第2章  相談支援の流れ

 この章においては、市町村事務と相談支援事業者(相談支援専門員)との手続きや取り組み内容が混在した構成となりますので、下記にように記号で区別します。
市町村
相談支援専門員
共通

 
受付相談の意義と目的
 ■

 
第5条
17  この法律において「相談支援」とは、次に掲げる便宜の供与のすべてを行うことをいい、「相談支援事業」とは、相談支援を行う事業をいう。
 地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、併せてこれらの者と市町村及び第29条第2項に規定する指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を総合的に供与すること。
 第19条第1項の規定により同項に規定する支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者(以下「支給決定障害者等」という。)が障害福祉サービスを適切に利用することができるよう、当該支給決定障害者等の依頼を受けて、当該支給決定に係る障害者等の心身の状況、その置かれている環境、障害福祉サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案し、利用する障害福祉サービスの種類及び内容、これを担当する者その他の厚生労働省令で定める事項を定めた計画(以下この号において「サービス利用計画」という。)を作成するとともに、当該サービス利用計画に基づく障害福祉サービスの提供が確保されるよう、第29条第2項に規定する指定障害福祉サービス事業者等その他の者との連絡調整その他の便宜を供与すること。


 相談支援専門員は、相談に見えた方(以下「相談者」という。)とのこれからの関係を視野に入れると、最初の受付の場面には特別の意味があり、ケアマネジメントに結びつけるためにも、重要な場面です。


留意点・その他
 相談者と相談支援専門員が最初に出会うのが、受付相談です。

 相談者が何で相談に来たのか、話しやすい雰囲気をつくる工夫が重要なポイントになります。そのポイントとは、
インテーク】
(1) 信頼関係を築く。
 相談者の言うことを、ありのままに受け入れることから始まります。何事も決めつけて接することは禁物です。相談者は自ら生活上の問題や困難を抱え、不安を抱いて来ますので、安心して話ができる雰囲気をつくる努力が大切です。それが信頼関係に結びつけば、ケアマネジメントはより有効的に発揮できます。
信頼関係】
(2) 不安を和らげる。
 多くの相談者は、今現在自ら直面している困難や問題に対する不安を抱えて相談に来ます。
 相談支援専門員は、最初は聞き役になり、訴えがまとまりのないものであっても、全体像から主訴をつかみます。
 相談者が「思いを吐露」し、それに傾聴することから不安を取り除いていき、ケアマネジメントの過程に結びつける関係を作り上げていく段階になります。
不安を和らげる】
(3) 個別化してとらえる。
 相談支援専門員にしてみれば、「よくあるケース」かもしれませんが、相談者を取り巻く環境は、一つとして同じというものはない(「唯一無二」)という姿勢で相談することが基本です。
バイステックの7原則》
1.個別化の原則】
唯一無二】
(4) 感情をうまく表現できるよう手伝う。
 相談支援専門員は、相談者の感情に敏感で、洞察性を鋭敏に働かせるという感性の豊かさが必要です。
 相談者は、相談中に不安、恐れ、悲観、怒りなどで、心を乱すこともあれば、苦しかったけど嬉しかったことや楽しかったこと、助けられたことなど、プラスの感情も表出されます。
 また、「できれば将来こういうことができればいいと思う」など、期待や希望を生き生きと表現することもあります。
 相談支援専門員は、このような否定的な感情と肯定的・希望的感情の両面を、言葉にして話してもらえるよう働きかける必要があります。
2.意図的な表情表出の原則】
(5) 感情の統制(コントロール)
 相談者から表出される様々な内容や状況に、相談支援専門員自身の生育環境や性格、道徳規範、価値観などから、相談支援専門員の感情が動かされることがあります。
どのような状況においても、相談者との信頼関係の構築やこれからケアマネジメント過程での人間関係を見据え、マイナスの影響を及ぼさないように、自分の表情や態度・姿勢をコントロールする訓練と能力が求められます。
3.統制された情緒的関与の原則】
(6) 受容する姿勢
 相談支援専門員が、相談者の話を受け入れる姿勢を示すことによって、相談者がどんな気持ち、どんな思い、どんな希望を持っているかを理解しようとする態度が伝わることとなります。
4.受容の原則】
(7) 審判的態度で接しない
 相談者の障害や価値観はさまざまです。相談支援専門員は、権威的な態度や画一的な対応に陥ることなく、更に相談支援専門員自身の価値基準で相談者を評価しない態度を保つべきです。
5.非審判的態度の原則】
(8) 自己決定を原則とする
 相談者がケアマネジメントを行う対象者になったとき(このときから「利用者」となります。)、基本的ルールを説明する必要があります。
 相談支援専門員が利用者の全てを一方的に援助するのではなく、利用者が自身の生活をどのように望むのか、その希望に向けてケアマネジメントを展開していきます。その過程では、利用者自身の意志を尊重していく基本姿勢を示し、自己決定が自立支援の原則であることの認識を促します。
 自己決定に対して、相談支援専門員は側面から専門的後押しをするという位置づけを明確にしておく必要があります。
6.自己決定の原則】
(9) 守秘義務を告げる。
 極めてプライベイトな相談になるため、生活上の困難や問題を安心して話ができるよう、相談の内容について、秘密は厳守するという原則をきちんと話すことが大切です。
7.秘密保持の原則】

