戻る

3.児童福祉法の円滑な施行について


(1) 児童虐待防止対策について
 児童相談所の児童虐待に関する相談件数は、児童虐待防止法が施行される直前の2倍以上に増加しており、その内容も親の意に反して施設入所を家庭裁判所に申し立てる場合など、困難なケースが増えているところである。
 また、虐待による死亡という不幸な事件が依然として発生している。特に、児童相談所等の関係機関が関わりながら未然防止ができなかった事例が出てきている。
 このように、児童虐待防止対策は、依然として、社会全体として早急に取り組んでいかなければならない課題であると考えている。

 このような状況を踏まえ、
(ア) 昨年10月には、児童虐待に係る通告義務の範囲の拡大や、児童虐待の発生予防から虐待を受けた子どもの自立支援に至るまでの各段階に国及び地方公共団体の責務があることを明記すること等を内容とする改正児童虐待防止法が施行されたところであり、
(イ) 児童相談に関する体制の充実や司法関与の見直し等を内容とする児童福祉法改正法が昨年12月3日に公布され、同日から順次施行されているところである。
(ウ) また、昨年12月24日に策定された「子ども・子育て応援プラン」においても、虐待防止ネットワークの全市町村における設置等を通じて、児童虐待死の撲滅を目指すこととされたところである。
 児童虐待への取組は子どもの命に関わるものであり、地域間格差や停滞があってはならないと考えるが、現実的には大きな地域間格差が存在している。
 各自治体においては、児童虐待は子どもの生存・発達に関わる問題であることを再認識していただくととともに、今回の法改正等の趣旨も踏まえ、児童相談所を始めとする児童虐待防止体制の強化・充実、発生予防から自立支援に至るまでの総合的な支援を行い、虐待という重大な権利侵害から子どもを守り、子どもが心身ともに健全に成長できるよう、最大限、力を尽くしていただきたい。

 特に、本年4月から行われることとなる市町村における児童家庭相談業務については、厚生労働省においても、相談援助指針を作成しているところであるが、各都道府県においても、管内の市町村がこの業務を適切に遂行できるよう、必要な助言・指導をお願いしたい。

 また、児童福祉法の改正法で法定化された要保護児童対策地域協議会については、その設置促進と活動内容の充実が必要と考えている。例えば、児童相談所がその構成員として参画し、市町村の後方支援を行うなど、市町村における協議会の設置促進等にご協力をお願いしたい。

(2) 小児慢性特定疾患治療研究事業について
 今般の小児慢性特定疾患対策の見直しは、そのあり方に関する専門家、患者代表等による議論を踏まえ、法整備を含めた制度の改善・重点化を行い、安定的な制度として新たな小児慢性特定疾患対策の確立を図るものである。
 具体的には、児童福祉法に本事業の根拠規定を整備した上で、
 (1) 現行の小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患を基本として、医学的知見に基づく対象疾患の追加、除外を行うとともに、対象を重症者に重点化する
 (2) これまで疾患により取扱いが異なっていた通院に対する給付について、すべての疾患を対象とする
 (3) 18歳到達後20歳到達までの給付についても、疾患にかかわらず対象とする
 (4) 低所得者層に配慮しつつ、無理のない範囲の自己負担を導入する
こととし、平成17年4月1日から施行することとした。
 さらに、これらの制度の拡充と併せて日常生活用具の給付などの福祉サービスを実施することとしている。

 新たな制度への移行に当たっては、患者負担の軽減への配慮を含め、円滑な施行に向け、特段のご尽力をお願いする。


トップへ
戻る