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9 児童福祉施設等の運営上の留意事項等について


(1) 児童福祉施設等の整備について
 児童福祉施設等の整備について
 児童福祉施設等に係る施設整備については、今般の三位一体の改革に関連し、地域の自主性・創意工夫を活かしながら、国の基本政策である次世代育成支援対策を先導し、都道府県・市町村行動計画を基に作成する整備計画に掲げる待機児童解消のための保育所整備や児童養護施設の小規模ケア化に資するような施設整備などの基盤整備を支援するため、次世代育成支援対策施設整備交付金を創設し、平成17年度予算案において、167億円を計上したところである。
 なお、交付金に係る制度の詳細については、後日開催される児童福祉主管課長会議において、お示ししたいと考えているところである。

 社会福祉施設の防災対策について
(ア) 社会福祉施設の防災対策の取り組み
 社会福祉施設の防災対策については、入所者の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管内社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー及び屋内消火栓設備の整備、夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的・効果的な防災対策に万全を期すよう管内社会福祉施設に対する指導の一層の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所者の防災対策及び処遇の改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしており、また、防災対策に関する事業の拡充等を図っているので、積極的な活用を図られたい。

(イ) 地すべり防止区域等に所在する社会福祉施設の防災対策について
 地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等に所在している社会福祉施設については、「災害弱者関連施設に係る土砂災害対策の実施について」(平成11年1月29日社援第212号)をもって、関係省庁と連携して、社会福祉施設の立地状況を踏まえた総合的な土砂対策を講じるよう通知しているところであるが、各都道府県市におかれても、関係部局との連携を強化し、指定区域等に所在する社会福祉施設の防災対策に留意されたい。

(ウ) 被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)に基づき、災害発生後速やかに社会・援護局福祉基盤課に報告をお願いするとともに、早期現状回復に努め、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

(2) 児童福祉施設等の運営について
 適正な運営管理の推進について
 児童福祉施設等の運営費の運用及び指導については、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正使用などの不祥事により社会福祉施設に対する国民の信頼を損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導を願いたい。

 入所児童の権利擁護について
 入所児童の権利擁護については、これまで通知や会議等の場で積極的な取組をお願いしてきたところである。
 しかしながら、最近においても施設長や職員による体罰や不適切な関わりなど、児童福祉施設における施設内虐待等の事例が発生しており、誠に遺憾である。
 例えば、殴る、蹴る等の直接子どもの身体に侵害を加える行為のほか、合理的な範囲を超えて長時間一定の姿勢をとるよう求めること、食事を与えないこと、子どもの年齢及び健康状態からみて必要と考えられる睡眠時間を与えないこと、適切な休息時間を与えずに長時間作業を継続させること、施設を退所させると脅かすなど言葉による精神的苦痛を与えること、性的な嫌がらせをすること、その子どもを無視することなど、これらは全て不適切な関わりとして懲戒権の濫用にあたり、いかなる場合でも許されるものではなく、入所児童に対する重大な権利侵害にあたり、決してあってはならないものである。
 なお、今般の児童福祉法の改正に併せて、平成17年1月1日付で児童福祉施設最低基準を改正し、児童福祉施設の職員は、入所中の児童に対し、虐待等児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない旨を明記したところである。
 これまでにも増して、研修や会議の場を通じて、児童の権利擁護について周知するとともに、必要に応じ調査を実施するようお願いしたい。

 感染症予防対策について
 児童福祉施設等における感染症予防対策については、従来より特段の指導をお願いしているところであるが、今後も引き続き十分な対応を図ることが必要である。

(1) インフルエンザについては、近年、高齢者施設における集団感染、高齢者の死亡、乳幼児における脳炎、脳症の問題が指摘され、社会福祉施設においても十分な注意が必要であり、「社会福祉施設等における今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成16年10月28日事務連絡)により、防止対策について適切な指導を願いたい。
 また、「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(平成16年10月28日事務連絡の別添)を参考に各施設独自の院内感染防止の指針を事前に策定しておくことが重要であり、周知徹底を願いたい。

