福祉行政と生活保護
厚生労働省社会・援護局長
国家予算と厚生労働省予算
一般歳出 |
46兆9,784億円
+6,124億円
+1.3% |
厚生労働省予算 |
21兆4,769億円
+5,352億円
+2.6% |
(一般歳出に占める割合 45.7%) |
障害保健福祉関係予算
2006年度予算 |
8,131億円 |
2007年度予算 |
9,004億円
+873億円 |
対前年度伸び率 |
+10.7% |
被保護人員の伸び率と失業率の推移
世帯類型別世帯保護率の推移
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昭和59年度 |
平成7年度 |
平成16年度 |
総数 |
21.1 (143.5) |
14.7 (100.0) |
21.5 (146.0) |
うち高齢者世帯 |
80.1 (176.8) |
45.3 (100.0) |
48.7 (107.6) |
母子世帯 |
224.7 (206.7) |
108.7 (100.0) |
139.7 (128.6) |
その他世帯
(傷病・障害者世帯を含む) |
12.7 (149.4) |
8.5 (100.0) |
12.3 (144.7) |
単位は0/00、指数は平成7年を100としたもの。
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保護費の構図
(平成19年度予算ベース)
保護費の総額及び扶助の種別等の構成
総額:2兆6,033億 |
生活扶助
8,409億円
32.3% |
住宅扶助
3,612億円
13.9% |
医療扶助
1兆3,124億円
50.4% |
介護
扶助
625
億
円
2.4% |
そ
の
他
263
億
円
1.0%
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※国庫負担額は上記の3/4である。
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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006
【社会保障】
<生活保護>
平成19年度予算における対応
- 要保護世帯向け長期生活支援資金の創設
- 公平・自立支援の観点からの母子加算の見直し
- 自立支援プログラムの推進による就労や退院の促進
- 他法優先の徹底(人工透析費用)
以上の対応により、国費▲約400億円
被保護者に対する自立支援について
○ 生活保護の目的
(1) 最低生活費の支給
(2) 自立の助長
○ 自立の助長の内容
(1) 日常生活自立→入院から在宅復帰 等
(2) 社会生活自立→ひきこもり防止、社会参加等
(3) 経済的自立 → 就労
○ 課題
【被保護世帯】
・ |
被保護世帯の抱える多様な問題に対応できているか。 |
- |
精神疾患、高齢者等の傷病(社会的入院を含む) |
- |
DV、虐待 |
- |
若年無業者(NEET)、多重債務、元ホームレス等 |
【保護の実施機関】
|
|
|
○ 自立支援プログラムの導入(平成17年度~)
(1) |
管内の被保護世帯全体の状況を把握 |
(2) |
被保護者の状況や自立阻害要因を類型化し、それぞれの類型ごとに対応する個別の支援プログラムを策定 |
(3) |
これに基づき個々の被保護者に必要な支援を保健所、医療機関、ハローワーク、NPO等とも連携しつつ、組織的に実施 |
◎ |
685の自治体(保護の実施自治体857の80%)で1638のプログラムを策定 |
◎ |
うち、422の自治体(保護の実施自治体857の50%)で620の就労支援に向けたプログラムを策定 |
◎ |
18年度 |
全自治体で自立支援プログラムを少なくとも1つ策定 |
|
19年度 |
全自治体で就労支援プログラムを策定 |
◎ |
セーフティネット支援対策等事業費補助金により自治体の取組を支援
(18年度150億円、19年度予算180億円) |
○ 生活保護受給者就労支援事業の創設
(平成17年度~)
|
|
生活保護受給者就労支援事業の創設(平成17年度~)
○ 福祉事務所とハローワークが連携し、被保護者の就労を支援
○ |
生活保護受給者の中から、支援対象者を選定し、ハローワークへ支援要請 |
○ |
支援対象者は、稼働能力を有し、就労意欲が高い者(リストラされた者、母子家庭の母等)で早期に適切な就労支援を行うことにより、自立の可能性が見込める者 |
|
○ |
ハローワークの担当者が、福祉事務所の担当者(ケースワーカー)の同席の上で支援対象者に面接 |
○ |
支援対象者の態様に応じ、面接指導、職業訓練等を実施 |
|
○ 実施状況
|
支援開始者数 |
支援終了者数 |
支援終了者のうち就職者数 |
支援開始者数に対する
就職者数の割合 |
平成17年6月~平成18年3月 |
7,309 |
4,553 |
3,007 |
41.1% |
平成18年4月~平成19年2月 |
8,494 |
8,056 |
5,031 |
59.2% (注) |
累計 |
15,803 |
12,609 |
8,038 |
50.9% |
(注)平成18年度の支援終了者数の中には、平成17年度中に支援開始した者も含む
基本的な姿勢
1.「働く人全体」の底上げを目指す
ー | 戦略は、成長戦略の一環として、経済成長を下支えする基盤(人材能力、就労機会、中小企業)の向上を図り、働く人全体の所得・生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐ。 |
2.「機会の最大化」により成長の底上げを図る
