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○ 住民参加の手法
 住民参加の手法としては、住民公募委員を含めた策定委員会や当事者からの意見や課題を聞く分野別懇談会の開催、地区懇談会や集落懇談会の開催、アンケート調査を考えました。(別紙フローチャート参照
 策定委員会は6名の一般公募を含めて25名とし、それを3小委員会(地域福祉、子育て支援、障害者支援)を設置して策定をすすめることとしました。

○ 地域の生活課題を把握し、住民主体で解決策を検討するための工夫について

 (1)地域課題、生活課題を把握するために
 自分が住んでいる「地域」にはどんな生活課題、福祉課題があるのか、その解決を図るための手立てについて行政と住民が一緒に考える必要があるのではないかと話し合い、当初は122全集落座談会を検討してきました。しかしながら、介護保険開始時やゴミ問題等に何度となく全集落座談会を開催してきましたが、「でてきた課題に対しての聞きっぱなし」が課題として挙げられたため、単発の座談会を122集落開催するよりも、集落を限って複数回座談会等を開催してはどうかということになりました。そこで、各地区公民館を中心とする地区懇談会を3回、さらに、1地区2集落のモデル集落を指定し、そのモデル集落でも3回位の座談会を開催することにしました。1回目で地域の福祉課題を集約し、2回目で解決策を、3回目でその整理をすることにしました。

 (2)住民の方々に参加してもらうための工夫
 しかしながら、その後事務局会で検討した結果、開催時間帯によって集まるメンバーが限定され、出される課題も偏ってくるのではないかとの意見が出されたことを受けて、集落座談会の1,2回を集まりやすい時間帯に変えて開催、例えば1回目を平日の午後1時30分から高齢者や女性を対象に、同じく平日の午後7時からは、仕事を持っている若い方などを対象に開催し、共に地域の課題を出してもらうこと。3回目では、土曜日か日曜日に開催し、1〜2回で出された課題の解決策を住民主体で検討することといたしました。
 平日の日中は、比較的高齢者や子育て中の若妻が、夜は区長をはじめとする集落の役員、消防団員や育成会等が参加してくれるのではないかと期待をして開催したのですが、ほぼ期待通りの結果となりました。参加者は、20代から80代までさまざま。そして、参加者の年代等により出された課題も大きく変わっていました。
 また、ただ集まって話を聞くだけでは、「一部の声の大きな人の意見が中心となり、他の人は聞き役となってしまう」ということで、用紙(ポストイット)に課題や意見を書き入れていただき、それを大判用紙に貼り付けながら、「健康」「こども」「高齢者/障害者」「地域活動」「環境/生活安全」「その他」という6分野に整理する作業を行いました。この作業によって、出された課題が自分達の課題であることを分かりやすく認識できるように出来たと思います。この方法は、地区懇談会でも、集落座談会でも課題吸い上げに使用しました。

 (3)地区懇談会の開催
 地区懇談会は、区長会長や民生委員・児童委員、父母の会や母親クラブ、ボランテイア等それぞれの地区で積極的に地域活動、福祉活動する方々のうちから委員として10名前後選出して開催しました。この委員の方々は、無償です。最初の会議では、地域福祉計画策定の趣旨の説明を行い、2回目に町の福祉マップ等を資料として、数字からそれぞれの地区の現状を考えていただき地区としての課題を出し合いました。今後、それらの地域課題を解決するためにどうすればよいかを検討していく予定です。
 地区懇談会では集落座談会とはまた違った課題がありました。「行政側から原案を出し、それを検討する」ことに慣れた一部の地区懇談会委員が、原案も無いまっさらな中で、それぞれが思っている地域課題を出し合うということが理解できなかったし、担当の事務局員も説明に戸惑ったことがありました。地区の懇談会委員、事務局職員共に意識の改革が求められたように思われます。
 地区懇談会委員には、地区内の集落座談会にも自主的に参加していただきましたので、地域の実情を知る上で大変意義があり、その後の地区懇談会でそれらの経験が生かされてきていると思います。

