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高校生の飲酒実態と学校における取り組みについて(参考資料)

1年薬物(アルコール)教育事前学習

テキスト


図


平成18年6月20日
1年保健委員会



1年生の飲酒等の実態
 6月1日実施の薬物(アルコール)教育前調査結果より

1、 回答者
  実数
90 38.1%
146 61.9%

2、 飲酒経験の有無
  実数
(1)飲酒経験なし 102 43.2%
(2)飲酒経験あるが現在飲酒なし 82 34.7%
(3)現在飲酒あり年に1〜2回 27 11.4%
(4)現在飲酒あり月に1〜2回 11 4.7%
(5)現在飲酒あり週に1回 6 2.5%
(6)現在飲酒あり週に2回以上 7 3.0%
(7)現在飲酒ありほぼ毎日 1 0.4%
 
  実数
飲酒経験なし 102 43.2%
飲酒経験あり 134 56.8%
1年生ではすでに56.8%が飲酒を経験しており、全体の22%が現在飲酒している。

飲酒経験ありの内訳
飲酒経験あり 実数
現在飲酒なし 82 61.2%
現在飲酒あり 52 38.8%
  現在飲酒者(52人)の内訳
(3)現在飲酒あり年に1〜2回 27 51.9%
(4)現在飲酒あり月に1〜2回 11 21.2%
(5)現在飲酒あり週に1回 6 11.5%
(6)現在飲酒あり週に2回以上 7 13.5%
(7)現在飲酒ありほぼ毎日 1 1.9%
飲酒経験者の中では38.8%が現在飲酒している。その内訳は右の表のとおり、約半数が年に1から2回の飲酒であるが、週に2回以上〜毎日が8人14.4%いる。

3、 飲酒経験ありの初飲酒の実態
(1) 飲酒理由
(1)飲んでみたかった 35.1%
(2)興味があった 23.1%
(3)おいしそうだったから 24.6%
(4)周りの大人に勧められた 32.1%
(5)友達先輩に勧められた 9.0%
(6)大人ぶりたかった 1.5%
(7)ハイな気分になりたかった 6.0%
 
(2) 初めて飲んだお酒
ビール 37.3%
チュウハイ 36.6%
梅酒 4.5%
日本酒 4.5%
ウイスキー 1.5%
サワー 3.0%
果実酒 1.5%
ブランデー 0.7%
焼酎 0.7%
ワイン 5.2%
その他 3.0%
飲酒理由は飲んでみたかった・大人に勧められたが30%強、初めて飲んだお酒はビール・チュウハイが多かった。

(3) 所飲酒の時期
(1)小学校入学前 20.1%
(2)小学校低学年 29.1%
(3)小学校中学年 11.9%
(4)小学校高学年 19.4%
(5)中学校1年 11.2%
(6)中学校2年 10.4%
(7)中学校3年 9.7%
(8)高校入学後 0.0%
飲酒経験ありの人は小学校時代に約60%が飲酒を経験している。
高校に入って初めて飲酒した人はいなかった。

4、 現在飲酒者(52人)の実態・・・全体の約2割強が現在も飲酒している
(1) 飲酒理由
(1)おいしい 57.7%
(2)盛り上がりたい 7.7%
(3)勧められる 15.4%
(4)大人の気分になりたい 1.9%
(5)辛さ悲しさを紛らしたい 0.0%
(6)気分を晴らしたい 7.7%
(7)楽しい気分になりたい 5.8%
(8)理由はない 32.7%
 
(2) 飲酒の機会
(1)家族でのお祝い事 26.9%
(2)お正月等行事 42.3%
(3)家族との夕食 42.3%
(4)コンパ・打ち上げ 9.6%
(5)友人との集まり 26.9%
(6)その他 19.2%
現在飲酒している人の半数以上がお酒をおいしいと思って飲んでいる。

(3) 飲酒相手
(1)親・親類 78.8%
(2)きょうだい 13.5%
(3)友だち 28.8%
(4)先輩 3.8%
(5)後輩 1.9%
(6)ひとりで 13.5%
(7)その他 0.0%
 