ー | 単に「結果平等」を目指すような格差是正策とは異なり、意欲のある人や企業が自らの向上に取り組める「機会(チャンス)」を最大限拡大。人材の労働市場への参加や生産性の向上を図ることで、経済成長を高めていくことを目指す。 |
3.「3本の矢」ー「人材投資」を中心に
【人材能力戦略】
『職業能力を向上させようとしても、能力形成の機会に恵まれない人』への支援
【就労支援戦略】
『公的扶助(福祉)を受けている人などで、経済的自立(就労)を目指していながら、その機会に恵まれない人』への支援
【中小企業底上げ戦略】
『生産性向上を図るとともに、賃金の底上げをしようとしているが、その機会に恵まれない中小企業等』への支援
|
1.人材能力戦略
◎“能力発揮社会”の実現
ー | “誰でもどこでも職業能力形成に参加でき、自らの能力を発揮できる社会(能力発揮社会)”の実現を目指す。 |
(1)「職業能力形成システム」(通称;「ジョブ・カード制度」)の構築
[1] |
「職業能力形成プログラム」による実践的な職業訓練機会の提供 |
[2] |
「ジョブ・カード」の交付
※「ジョブ・カード」には、訓練状況や実績評価認定結果のほか、「実践型教育プログラム(後述)」の履修証明等を記載。求職活動やステップアップに活用。 |
[3] |
プログラム参加者や参加企業等に対する経済的支援 |
[4] |
訓練参加の相談・準備から就労までの「キャリア・コンサルティング」の実施 |
(2)大学・専門学校等を活用した「実践型教育システム」の構築
[1] |
大学・専門学校等における「実践型教育プログラム」の提供 |
[2] |
履修証明書の交付(「ジョブ・カード」に記載) |
(3)官民共同推進組織の設置
◆19年度 | ー官民からなる「構想委員会」の設置と「先行プロジェクト」の実施 |
◆20・21年度(本格実施)ー |
官民からなる「推進協議会」の設置と本格実施(準備が整った業種・企業・大学等から実施) |
◆22年度以降ー |
実施状況を検証しながら、対象業種・企業・大学等を拡充 |
|
2.就労支援戦略
◎『「福祉から雇用へ」推進5か年計画』の策定・実施
ー | 「福祉から雇用へ」の基本的考え方を踏まえ、公的扶助(福祉)を受けている人などについて、セーフティネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立・生活の向上を図る。このため、『「福祉から雇用へ」推進5か年計画』を新たに策定し、実施する。 |
(1)『「福祉から雇用へ」推進5か年計画』の策定
[1] |
具体的目標の設定
・母子家庭世帯、生活保護世帯、障害者等の就労移行ー5年後の目標を設定 |
[2] |
推進方策の計画的な実施
・福祉(就労支援)と雇用(受入促進)の両面にわたる総合的な取組を展開。19年度~21年度を集中戦略期間として施策展開。
<主な施策>
○地域の特性を活かした就労支援体制の全国展開
○ハローワークを中心とした「チーム支援」
○障害者雇用促進法制の整備
○関係者の意識改革 |
(2)「工賃倍増5か年計画」による福祉的就労の底上げ
[1] |
「工賃倍増5か年計画」を全国で策定・推進 |
[2] |
企業的な経営手法の活用 |
[3] |
工賃水準の確保につながる企業からの発注に対する措置 |
|
3.中小企業底上げ戦略姿勢
◎「生産性向上と最低賃金引上げ」に向けた政策の一体運用
ー | 働く人の賃金の底上げを図る観点から、中小企業等における生産性の向上とともに、最低賃金を引き上げるため、産業政策と雇用政策の一体運用を行う。 |
(1)「生産性向上と最低賃金引上げ」に関する合意形成
○ |
「円卓会議(後述)」で、生産性の向上を踏まえた最低賃金の中長期的な引上げの方針について政労使の合意形成を図る。 |
(2)「生産性向上プロジェクト」の推進による賃金の底上げ
[1] |
下請取引の適正化
ー 生産性向上の成果を下請業者に適正に配分 |
[2] |
IT化・機械化・経営改善 |
[3] |
中小サービス業等への取組 |
[4] |
中小企業の人材能力の向上 |
(3)最低賃金制度の充実
[1] |
最低賃金の周知徹底 |
[2] |
最低賃金法の改正
ー 生活保護との整合性の考慮、罰則強化等 |
[3] |
最低賃金引上げに向けた産業政策と雇用政策の一体運用 |
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4.戦略の推進体制
◎ 官民一体となった推進体制
ー | 「成長力底上げ戦略」の推進のため、官民一体となった推進体制を国・地方で構築する。 |
(1)戦略推進体制の整備
[1] |
「成長力底上げ戦略推進円卓会議(仮称)」の設置
・官民からなる「円卓会議」を国・地方レベルで設置する。 |
[2] |
政府部内の推進体制
・「成長力底上げ戦略」を推進するための体制づくり |
(2)戦略の進め方
[1] |
推進スケジュール
「成長力底上げ戦略」は、原則として3年間に集中的な取組を行うものとする。
◆19年度 | - |
本格実施の準備、各施策を有効に組み合わせた先行的取組 |
◆20・21年度 | - |
本格実施 |
◆22年度以降 | - |
実施状況を検証しながら施策を展開 |
|
[2] |
政策の一体運用
・官邸主導による雇用政策、社会保障政策、産業政策、文教政策の一体運用 |
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福祉行政の方向性
○「尊厳を支えるケア」
○地域で普通の暮らしを継続する
○機能・活動・参加
○自立支援
○地域移行
○「福祉から雇用へ」:就労促進
○他職種協働
○長期継続ケア・包括的取り組み
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