厚生労働省大臣官房地方課は、平成19年度に係る都道府県労働局における不正経理等の再発防止策の実施状況等について、次のとおり評価を行ったところです。
また、当該評価結果については、外部の有識者が参画する地方支分部局法令遵守委員会の意見を頂き、その結果とともに、平成20年12月17日付けで都道府県労働局長あて通知したところです。
各労働局における不正経理等の再発防止策の実施状況等の
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厚生労働省大臣官房地方課
平成19年10月30日付け地方課長通達「平成19年度における内部点検の実施方法について」の記の2に基づき、各労働局における不正経理等の再発防止策の実施状況等について、下記のとおり総括的に評価する。
1不正経理等の再発防止策の徹底について(定期的な内部点検を踏まえた評価)
定期的な内部点検として、平成19年度「不正経理等再発防止チェックリスト」(以下「チェックリスト」という。)を用いて、各労働局の実施状況について点検と検証が実施され、各労働局長より報告されたところである。
その報告をみると、都道府県労働局不正経理等防止対策要綱(平成18年11月10日制定)に基づき、不正経理等の再発防止策の徹底について、各労働局とも総じて取組みが適正に行われているものと評価される。
しかしながら、項目ごとに詳細にみると、以下のように、一部に問題のある点が認められた。
○公務員倫理の徹底と綱紀保持
公務員倫理や法令遵守に関する職員研修等が外部講師を活用した研修となっていない、また、公務員倫理や会計経理等に係る中央研修の内容等が、伝達されていない、または、回覧のみで伝達が不十分である。
○会計組織における適正な管理体制の確立
・小切手、国庫金振替書について、毎日、枚数等の検査が実施されていない。
・本省で作成した会計事務取扱マニュアルについて、有効に活用されていない、または、管理者の理解が不十分である。
○予算の計画的な執行等
予算の執行状況について、管理者の把握が徹底されていない、または、不十分である。
○適正な競争入札の実施等
電子入札システムの運用を実施していない、または、一部しか実施していない。
○物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化
物品管理簿への記載が遅れている、または、記載漏れがある。
○勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化
超過勤務に係る問題点の把握・分析が不十分である、一部の職員または部門に超過勤務が集中する傾向がある、業務処理体制に関し十分な措置が講じられていない、また、超過勤務手当の年間予算の執行計画が作成されていない。
○内部監査の徹底
労働局と継続的な取引関係にある業者の関係帳簿等の確認を行っていない。
○通報メール制度の活用等
本省地方課への通報メール制度について、一部の部署において周知が不十分、または、周知されていない。
2会計経理の適正化の状況について(会計事務監査指導に基づく評価)
平成19年度、全労働局に会計事務監査指導が実施されたところであるが、監査指導結果をみると、是正等を要するものとして指摘された件数をみても平成18年度に比し減少しているなど、会計経理の適正化に向けた取組みは、概ね講じられているものと評価される。
なお、主な指摘内容は次のとおりであるが、その後において是正等の報告がなされているところである。
○出納官吏等を任命した旨を会計機関に通知していない。
○検査調書が作成されていない。
○随意契約見直し計画において、一般競争入札等への移行を予定していた契約について、監査時点においても引き続き競争性のない随意契約により処理されている。
○随意契約締結に係る決裁体制について、会計機関の事務を処理する担当者以外の者の決裁を経ていない。
○予定価格の積算根拠が不明確である。
3中央監察結果の概要に基づく評価について
平成19年度都道府県労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、26労働局において実施されたところ、一部に問題のある点がみられたが、会計経理事務の適正な執行及び綱紀の保持の徹底が図られている状況がみられ、各労働局における管理事務は、概ね適正に行われているものと評価される。
なお、主な指摘内容は次のとおりであるが、その後において是正等の報告がなされているところである。
○会計経理事務の適正な執行及び不正経理等の再発防止に係る研修について、新任の署・所長並びに署・所の会計担当課長及び会計経理事務担当者を対象とした研修等が、その就任の直前又は直後に実施されていない。
○ 会計機関の補助者について、支出負担行為担当官と物品管理官とを兼職することとなっており、物品の購入要求する者と購入のための契約事務を行う者の分離ができておらず、牽制体制が確保されていない。