(4) 飲酒時の状態
(1)気分が楽になる 9.6%
(2)気分がハイになる 11.5%
(3)酔っ払う 1.9%
(4)気分が悪くなる 3.8%
(5)酔いつぶれる 0.0%
(6)翌日覚えていない 0.0%
(7)変わらない 71.2%
飲酒相手は家族が最も多く、友だちとなっている。

(5) 自分の飲酒に対してどう思うか
(1)全く問題はない 48.1%
(2)飲まないほうがいい 11.5%
(3)付き合い程度だから大丈夫 30.8%
(4)度を越すので心配・不安 7.7%
無回答 1.9%
 
(6) 酔って意識が無くなった経験
(1)ある 1.9%
(2)ない 96.2%
無回答 1.9%
飲酒者のほとんどが自分の飲酒は大丈夫と思っている。

5、 喫煙経験の有無
(1)喫煙経験なし 86.9%
(2)喫煙経験あり現在なし 12.3%
(3)現在喫煙あり 0.8%
 
6、 タバコ・お酒どちらが身近?
(1)お酒が身近 71.2%
(2)タバコが身近 10.6%
(3)どちらも身近ではない 17.4%
約70%がタバコよりお酒のほうが身近に感じている。

7、 お酒の購入経験
(1)買ったことはない 88.1%
(2)自販機で買った 4.2%
(3)酒屋で買った 1.7%
(4)コンビにで買った 4.2%
(5)スーパーで買った 2.1%
 
8、 飲酒を勧められた経験と対応
(1)経験なし 78.4%
(2)経験あるが断った 10.2%
(3)断れず飲んだ 2.1%
(4)付き合いなので飲んだ 5.5%
(5)積極的に勧めに応じた 3.0%
約1割強がお酒を自分で購入している。先輩や友人から78.4%が飲酒を勧められたことはないと答えている。飲酒を勧めているのは周りの大人の傾向が強いことがうかがえる。

9、 アルコールの知識
  正答 誤答 正答率
(1)お酒に「強い」「弱い」は飲んでみなければわからない 97 134 41.1%
(2)アルコール度数の低いお酒ならどんなに飲んでも平気 216 15 91.5%
(3)日本人はお酒に弱い人も強い人もいる 218 13 92.4%
(4)女性が妊娠中にお酒を飲んでも胎児に影響はない 227 4 96.2%
(5)飲んでもいつごろ酔いが醒めるか計算できる 34 197 14.4%
(6)未成年の飲酒は脳に影響がある 210 21 89.0%
(7)正しく飲めば長寿のもと 81 150 34.3%
(8)どこの国でも20才未満禁酒の法律がある 167 63 70.8%
知識ではアルコールの分解メカニズムが十分理解されていない。

10、 高校生の飲酒に対する考え
(1)法律で禁じられているからよくない 47.9%
(2)健康上外があるからよくない 57.2%
(3)家族と一緒ならかまわない 9.7%
(4)高校生でも自分でコントロールできるならかまわない 13.1%
(5)打ち上げ・コンパなどでの付き合いは仕方がない 9.3%
(6)周囲に迷惑かけたりコントロールできなくなるのでやめたほうがよい 37.3%
(7)20才すぎるまで待ったほうがよい 43.6%
高校生の飲酒をよくないと考えている人たちが多いことがわかった。



久里浜アルコール症センターで研修してきました

 1年生保健委員全員は6月5日(月)の午後独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センターでアルコールの問題について勉強と病棟など施設を見学してきました。
 指導していただいたのは古川先生です。


