
全般的な政策
政府や地方、国際レベルのNGOや科学研究機関は、以下のことについて研究計画を定め促進する
異なる文化や環境における様々な治療介入の影響
特定集団(妊婦、青少年など)に対するNRTの効果と安全性
異なる集団や人種における、たばこ製品の銘柄とニコチンの曝露度の関係
国際機関との連携(例えば「ニコチン・たばこ研究学会=SRNT」と提携し研究能力を高めるなど)
地域レベルで文化に合った行動療法の活用方法を検討する。
画期的な治療法の開発をサポートするように政府に促す。
たばこ依存症治療の研究を関連分野に組み込む。
文化に沿った科学的根拠に基づく行動療法を推進する。
一般の人々に薬物療法を行い、その効果とアドヒランス(服薬尊守度)を評価する、試験的なプログラムを開発する。
児童、青少年、妊婦などの特定集団に対しても治療を拡大する。
全ての集団において、各々の文化により合うような治療法を開発する。
禁煙用の医薬品と新しい行動療法の研究開発を支援する。
禁煙を継続し再発を防止するために、より効果的な方法を検討する。
NGO独自で実施している研究に資金援助を行うように、民間に促す。
一般の人々への薬物療法の影響を評価・検討する、研究プログラムを開発する。
研究のトレーニングプログラムへの国際協力を促進する。

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