(2) レジオネラ症については、一部の入浴施設等において、集団感染により、多数の患者が生じており、社会福祉施設においても十分な衛生管理が必要であり、「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(「社会福祉施設等におけるレジオネラ症防止対策の徹底について」平成15年7月25日社援基発第0725001号の別添)により、防止対策について適切な指導を願いたい。

(3) 食中毒については、集団給食施設等において、腸管出血性大腸菌O157等により多くの患者が生じており、社会福祉施設においても十分な衛生管理が必要であり、「大量調理施設衛生管理マニュアル」(「社会福祉施設における衛生管理について」平成9年3月31日社援施第65号の別添)により、防止対策について適切な指導を願いたい。

(4) 平成16年末より感染性胃腸炎の発生が頻発しており、児童福祉施設等においても感染性胃腸炎の発生・まん延を防止するため、「児童福祉施設等における感染性胃腸炎の発生・まん延防止策の徹底について」(平成17年1月11日雇児総発第0111001号)により、防止対策について適切な指導を願いたい。

(5) なお、各社会福祉施設最低基準において、衛生管理と感染症予防について、児童福祉施設最低基準を平成16年1月20日厚生労働省令第1号にて改正を行ったので、児童福祉施設等において必要な措置を講ずるよう、適切な指導を願いたい。

 入所児童等からの苦情への対応について
 施設内虐待を防止するためには施設運営の透明性の確保も重要な手段の一つであることから、児童福祉施設最低基準において、その行った援助に関する入所児童及びその保護者等からの苦情に迅速かつ適正に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないとされており、これについては、平成13年度予算より、苦情解決対策のための経費として第三者委員会の開催に係る経費を措置費等に計上しているところである。
 なお、今般の児童福祉法の改正に併せて、平成17年4月1日付で児童福祉施設最低基準を改正し、措置施設を対象に苦情解決の仕組みの例示として、現行の「受付窓口」に加えて「施設職員以外の者の関与」を追加し、第三者委員の設置を推進する予定としている。
 今後ともその適正な実施について指導願いたい。

 児童福祉行政指導監査について
 児童福祉行政指導監査については、児童の最善の利益や権利擁護を踏まえた援助の確保、不詳事件及び保育料徴収事務などにおける不当事項等の未然防止の観点から、市町村の事務実施体制の整備、法人及び施設運営の適正化に十分配慮した指導監査を実施する等により、常時その実態を把握し、不詳事件等の発生防止に努められたい。

 措置費の加算等の積極的な活用について
 近年の児童虐待等児童をめぐる環境が一段と厳しさを増していることから、平成16年度において、
  ・ 家庭支援専門相談員、被虐待児個別対応職員の対象施設の拡大や小規模グループケア担当職員、被虐待児受入加算費の創設など措置費の加算を大幅に拡充、

  ・ 施設における入所児童に対するケアの創意工夫等を支援するための自立促進等事業の創設、

  ・ 施設退所後の児童の日常生活上の援助・指導を行う自立援助ホームのか所数の増及び対外関係調整事業の創設

  ・ 里親支援事業に生活援助や里親相互の交流機会の確保を図るための事業を創設
のための予算を確保したところである。
 平成16年度において、これらの事業の実施状況が不十分であったり、予算未計上で実施していない地方自治体においては、これらの事業の重要性について財政担当課へ働きかけるなど、積極的な予算措置を図り、一層の本分野への理解と取組をお願いしたい。

 措置費の弾力的な運用について
 措置費の弾力的な運用については、規制改革・民間開放推進3ヵ年計画(平成16年3月19日閣議決定)の指摘及び社会保障審議会福祉部会意見書(平成16年12月8日)などを踏まえ、社会福祉法人の自主的・自律的な経営を推進するため、昨年度に引き続き第二段階の見直しの通知を発出することを予定している。
 第二段階の見直しの具体的な内容としては、
 (1) 将来の増改築等の経費に充てるための施設整備等積立金の創設、

 (2) 前期末支払資金残高及び運用収入を同一法人が運営する他の社会福祉事業や事業規模が小さく社会福祉事業を推進するために社会福祉施設の運営と一体的に運営される公益的な事業への充当を認めること、
などである。(資料28参照)


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