久里浜アルコール症センターはこんなところ
 久里浜アルコール症センターは、横須賀市野比、目の前に海岸線が広がり、右手は三浦島左は房総半島、晴れていると遠くに大島が見える風光明媚な場所に、広大な敷地を持つアルコール専門病院です。
 戦前の昭和16年6月横須賀海軍病院野比分院としてでき、戦後は結核を中心に診療する国立療養所久里浜病院になり、平成元年にWHO(世界保健機関)から日本で唯一のアルコール関連問題研修センターとして専門的研修、研究活動に取り組んでいます。
 以前は国立療養所久里浜病院という名前だったが、国の方針が変わり独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センターとなりました。
 アルコール依存症の患者さんはアルコールによって身体のあちこちが悪くなっているので、まず内科病棟で身体を治すことから入院生活が始まる。その後年齢や性別、状態によって分かれた病棟で、それぞれの治療プログラムにそって治療がおこなわれています。またアルコール医療だけでなく、摂食障害などの分野にも力を入れています。
 海のそばで病院から海を見渡せ、みんなでスポーツやレクレーションができる広場などがあり、病院という堅苦しい感じとは少し違い、自由でのびのびとしている感じがしました。病棟も普通の病院とあまり変わりがなかったが、アルコールの離脱症状により幻覚などで患者さん自身にとって危険があるなどの時に入る部屋(保護室)があったりして、そこはアルコール症センターらしい感じがしました。
 患者さんは若年層〜中高年層まで本当に様々な年代の方たちがいて、アルコール依存症には年代がないことを感じました。

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保健委員の感想

1年2組
*アルコール中毒は、改めて怖いと思いました。先生の話を聞くまではなんとなくその問題とは、正直少しだけ目をそらしていた気がします。その中で私が一番重く受け止めたのは、同年代の方の飲酒です。例えば今の時期に飲酒を初めてしまうと通常では50歳あたりから発症してしまう依存症が、25歳という年齢で発症してしまうということです。さらに助かる確率が通常では50パーセントのところが、15パーセントまで下がってしまうということです。これは何を意味するかというと、この時期から飲酒を始めたら自分自身で自分の人生を台無しにしてしまうということです。私はこれほど辛いことはないと思います。そうゆうことを考えるとやっぱりこの時期の飲酒を本当にいけないと思いました。

*今回の研修で僕はアルコール依存症の恐ろしさを改めて認識しました。
特に若い人ほど依存症になりやすいと聞いたときは20歳になるまで飲酒は絶対にやめようと思いました。また、依存症になるのはお酒や薬物だけでなく、インターネットやダイエットも止められなくなると知り、何事もほどほどにしていかなくてはいけないと感じました。この経験を基に依存症に関する知識を広げていけばいいと思いました。

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<アルコールとは何か?>

1,アルコール飲料(-飲料)とは
 エチルアルコール(エタノール)が含まれた飲料である。「酒類」や単に「(お)酒」(広義)、またソフトドリンクに対してハードドリンクとも呼ばれます。
 アルコールは、エチルアルコールまたは酒精とも呼ばれ、芳香のある無色の液体で水にもよく溶ける中性の物質で、沸点は78.3度です。主な製法は、ブドウ糖や果糖の水溶液に酵母を作用させてアルコール発酵させる方法(発酵法)とエチル硫酸を水で分解する方法(合成法)があります。
 日本の酒税法では、アルコール分を1%以上含む飲料と定義されています。そのため、本来江戸時代にはアルコール飲料であったみりんは、現在は調味料としてのみ使用されるためアルコールが1%以上入っているがお酒とは扱われず、酒税も免除されています。
 製造方法や原料等は多種多様ですが、原材料から醗酵|発酵によってエチルアルコールを生成することで共通しています。アルコール飲料の製造および販売は、日本を含む多くの国において、法律(日本では酒税法や未成年者飲酒禁止法)により制限されています。

2,アルコールは、中枢神経の働きを抑制する作用を持つ薬物です。
 そして睡眠薬や全身麻酔薬とよく似た作用を及ぼします。他にもアルコールを飲むと気分がよくなったり、開放感を味わったり、血液の循環がよくなったり、胃液の分泌がよくなって食欲が増加したりなどの効果もあります。しかし、長期的に摂取すると肉体的・精神的にさまざまな障害が生じてきます。

