- 年金制度の中で、一定の前提をおいて、各世代がどの程度保険料を負担し、どの程度給付を受け取ることになるかについて比較をしてみると、世代によってその負担と給付の関係に差が生じる。
- 現在の受給者の世代で倍率が高くなっているのは、
- 戦後の経済混乱の中で、負担能力に見合った低い保険料からスタートし、段階的に引き上げることで長期的な給付と負担の均衡を図ってきたこと
- その後の経済発展の中で、物価や賃金の上昇に応じた給付改善を後代の負担で行ってきたことなどの要因により生じている。
- 年金制度における世代間の負担と給付の関係をみるに当たっては、その背景にある
- 都市化、核家族化による、私的な扶養から年金制度を通じた社会的な扶養への移行
- 少子化と長寿化の進行による現役世代にかかる扶養負担の高まり
- 生活水準の向上と実質的な保険料負担能力の上昇
などの要素を合わせて考慮することが必要であり、年金制度における負担と給付の関係のみで世代間の公平、不公平を論ずることはできない。
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