プロヒドロジャスモン試験法

1. 分析対象化合物
 プロヒドロジャスモン[n-プロピルジヒドロジャスモネート(以下「PDJ」という。)]

2. 装置
 ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)

3. 試薬、試液
 次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
 PDJ標準品本品は、PDJ 97%以上を含み、沸点は318℃である。

4. 試験溶液の調製
1)  抽出
 試料20.0gを量り採り、アセトン100mLを加え、3分間ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて、40℃以下で約20mLに濃縮する。これに10%塩化ナトリウム溶液50mLを加え、−ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。残留物に−ヘキサン20mLを加えて溶解した後、−ヘキサン飽和アセトニトリル40mLずつで2回振とう抽出する。アセトニトリル層を合わせて40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に−ヘキサンを加えて溶解し、正確に20mLとする。

2)  精製
 クロマトグラフ管(内径15mm)に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム10gを−ヘキサンに懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム5gを積層する。このカラムに、1)で得られた溶液4mLを注入した後、−ヘキサン100mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル・−ヘキサン混液(1:19)200mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を−ヘキサンに溶解し、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。

5. 検量線の作成
 PDJ標準品をアセトンで溶解後、0.005〜0.1mg/L −ヘキサン溶液を数点調製し、それぞれ2μLをGC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6. 定量
 試験溶液2μLをGC/MSに注入し、5の検量線でPDJの含量を求める。

7. 測定条件
GC/MS
カラム 5%フェニル−メチルシリコン、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度 80℃(1分)−15℃/分−280℃(10分)
注入口温度 250℃
キャリヤーガス ヘリウム
イオン化モード(電圧) EI(70eV)
主なイオン(m/z) 184、153
保持時間の目安 約10.4分および約10.6分

8. 定量限界
 0.005mg/kg

9. 留意事項
1)  試験法の概要
 PDJを試料からアセトンで抽出し、−ヘキサンに転溶する。アセトニトリル/−ヘキサン分配及び合成ケイ酸マグネシウムカラムクロマトグラフィーで精製した後、GC/MSで測定する方法である。
2)  注意点
(1)  PDJ標準品は、ヘキサンよりもアセトンに溶解性が高いため、標準原液をアセトンで調製した後、測定用標準溶液をヘキサンで調製する。なお、PDJ標準品はtrans体87%以上及びepi体12%以下の混合物であり、クロマトグラム上はtrans体およびepi体の順に溶出する。PDJはtrans体とepi体の和を分析値とする。GC/MSの測定において、PDJの感度が試験溶液の注入前後で大幅に変動する場合があるため、あらかじめ試験溶液を数回注入して、感度を十分に安定させた後、測定を行う等の措置が必要である。また、試験溶液の夾雑物が次のクロマトグラムに影響を及ぼす可能性があるため、測定終了後カラムの焼き出しを十分に行う必要がある。
(2)  精製が不十分な場合は、以下のカラムを用いて精製を追加することができる。
 a)  シリカゲルミニカラム(690mg)
 エーテル及び−ヘキサン各10mLで予備洗浄を行う。試料液をエーテル・−ヘキサン混液(1:19)10mLで負荷洗浄し、流出液を捨てた後、エーテル・−ヘキサン混液(3:17)20mLで溶出させる。
 b)  活性炭ミニカラム(500mg)
 −ヘキサン10mLで予備洗浄を行う。試料液を−ヘキサン10mLで負荷し、−ヘキサン10mLで溶出させる。全量を採取する。

10. 参考文献
 環境省告示第60号「プロヒドロジャスモン試験法」(平成15年4月10日)

11. 類型
 C
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