3,お酒は心身の疲れを癒し、人間関係を円滑にする潤滑油として、またお祝い事やパーティー等の席になくてはならない存在として、人々の間に広く定着しています。昔から「酒は百薬の長」と言われていますが、最近、適量飲酒の長命効果を医学的に証明するデータが発表されています。
 ところが!一方でアルコール依存症の広がりや、未成年者の飲酒の増加などの問題点が指摘されており、また若者のイッキ飲みによる事故も、後を絶たない状況にあります。これからの“問題飲酒”は、基本的にお酒への理解不足による「誤使用」から生ずるものであり、お酒に対する正しい知識の不足が原因と考えられます。
 お酒は、正しく付き合えば心身にプラスとなり、人生の良きパートナーとなります。しかし、間違った付き合い方をすると、予期せぬ問題を引き起こします。



<アルコール飲料の種類>

1,酒税法では、アルコール分1%(1度)以上を含む飲料をアルコール飲料と総称しています。アルコールは、エチルアルコールまたは酒精とも呼ばれ、芳香のある無色の液体で水にもよく溶ける中性の物質で、沸点は78.3度です。主な製法は、ブドウ糖や果糖の水溶液に酵母を作用させてアルコール発酵させる方法(発酵法)とエチル硫酸を水で分解する方法(合成法)があります。
  アルコール分1%(1度)というのは、
 飲料中に含まれる無水アルコール分の容量%のこと。
 アルコール飲料100ml中に含まれるアルコール分のml数。


 酒類の分類(国税庁による「製造方法による酒類の分類」)

I  醸造酒
(1) 単発発酵酒・・糖分を含む物質を発酵させたもの・・・・・果実酒
(2) 単行糖化発酵酒・糖化の操作を経た物質を発酵させたもの・・・ビール・発泡酒
(3) 併行糖化発酵酒・糖化できる物質の糖化と発酵を同時進行させたもの・清酒 濁酒
  * 果実酒:果実を原料として発酵させたもの・・ぶどう酒、りんご酒等
  * ビール:麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの

II  蒸留酒
 醸造酒その他のアルコールを含む物質を蒸留したもの
 焼酎・ウィスキー類・スピリッツ類
  スピリッツ類: ジン、ウオッカ、ラム、ニュースピリッツなど
原料用アルコール・・ アルコール含有物を蒸留したものでアルコール分が45度を超えるスピリッツ

III  再製酒(混成酒)
 醸造酒、蒸留酒を基礎として、香味料、着色剤等を加えたもの
 ・合成清酒・みりん・甘味果実酒・リキュール類
 リキュール類: 酒類と糖類などを原料としたお酒でエキス分二度以上のもの
ペパーミント、キュラソー

図


<飲酒による事故>

JRバス関東宇都宮支店の運転手が缶酎ハイを飲み、東名高速道路で高速バスを蛇行運転、ライトバンと接触事故も起こして道交法違反で逮捕、送検された
生徒にとっては恐怖の時だったろうが、高速バスの乗客は3時間以上も「死の恐怖」を体験させられた。運転手の車内放送はろれつが回らず、バスは走行車線と追い越し車線を行ったり来たり。「後続の車が通報しなかったら、死んでいたかも」と青ざめる客もいた。運転手は2年前にも、マイカーの酒気帯び運転で摘発されていた。JRバスはアルコール検知も行っているが、缶酎ハイを飲んだのはその後。客を乗せ東名高速道路を走行中にも飲んでいた、と供述し始めている

図

県の社会福祉施設の男性所長が7月下旬、宿泊学習で訪れた茨城県の海水浴場でビールを飲み、入所している女子生徒の肩や腹を触っていたことが分かった。所長と一緒に複数の教員も飲酒しており、県と県教委は事実関係を調べている


アルコールは理性を麻痺させる。このような事件が、世間一般で起こっています。他人事だと思わずに、みなさんも近い将来気を付けてください!