 
受付相談の内容と方法
 ■

 以上のような面接場面における相談支援専門員の態度を説明しましたが、面接場面で最も多い家庭訪問の形態をとった場合の相談について触れてみます。

(1) 受付相談に至るプロセス

 相談に至るプロセスは、様々な例が考えられます。代表的な受付相談の想定例を紹介します。

(1) 障害者本人からの受付相談の場合
 
 ・ 相談者は、法やその他制度等(資源)をよく知っているわけではありません。相談支援専門員は当たり前のこととして使用する言葉でも、相談者にとっては耳慣れない、初めて耳にする言葉が多くあります。
相談者は一度の説明では、必ずしも理解したとは限りません。大切なことは何度も繰り返し、丁寧に説明することが必要です。
 ・ 相談支援専門員は、専門用語の使用を避け、わかりやすく説明することを心がける必要があります。

(2) 家族などの関係者からの受付相談の場合
非言語的コミュニケーションも相談者の感情面を汲み取れます。
 ・ (1)と同様に、制度や専門用語に精通していないので、丁寧な説明を行う姿勢が必要です。
障害者とどういう関係であるかを確認する。
 ・ 家族などの相談や訴えは、障害者のニーズと一致しているとは限らないので、家族等の相談を受け入れるとともに、後で本人と面談する了解を家族から得ることが必要です。
 ・ ケアマネジメントにおいては、障害者のみならず、相談過程においては家族を含めて捉える必要があります。

(3) 関係機関からの受付相談
障害者本人のニーズで相談に来たのか。
 ・ 関係機関は、市町村の障害者担当や他の相談支援事業者又は医療機関である場合があります。
 ・ 相談支援専門員は、障害者と接触する前に、関係機関に情報の提供を求め、本人について情報収集しておくことが必要です。
 ・ この場合、個人情報管理に十分配慮し、関係機関は障害者又は家族から情報提供の承諾を得ておく必要があります。

(4) 電話による受付相談
なぜ、依頼をすることになったのか、その背景について確認しておくことが重要です。
 1) 障害本人から直接電話で相談があった場合は、家庭訪問して詳しい話しを聞くことを前提に、あまり長い電話にならないようにすることが望ましい。(家庭訪問の了解が得られない場合は、決して無理な方法はとらないようにし、電話等で関係をつないでいくことになります。)

本人からの電話相談】
家庭訪問の了解が得られることが前提。障害者の生活している住居等の環境をベースに相談を受けることが大切。

 2) 家族など関係者から電話で相談があった場合は、電話の相手が障害者本人とどういう関係であるかを確認した上で、家庭訪問して、障害者と直接面接することについての了解を得ることが大切です。)

家族等からの電話相談】
電話の相手が、障害者とどういう関係であるかが重要。
家庭訪問の了解を得る。

 3) 関係機関からの電話による相談があった場合は、家庭訪問する前に、詳しい利用者の内容を引き継ぎたい旨を伝えることが大切です。
関係機関からの電話相談】
専門職同士の情報交換は、よい刺激になる。情報の捉え方や整理の仕方、客観性などが参考になる。

(2) スクリーニング
ケアマネジメントを必要とする対象者であるかどうかを判断する段階です。
スクリーニング】
ケアマネジメントの対象者は、複数の多様な生活課題(ニーズ)を抱えた人です。

ケアマネジメントの対象者】
複数の社会的ニーズを抱えた人であっても、緊急に入院治療が必要な人や深刻な虐待状況にある人は、先ずは、入院や緊急的対応を考える必要があります。

ケアマネジメントの非対象者】

関係機関との連携】

この段階で重要なことは、インテークで把握した情報から、自分の相談支援事業者で対応できるか否かを判断することです。もし、対応が困難であると判断した場合は、十分な説明を行い、了解が得られた上で、適切な機関を紹介する手続きをとる必要があります。
 《 対応の可能性を判断する事例》
 1) 医療の緊急性が高い。
 2) 虐待等専門の機関での緊急的対応が高い。
 3) 精神障害者で、医療的アプローチが比較的高い。
 4) 他の制度(介護保険、教育、就業)の対象者である。
など

