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2.三位一体の改革について


(1) 次世代育成支援対策交付金について
 次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)について
 今般の三位一体の改革の趣旨を踏まえ、各種の子育て支援事業などの次世代育成支援対策に関する施策については、市町村の自主性・裁量を尊重した柔軟な執行を可能にし、地域の特性や創意工夫を活かした市町村行動計画に基づく取組の着実な推進を図るため、従来の児童福祉関連補助金を再編・整理し、当該交付金を創設したところである。
 この交付金は、「子ども・子育て応援プラン」に掲げる重点事業を中心に、市町村の自主的な取組も含め、市町村が策定する行動計画に基づく毎年度の事業計画全体を対象に、一定の算定基準に基づき交付するものであって、行動計画に基づく毎年度の子育て支援を中心とした事業計画を包括的に支援するものである。
 交付された交付金の使途は、事業計画の範囲内であれば、各市町村の自由な裁量に任せることとし、市町村の自主性・裁量を尊重した柔軟な執行を可能とするものである。

 次世代育成支援対策施設整備交付金(ハード交付金)について
 児童福祉施設等に係る施設整備については、地域の自主性・創意工夫を活かしながら、国の基本政策である次世代育成支援対策を先導し、都道府県・市町村行動計画を基に作成する整備計画に掲げる待機児童解消のための保育所整備や児童養護施設の小規模ケア化に資するような施設整備などの基盤整備を支援するため、当該交付金を創設したものである。
 また、交付金とすることにより、従来の施設毎による補助(負担)が、次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県及び市町村行動計画をもとに作成される整備計画に対する交付となり、計画の範囲内であれば、各自治体の自由な裁量に任せ、自主性・裁量を尊重した柔軟な執行を可能とするものである。

 なお、交付金に係る制度の詳細については、後日開催される児童福祉主管課長会議において、お示ししたいと考えている。

(2) 統合補助金の創設について
 児童虐待・DV対策等総合支援事業
 要保護児童対策・DV対策等について、自治体の主体的かつ弾力的な事業運営を可能にするため、従来の児童虐待防止対策関連事業、DV・女性保護対策関連事業等を再編・整理し、補助基準の緩和等を図る、統合補助金を創設することとした。
 なお、実際の交付申請等の制度内容の詳細については、後日開催される児童福祉主管課長会議において、お示ししたいと考えている。

【事業内容】
(ア)対象事業等
(1) 児童自立生活援助事業
 義務教育終了後、児童養護施設等を退所し、就職する児童等に対し、自立援助ホームにおいて、相談その他の日常生活上の援助及び生活指導を行うとともに、児童の自立に向けた職場開拓など、関係機関との対外関係調整を行う事業。
 実施主体都道府県、指定都市
 補助率1/2

(2) 児童虐待防止対策支援事業
 児童相談所が地域の医療、法律その他の専門機関や有識者の協力を得て、専門性の確保・向上等を図り、相談機能を強化するとともに、児童相談所において夜間休日における連絡や相談対応の確保等を図る事業。
 実施主体都道府県、指定都市
 補助率1/2

(3) ひきこもり等児童福祉対策事業
 学生等のボランティア(メンタルフレンド)をひきこもり等の児童の家庭等に派遣し、また、ひきこもり等の児童を一時保護所等に宿泊又は通所させ、集団的に生活指導、心理療法等・レクリエーションを実施する事業。
 実施主体都道府県、指定都市
 補助率1/2

(4) 自立促進等事業
 児童養護施設等における入所児童のケアに関する創意工夫や自立に向けた取り組みを反映した事業及び早期家庭復帰につながる事業等を実施。
 実施主体都道府県、指定都市、中核市、市及び福祉事務所設置町村
(※ 中核市、市及び福祉事務所設置町村については母子生活支援施設が行う場合のみ)
 補助率1/2

(5) 児童家庭支援センター運営事業
 地域に密着した相談支援体制を強化するため、虐待や非行等の問題に対し相談に応じることを目的とする事業。
 実施主体都道府県、指定都市等
 補助率1/2

(6) 里親支援事業
 里親に対する研修を実施し、また、里親の養育上の負担を軽減するために、里親に対する養育相談の実施、里親からの求めに応じた援助者の派遣、里親相互の交流により里親自身の養育技術等の向上を図る事業。
 実施主体都道府県、指定都市
 補助率1/3