死亡事故につながりやすい「飲酒運転」
飲酒運転の危険性は誰もが知っていますが、いっこうに飲酒運転は減らないのが現状です。飲酒運転による事故のもっとも大きな特徴である、「死亡事故になる確率が非常に高い」ということについて紹介します。

酒酔い運転の4件に1件が「死亡事故」に
毎年、飲酒の影響によるとみられる事故が依然として多発しています。そのなかで、飲酒運転による事故は「死亡事故になるか割合が非常に高い」ことが特徴的です。飲酒運転による人身事故は4件に1件以上が死亡事故につながっています。

飲めば飲むほど「死亡事故」に
血中アルコール濃度が高くなればなるほど死亡事故の危険性が高くなっています。血中濃度は個人差があって、体重によって変わります。例えば、体重70kgの人は、日本酒1合では0、82%にもなってしまいます。この場合の死亡事故の危険性は「しらふ」のときに比べ、70kgの人は3.5倍、50kgの人は5倍以上も高くなってしまいます。このように、わずかのお酒でも「飲酒運転」はたいへん危険なのです。


<自転車の飲酒運転>

 平日の夜半過ぎ、Aさんは乗用車を運転し、緩やかな右カーブを通り過ぎた後、Aさんは、前方から、自転車が対向して走ってくるのを認めた。この自転車は、左右にふらつく様子だったので、Aさんは自転車を避けるために走行位置をやや右寄りに移した。このときAさんは時速約50kmで走行していたが、減速はしなかった。その直後、この自転車は、走行位置を道路の中央付近に変えた。Aさんは、急ブレーキをかけたが2台は衝突した。
原因・・Aさんが自転車を発見したときに減速せず、そのままの速度で進行しようとしたことが事故の原因である。一方、自転車に乗っていたBさんは、酒酔い運転の状態であり、酔いの影響でふらついて道路の中央付近に出てきたものと考えられる。Bさんにも著しい過失があったと言える。


<熊本大学医学部漕艇部で急性アルコール中毒死事件!>

 1999年6月6日早朝、20歳になったばかりの熊本大学医学部1年生・吉田拓郎さんが急性アルコール中毒による吐物吸引窒息で亡くなった。拓郎さんは前夜、医学部学友会漕艇部の新入生歓迎コンパ(二次会)で、医学部上級生とOB医師から焼酎の早飲み競争を次々としかけられて、1時間ほどの間に、25度の焼酎を8合以上飲まされた。上級生は、コンパで多くの新入生がつぶれるだろうと予期して、用意周到な準備を行なった。まず、つぶれた新入生を運びこむ部屋をあらかじめ決め、段ボールや新聞紙を敷き詰めて吐瀉物に備えていた。次に、運び人と車の準備。そして、二次会会場で新入生は、財布や携帯電話などの貴重品などを取り上げられ、会場には嘔吐用のビニール袋が用意されていた。拓郎さんは二次会が始まって1時間ほどでつぶれ、OB医師が状態をチェックして「もう飲ませないほうがいい」と判断した。会場から車に運んだ上級生たちも名前を呼んだり頬を叩いたりしたが、反応がなく、昏睡状態にあることは明らかだった。5年生が救急病院に連れていくよう指示。道案内まで同乗させたのに、運転手は「毎年病院沙汰になっているから」「面倒だから」と従わず、「病院に連れていかなくても、死んだりしないだろう」と同乗者を説得して、用意されていたアパート部屋に運んでしまった。周りの人たちは、拓郎さんが高度の酩酊状態にあったことを知っており、保護する責任があったにもかかわらず、結局は拓郎さんを他の新入生とともに潰れ部屋に放置したままにしてしまい、死を招いたのだった。


アルコールの害

未成年者と飲酒

1. 身体的影響
(1)  急性アルコール中毒(お酒に弱い体質の人は特に危険)
(2)  肝臓障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)
(3)  すい臓障害(すい炎、糖尿病)
(4)  性腺機能障害(生理不順、インポテンツ)
(5)  脳障害(脳が縮む)

2. 精神的影響
(1)  学習意欲の低下
(2)  未来志向・未来展望の喪失
(3)  精神的成長や心理的発達の停止
(4)  性格の変化
(5)  若年のアルコール依存症発症

3. 社会的影響
(1)  交通事故(飲酒運転による事故)
(2)  学校問題(退学、成績不振)
(3)  職業問題(作業能率の低下、無断欠勤)
(4)  金銭問題(浪費、借金)
(5)  非行問題(暴力行為、性的非行)

図  図  図


なぜ未成年はお酒を飲んではいけないのか?

