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4.介護給付の適正化等について

(1) 介護給付適正化の取組について
 介護保険制度の施行状況をみると、制度の定着の一方で、提供されるサービスについてその必要性、効果に疑問をもたざるを得ないものも多いとの指摘があるほか、事業者による過度の利用者掘り起こしや不正請求等、不適正ないし不正な事例も見られるところである。
 また、一部の保険者においては、第2期介護保険事業計画における見込みを大きく上回って給付がなされており、既に平成15年度より財政安定化基金からの借入等を予定している保険者もある。
 このような状況を踏まえ、平成16年度においては、保険者をはじめ、国、都道府県等が、介護給付の適正化に、より一層、積極的に取り組んでいくことが必要である。

   現状の把握
 給付適正化に取り組むための前提として、それぞれの地域における介護保険の財政状況の分析や介護給付の動向等の的確な把握が不可欠である。
 各保険者において、第2期介護保険事業計画における見込みと実際のサービス給付状況に乖離が生じていないかを継続的に把握するとともに、要介護度別、サービス種類毎の介護給付動向等の把握に努めるよう、各都道府県においても配慮されたい。

   国民健康保険団体連合会との連携
 本年2月より、各都道府県国民健康保険団体連合会(国保連)において、保険者等が介護費用適正化対策のために活用できるよう、認定者の状況や事業所の状況に関する各種の情報を提供する体制が整備される予定であり、各都道府県におかれては、管下保険者等が、この国保連の新たなシステムを十分活用するよう、配慮されたい。
 また、この新たなシステムによる事業者情報も活用して、国保連が現在行っている苦情処理業務において苦情等に基づき、個々の事業者等に関する情報を収集し、都道府県や保険者に対し提供することにより、都道府県や保険者の給付適正化の取組を支援していきたいと考えているところである(詳細については、本年2月に開催する都道府県高齢者福祉・介護保険担当課長会議においてお示しする予定)。

 《国保連における新介護費用適正化システムによる情報提供の例》
   →  以下のような情報の提供により、保険者において、不適正給付の疑いのある事業者の抽出が容易に。
 1人のケアマネジャーが100件ものケースを担当。
 提供されるサービスがケアマネジャーと同系列の事業者に集中。
 機械的に限度額一杯のサービスが組み込まれていると思われるケアプラン。
 介護給付と老人医療給付との突合による不正請求の発見。
(入院期間中に介護保険から電動ベットの貸与が継続されている等。)

   介護費用適正化緊急対策事業等の活用
 介護給付の適正化のための取組については、本来、市町村(保険者)をはじめとして関係者が自ら取り組むべきものであるが、取組の推進を図る見地から、国においても、16年度予算案において、介護費用適正化緊急対策事業費として30億円を確保し、介護費用適正化に真に資する事業を対象として支援していくこととしている。本事業の実施に当たっては、費用対効果を示していただき審査の上交付対象とすることとしており、各都道府県におかれては、本事業の積極的な活用や既存補助事業等の活用により、管下保険者等において、給付適正化に向けた積極的な取組が図られるよう、配慮願いたい。

保険料基準額の状況(保険料基準額別市町村数(第1期・第2期比較))
保険料基準額の状況(保険料基準額別市町村数(第1期・第2期比較))のグラフ

安定化基金積立総額に対する貸付・交付金額の割合の大きい都道府県
安定化基金積立総額に対する貸付・交付金額の割合の大きい都道府県の表
(平成14年度末)


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