(3) 記録の重要性

対応可能な範囲の判断】
対象者の課題・問題の内容性を得意とする機関との調整
対象者に相談支援を別の機関に調整することを、理由付けして了解をいただき、お願いした機関の相談支援専門員と同行訪問して引き継ぐ。
受付相談を行った時から、記録が始まります。記録することから相談者のイメージが湧き、本人像が絞り込まれてくるものです。
記録は、ケアマネジメント過程における検討資料や関係機関等との担当者会議など、様々な場面における資料として活用されますし、苦情や事故などにより第三者機関から資料提出を求められたときの重要な証拠ともなります。
記録は、パソコンにソフトとして入っているものが多くなってきますが、記録を容易に変更できたり、表現を変えることができるので、できればインクやボールペンで書いたり、プリントアウトしたものに責任者が押印するなどの方策を講じておくことが良いでしょう。(訂正は見え消しとすることが望ましい。)
記録と契約主義の関係】
サマリーにして記録する。
障害者の全体像が整理された台帳を用意しておく。
苦情や事故に対してどういう対応をとったのかを記録しておく。
記録は、事業者の管理者に定期わりが、事故や苦情解決及び事業者の質の向上に役立ちます。

(4) 障害福祉サービスの説明
 

 相談の過程において、障害者はほとんどサービスに関する情報は持ち合わせていないのが普通です。相談支援専門員は、社会資源一覧表のような資料を準備しておき、障害者が大まかなサービス体系を理解できるようにすることが望ましいと思われます。

社会資源一覧には、自分の目で見た客観的な評価をしておくと良い。

公平・中立は相談支援専門員のモラル
苦情対応は常に念頭に置く。


第2節  支給決定プロセス(相談支援の流れに沿って)

 ここでは、介護給付の申請を受けた場合の流れに沿って説明します。

 
申請
(1) 申請は、次の場合が想定されます。
 
 本人又は家族等が市町村窓口に来る場合
 ・ 申請書の内容を確認する。
 ・ 医師意見書作成の医師がいるかを確認する。
(通院又は投薬を受けている医療機関を確認する。)
 ・ サービス利用計画を作成するに当たり、障害程度区分認定調査票、概況調査票及び医師意見書等を委託相談支援事業者、サービス提供事業者等に資料として提示することに同意するかの確認をします。
介護給付か訓練等給付かの確認をする。
介護保険優先者の確認をする。
主治医がいない場合は、市町村が協力医としてお願いしている医療機関を紹介する。

(2) 申請書を受理した場合、市町村は次の手順で事務処理をします。
(1) 認定調査を行う(事業)者を選定し、又は調査を依頼する。
 
(2) 医師意見書を医師(医療機関)に依頼する。

提出期限を付ける。

(申請)
20条 支給決定を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に申請をしなければならない。
 市町村は、前項の申請があったときは、次条第一項及び第二十二条第一項の規定により障害程度区分の認定及び同項に規定する支給要否決定を行うため、厚生労働省令で定めるところにより、当該職員をして、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者に面接をさせ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査をさせるものとする。この場合において、市町村は、当該調査を第三十二条第一項に規定する指定相談支援事業者その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「指定相談支援事業者等」という。)に委託することができる
 前項後段の規定により委託を受けた指定相談支援事業者は、障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を有するものとして厚生労働省令で定める者に当該委託に係る調査を行わせるものとする。

※認定調査の手順
(1) 市町村職員が認定調査を行う場合
 ・ 申請を受理した後、速やかに誰が調査員になるかを決定し、調査日時を調整します。


(2) 委託相談支援事業者に認定調査を委託する場合
 ・ 委託相談支援事業者に認定調査依頼します。
 ・ 依頼を受けた委託相談支援事業者は、申請者に電話等で連絡し、訪問する調査員名を告げ、調査日時を調整します。
市町村は委託契約書を締結していること。「認定調査員研修」修了書を添付。

認定調査員の要件
 認定調査員は、都道府県が行う「認定調査員研修」を終了し、修了書の交付を受けている者です。

認定調査員の要件】
※罰則
 認定調査員は、過去にその職にあった者も含め、認定調査に関連して知り得た個人の秘密に関して守秘義務があります。これに違反した場合は、公務員に課せられる罰則が適用されます。

守秘義務の遵守
委託相談支援事業者の調査員は公務員に課せられる罰則が適用

(3) 緊急やむを得ないサービスの利用の場合
 申請から支給決定されるまでの間に、緊急やむを得ない理由によりサービスを必要な場合は、特例介護給付費又は特例訓練等給付費の支給申請を勧奨します。

特例介護給付費】
(特例介護給付費又は特例訓練等給付費)
30条 市町村は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該指定障害福祉サービス等又は第二号に規定する基準該当障害福祉サービス(支給量の範囲内のものに限る。)に要した費用(特定費用を除く。)について、特例介護給付費又は特例訓練等給付費を支給することができる。
 支給決定障害者等が、第二十条第一項の申請をした日から当該支給決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により指定障害福祉サービス等を受けたとき
 支給決定障害者等が、指定障害福祉サービス等以外の障害福祉サービス(次に掲げる事業所又は施設により行われるものに限る。以下「基準該当障害福祉サービス」という。)を受けたとき。

