ジクロベニル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ジクロベニル
2.装置
電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ(GC-ECD)
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
5 | %含水合成ケイ酸マグネシウム カラムクロマトグラフィー用に製造した合成ケイ酸マグネシウム(粒径150〜250μm)を130℃で12時間以上加熱した後、デシケーター中で放冷する。これに対して水5%を加える。 |
ジ | クロベニル標準品 本品はジクロベニル97%以上を含み、融点は143〜146℃である。 |
4.試験溶液の調製
1)抽出
試料20.0g(穀類の場合は、試料20.0gに水40 mLを加え、2時間放置する)にアセトン100 mLを加えて30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50 mLを加えて振とうし、上記と同様にろ過を行う。ろ液を合わせ、40℃以下で約50 mLに濃縮する。これに5%塩化ナトリウム溶液100 mLを加え、n-ヘキサン100 mL及び50 mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液に2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.5 mLを加えて35℃以下で約5mLまで濃縮する。
2)精製
クロマトグラフ管(内径15 mm)に5%含水合成ケイ酸マグネシウム5gをn-ヘキサンに懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに1)で得られた溶液を注入し、次いで、エーテル及びn-ヘキサン(1:19)混液50 mLを注入する。溶出液に2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.5 mLを加えて35℃以下で約1mLまで濃縮し、窒素ガスを用いて乾固する。残留物をn-ヘキサンに溶解し、正確に10 mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
ジクロベニル標準品をアセトンに溶解し、n-ヘキサンで希釈して、0.01〜0.2 mg/Lの標準溶液を調製する。この溶液の2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でジクロベニルの含量を求める。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
GC
検 | 出器:ECD |
カ | ラム:50%フェニル−メチルシリコン 内径0.2〜0.7 mm、長さ10〜30m、膜厚0.1〜1.5μm |
カ | ラム温度:50℃(2分)−2〜20℃/分−280℃ |
注 | 入口温度:200〜270℃ |
検 | 出器温度:280〜300℃ |
9.定量限界
0.01 mg/kg
10.留意事項
1)試験法の概要
ジクロベニルを試料からアセトンで抽出し、ヘキサンに転溶した後、合成ケイ酸マグネシウムカラムで精製する。GC-ECDで測定し、GC/MSで確認する方法である。
2)注意点
(1 | ) ジクロベニルは蒸気圧が高いので濃縮時に揮散しやすく、GC/MSによる一斉試験法では30〜60%の回収率しか得られない。濃縮時にはキーパーとしてジエチレングリコールを加え、乾固させないように充分注意する。 |
11.参考文献
なし
12.類型
D | (農薬残留分析法研究班編 最新「農薬の残留分析法」、193-195頁、中央法規出版、1995年、GC操作条件は環境省告示の水質汚濁に係わる登録保留基準値の試験法から引用) |