戻る

イミノクタジン試験法


1. 分析対象化合物
イミノクタジン、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩

2. 装置
ポストカラム反応蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。

3. 試薬、試液
次に示すもの以外は, 総則の3に示すものを用いる。
0.1mol/l塩酸メタノール溶液 塩酸10mlにメタノールを加えて1,000mlとする。
トリエチルアミン溶液 水酸化ナトリウム40.0g及びトリエチルアミン0.75mlに水を加えて1,000mlとする。
発蛍光液 ニンヒドリン3gに水を加えて1,000mlとする。
リン酸緩衝液(pH6) 第1液:リン酸一カリウム2.713gを量り,水を加えて溶かして1,000mlとする。第2液:0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液を用いる。第1液400mlと第2液7mlを混和し,両液を用いてpHを6に調整する。

4. 標準品
イミノクタジン三酢酸塩 本品はイミノクタジン三酢酸塩98%以上を含む。
融点 本品の融点は143〜144°である。

5. 試験溶液の調製
a 抽出法
(1) 穀類,豆類,果実,野菜,種実類及び抹茶の場合
穀類,豆類及び種実類の場合は,検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後,その20.0gを量り採り,塩酸グアニジン5g,トリエチルアミン溶液20ml及び水20mlを加え,2時間放置する。
果実及び野菜の場合は,検体約100gを精密に量り,塩酸グアニジン25g及びトリエチルアミン溶液100mlを加え,細切均一化した後,検体20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶の場合は,2.00gを量り採り,塩酸グアニジン5g,トリエチルアミン溶液20ml及び水20mlを加え,2時間放置する。
これに塩化ナトリウム5g並びにn−ブタノール及びn−ヘキサンの混液(1:1)100mlを加え,3分間細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,上澄液をあらかじめトリエチルアミン溶液50mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。沈殿にn−ブタノール及びn−ヘキサンの混液(1:1)50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,上澄液をその分液漏斗中に合わせる。これを軽く振り混ぜた後,静置し,水層を捨てる。
上記の分液漏斗に水30ml及び1mol/l硫酸2mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,水層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n−ブタノール及びn−ヘキサンの混液層に水20ml及び1mol/l硫酸0.5mlを加え,上記と同様に操作して,水層をその減圧濃縮器中に合わせ,50°以下で約2mlに濃縮する。これにリン酸緩衝液(pH6)5mlを加えた後,0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液を加えてpH6に調整する。
(2) 抹茶以外の茶の場合
検体9.00gを100°の水540mlに浸し,室温で5分間放置した後,ろ過し,冷後ろ液120mlをあらかじめトリエチルアミン溶液100mlを入れた500mlの分液漏斗に移す。これに塩化ナトリウム20g,塩酸グアニジン1g並びにn−ブタノール及びn−ヘキサンの混液(1:1)100mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,n−ブタノール及びn−ヘキサンの混液層をあらかじめトリエチルアミン溶液50mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。水層にn−ブタノール及びn−ヘキサンの混液(1:1)50mlを加え,上記と同様に操作して,n−ブタノール及びn−ヘキサンの混液層を上記の分液漏斗に合わせる。これを軽く振り混ぜた後,静置し,水層を捨てる。
上記の分液漏斗に水30ml及び1mol/l硫酸2mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,水層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n−ブタノール及びn−ヘキサンの混液層に水20ml及び1mol/l硫酸0.5mlを加え,上記と同様に操作して,水層をその減圧濃縮器中に合わせ,50°以下で約2mlに濃縮する。これにリン酸緩衝液(pH6)5mlを加えた後,0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液を加えてpH6に調整する。
b 精製法
カルボキシメチルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に,メタノール10mlを注入し,流出液は捨てる。次いで水10mlを注入し,流出液は捨てる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入し,流出液は捨てる。次いでリン酸緩衝液(pH6)5mlを注入し,流出液は捨てる。0.1mol/l塩酸メタノール溶液10mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下で塩酸及びメタノールを除去する。この残留物に6.操作法のa 定性試験の移動相を加えて溶かし,正確に5mlとして,これを試験溶液とする。

6. 操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
クロマトグラフ管 内径4.6mm,長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 50°
検出器 励起波長395nm,蛍光波長500nmで操作する。
移動相 過塩素酸ナトリウム14.1g,水酸化ナトリウム400mg及び乳酸1.8mlに水を加えて1,000mlとする。この溶液850mlにアセトニトリル250mlを加える。イミノクタジンが約11分で流出する流速に調整する。
蛍光反応槽 移動相に対し,0.5mol/l水酸化ナトリウム溶液及び発蛍光液を注入する。注入量を一定に保つ。
蛍光反応槽温度 60°
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法によりイミノクタジン三酢酸塩の定量を行い,これに係数0.664を乗じてイミノクタジンに換算する。

7. 定量限界
0.02 mg/kg(茶にあっては0.2 mg/kg)

8. 留意事項
1) 分析値
 イミノクタジンは、イミノクタジン三酢酸塩の定量を行い、これに係数を乗じてイミノクタジンの含量に換算した値を分析値とすること。イミノクタジンの分析値には、イミノクタジン、イミノクタジン三酢酸塩及びイミノクタジンアルベシル酸塩が含まれる。
2)  イミノクタジンは塩基性状態でガラスに吸着されやすいため、抽出及び洗浄の操作時に、あらかじめトリエチルアミン溶液を添加してガラス器具のシラノール基を隠蔽しておく必要があること。また、農薬の植物成分への吸着を防止するため、検体の細切均一化時に塩酸グアニジンを添加すること。

9. 参考文献
なし

10. 類型
A


トップへ
戻る