 
障害程度区分認定調査・概況調査

(1) 障害程度区分認定調査
認定調査】
認定調査は、障害程度区分を判定するために、三障害共通の調査項目について調査を行うものであります。
ここでは、市町村の担当者や指定相談事業者の認定調査員は、障害程度区分を判定するための認定調査を行うわけですが、実務上は、このとき同時にサービス利用意向聴取が行われることもあります。
認定調査は、精度の高い調査になるよう、マニュアルを熟読し、どういうことに着目した調査項目であるか、調査の要領をつかみ、調査イメージを作ることが重要です。
どういうところに着目して調査 するのか、マニュアルを参照する。
チェック内容を説明する必要がある場合は、必ず「特記事項」に補足記載することが、障害程度区分認定の精度を高めることを認識して調査に望むことが重要です。
特記事項】
程度区分認定の精度を高める重要な補足効果。
認定調査は、市町村が示した調査提出期限内に市町村に届けます。
認定結果通知、支給決定通知に遅れをきたさないよう、速やか な調査をお願いします。

(2) 概況調査
概況調査は、認定調査にあわせて、本人及び家族等の状況や、現在のサービス内容や家族からの介護状況が詳しく記載されていることがポイントです。特に、日中活動関連、介護者関連、居住関連は詳細に記載されていることが重要です。
概況調査】
認定調査対象者の課題や問題、暮らしにくさ、現在していることや希望などが見えてくるものに整理されていることが望ましい。
概況調査をサービス利用計画作成に利用することについて申請書の段階で「同意」されているか否かを確認します。
申請書の「同意」について不明な方の意思の再確認。
概況調査票は、認定調査対象者や家族及び住居環境等を踏まえた、全体的イメージが浮かぶ内容になるように整理することが重要です。


認定調査者等の全体的イメージが浮かべられる調査

(申請)
第20条 省略
 5  第二項後段の規定により委託を受けた指定相談支援事業者等の役員又は第三項の厚生労働省令で定める者で、当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 
一次判定(コンピュータ判定)

介護保険の要介護認定調査項目(79項目)に、障害者の特性をきめ細かく把握するための項目(27項目)を追加した106の調査項目について、コンピュータによる一次判定を行います。
精度の高い認定調査が、一次判定の精度を高めます。
市町村審査会の手順
(1) 認定調査員は、市町村に認定調査票、概況調査票を届けます。
(2) 市町村は、認定調査項目をコンピュータに入力する。警告コードが発生した場合は、認定調査員に確認し、警告の整理を行います。
(3) 市町村は、認定調査項目をコンピュータに入力する。警告コードが発生した場合は、認定調査員に確認し、警告の整理を行います。
(4) 医師意見書が届いた時に、認定調査票と医師意見書の共通項目の突合を行い、矛盾点は両者から聞き取り、整理を行います。

市町村審査会マニュアル参照
(別冊)
 
医師意見書
 介護給付を申請した場合の医師意見書は、疾病、身体の障害内容、精神の状況、介護に関する所見など、申請者の医学的知見から意見を求めるものです。
特に知的障害者の場合、通院歴のないことも想定されます。このような場合に備えて、市町村は地域の知的障害者施設の嘱託医等を協力医としてお願いしておくなどの配慮が求められます。

通院歴のない知的障害者の医師意見書の扱い】
 
市町村審査会(二次判定)《障害程度区分の認定》

(障害程度区分の認定)
21条 市町村は、前条第一項の申請があったときは、政令で定めるところにより、市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき、障害程度区分の認定を行うものとする。
 市町村審査会は、前項の審査及び判定を行うに当たって必要があると認めるときは、当該審査及び判定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。
一次判定結果と医師意見書が揃った段階で、市町村審査会は「認定調査特記事項」と「医師意見書」の内容を踏まえて二次判定を行い、審査判定結果は、市町村長に通知されます。
市町村審査会の開催条件】
市町村審査会は市町村長に審査判定結果を通知】
市町村長は、審査判定結果を認定し、申請者に認定結果を通知します。
市町村長は申請者に認定結果を通知】

(障害程度区分の認定)
21条 省略
 市町村審査会は、前項の審査及び判定を行うに当たって必要があると認めるときは、当該審査及び判定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の

 
認定結果通知

市町村審査会の審査判定結果は、市町村審査会長から市町村長に通知されます。
 
市町村は、審査判定結果、申請年月日、氏名、生年月日、及び住所等を確認した後で、審査判定結果を認定し、申請者に認定結果を通知します。
認定結果通知には、不服申し立てに関する教示をしなければなりません。不服申し立て先は都道府県知事となりますが、認定結果についての疑問は、第一義的には判定を通知した市町村が対応することになります。(説明責任)
このチェックミスが多い

