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平成16年7月30日
照会先厚生労働省医薬食品局
食品安全部監視安全課
課長
担当道野(内線 2473)
坂梨(内線 2476)
直通03-3595-2337

「Q熱コクシエラの鶏卵からの検出に関する研究」について

 今般、平成15年度の「Q熱コクシエラの鶏卵からの検出に関する研究」報告書が別添のとおり取りまとめられましたので、お知らせします。


(参考)

 平成15年度厚生労働科学研究(食品安全確保研究事業)
 「食品を介する家畜・家禽疾病のヒトへのリスク評価及びリスク管理に関する研究」主任研究者 山田章雄 国立感染症研究所獣医科学部長


分担研究「Q熱コクシエラの鶏卵からの検出に関する研究」
分担研究者 岸本寿男 国立感染症研究所ウイルス第1部室長





厚生労働科学研究費補助金(食品安全確保研究事業) 平成15年度分担研究報告書
Q熱コクシエラの鶏卵からの検出に関する研究

【背景】食品の安全性確保は国民の健康を守るための重要課題である。近年、食品から感染するリスクのある病原体として、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii: C.burnetii)が指摘されている。C.burnetiiは人獣共通感染症の病原体で、ヒトへの主な感染経路は気道感染であり、感染している家畜やペットの出産時に胎盤や体液等の感染性エアロゾルを吸入して感染、発症することが多い。食品からの経口感染については、以前から感染牛の生乳から一定の頻度で検出されることから、感染リスクの可能性が想定され、現在わが国でも欧米での殺菌基準に準じた63℃30分の殺菌温度が設定され施行されている。一方で鶏卵や卵関連食品については、わが国において、近年、鶏卵や関連食品がC.burnetiiに汚染されているとの指摘が一部のグループからなされた。しかし、欧米はじめ諸外国においては、C.burnetiiによる鶏卵汚染の有無についての検討成績はなく、確実に卵や卵関連食品からのC.burnetii感染が証明された症例等の報告もない。そこで、鶏卵のC.burnetiiによる汚染の実態を調査・検証し、鶏卵や関連食品からの感染リスクの検討をすることとなった。
【目的】本年度の研究では、まずC.burnetii汚染卵であった場合に、確実に陽性と確認できる卵からの特異的かつ高感度な菌の検出法の確立と、それを用いた市販鶏卵の初期調査を目的とした。
【材料と方法】鶏卵からのC.burnetiiDNA抽出法の検討においては、感染研並びに研究協力2施設にて感度の比較が確実にできるように、同一のC.burnetiiの菌量測定済みの感度検定液を分与して使用した。これをSPF卵の卵黄にスパイク試験して最適のDNA抽出条件を検討した。遺伝子検出法としては、従来のnested-PCR法に加え、新たにTaqMan法によるReal Time PCR法とLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法を利用した3つの検出系を開発し、感度特異性の比較検討を行った。実際の市販卵についてはnested-PCR法と、Real Time PCR法を用いて、2施設で計215個の初期調査を行った。
【結果】検討したDNA抽出法の最適条件下で、3つの遺伝子検出系で得られた感度は850〜3400個/卵で、特異性についても優れていた。調査した市販鶏卵、計215個の卵黄からはC.burnetiiは検出されなかった。
【考察】今回確立した遺伝子検出系での解析からは、C.burnetiiに汚染された市販鶏卵は検出しなかった。但し、限られた数での結果であることと、その感度が卵のC.burnetii汚染の有無の検討や健康被害のリスクの検討に十分かどうか、まだ情報が少なく、現時点で判断することは困難である。今後さらに検出方法の改善に向けた検討を行うとともに、市販鶏卵の検討数を追加する予定であるが、さらに親鳥の実態調査や経口感染などに対する検討をすすめることで、鶏卵や関連食品からの感染リスクを明らかにしていきたい。

厚生労働科学研究費補助金(食品安全確保研究事業)分担研究報告書 Q熱コクシエラの鶏卵からの検出に関する研究(全文)(PDF 278KB)

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