(7) 婦人相談員活動強化費
 DV等の相談に応じる婦人相談員の活動に必要な手当等の経費。
 実施主体都道府県、市
 補助率1/2

(8) 売春・DV対策機能強化費
 DV被害者の保護等を広域的に行うための関係機関のネットワーク事業や休日、夜間の電話相談等を行う事業。
 実施主体都道府県
 補助率1/2

(イ)予算額 平成17年度予算案1,775百万円

 母子家庭等対策総合支援事業
 母子家庭等の子育て・生活、就業支援等について、自治体の主体的かつ弾力的な事業運営を可能にするため、従来の母子家庭等日常生活支援事業、母子家庭等就業・自立支援センター事業等を再編・整理し、補助基準の緩和等を図る、統合補助金を創設することとした。

【事業内容】
(ア)対象事業等
(1) 母子家庭等日常生活支援事業
 母子家庭の母等が、自立のための資格取得や疾病などにより一時的に生活援助、保育のサービスが必要となった場合に、家庭生活支援員を派遣する。
 実施主体都道府県、市町村
 補助率1/2

(2) ひとり親家庭生活支援事業
 母子家庭の母等が自立に向けた生活の中で直面する諸問題の解決やその児童の精神的安定を図るなど、ひとり親家庭の生活の安定に向けた総合的な支援を実施する。
 実施主体都道府県、市町村
 補助率1/2

(3) 母子家庭等就業・自立支援センター事業
 母子家庭の母等に対して、就業相談や就業支援講習会の実施、就業情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供する母子家庭等就業・自立支援センター事業の定着・推進を図る。
 実施主体都道府県、指定都市、中核市
 補助率1/2

(4) 母子家庭自立支援給付金事業
自立支援教育訓練給付
 地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講した母子家庭の母に対して、講座終了後に受講料の一部を支給する。
母子家庭高等技能訓練促進費
 介護福祉士等の経済的自立に効果的な資格を取得するために2年以上養成機関等で修学する場合で、就業(育児)と修業の両立が困難な場合に、生活費の負担軽減のため、高等技能訓練促進費を支給する。
常用雇用転換奨励金
 母子家庭の母を新規にパートタイムとして雇用し、OJT実施後、常用雇用(一般)労働者に雇用転換した事業主に対して奨励金を支給する。
 実施主体都道府県、市及び福祉事務所設置町村
 補助率3/4

(5) 特定事業推進モデル事業
 母子家庭の母の就業機会を創出できる可能性の高い先駆的な事業を促進するためのモデル事業を実施する。
 実施主体都道府県、市町村
 補助率1/2

(6) 母子家庭等自立支援推進事業
 都道府県が市及び福祉事務所を設置する町村における母子家庭等福祉施策を効果的・効率的に実施するための課題や方策の検討について地域の実情に応じて支援する体制を整備する。
 実施主体都道府県、市及び福祉事務所設置町村
 補助率1/2

(7) 母子自立支援プログラム策定事業(新規)
 児童扶養手当受給者の自立・就業支援のために活用すべき自立支援プログラムを策定し、ハローワークとの連携のもと、これに基づいた支援を実施するためのモデル事業を実施。
 実施主体東京都、大阪府、政令指定都市
 補助率定額(10/10)

(イ)予算額 平成17年度予算案1,868百万円

 母子保健医療対策等総合支援事業
 子どもの健康の確保と母子保健医療体制等について、自治体の主体的かつ弾力的な事業運営を可能にするため、従来の周産期医療ネットワークの整備事業、不妊治療に対する支援事業等を再編・整理し、補助基準の緩和等を図る、統合補助金を創設することとした。

【事業内容】
(ア)対象事業等
(1) 母子保健強化推進特別事業
 都道府県等が、妊産婦・乳幼児死亡等の改善事業や、地域の実情に応じた先駆的事業を実施する。
 実施主体都道府県
 補助率定額

(2) 新生児聴覚検査事業
 聴覚障害の早期発見及び早期療育は、言語能力や知能発達に著しい効果があるとされていることから、新生児に対する聴覚検査を実施する。
 実施主体都道府県、指定都市
 補助率1/3

