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1.次世代育成支援対策について


(1) 少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画(子ども・子育て応援プラン)について
 平成15年7月に成立した少子化社会対策基本法に基づき、昨年6月に「少子化社会対策大綱」を閣議決定し、国の基本施策として、少子化の流れを変えるための施策を強力に推進しているところであるが、この大綱の重点施策の具体的実施計画として、「子ども・子育て応援プラン」が昨年12月24日に決定された(少子化社会対策会議決定)。
 これまでのエンゼルプラン、新エンゼルプランが、各種の保育対策等の子育てと仕事の両立支援を中心に目標を設定していたのに対し、今回策定した「子ども・子育て応援プラン」においては、大綱に掲げる4つの重点課題に沿って、
(1) 若者の自立や様々な体験学習を通じたたくましい子どもの育ち、
(2) 長時間労働の是正など働き方の見直し、
(3) 乳幼児とのふれあう機会の拡大など生命の大切さ、家庭の役割等の理解を深める取組、
(4) 「待機児童ゼロ作戦」に加え、家庭における育児を支える地域の子育て支援や児童虐待対策など、すべての子どもと子育てを大切にする社会づくり、
など、従来より幅の広い取組について、平成21年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げている。
 さらに、これらの施策を実施することによって、「子どもが健康に育つ社会」、「子どもを生み、育てることに喜びを感じることのできる社会への転換」がどのように進んでいるのかが分かるよう、概ね10年後を展望した「目指すべき社会の姿」を併せて掲げ、それに向けて、施策の内容や効果を評価しながら、この5年間に施策を重点的に実施していくこととしている。
 「子ども・子育て応援プラン」に掲げた子育て支援関係の事業(つどいの広場事業、放課後児童クラブ等)に係る目標値は、現在全国の市町村で策定が進められている次世代育成支援に関する行動計画における21年度目標値の全国集計を踏まえたものとしている。このように、地方公共団体の策定する計画とリンクする形でプランを策定したのは今回が初めてであるが、これにより、「子ども・子育て応援プラン」は地方公共団体の策定する行動計画の実行を国としても支援するという役割を担うものともなっている。

(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定等について
 平成15年7月に成立した次世代育成支援対策推進法に基づき、現在、すべての都道府県、市町村及び大企業等において、国が策定した「行動計画策定指針」に即して次世代育成支援に関する行動計画を策定いただいているところである。
 都道府県及び市町村の行動計画においては、これまでもお願いしてきたように、
(1) 全庁的な体制の下で、子育て家庭の多様なニーズ等に対応できる総合的な計画にすること(総合性の確保)、
(2) 保育・子育て支援事業に関する特定14事業についての定量的な数値目標の設定をはじめ、具体性を有する計画にすること(具体性の確保)、
(3) 子育て支援に関わる多くの地域住民等との協働作業として計画策定にあたること(計画策定プロセスの透明性の確保)
の3点が重要であるとの認識のもと、各地域の状況に応じ、実行力のある行動計画が策定されるよう、引き続き、計画策定の取組や市町村に対する助言等を行っていただくようお願いしたい。
 国においても、「子ども・子育て応援プラン」を策定し、少子化の流れを変えるため、政府を挙げてプランに掲げた取組を強力に推進するとともに、初年度となる平成17年度予算(案)においては、行動計画の実現に向けた地方公共団体の取組に支障が生じないよう必要な予算を確保したところである。都道府県におかれても、行動計画に基づく取組が円滑に推進されるよう、十分な財源の確保及び市町村への指導方お願いしたい。
 また、都道府県や市町村等の機関においても、民間企業と同様に、働き方の見直しや子育てと仕事の両立支援等について、職員を雇用する「事業主」の立場から、特定事業主行動計画を策定することとされている。児童福祉を所管する立場からも職場における働き方の見直し等が進められることは重要であることから、各地方公共団体の人事担当部局等において、特定事業主行動計画策定についての円滑な対応が進められるよう、必要な連携・協力を引き続きお願いしたい。
 さらに、一般事業主行動計画に関しては、301人以上の労働者を雇用する事業主は、仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備等に関する行動計画を策定し、その旨を平成17年4月1日以降速やかに、都道府県労働局に届出しなければならないこととされている。また、300人以下の労働者を雇用する事業主には、同様の努力義務が課せられている。
 事業主への法の周知・啓発や策定届の受理等法律の施行については、都道府県労働局で行うこととなっているが、都道府県においても、行動計画策定指針に盛り込まれているとおり、都道府県労働局や市町村等と連携を図りながら、労働者・事業主・地域住民等を対象として、仕事と子育ての両立支援のための体制の整備、関連法制度の広報・啓発を積極的に推進することとしているので、必要な取組をよろしくお願いしたい。

(3) 少子化への対応を推進する国民会議等について
 少子化への対応の推進に当たっては、国や地方公共団体の施策のみならず、社会全体の取組として国民的な理解と広がりをもって、家庭や子育てに夢を持つことができる環境の整備を進めることが必要であり、これまで、内閣総理大臣の主宰の下で関係団体等が参加する「少子化への対応を推進する国民会議」が設置され、関係団体がそれぞれの取組を推進するとともに、広く国民に向けた情報発信を行っているところである。今般、国・地方自治体・企業等による取組の推進と併せて、国民会議参加団体においても、もう一段の取組を進めていただくことが必要であることから、平成16年9月3日に、新たに「国民的な広がりのある新たな取組の推進について」を決定し、国民会議やその各参加団体における主体的かつ積極的なもう一段の取組を進めることとされているので、ご承知おき願いたい。
 また、国民会議等が主催する少子化への取組についての全国キャンペーンの一環として、平成16年度には、男性の育児参加や働き方の見直しをテーマとする意識啓発キャンペーンを実施し、「次世代育成支援全国キャンペーンポスター」(2種類)を作成し、配布することとしているので、これらを活用しつつ、企業等における働き方の見直し等のための意識啓発の推進にもご協力をお願いしたい。


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