不服申し立ては市町村が第一義的に行うこととなっている】

 
サービス利用意向聴取

 障害程度区分認定結果が通知されると、申請者の介護給付に関するサービスの利用意向を聴取することになります。
 この場合、介護給付に限定することなく、様々な社会資源の調整を想定し、ケアマネジメントの視点にたって利用意向聴取することになります。
 
利用意向聴取は、利用者の具体的生活ニーズを実現するため、具体的目標を整理して、それに必要な社会資源や地域の支え、それを支える公的支援(サービスの種類や内容、量等)を決める個別のサービス利用計画をつくるための重要な過程です。
利用意向聴取の内容の一部と障害程度区分の調査項目・概況調査の内容は重複する部分がありますが、両方の事項をしっかりとらえ、全体的に利用者の現状と今後どのように生活していきたいかを総合的にとらえることが重要です。
利用者は、自分のニーズを明確にできていない場合もあり、利用意向聴取は一度だけでなく、何度かやりとりをしていくことが必要な場合もあります。
また、精神障害者の場合、状態に波があるため、ある時点でのアセスメントだけでは、適切なニーズ把握ができないことがあります。それぞれの対象者の状態像に応じて行う必要があります。
また、適切なサービス利用計画の策定に向けて、サービス利用意向の聴取に加えて、申請者本人、家族、サービス提供事業者よるケア会議の実施が適当です。

利用意向聴取】◆
市町村が介護給付サービスの支給決定をする際の判断のために行う、申請者の具体的な生活ニーズを聴取するものです。
(支給要否決定等)
22条 市町村は、第二十条第一項の申請に係る障害者等の障害程度区分、当該障害者等の介護を行う者の状況、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び第二十七条において「支給要否決定」という。)を行うものとする。

サービス利用意向聴取におけるアセスメント票は、使い慣れたものを活用するのがよいと考えます。
サービス利用意向聴取の基本姿勢は、利用者の意思決定を大前提とします。

各障害者ガイドライン等で使用しているアセスメント票など。
サービス利用意向聴取は、サービス利用計画作成を依頼された相談支援専門員が、サービス利用計画作成時の参考資料として利用されることが想定されますので、障害者等の課題分析等が可能となるアセスメント資料になっていることに留意します。
サービス利用意向聴取はサービス利用計画作成の課題分析資料を想定した資料になるよう留意する。

 
支給決定案の作成(簡易サービス利用計画)
 サービス利用意向を聴取した後、支給決定案が作成されます。市町村担当者は、市町村の支給決定基準を参酌しながら、障害程度区分、申請者のサービス利用意向、介護者の状況等の勘案事項について十分に検討し、必要に応じて検討会議を開催するなどして、支給決定案の内容について検討を行います。その際、適切なサービス利用計画の策定につながるよう、就労や教育といった関連する支援、障害福祉サービス以外の様々な社会資源の活用等についても、あわせて検討することが望まれます。

(支給要否決定等)
22条 市町村は、第二十条第一項の申請に係る障害者等の障害程度区分、当該障害者等の介護を行う者の状況、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び第二十七条において「支給要否決定」という。)を行うものとする。
 市町村は、支給要否決定を行うに当たって必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村審査会又は身体障害者福祉法第九条第六項に規定する身体障害者更生相談所(第七十四条及び第七十六条第三項において「身体障害者更生相談所」という。)、知的障害者福祉法第九条第五項に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第六条第一項に規定する精神保健福祉センター若しくは児童相談所(以下「身体障害者更生相談所等」と総称する。)その他厚生労働省令で定める機関の意見を聴くことができる。
 市町村審査会、身体障害者更生相談所等又は前項の厚生労働省令で定める機関は、同項の意見を述べるに当たって必要があると認めたときは、当該支給要否決定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。



 
審査会の意見聴取
 市町村は、作成した支給決定案が当該市町村の定める支給基準と乖離するような場合、審査会に意見を求めることができます。
 この市町村審査会は、支給決定案を作成した理由等の妥当性を審査し、支給決定案等について市町村審査会の意見を市町村に報告します。

審査会の意見聴取に当たっては、支給決定案を作成するに至った理由等を明確に示すことが求められます。
10  
支給決定と支給決定通知
 市町村は、支給決定を行い、その内容を申請者に通知します。
支給決定通知と障害福祉サービス受給者証の交付】
(介護給付費等の支給決定)
18条 介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、訓練等給付費又は特例訓練等給付費(以下「後給付費等」という。)の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、市町村の介護給付費等を支給する旨の決定(以下「支給決定」という。)を受けなければならない。
 支給決定は、障害者又は障害児の保護者の居住地の市町村が行うものとする。ただし、障害者又は障害児の保護者が居住地を有しないとき、又は明らかでないときは、その障害者又は障害児の保護者の現在地の市町村が行うものとする。