(3) 療育指導事業
 小児慢性特定疾患児等について、医師等による療育相談指導、巡回相談指導を行うとともに、小児慢性特定疾患児を養育している親の不安や悩み等に対する相談を行う。
 実施主体都道府県、政令市、特別区
 補助率1/3

(4) 生涯を通じた女性の健康支援事業
 思春期から更年期の女性を対象として、健康教育、健康相談を実施するとともに、不妊に悩んでいる者に対する専門的な相談に応じる不妊専門相談センター事業を実施する。
 実施主体都道府県、指定都市、中核市
 補助率1/2

(5) 特定不妊治療費助成事業
 不妊治療に係る経済的負担の軽減を図るため、医療保険が適用されず、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成する。
 実施主体都道府県、指定都市、中核市
 補助率1/2

(6) 周産期医療対策事業
 母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供するための一般の産科病院等と高次の医療機関との連携体制(周産期医療ネットワーク)を構築する。
 実施主体都道府県
 補助率1/3

(7) 総合周産期母子医療センター運営事業
 高次の周産期医療を提供する総合周産期母子医療センターの安定的な運営に資するため、運営費について支援する。
 実施主体都道府県、厚生労働大臣の認める者
 補助率1/3

(イ)予算額 平成17年度予算案3,623百万円

(3) 税源移譲対象の補助金について
 以下の事業については地方自治体の事務として同化・定着している等の理由から、地方六団体の提案を受けて税源移譲することとしたところである。
 なお、税源移譲に当たっては、適切な財源措置が講じられるよう地方財政当局に要請しているところである。

(1)延長保育促進事業費基本分(公立保育所分)
 延長保育促進事業については、
 ア 11時間の開所時間の始期及び終期前後の時間における保育士充実を図るための経費である「基本分」
 イ 11時間の開所時間を超えて実施する延長時間に係る経費である「加算分」
の2事業があるところであるが、公立保育所における「基本分」については、通常保育時間に係る経費であることから、今年度の公立保育所運営費の税源移譲と同様の考えに基づき、税源移譲をするものである。
 「加算分」については、昨年6月に閣議決定された少子化社会対策大綱において、公立保育所における延長保育の民営保育所並みの実施を目指すこととされていることを踏まえ、国として引き続き政策誘導を行う観点から、公立・民立を問わず次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)の中で対応することとしている。
 指定都市・中核市においては、こうした趣旨を踏まえ、引き続き延長保育の積極的な取組をお願いしたい。また、都道府県においては、管内市町村に積極的な取組を促して頂くようお願いしたい。

(2)産休代替保育士費等補助金
 本事業は、児童福祉施設等における入所児童等の処遇確保のため、質の高い職員を安定的に雇用できるよう、職員が産休又は病休を取得する際の代替職員を確保するための経費であるが、地方公共団体の事業として同化・定着していることから、税源移譲するものである。
 都道府県・指定都市・中核市においては、こうした趣旨を踏まえ、引き続き地域の実情に応じた積極的な取組をお願いしたい。

(3)保育士養成所費
 本事業は、昭和22年、児童福祉法の施行により保育士の養成・確保が急務であったことから公立の保育士養成所に対する補助事業を創設、その後、昭和49年度に社会福祉法人が設置する保育士養成所に対する補助事業を追加し、制度の充実を図ってきたものであるが、地方公共団体の事業として同化・定着したことから、平成9年度の公立保育士養成所分の一般財源化に引き続き、社会福祉法人立の保育士養成所分についても税源移譲するものである。
 当該事業を実施する地方公共団体においては、保育士養成について、引き続き積極的な取組をお願いしたい。

(4)1歳6か月児、3歳児健康診査費負担金
 1歳6か月児健康診査及び3歳児健康診査に係る負担金については、地方公共団体の事業として同化・定着していることから、税源移譲することとしたものである。
 しかしながら、1歳6か月児健康診査及び3歳児健康診査の重要性に変わりはなく、今後とも各市町村における健診体制の確保、受診率の地域間格差拡大の抑制等についての担保が必要であることから、国としては、健診体制の確保やその水準維持のためのガイドラインを作成するなど必要な対応を行うこととしている。
 各市町村においては、引き続き、健康診査について積極的な取り組みをお願いするとともに、都道府県におかれては、管内市町村に対する助言指導等をお願いしたい。


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