 未成年は心身ともに成長過程にあります。そういった時期にアルコールが体内に入ると、アルコールを分解する力が低いため脳細胞や多くの細胞に悪影響をもたらします。脳細胞への影響は、知的発達の障害を招くおそれがあります。また、思春期前からの飲酒は、性ホルモンを作り出す機能がうまく働かず2次性徴が遅れるなど、健全な発達を阻害してしまいます。こういった理由を基に未成年者の飲酒を禁止しています。
 世界中でもほとんどの国がお酒をたしなんでいますが、日本と同じようにアルコールの若年者への影響を考慮し、飲酒についての法律には飲酒開始年齢が決まっています。

他の国々の飲酒開始年齢
国名 飲酒開始年齢
フランス 16歳
ドイツ 16歳(ビール、ワイン)
18歳(スピリッツ)
イギリス 18歳
オーストラリア 18歳
韓国 19歳
アメリカ 21歳(州によって異なる)

未発達な未成年者の身体は、アルコールに対して感受性が強いため、飲酒開始年齢が若いほどアルコール依存症になる可能性が高いこともいわれています。

『お酒は20歳になってから』

 お酒が飲めるのは、かっこいいことでも何でもないです。飲酒できる年齢までは、自分の心身の成長と将来の人生設計に向けて、興味本位の飲酒や大人からの誘惑には負けないようにしましょう。

図


アルコールは体内でどうなるの?

図

 体内に入ったアルコールは、20%が胃で、80%が小腸で吸収されます。その後血管を通って肝臓へいき、そこで酵素によって分解されます。

アルコール分解の仕組み

 アルコールは肝臓で分解
お酒の主成分はアルコールと水です。このアルコールが体内で働いて酔いを作り出します。ではまずアルコールが体にまわる順序を説明したいと思います。
 (1) 胃や小腸で吸収されて血液に溶け込みます。
 (2) 血流とともに肝臓へ運ばれます。

*肝臓の働き・・・肝臓はアルコールを処理する働きがあります。肝細胞にはアルコールを分解する「アルコール脱水素酵素」と「ミクロゾームエタノール酸化酵素」があり、アルコールをアセトアルデヒドに変化させます。アセトアルデヒトは、悪酔いや二日酔いの原因となる有害物質で、顔が赤くなったり、動悸、吐き気、頭痛が起きたりするのはその毒性作用によるものです。このアセトアルデヒドは、同じく肝細胞中にある「アルデヒド脱水素酵素」によって無害な酢酸に分解されます。この酢酸は血液の流れに乗って全身をめぐり、炭酸ガスと水に分解されて最後にからだの外に出ていきます。

 しかしこの分解は一度で終わるわけではありません。分解をしきれなかったアルコールやアセトアルデヒドは、心臓を通って体内を巡り、再び肝臓へ戻って分解されるという過程をくり返します。アセトアルデヒドは毒性がとても強い物質で、吐き気や頭痛を引き起こします。多量の飲酒によって悪酔いや二日酔いが起こるのも、このアセトアルデヒドが体内に長時間留まっているのが原因です。
 また、アルコール分解には「ミクロソームエタノール酸化酵素」も加わります。この物質はアルコール量が増えると活性に働く性質があります。飲酒の頻度が多いと、ある程度お酒に強くなるのは、このミクロソームエタノールの特性によるものです。しかし肝臓にかかる負担はお酒に強くなっても変わらないので、ミクロソームエタノールが活発になるほどの大量の飲酒を続けるのは、肝障害または胃、腸、すい臓、心臓、食道、咽喉、そして脳にまで様々な臓器の病気を引き起こす原因となり、糖尿病や高血圧症の人は、飲酒量によって症状の悪化を招くことにもなりかねません。飲酒はほどほどにしましょう☆

アルコール分解の仕組みの図


身体への影響

グラフ

アルコール濃度の比較
飲んだ分量に、それぞれのお酒のアルコール度数(パーセンテージ)と比重(0.8)を掛ければ、摂取したアルコールの分量がわかります。
例☆ワインを1本飲んだ場合・・・ 750ml×0.8(比重)×1本×0.14(アルコール)=84g
(アルコール健康医学協会「適正飲酒の手引き」より)