 市町村は、支給決定を「否」とする場合、決定に至った理由などについて説明することが望ましいと思われます。

申請者のニーズを踏まえ、必要に応じて、市町村地域生活支援事業やその他の社会資源の活用・調整を図ることも含めた説明を行うことが適当です。

(支給要否決定等)
22条 市町村は、第二十条第一項の申請に係る障害者等の障害程度区分、当該障害者等の介護を行う者の状況、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び第二十七条において「支給要否決定」という。)を行うものとする。
 市町村は、支給要否決定を行うに当たって必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村審査会又は身体障害者福祉法第九条第六項に規定する身体障害者更生相談所(第七十四条及び第七十六条第三項において「身体障害者更生相談所」という。)、知的障害者福祉法第九条第五項に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第六条第一項に規定する精神保健福祉センター若しくは児童相談所(以下「身体障害者更生相談所等」と総称する。)その他厚生労働省令で定める機関の意見を聴くことができる。
 市町村審査会、身体障害者更生相談所等又は前項の厚生労働省令で定める機関は、同項の意見を述べるに当たって必要があると認めたときは、当該支給要否決定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。

支給決定通知には、不服申立てに関する教示をしなければなりません。不服申立て先は都道府県知事ですが、第一義的には支給決定した市町村が対応します。(説明責任)


不服申立ては市町村が第一義的に行うこととなっている】
不服申し立てに対する説明資料として、支給決定案作成会議等の支給決定の根拠となった資料は備えておくこととなります。
支給決定の根拠資料】

11  
サービス利用計画作成費の申請

支給決定通知を受理した申請者のうち、以下の対象者要件に該当する方は、市町村に「サービス利用計画作成費」の申請を行います。
(1) 長期間の入所・入院から地域生活へ移行使用とする者。
(2) 家族や周囲からの支援が得られず、孤立しており、具体的な生活設計ができない者
(3) その他、福祉サービスを利用しようとする者であって、自らその利用を調整することが困難であり、計画的な支援を必要とする者 等
市町村は、サービス利用計画費の支給対象者の可否について申請者に通知します。


12  
サービス利用計画作成依頼と契約


サービス利用計画費に係る支給認定を受けた利用者が、サービス利用計画(以下「ケアプラン」という。)を指定相談支援事業者に依頼する場合、どの指定相談支援事業者に依頼するかについて、「サービス利用計画作成依頼書」を市町村に提出します。
ケアプランの作成を依頼された指定相談支援事業者は、利用者に重要事項説明書の説明をし、説明を受けたことを証する署名等を得ます。

サービス利用計画作成依頼書の受理】


ケアプランを作成する上での手順や指定相談支援事業者と利用者との約束事項等を確認する。

第5条
17  省略
 第19条第1項の規定により同項に規定する支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者(以下「支給決定障害者等」という。)が障害福祉サービスを適切に利用することができるよう、当該支給決定障害者等の依頼を受けて、当該支給決定に係る障害者等の心身の状況、その置かれている環境、障害福祉サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案し、利用する障害福祉サービスの種類及び内容、これを担当する者その他の厚生労働省令で定める事項を定めた計画(以下この号において「サービス利用計画」という。)を作成するとともに、当該サービス利用計画に基づく障害福祉サービスの提供が確保されるよう、第29条第2項に規定する指定障害福祉サービス事業者等その他の者との連絡調整その他の便宜を供与すること。

13  
課題分析:ニーズアセスメント

 「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」をどのように考えるかという具体的なケアプラン作成の最初の一歩が、ケアプランの出発点です。


この段階から関わることとなる相談支援専門員は、市町村に、認定調査票(特記事項)、概況調査票、サービス利用意向聴取の内容、暫定ケアプランなどの情報を提供してもらうことにより、再び、最初から利用者・家族の状況や環境等を詳しく聞き取りするという、利用者の負担を軽減するような配慮が必要であるので、それまでの利用者のケアプラン作成に対する資料提供の同意状況を確認し、同意している場合は、資料の提供を市町村に求めます。


資料を良く把握し、利用者等の全体的イメージを持ち合わせてから、ニーズの把握(訪問)に向かいます。頻回な訪問はなるべく避け、12の段階に併せてニーズアセスメントを行うことも考慮すべきです。
市町村の相談支援専門員は、情報の提供に同意のチェックを確認して用いる。

