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エチプロール試験法


1. 分析対象化合物
エチプロール

2. 装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ (HPLC(UV))
液体クロマトグラフ・質量分析計 (LC/MS)

3. 試薬、試液
 次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
 ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム (1,000 mg) 内径12〜13 mmのポリエチレン製のカラム管に、ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲル 1,000 mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
 アセトニトリル 高速液体クロマトグラフ用に製造されたもの
 エチプロール標準品 本品はエチプロール 98%以上を含む。

4. 試験溶液の調製
1) 抽出
 穀類の場合は、試料 10.0 gを量り採り、これに水 20 mLを加え、2 時間放置する。茶の場合は、試料 5.0 gを量り採り、上記と同様に処理する。果実の場合は、試料 20.0 gを量り採る。
 これにアセトン 100 mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン50 mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液にアセトンを加えて正確に 200 mLとする。穀類及び果実の場合は、この 100 mLを採り、40℃以下で約 15 mLまで濃縮する。茶の場合は、この 40 mLを採り、 40℃以下で約 5 mLまで濃縮する。これに 10%塩化ナトリウム溶液 100 mLを加え、酢酸エチル・−ヘキサン混液 (1:1) 100 mL及び 50 mLで 2 回振とう抽出する。抽出液を液相分離ろ紙を用いてろ過した後、ろ液を 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル・−ヘキサン混液 (1:1) 5 mLを加えて溶かす。
2)精製
(1) 活性炭カラムクロマトグラフィー
 活性炭ミニカラム (500 mg) に酢酸エチル・−ヘキサン混液 (1:1) 10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに、1) で得られた溶液を注入した後、酢酸エチル・−ヘキサン混液 (1:1) 10 mLを注入する。全溶出液を 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン・−ヘキサン混液 (1:9) 5 mLを加えて溶かす。
(2) アミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム (360 mg) にアセトン・−ヘキサン混液 (1:9) 10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに (1)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、アセトン・−ヘキサン混液 (1:9) 5 mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン・−ヘキサン混液 (1:4) 10 mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル 5 mLを加えて溶かす。
(3) ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム (1,000 mg) にアセトン10 mL及び酢酸エチル 10 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに (2)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、酢酸エチル 5 mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン 10 mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル・水混液 (1:1) に溶解し、正確に 4 mL (穀類の場合は 2 mL、茶の場合は 1 mL)としたものを試験溶液とする。

5. 検量線の作成
 エチプロール標準品の 0.05〜1 mg/Lアセトニトリル・水混液 (1:1) 溶液を数点調製し、それぞれ 40 μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6. 定量
試験溶液 40 μLをHPLCに注入し、5の検量線でエチプロールの含量を求める。

7. 測定条件
1) HPLC
 検出器: UV (波長 275 nm)
 カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル (粒径 5 μm)、内径 4〜4.6 mm、長さ 250 mm
 カラム温度: 40℃
 移動相: アセトニトリル・水混液 (1:1)
 保持時間の目安: 9分
2) LC/MS
 カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル (粒径 5 μm)、内径 2 mm、長さ 150 mm
 移動相: 水・アセトニトリル混液 (1:1)
 イオン化モード: ESI
 主なイオン (m/z): 正イオンモード 397、399、 負イオンモード 395、397
 注入量: 4 μL
 保持時間の目安: 7分

8. 定量限界
0.02 mg/kg (茶にあっては 0.05 mg/kg)

9. 留意事項
1) 試験法の概要
 エチプロールを試料からアセトンで抽出し、酢酸エチル・−ヘキサン混液 (1:1)に転溶する。活性炭ミニカラム、アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム及びベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにより精製した後、HPLC(UV)で測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
(1) 転溶溶媒を脱水するために、液相分離ろ紙の代わりに無水硫酸ナトリウムを使用した場合は、回収率の大幅な低下を招く。
(2) 転溶操作時にエマルジョンが生成する場合がある。代替法としては、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム (1,000 mg)を利用する方法がある。[操作概要: 試料抽出液(できるだけ溶媒を除去した状態)をカラム(アセトニトリル5mL及び水5mLで順次洗浄したもの)に負荷した後、アセトニトリル・水混液 (7:13) 10 mLで洗浄、アセトニトリル・水混液 (3:2) 10 mL又はアセトニトリル 10 mLで溶出する。]
(3) ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、夾雑物の少ない試料では、省略することも可能である。

10. 参考文献
なし

11. 類型
C


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