○会計経理の適正化に係る内部監査結果について、局長、総務部長の決裁を受けていないほか、各部署に対する文書による改善指示が監査実施後2月以上を経過して行われている。
4本省における評価について
上記1から3を踏まえ、本省においては、各労働局における不正経理等の再発防止策について、次のように総括的に評価するとともに、改善措置を講ずるよう指示することとする。
(1)総括的な評価について
各労働局において、現に不正経理が行われている事実は確認されておらず、不正経理等の再発防止策が励行されていると総括的に評価できることから、引き続き、これまで講じてきた再発防止策の徹底を図ること。
しかしながら、不正経理ではないものの、再発防止策の取組みについて、一部問題点がみられる労働局においては、次の改善措置を中心に、早急に対策を講ずること。
(2)具体的な改善措置について
[1]公務員倫理や法令遵守に関する研修を全ての職員が受講できるように努めること、新任の署・所長並びに署・所の会計担当課長及び会計経理事務担当者を対象とした研修等を実施する際には、その就任の直前又は直後に実施するなど時期を十分考慮すること、また、外部講師を積極的に活用し、研修の充実に努めること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
[2]会計機関の補助者の事務を明確に区分し、相互牽制体制を確保すること、小切手、国庫金振替書の小切手等受払簿を備え、毎日、枚数等の検査を確実に実施すること、また、本省で作成した会計事務取扱マニュアルを全職員に配付するなど、その活用を図ること。【会計組織における適正な管理体制の確立】
[3]管理者は予算の執行計画及び執行状況の把握を徹底すること。【予算の計画的な執行等】
[4]電子入札システムの運用を実施していない労働局においては、そのシステム環境の整備を含め、早急に実施すること。【適正な競争入札の実施等】
[5]物品の購入、管理換、廃棄等を行った場合は、その都度、物品管理簿等への記載の徹底を図ること。【物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化】
[6]平成19年3月30日付け事務連絡「超過勤務縮減対策に係る留意点について」に基づき、適正な勤務時間管理及び業務調整等による業務処理体制の確保等について、超過勤務に係る問題点の把握・分析の上、必要な措置を講ずること、また、業務の繁閑等を考慮し、超過勤務手当に係る年間予算の執行計画を作成すること。【勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化】
[7]内部監査の結果等については、局長をはじめ管理者に速やかに報告するとともに、各部署に対する改善指示を監査実施後速やかに通知すること、また、労働局と継続的な取引関係にある業者の関係帳簿等の確認を行うなど、効果的で実効性のある内部監査を実施すること。【内部監査の徹底】
[8]平成20年4月1日付け事務連絡「厚生労働省における内部の職員等からの法令違反行為に関する通報制度の周知について」に基づき、その周知の徹底を図ること。【通報メール制度の活用等】
地方支分部局法令遵守委員会における委員の指摘 |
平成19年度に係る各労働局における不正経理等の再発防止策の実施状況等については、上記のとおり本省地方課において、総括的に評価を行ったところである。
当該評価結果については、平成20年11月20日に外部の有識者が参画する「第9回地方支分部局法令遵守委員会」を開催し、委員会委員より、「不正経理等の再発防止策は総合的に行われているという印象は受けられる」という評価とともに、下記のような幾つかの改善点や今後の取り組みへのアドバイスをいただいたところである。
○再発防止を図るためには、業務の管理体制、時間管理といった根本的な体制に注目しないと改善されにくい部分があるので、業務体制の管理、すなわちどのように時間内に本質的に仕事をこなすかということが重要である。引き続き、会計経理の適正化を重要視し徹底させていく仕組みが重要である。
○管理者への意識付け、教育が重要である。つまり、情報が上まであがるようにし、管理者は状況を的確に把握し、適正な措置を講ずるという意識を高める教育が必要である。
○都道府県労働局それぞれの現場が適正に動いているかが大事であり、その意味で現場の管理者の意識が重要である。そこの管理者の意識の高揚の観点から、研修だけでなく色々な施策を考えることが必要である。
○規定やマニュアルそのものが、アップツーデートに改訂されている必要がある。
○都道府県労働局法令遵守委員会について、工夫した運営が必要である。
(厚生労働省大臣官房地方課03-5253-1111(内線7253))