利用者の心理的負担の軽減に配慮する】
利用者の資料の同意の確認と資料の提供のオーダー】
事前に利用者に関する資料がある場合は、資料からイメージをもって、ニーズ把握を行う。】
アセスメントは「時間の経過」における思いの変化を上手につかむスキルです。】
認定調査・概況調査及びサービス利用意向聴取の段階と、サービス利用計画作成時におけるニーズアセスメントの段階では、利用者や家族のニーズの違いや見解の相違が生じていることがあります。ニーズの移り変わりをきちんと捉えて対応することが重要です。
情報収集は、相談支援専門員の価値観や専門職種に偏ってしまうことにならないように、アセスメントシートを活用するという方法があります。しかし、アセスメントシートに頼ってしまうことは問題です。
アセスメント様式は、使い慣れたものを利用する。】
アセスメントシートは、情報をシートに落とし込んだとき、不足する情報があることを教えてくれますが、利用者の個別性に即した生活ニーズを明確にしてくれるわけではありません。
生活ニーズは利用者とのやりとりの中で明らかにしていくものであり、シートへの過度の依存は、利用者のニーズを個別的に捉えるという姿勢を失わせるので気をつける必要があります。
サービス利用計画に反映される情報・ニーズ・課題などを整理して、短期目標(早急に計画すべき内容)、中期又は長期目標(短期目標の進展を見ながら、徐々に計画すべき内容)を優先順位化し、整理する。この場合、優先順位化する場合は、利用者や家族と協働で相談しながら決めていくことが大切です。
アセスメントシートは、標準的なシートであるので、その範囲での情報収集は、個別情報が見失われます。

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サービス利用計画(案)
 課題分析により明らかになった(確認された)生活ニーズをもとに、利用者とサービス担当者の双方に対してサービスの方向性と目標を明確にすることを目的にサービス利用計画(案)を作成します。

 サービス利用計画(案)のポイント

利用者が話した生活ニーズがきちんと反映されているか。
利用者がサービス利用計画(案)の説明を受けたとき、自分の将来が明るい展望と受け取れる計画であるか。
利用者が目標に向かって力が湧いてくる、実現可能な内容であり、利用者に理解しやすい言葉で作成されているか。
サービス提供事業者の担当者(以下「サービス担当者」という。)も共感のもてる、意欲が湧く計画内容になっているか。
 以上のポイントの他、責任分担が明確化され、効率性にも配慮された計画になっていることが重要です。
約束、信頼関係
利用者のニーズに沿った個別計画
実現可能なエンパワメント
わかりやすい言葉
サービス提供事業者も意欲が出る(認識共有)
(目的)
1条 この法律は、障害者基本法の基本的理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

サービス利用計画原案の内容についての専門的見地からの、意見を求め、調整を図ることになりますので、原案はサービス担当者等にFAXなどであらかじめ見てもらって意見を聴いておいたほうがよいでしょう。

利用者の側に立ったサービスプランをつくるための環境づくり。

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サービス担当者会議

 サービス担当者会議の前段階で、利用者との間で目標とサービス内容(サービス利用計画案)についての合意が形成されていることが前提です。
利用者との間で事前合意されていることが前提
 この合意された目標とサービス内容を、利用者が生活する居宅等において、利用者、家族、実際にサービスの提供を行うサービス担当者又は地域で支えとなるボランティア等との間で共有します。

サービス担当者会議は、
利用者の生活する場で行うのが基本
(1) サービス担当者の視点からは、それぞれの専門的立場から意見を述べ、原案を更によいものにする機会です。
(2) 利用者の視点からは、原案に対して実際にサービスを提供してくれる事業者との間で確認ができる、共有の機会です。
(3) 相談支援専門員の視点からは、利用者と実際にサービスを提供しているサービス担当者から、現実的な情報が得られる機会である。
 以上のことから、サービス担当者会議は、サービス利用における説明と同意(インフォームド・コンセント)のための仕掛けという位置づけとして活用できます。

サービス担当者会議の開催のタイミング
常に利用者の解決すべき課題に即して開催されるべきです。
(1) 当初の課題分析を実施しサービス利用計画の原案を作成する段階
サービス担当者会議が開催できない場合は、サービス担当者へはFAXや電話等で説明や意見交換を行うことでもよいが、記録にはその内容を記載しておくことが望ましい。
(2) サービス開始直後の初期モニタリング(ニーズとサービスのマッチングの観察、サービス導入によるニーズの変化の観察、サービス間の適切な連携の観察)の段階
(3) 継続モニタリング(ニーズとサービスの継続的な把握と分析)の段階


サービス事業者の評価にも応用できる。
相談支援専門員やサービス担当者又は地域のボランティア等は、サービス担当者会議におけるアセスメントやサービス提供をとおして利用者世帯の個人的な情報を知り得ることになりますが、業務上知り得た利用者世帯の情報を正当な理由なく漏らすことがあってはなりません。
 サービス担当者会議等において利用者世帯の個人情報を用いる場合も、利用者又はその家族の同意をあらかじめ文書でいただいておくことが必要です。


