ジエチルスチルベストロール試験法
1.装置
液体クロマトグラフ・質量分析計を用いる。
2.試薬・試液
次に示すもの以外は,第2 添加物の部C 試薬・試液等の項に示すものを用いる。
なお,「(特級)」と記載したものは,日本工業規格試薬の特級の規格に適合するものであることを示す。
ア | セトニトリル 液体クロマトグラフ用に製造したものを用いる。 |
グ | ルクロニダーゼ溶液 Helix pomatiaより抽出,精製したβ-D-グルクロニダーゼ100,000ユニット/mlを含む。 |
ジ | クロロメタン ジクロロメタン(特級)。 |
弱 | 塩基性陰イオン交換樹脂ミニカラム(500mg) 内径8〜9mmのポリエチレン製のカラム管に,カラムクロマトグラフィー用に製造したジエチルアミノプロピル化弱塩基性陰イオン交換樹脂500mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。 |
水 | 液体クロマトグラフ用に製造したものを用いる。 |
無 | 水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)。当該農薬等の成分である物質の分析の妨害物質を含む場合には,ジクロロメタン等で洗浄したものを用いる。 |
3.標準品
ジ | エチルスチルベストロール 本品はジエチルスチルベストロール99%以上を含む。 |
分解点 | 本品の分解点は208℃である。 |
4.試験溶液の調製
a 抽出法
検体を細切均一化した後,その5.00gを量り採り,0.04mol/l酢酸ナトリウム溶液11mlを加えて細砕し,酢酸を加えてpH4.25〜4.75に調整する。これにグルクロニダーゼ溶液100μlを加え,37℃で14時間放置する。これにアセトニトリル16mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,毎分3,000回転で5分間遠心分離し,上澄液をすり合わせ減圧濃縮器中に採る。残留物にアセトニトリル16mlを加え,上記と同様の操作を2回繰り返す。上澄液をすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ,50℃以下で約3mlに濃縮する。これにジクロロメタン50ml及び5%塩化ナトリウム溶液200mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,ジクロロメタン層を採る。無水硫酸ナトリウムで脱水ろ過する。水層にジクロロメタン50mlを加え,上記と同様の操作を2回繰り返す。ジクロロメタン層を合わせ,適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過し,40℃以下でジクロロメタンを除去する。この残留物にn-ヘキサン及びベンゼンの混液(3:1)4mlを加えて溶かす。
b 精製法
弱塩基性陰イオン交換樹脂ミニカラム(500mg)に,n-ヘキサン及びベンゼンの混液(3:1)10mlを注入し,流出液は捨てる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後,n-ヘキサン及びベンゼンの混液(3:1)2ml,ジクロロメタン4mlを順次注入し,流出液は捨てる。このカラムにジクロロメタン及びメタノールの混液(9:1)8mlを注入し,溶出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40℃以下でジクロロメタン及びメタノールを除去する。この残留物にアセトニトリル及び水の混液(1:1)0.5mlを加えて溶解し,これを試験溶液とする。
5.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カ | ラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径2〜5μm)を用いる。 |
カ | ラム管 内径2.0〜6.0mm,長さ100〜250mmのステンレス管を用いる。 |
カ | ラム温度 40℃ |
移 | 動相 アセトニトリル及び0.002mol/l酢酸アンモニウムの混液(1:1)を用いる。ジエチルスチルベストロールが約7分で流出する流速に調整する。 |
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。