 (4)集落座談会の開催
 集落座談会は、区長会や地区懇談会等で検討して各地区から選出していただいた2集落で2回〜3回開催されました。全部で6地区12座談会を1チーム4名の職員で担当しましたが、初回のすべての集落座談会で、健康福祉課長(又は、福祉推進室長や担当主査)が地域福祉計画策定の趣旨を説明しました。
 日程は、集落の役員と地区公民館の振興係長が調整をして決定し、その後開催チラシを事務局で作成して全戸配布を行いました。
 ある地区では、集落役員との話し合いを行い、全戸配布のチラシ裏に、「家庭でも地域課題を話し合ってその結果をまとめて持ち寄ろう」と呼びかけ、数人でしたが事前に課題を書き入れた参加者もおりました。
 集落座談会の出席者は、少ない集落では5名位、多い集落では40名位でした。会の最初に「要望については控えていただきたい」ことや「せめて一人1回の発言」などをお願いして座談会を進めましたが、要望も多くだされました。(特に季節的に除雪の件など)
 参加者からは、「福祉の課題といっても何を話したらよいのかわからない」という声がありましたが、中には「自分にとって福祉というのは、感覚的に上から下へという感じ。一般の声を反映させたいというのはたいした計画だ。」「福祉とは、しあわせを感じる環境をつくること。今までは上から与えられるものだったが、自分が何をできるかを見つけることが地域福祉ではないか」とか「福祉に対する住民の勉強会が必要。自分達でできることは自分達たちでといったことが必要」という声も出されました。
 事務局職員は、事前に職員自身でKJ法的勉強会を開きましたが、全員が集まる時間が日程的にとれなかったため、集落に出向くことに不安を持っていました。人が集まらなかったり、なかなか地域福祉計画策定の意義をわかってもらえなかったりと混乱も一部ありましたが、「直接住民の方々と話すのが楽しい。これこそ地域づくりだ。勉強になる」という声も挙がっています。

 (5)住民主体で解決策を検討するための方策
 ポストイット等で出された課題や意見を集落毎に「地域の福祉課題」と「その他の要望事項など」に分類整理し(別紙)、第3回目での話し合いでは、「皆でできること、行政でないとできないこと、または、住民と行政が一体となって行わなければならないこと」を、課題分類の用紙に「個人と集落」「地区」「町や県、国」を設け、何処がその役割を担った方がいいのか○印を付けながら一つ一つ具体的な課題解決の方策を話し合いました。
 おおよそ2時間位の座談会では、すべての集落で継続した活動が生まれるまでには至っていませんが、次年度の集落事業や集落自治公民館、地区公民館活動に結びつけ、何かやってみようという声も多く、町で行っているまちづくり出前講座等を突破口に、出てきた課題と現在の施策、関係各課、団体等を意識的に繋げていくことが私達職員の役割かと思います。

 (6)策定委員と民生委員・児童委員
 地域福祉計画策定委員会委員にも出身地区の地区懇談会、集落座談会の開催通知をお送りし、多くの委員の方々に出席していただいています。また、民生委員・児童委員の方々には、「委員としての地域への役割」と「地域住民としての地域への役割」を十分に認識していただき、自主的に参加していただいています。

○ 今後の取り組み
 今現在、集落座談会の3回目と地区懇談会の2回目の真っ最中です。1月26日現在で地区懇談会9回延べ133人、集落座談会には、19回延べ373人の出席者がありました。今後さらに地区懇談会9回、集落座談会14回が予定されており、年度内に吸い上げた課題を整理する予定です。
 また、住民ニーズの把握の一つとして次世代育成支援活動調査、コミュニテイや在住外国人へのアンケート調査を実施する予定です。
 さらに、「障害者・子育て・高齢者・社会福祉・小中高児童生徒」という5分野の懇談会の開催を予定しています。これは、当事者又は関係者からそれぞれの分野における課題提起と地域福祉活動のあり方を考えるためのものです。
 以上のような取り組みをとおしながら出された地域課題を策定委員会で検討し、17年3月までに高畠町の地域福祉計画を策定したいと考えています。


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