守秘義務の遵守
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サービス利用計画作成費

 サービス利用計画作成費の対象者には、毎月サービス利用計画費が給付される。
サービス利用計画費は、次の内容が実施されていることを前提とし、どれか一つでも行われない場合は減算されます。
(1) アセスメントが行われていない。
(2) サービス担当者会議が行われていない。
(3) モニタリングが毎月行われていない。

毎月、市町村にアセスメント票、サービス担当者会議の記録、モニタリングの実施状況等を添付して請求する。

(サービス利用計画費作成費の支給)
32条 市町村は、支給決定障害者等であって、厚生労働省令で定める数以上の種類の障害福祉サービス(施設入所支援を除く。)を利用するものその他厚生労働省令で定めるもののうち市町村が必要と認めたもの(以下この条において「計画作成対象障害者等」という。)が、都道府県知事が指定する相談支援事業を行う者(以下「指定相談支援事業者」という。)から当該指定に係る相談支援(第五条第十七項第二号に掲げる便宜の供与に限る。以下「指定相談支援」という。)を受けたときは、当該計画作成対象障害者等に対し、当該指定相談支援に要した費用について、サービス利用計画作成費を支給する
 サービス利用計画作成費の額は、指定相談支援に通常要する費用につき、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定相談支援に要した費用の額を超えるときは、当該現に指定相談支援に要した費用の額)とする。
 計画作成対象障害者等が指定相談支援事業者から指定相談支援を受けたときは、市町村は、当該計画作成対象障害者等が当該指定相談支援事業者に支払うべき当該指定相談支援に要した費用について、サービス利用計画作成費として当該計画作成対象障害者等に対し支給すべき額の限度において、当該計画作成対象障害者等に代わり、当該指定相談支援事業者に支払うことができる。*1
 前項の規定による支払いがあったときは、計画作成対象障害者等に対しサービス利用計画作成費の支給があったものとみなす。
 市町村は、指定相談支援事業者からサービス利用計画作成費の請求があったときは、第二項の厚生労働大臣が定める基準及び第四十五条第二項の厚生労働省令で定める指定相談支援の事業の運営に関する基準(指定相談支援の取り扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。

 本来は、市町村から一旦利用者にサービス利用計画費が給付され、利用者はサービス利用計画を作成した指定相談支援事業者にサービス利用計画費を支払うわけですが、利用者に一時的な費用負担を発生させないよう、市町村は直接サービス利用計画を作成した指定相談事業者の請求に対してサービス利用計画費を代理受領することができることにしています。


*1 ※代理受領
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利用者負担の上限額管理
 複数のサービス事業者からサービスを受け、利用者負担の上限額を超えるサービス利用者については、利用者負担額の管理を行います。
 月末段階でサービスの利用実績を各サービス事業者より把握し、利用者負担額を確定して事業者、利用者、市町村に連絡します。

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モニタリング
 モニタリングは、利用者の自立支援状況の確認と利用者の生活実態とサービスがマッチしているかどうかをチェックするために行われるものです。
 モニタリングには、多く行うことに超したことはありませんが、少なくとも次のモニタリングは利用者の状況に応じて必要と思います。
初期モニタリング

(1) 初期モニタリング
 当初のサービス導入直後の段階から開始され、どのようなサービスにより、どのような変化が利用者とその周辺に起きているかを観察する。
継続モニタリング

(2) 継続モニタリング
 利用者の実態とサービスがマッチしているかどうかの継続的な把握やチェックは、実際にはサービスの実行と同時並行で行われます。質の高いサービスを確保し続けるために、また、サービスの質をますます高めていくためにも、継続的なモニタリングは不可欠です。
これは、毎月末に行われるモニタリングも含まれます。
目標達成時期に向けたモニタリング

(3) 目標の達成時期に向けたモニタリング
 目標達成時期の到来が近づいてきた場合、計画された目標が達成されているか、達成されていない場合は、その原因は何かなどについてチェックして、計画の変更等をしていく必要がありますし、サービス利用計画作成費の期間変更の協議を行う必要が生じてきます。

モニタリングの実施には、利用者の居宅を訪問することにより、サービス提供事業者の適正なサービスが行われているかを確認する意味も含まれています。
 

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終結

 サービス利用計画の達成時期に、安定的な生活の確保が確認された場合、サービス利用計画の終結となります。
 終結後は、継続的な相談支援を展開していくこととなりますが、相談支援の密度は、利用者の状況により相談支援専門員が判断していくことになります。

地域自立支援運営協議会やサービス担当者会議での協議
 相談支援事業者の地域における対象者の実態の把握は、本来的な業務であり、この相談支援事業が、サービス利用計画対象者の貴重な資料に結びつくことになります。
対象者の実態把握とケース記録の整備

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