エチルアルコール 22g
これを1単位と考えます。
図
 
ビール大びん(633ml)
純アルコール換算  25%
アルコール度数  5%
図
ワイン1/4本強(220ml)
純アルコール換算  22g
アルコール度数  14%
図
ウイスキーダブル1杯(60ml)
純アルコール換算  21g
アルコール度数  43%
図
日本酒 1合(180ml)
純アルコール換算  22g
アルコール度数  15%
図
焼酎 0.6合(110ml)
純アルコール換算  22g
純アルコール度数  25%
図
アルコール健康医学協会「アルコールと健康Q&A」より


血中アルコール濃度と酔い
分解
(血中アルコール濃度
【%】)
症状 アルコール飲用量
0期
爽快感(〜0.05%)
気分さわやか。
活発な態度をとる。
ビール大瓶1本
ウイスキーシングル2杯
1期
ほろ酔い初期
(0.05〜0.10%)
ほろ酔い気分。脈拍数、呼吸数早くなる。話はなめらかになり、抑制が外れる。
ビール大瓶2本
ウイスキーシングル3〜5杯
2期
ほろ酔い後期
(0.10〜0.15%)
気が大きくなり、自己抑制が外れる。
立てば少しふらつく。
ビール大瓶3本
ウイスキーシングル6〜7杯
3期
酪酊期
(0.15〜0.25%)
運動障害が出現する。まともに歩けない。(千鳥足)
呼吸促拍、嘔気、嘔吐
ビール大瓶5本
ウイスキーシングル10杯
4期
泥酔期
(0.25〜0.35%)
歩行困難。転倒すると起きあがれない。
意識混濁、言語支離滅裂。
ビール大瓶10本
ウイスキーボトル1本
5期
昏睡期
(0.35〜0.50%)
昏睡状態。屎尿失禁。呼吸麻痺をきたし、死亡する危険大
ビール大瓶
ウイスキーボトル1本以上
呼気中のアルコール濃度は血中アルコール濃度とほぼ平衡しているので、飲酒運転の判定などに利用されています。飲みすぎかどうかの危険信号を示す酔いの段階についての知識をもつ事が肝心です。

図


パッチテスト

お酒に「強い」「弱い」といった体質は、「遺伝子分析」により正確に判定できますが、簡易な「エタノール・パッチテスト」という方法でもある程度判別できます。なお、お酒を飲むと顔が赤くなる等の現象を「フラッシング反応」と言い「お酒に弱い人」に特徴的な症状です。
 貼った部分が赤くなっていれば「アルコールに弱い体質」、変化がなければ「強い体質」という目安になります。(皮膚が赤くなるのは、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドが分解されないで残っているという判断による。)

図

【目的】
  アルコール分解酵素(ALDH2)を持っているかのテスト
このテストで自分の体質を把握する。
【やり方】
 1、 パッチテスト用絆創膏にアルコールを70%染み込ませ、二の腕のぷにぷにした所に貼る。
 2、 7分後に一度剥がし、貼ったところの状態を診たあと、そのまた10分後にもう一度診る。
【原理】
  アルコールは、体内に入ると、アセトアルデヒドになり、これが顔を赤くしたり、吐き気や頭痛を起こさせる。飲めない人はALDH2を持っていない、ということになる。
また、ALDH2は遺伝的なものなので、努力して変われるものではない。
【結果の見方】
 ◆   赤くなっている
ALDH2を持っておらず、お酒が飲めないタイプ。
悪酔いし易く、無理して飲むと急性アルコール中毒になってしまう。

 ◆   何も変わらない
ALDH2を持っていて、お酒に強いタイプ。
しかし、いい気になって飲んでいると、肝臓病・すい臓病・アルコール依存症等の慢性の病気になり易い。


POINT
安静時に行う。(運動直後は避ける。)
エタノールを布の外へはみださせない。
貼った方の手をしめつけない。
貼ったテープの上を押さえない。

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