平成19年6月
1. | ハンセン病(Hansen's disease)とは ハンセン病は、1873年にノルウェーのアルマウェル・ハンセン医師によりらい菌(Mycobacterium leprae)による細菌性感染症の一部であるのが発見された。 らい菌は、皮膚や末梢神経を侵す感染症で、皮膚に結節や斑紋などを生じさせ、また、末梢神経が侵されることから知覚障害や発汗障害を認めることが多い。筋肉の萎縮をきたし、外形的にあきらかな変形をさせるなどの障害を残す場合がある。 しかし、らい菌の感染によって発病することはまれである。現代では外来治療において、化学療法を中心とした治療を行い、確実に治癒する病気となっている。 全世界では現在でも、約30万人の新規患者が発見されている。我が国に関しては年間5名以下の患者が発見されるのみである。 |
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2. | ハンセン病療養所入所者について ハンセン病療養所入所者については、現在国立13カ所・私立2カ所の療養所で約2,900人が療養を継続して受けている。 平均年齢は、約79歳と高齢化していることから、視覚障害などの後遺症や合併症により治療や介護を要する人が多い。医療だけでなく高齢化対策等の充実が重要となっており、不自由者棟の緊急通報システムの導入や夜間看護体制強化などの対策が講じられている。 |
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3. | ハンセン病療養所退所者について ハンセン病療養所退所者については、退所時に社会復帰支援事業による支援、国立ハンセン病療養所等退所者給与金の支給等により、社会復帰や復帰後の生活の維持等が図られている。 また、公営住宅の入居において、同居親族がないハンセン病療養所退所者の場合でも入居できるように政令が改正された。 なお、社会復帰支援事業については、要綱を改正し、ハンセン病療養所退所者の社会復帰の促進が一層図られている。平成16年度においては、社会復帰支援策が不十分な中でハンセン病療養所を退所した方に対し、社会生活支援一時金事業を実施したところである。 各都道府県においては、社会生活支援に関する相談窓口等を設置しており、さらに一部の都道府県においては、公営住宅の優先入居など、対策の充実が図られている。 |
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4. | ハンセン病療養所へ入所歴のない患者・元患者について 裁判上の和解が成立したハンセン病療養所へ入所歴のない患者・元患者については、平穏で安定した平均的水準の社会生活が営むことができるよう、新たに平成17年度から非入所者給与金の支給を開始した。 |
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5. | ハンセン病国家賠償請求訴訟について ハンセン病療養所入所者等が、らい予防法等により隔離され、人権を侵害されたとして、政府(当時の厚生省)及び国会を被告とした国家賠償請求訴訟を提起。平成13年5月11日の熊本地方裁判所判決確定後、現在、熊本、東京、岡山の各訴訟で入所者・元入所者について和解成立中。 また、遺族及び入所歴なき原告との間においても平成14年1月28日の基本合意書の調印により、以降和解成立中。 |
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6. | 主な施策について [ ]内は平成19年度予算
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7. | その他
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