戻る  前ページ

(2)  がん検診の見直しについて

 がん検診については、平成10年度に、国として「がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針」を示し、各市町村においては、この指針に基づいてがん検診を実施しているところである。
 近年のがんの罹患状況を見ると、特に乳がんの40歳代の罹患率が高いことや、子宮頚がんの20歳代での罹患率上昇などが問題となっており、これらに対して早急に対応していくことが重要な課題となっているところである。
 そこで、平成15年12月に、老健局にがん検診に関する検討会を設置し、有識者の参集を求めて、市町村が行うがん検診について、有効性の評価及び精度管理に関する検討を行うこととしたところである。
 この検討会は、本年度中に、乳がん、子宮がん検診の適切なスクリーニング手法や精度管理といった課題についてとりまとめることとしており、この結果を踏まえ、現行の指針を改正して、各市町村に示す予定である。



老人保健事業における歯周疾患検診の対象者の拡大について

1 経緯と現状
 高齢期における健康を維持し、食べる楽しみを享受できるよう、歯の喪失を予防することを目的として、40歳及び50歳の者を対象として、平成7年より実施され、検診受診者数は増加している。
 しかし、年齢階級ごとの現在歯数をみると60歳以降の現在歯数は急激に減少している。

歯周疾患検診受診者数
歯周疾患検診受診者数のグラフ
  歯周疾患検診の市町村実施率
平成 12年度 13年度
実施市町村 610 831
全市町村数 3251 3246
実施率(%) 18.8 25.6
 (平成7〜13年
    地域保健・老人保健事業報告)

年齢階級ごとの現在歯数
年齢階級(歳) 40〜44 50〜54 60〜64 70〜74 80〜84
現在歯数(本) 26.88 24.13 20.39 12.68 7.41
(平成11年歯科疾患実態調査)

2 対応
 歯周疾患は早期においては明確な自覚症状が現れにくく、歯の動揺、歯肉からの排膿といった自覚症状が出た時には、歯科保健指導や歯科治療によっても、歯の喪失を防ぐことは困難となる場合が多い。したがって歯の喪失を予防するためには歯周疾患検診が不可欠であり、早期に歯周疾患を発見し、適切な歯科保健指導や歯科診療が受診できるようにすることが重要である。
 以上のことから、これまでの歯周疾患検診の対象を40歳及び50歳の者から60歳及び70歳の者にも拡大するものである。

歯周疾患検診対象者
平成15年まで

40歳
50歳


平成16年
40歳
50歳
60歳
70歳



がん検診に関する検討会開催要綱

1. 検討会開催の趣旨
 がん検診に関する有効性評価及び精度管理等に関する検討を行う。

2.検討会の運営
 (1)  がん検診に関する検討会(以下「検討会」という。)は、老健局長が有識者の参集を求めて開催する。
 (2)  座長を置き、構成員の互選によりこれを定める。
 (3)  検討会の庶務は、厚生労働省老健局老人保健課において行う。

3.検討事項
 (1)  地域において行われているがん検診の精度管理に関すること
 老人保健事業報告等の統計情報から得られる精度管理に関する指標の把握と評価
 都道府県及び市町村における精度管理の状況の把握と評価
 国、都道府県、市町村等の各段階における精度管理の在り方の検討 等
 (2)  地域において行われているがん検診の有効性評価に関すること
 市町村が行うがん検診の実施状況の把握
 これまでの疫学研究に関する情報収集と論点の整理
 諸外国における検診の有効性評価に関する情報の収集 等
 (3)  新たながん検診の疫学的な有効性の評価と新たながん検診手法の検討
 既にある程度の規模で行われている検診についての疫学的な有効性の評価
 新たながん検診についての標準的な手法の検討
 (4)  その他
 がん検診の従事者の技術の向上のための方策の検討
 がんの一次予防の方策の検討 等

4.その他
 (1)  座長は討議の必要に応じ、適当と認められる有識者等を参考人として招致することができる。
 (2)  検討会は原則として、公開とする。



別紙

がん検診に関する検討会名簿

氏名 職名
安達 知子 東京女子医科大学産婦人科学助教授
遠藤 登喜子 国立名古屋病院放射線科医長
大内 憲明 東北大学大学院医学系研究科教授
垣添 忠生 国立がんセンター総長
斎藤 博 弘前大学助教授
櫻井 秀也 日本医師会常任理事
笹子 充 国立がんセンター中央病院第一領域外来部長
清水 弘之 岐阜大学医学部公衆衛生学教授
田中 憲一 新潟大学医学部産婦人科学教授
土屋 了介 国立がんセンター中央病院副院長
渡辺 昌彦 北里大学医学部外科学主任教授


トップへ
戻る  前ページ